JPH0315886Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、電磁気装置への通電により可動鉄心
が固定鉄心に吸引されるその作用力と復帰ばねの
作用力との対向作用により弁体を軸方向作動し流
体の流れ方向を切換制御する電磁方向切換弁に関
する。

一般にこの種の電磁方向切換弁は、弁体を摺動
自在に嵌挿する嵌合孔の内周面と弁体に設けた切
換部の外周面との重ね合せによつて流路間を遮断
しており、切換制御に弁体の長い軸方向作動量を
要し、切換時間が長くなると共に、流体漏れ量も
多くなつていた。そこで、弁体の短い軸方向作動
量で大流量制御を可能にすると共に流体漏れ量の
低減を図るために、弁体を摺動自在に嵌挿する収
装孔の内周面を窪ませて形成した弁座部と弁体に
環状突起状に設けた切換部との着座によつて流路
間を遮断することを考えたが、可動鉄心の軸方向
作動量が弁体の軸方向作動量より長いと電磁気装
置にうなりが生じたり、また可動鉄心の軸方向作
動量が弁体の軸方向作動量より短いと弁体の切換
部を弁座部に着座できなかつたりするため、電磁
気装置の固定鉄心に対する可動鉄心の軸方向作動
量と弁体の軸方向作動量とを正確に一致させるよ
うに弁の各部材を加工精度を高精度にして製作し
なければならない問題点があつた。

本考案は、かかる問題点を解決するもので、弁
の各部材の加工精度を高精度に要することなくし
て、弁体の短い軸方向作動量での大流量制御と流
体漏れ量の低減とが良好に得られるようにした電
磁方向切換弁を提供するものである。

このため本考案は、圧力流体を導入する導入路
を内周面に開口配設した円形の収装孔の導入路開
口近傍に内周面を窪ませ負荷側へ連通する環状溝
を設け、その環状溝の両側面の収装孔内周面と交
差する稜部に弁座部を形成した弁本体と、収装孔
へ摺動嵌挿する外周面に前記導入路と連通して環
状の切換溝を窪み形成すると共に、その切換溝に
連設して前記環状溝内へ位置するよう前記弁座部
の孔径より大径で環状突起状に切換部を設けた弁
体と、弁体を軸方向の一方位置へ作動するよう作
用力を弁体に付与して設けた復帰ばねと、弁体を
軸方向の他方位置へ作動するよう通電により可動
鉄心を固定鉄心に吸引させてその作用力を復帰ば
ねの作用力に対向して弁体に付与して設けた電磁
気装置とを具備し、弁体は切換部の弁座部に着座
する着座側を環状溝内へ円錐面状にして線接触ま
たはそれに近い接触をするよう設けると共に、両
端面を圧力平衡するよう内部に連通路を貫設して
低圧側へ連通し、取付時の作用力を復帰ばねの作
用力より弱く設定して圧縮により作用力を復帰ば
ねの作用力により強くなるよう設けたばねを介在
して電磁気装置の作用力を弁体に付与して成る。

かかる本考案の構成において、電磁気装置への
通電により可動鉄心が固定鉄心に吸引されるその
作用力を、取付時の作用力を復帰ばねの作用力よ
り弱く設定して圧縮により作用力を復帰ばねの作
用力より強くなるよう設けたばねを介在して弁体
に付与しているから、可動鉄心の軸方向作動量と
弁体の軸方向作動量とが一致しなくとも、その軸
方向作動量の差異をばねにより吸収することがで
きる。このため、弁の各部材の加工精度を高精度
に要することなくできて、弁体の短い軸方向作動
量での大流量制御と流体漏れ量の低減とを良好に
得ることができる。

以下、本考案の一実施例を流体パイロツト操作
方向切換弁のパイロツト弁部として使用した場合
について説明する。

第１図および第２図において、１は圧力流体を
供給する供給流路Ｐと流体アクチユエータに接続
する負荷流路Ａ，Ｂおよび低圧側に接続する排出
流路R₁，R₂を有する主弁本体で、内部にその各
流路と連通し端部に大径孔２Ａ，２Ｂを形成する
嵌合孔３を貫通穿設しており、嵌合孔３の大径孔
２Ａ，２Ｂには供給流路Ｐおよび排出流路R₁，
R₂から分岐する分岐路PA，PB分岐路RA，RB
をそれぞれ開口連通している。４は嵌合孔３内へ
摺動自在に嵌挿した主弁体で、軸方向摺動で前記
各流路Ｐ，Ａ，Ｂ，R₁，R₂間の連通を切換えて
流体の流れ方向を制御するよう設けている。５は
大径孔２Ａの外方開口端を密閉するよう主弁本体
１に螺着した栓部材、６は大径孔２Ａ内へ挿入設
置して主弁体４端との間でパイロツト室７Ａを形
成する流路部材で、主弁体４を押圧するよう大径
孔２Ａ内に収装のばね８の作用力により栓部材５
側に押圧され、パイロツト室７Ａを分岐路RAを
介し排出流路R₁に連通している。９は流路部材
１０と蓋部材１１から成るパイロツト弁本体とし
ての弁本体で、大径孔２Ｂ内の蓋部材１１を内方
にして挿入設置し主弁体４端との間でパイロツト
室７Ｂを形成している。弁本体９は内部に流路部
材１０を貫設して蓋部材１１とで、内方端を閉塞
した円形の収装孔１２を設けており、収装孔１２
には内周面を窪ませて環状溝１３と１４を軸方向
へ間隔を有して形成し、環状溝１３内周面にパイ
ロツト室７Ｂに連通する負荷路１５を、環状溝１
４内周面に分岐路RBに連通する導出路１６を、
環状溝１３と１４間の収装孔１２内周面に分岐路
PBに連通する導入路１７をそれぞれ開口配設し
ていると共に、環状溝１３の両側面の収装孔１２
内周面と交差する稜部に弁座部１８および１９を
形成している。２０は弁体で、両端間を圧力平衡
するよう内部に連通孔２１を貫設し、収装孔１２
内へ摺動嵌挿する外周面に前記導入路１７と常に
連通して環状の切換溝２２を窪み形成すると共
に、環状溝１３内に位置して前記弁座部１８およ
び１９に着座する切換部２３を設けている。切換
部２３は切換溝２２に連設して弁座部１８，１９
の孔径より大径で環状突起状に形成し、弁座部１
８および１９に着座する着座側を前記環状溝１３
内へ円錐面状にして線接触またはそれに近い接触
をするよう設けている。２４は電磁気装置で大径
孔２Ｂ内の弁本体９を固設するよう主弁本体１に
螺着しており、コイル２５への通電により可動鉄
心２６を固定鉄心２７に吸引させてその作用力が
操作部材２８を介して得られるよう設けている。
２９は電磁気装置２４の作用力に対向作用するよ
う蓋部材１１と弁体２０間に介在した復帰ばね、
３０は弁本体９の嵌合孔１２内へ弁体２０と操作
部材２８間に介在して摺動自在に嵌挿したピスト
ン、３１は弁体２０とピストン３０間に介在した
ばねで、電磁気装置２４の作用力を受けて圧縮さ
れることで作用力を復帰ばね２９の作用力より強
くなるようにばね定数を復帰ばね２９のばね定数
よりも大きく設けているが、取付時の作用力は復
帰ばね２９の作用力よりも弱く設定されている。

次に、かかる構成の作動を説明する。

図面は電磁気装置２４の非通電状態を示し、弁
体２０は復帰ばね２９の作用力により切換部２３
が弁座部１８に着座する右動端に作動して導入路
１７を遮断すると共に、パイロツト室７Ｂを負荷
路１５環状溝１３連通孔２１環状溝１４導出路１
６を介し排出流路R₂側に連通して低圧にせしめ
圧力平衡状態に保持されており、主弁体４はばね
８の作用力により押圧され供給流路Ｐと負荷流路
Ｂ間および負荷流路Ａと排出流路R₁間を連通し
ている。

いま、電磁気装置２４を通電状態にすると、可
動鉄心２６に働く作用力が操作部材２８ピストン
３０ばね３１を介し、弁体２０に付与され、ばね
定数の差異に基因してばね３１の作用力が復帰ば
ね２９の作用力よりも強くなると弁体２０は切換
部２３が弁座部１９に着座する左動端まで作動
し、負荷路１５と導入路１７間を連通すると共
に、負荷路１５と導出路１６間を遮断する。そし
て、パイロツト室７Ｂには供給流路Ｐ分岐路PB
切換溝２２を流れてパイロツト流体が導入し、主
弁体４は端面に作用するパイロツト流体の作用力
によりばね８の作用力に抗して左動し各流路Ｐ，
Ａ，Ｂ，R₁，R₂間の切換連通をする。パイロツ
ト室７Ａ内の流体は分岐路RAを流れ排出流路R₁
に排出する。

さらに、電磁気装置２４を非通電状態にする
と、ばね定数の大きいばね３１の作用力が急激に
弱くなつて弁体２０は復帰ばね２９の作用力によ
り原位置まで復帰作動し、負荷路１５と導出路１
６間を連通すると共に負荷路１５と導入路１７間
を遮断し、パイロツト室７Ｂはパイロツト流体が
排出流路R₂側に排出され低圧となり、主弁体４
はばね８の作用力により原位置まで復帰作動する
と共に、パイロツト室７Ａには分岐路RAを介
し、排出流路R₁の流体が吸入される。そして、
可動鉄心２６ピストン３０はばね３１の作用力に
より原位置に復帰する。

かかる弁体２０の軸方向作動で、電磁気装置２
４への通電により可動鉄心２６が固定鉄心２７に
吸引されるその作用力をばね３１を介在して弁体
２０に付与しているから、可動鉄心２６の軸方向
作動量と弁体２０の軸方向作動量とが一致しなく
とも、その軸方向作動量の差異をばね３１により
吸収することができる。このため、弁の各部材の
加工精度を高精度に要することなくできて、弁体
２０の短い軸方向作動量での大流量制御と流体漏
れ量の低減とを良好に得ることができる。また、
弁体２０は内部に連通孔２１を貫設して両端面を
圧力平衡するようにしているため、弁体２０を軸
方向作動する作用力は小さなものでよく、弁体２
０に作用力を付与する電磁気装置２４を小型にで
きて弁全体を小型化できる。

第３図は他実施例を示し、一実施例と同様の作
動を行なうものであつて、主弁本体１の大径孔２
B′内周面に段部を形成し、該大径孔内に対応す
る段部を外周面に形成した弁本体を成す流路部材
１０′を挿入設置し、両者の段部間にシールリン
グ３２および３３を介在させて嵌合部分からの流
体の漏れ止め効果を得て弁本体の軸方向長さを短
縮し小形化が図れるようにしたものである。

このように本考案は、圧力流体を導入する導入
路を内周面に開口配設した円形の収装孔の導入路
開口近傍に内周面を窪ませ負荷側へ連通する環状
溝を設け、その環状溝の両側面の収装孔内周面と
交差する稜部に弁座部を形成した弁本体と、収装
孔へ摺動嵌挿する外周面に前記導入路と連通して
環状の切換溝を窪み形成すると共に、その切換溝
に連設して前記環状溝内へ位置するよう前記弁座
部の孔径より大径で環状突起状に切換部を設けた
弁体と、弁体を軸方向の一方位置へ作動するよう
作用力を弁体に付与して設けて復帰ばねと、弁体
を軸方向の他方位置へ作動するよう通電により可
動鉄心を固定鉄心に吸引させてその作用力を復帰
ばねの作用力に対向して弁体に付与して設けた電
磁気装置とを具備し、弁体は切換部の弁座部に着
座する着座側を環状溝内へ円錐面状にして線接触
またはそれに近い接触をするよう設けると共に、
両端面を圧力平衡するよう内部に連通路を貫設し
て低圧側へ連通し、取付時の作用力を復帰ばねの
作用力より弱く設定して圧縮により作用力を復帰
ばねの作用力より強くなるよう設けたばねを介在
して電磁気装置の作用力を弁体に付与したことに
より、弁の各部材の加工精度を高精度に要するこ
となくできて、弁体の短い軸方向作動量での大流
量制御と流体漏れ量の低減とを良好に得ることが
できる。

また、弁体は内部に連通路を貫設して両端面を
圧力平衡するようにしているため、弁体を軸方向
作動する作用力は小さなものでよく、弁体に作用
力を付与する電磁気装置を小型にできて弁全体を
小型化できる効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示すパイロツト操
作切換弁の縦断面図、第２図は第１図の要部拡大
断面図、第３図は他実施例図である。 ９……弁本体、１２……収装孔、１８，１９…
…弁座部、２０……弁体、２３……切換部、２４
……電磁気装置、２９……復帰ばね、３１……ば
ね。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 圧力流体を導入する導入路を内周面に開口配設
   した円形の収装孔の導入路開口近傍に内周面を窪
   ませ負荷側へ連通する環状溝を設け、その環状溝
   の両側面の収装孔内周面と交差する稜部に弁座部
   を形成した弁本体と、収装孔へ摺動嵌挿する外周
   面に前記導入路と連通して環状の切換溝を窪み形
   成すると共に、その切換溝に連設して前記環状溝
   内へ位置するよう前記弁座部の孔径より大径で環
   状突起状に切換部を設けた弁体と、弁体を軸方向
   の一方位置へ作動するよう作用力を弁体に付与し
   て設けた復帰ばねと、弁体を軸方向の他方位置へ
   作動するよう通電により可動鉄心を固定鉄心に吸
   引させてその作用力を復帰ばねの作用力に対向し
   て弁体に付与して設けた電磁気装置とを具備し、
   弁体は切換部の弁座部に着座する着座側を環状溝
   内へ円錐面状にして線接触またはそれに近い接触
   をするよう設けると共に、両端面を圧力平衡する
   よう内部に連通路を貫設して低圧側へ連通し、取
   付時の作用力を復帰ばねの作用力より弱く設定し
   て圧縮により作用力を復帰ばねの作用力より強く
   なるよう設けたばねを介在して電磁気装置の作用
   力を弁体に付与して成る電磁方向切換弁。