JPH031372B2 - - Google Patents
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- JPH031372B2 JPH031372B2 JP71382A JP71382A JPH031372B2 JP H031372 B2 JPH031372 B2 JP H031372B2 JP 71382 A JP71382 A JP 71382A JP 71382 A JP71382 A JP 71382A JP H031372 B2 JPH031372 B2 JP H031372B2
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Landscapes
- Testing Resistance To Weather, Investigating Materials By Mechanical Methods (AREA)
- Preventing Corrosion Or Incrustation Of Metals (AREA)
Description
本発明は耐塩化物応力腐食割れ性と耐隙間腐食
性のすぐれたオーステナイト系ステンレス鋼に係
り、特に海浜地帯などの海水の混入により耐隙間
腐食性を著しく要求される用途に適した含窒素オ
ーステナイト系ステンレス鋼である。 JIS G4305のSUS304N1鋼およびSUS304N2鋼
等の含窒素オーステナイト系ステンレス鋼は高強
度材料として最近使われているが、湿潤環境での
使用あるいは温水機器あるいは温水配管用途に用
いるとSUS304鋼と同様に塩化物応力腐食割れお
よび隙間腐食を発生し、このため著しく用途が制
限されている。 この種の通常の水環境における応力腐食割れは
塩素イオンの存在により惹起されるもので淡水環
境のように数10〜数1000ppmClといる微量でも応
力腐食を生じる。また常に応力腐食割れが問題に
なる海水濃度でも3.5%NaCl程度の低濃度範囲に
ある。しかるに、これまでの応力腐食割れ研究は
20%NaCl溶液あるいは42%MgCl2溶液が用いら
れてきた。この理由は低濃度塩化物溶液における
応力腐食割れの再現が難しく、濃厚促進液により
評価をせざるを得ない実状にあつたからである。
しかし、最近この濃厚塩化物による評価は実環境
に多い低濃度塩化物環境における実績と一致しな
い点が多いことが指摘されている。更に濃厚促進
液の相互の評価を比較しても、異つていることが
判明している。例えば沸騰42%MgCl2水溶液に対
してはSiの添加が割れの防止に有効であるが、
Moの添加は効果がない。一方沸騰20%NaCl水溶
液においては逆にSiの添加は効果がなく、Moの
添加は有効である。このように割れ機構あるいは
合金元素の効果は溶液の種類と濃度により異る。
従つて、応力腐食割れの真の解決のためには、実
体に則した低濃度塩化物溶液を用いて調査するこ
とが必要不可欠である。 本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決
し、通常の淡水あるいは海水等の低濃度塩化物環
境における耐塩化物応力腐食割れ性を耐隙間腐食
性のすぐれたオーステナイト系ステンレス鋼を提
供するにある。 本発明の要旨とするところは次のとおりであ
る。すなわち、重量比にてC:0.08%以下、Si:
1.0%以下、Mn:2.0%以下、Ni:6.0〜20.0%、
Cr:16.0〜25.0%、Cu:0.5%を越え3.5%以下、
Mo:1.5〜5.0%、Nb:1.0%以下、N:0.05〜
0.40%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物
より成ることを特徴とする耐塩化物応力腐食割れ
性と耐隙間腐食性のすぐれたオーステナイト系ス
テンレス鋼である。 本発明者らはスポツト抵抗溶接試験片の長期間
の浸漬試験を繰返し行つた結果スポツト溶接試験
片の如く隙間と残留応力のある試験片を用いると
100℃以下の低濃度食塩水においても応力腐食割
れが容易に再現が可能であり、また耐隙間腐食性
も同時に評価できることがわかつた。この方法は
溶存酸素を含む食塩水中に自然浸漬して応力腐食
割れを再現するもので多くの水使用の実環境に近
似している。 すなわちスポツト溶接試験片の長期間の浸漬試
験を繰返しCr−Niオーステナイト系ステンレス
鋼の耐応力腐食割れ性と耐隙間腐食性を調査した
結果低濃度食塩水中の耐応力腐食割れ性の改善に
は濃厚溶液と異なりSiとMoは効果がないが、Cu
の添加が有効であることを見出した。この事実を
基礎にさらに研究を重ねた結果、含窒素オーステ
ナイト系ステンレス鋼の応力腐食防止にも有効で
あることをつきとめた。しかし耐隙間腐食性は
Cuの添加ではあまり改善されずMoの添加が有効
であることも判明した。淡水環境における耐隙間
腐食性はMoを添加しなくても十分なことが多
い。また循環水などのように塩素イオンが濃縮す
る場合は1.2%以下の如き少量のMoの添加で隙間
腐食を防止できる。しかし本発明鋼で対象として
いる海浜における地下水などのように海水の混入
するような著しく悪い水環境に対してはそれに相
当してMo含有量の高いすぐれた耐隙間腐食性を
備えることが必要になる。 本発明者らは含窒素オーステナイト系ステンレ
ス鋼にCuを添加して応力腐食割れを防止し、更
に多量のMoを添加して海浜などの水環境の著し
く悪い用途にも適するように改良を加えたもので
ある。 本発明鋼は耐応力腐食割れ性についてみても
100℃以下の大気開放条件下における塩化物環境
での使用を目的として、これときわめて近い80℃
の3.5%の食塩水の腐食試験により開発されたも
のである。従つて、本発明鋼は従来の沸騰42%
MgCl2溶液あるいは20%NaCl溶液の試験で開発
されたものと異なる実環境下試験により近い試験
によるものである。 応力腐食割れに対するCuの有効性については
20%NaClの試験でも応力腐食割れ感受性を低下
させる元素であることが認められている。しか
し、20%NaClの試験ではCuの添加だけで割れを
防止できず、Cu、Siの共存あるいはCu、Si、Mo
の共存が必要である。これに反して本発明者らは
実環境に多い低濃度食塩水中における応力腐食割
れがCuの添加のみで効果的、経済的に防止でき
ることを見出したものであり、本発明は従来の認
識とは全く異なる新しい知見に基くことは明らか
で、この知見だけでオーステナイト系ステンレス
鋼の用途の適性範囲の拡大に著しく寄与するが、
更にMoを添加して耐隙間腐食性の向上を図るこ
とは多様な実環境への対応をより容易にすると考
えられる。 本発明における成分限定理由は次のとおりであ
る。 C: Cは応力腐食割れ感受性にほとんど影響しない
が、0.08%を越えると溶接部の粒界腐食感受性を
著しく高めるので上限を0.08%に限定した。 Si: Siは塩化物応力腐食割れ性の改善に対してはほ
とんど効果がなく、製鋼時の脱酸の目的に使用さ
れるが、1.0%を越す添加は必要がないので1.0%
以下に限定した。 Mn: Mnは製鋼時の脱酸剤として使用されるが、塩
化物応力腐食割れ感受性には影響がないので、通
常の2.0%以下に限定した。 Ni: Niはオーステナイト相を保持し、耐酸性を確
保するために少くとも6.0%以上を必要とするが
20.0%を越す添加は経済的見地より効果がないの
で6.0〜20.0%の範囲に限定した。 Cr: Crはステンレス鋼としての耐食性を付与する
主たる元素であり、少くとも16.0%を必要とする
が、25.0%を越すとオーステナイト組織を保持す
る上から好ましくないので、16.0〜25.0%の範囲
に限定した。 Cu: Cuは耐塩化物応力腐食割れ性の向上に著しい
効果があるが、0.5%以下ではその効果がなく、
3.5%を越えると熱間加工性が劣化し、また経済
上からも好ましくないので0.5%を越え3.5%以下
の範囲に限定した。 Mo: Moは耐隙間腐食性の改善に効果があるが、海
水の混入するような水環境に対しては少くとも
1.5%以上を必要とする。すなわち、オーステナ
イト系ステンレス鋼のスポツト溶接試験片に80℃
の3.5%食塩水における2月間の気液界面浸漬試
験を実施し、添付図面にその隙間腐食減量とステ
ンレス鋼中のMo含有量との関係を図示したが、
耐隙間腐食性はMo含有量が1.5%以上において著
しく向上しているのでMoの下限を1.5%とした。
しかし5.0%を越す添加は経済性を考慮すると効
果が少ないので5.0%を上限とし1.5〜5.0%の範囲
に限定した。 Nb: Nbは粒界腐食感受性を低下させると同時に、
オーステナイト地の強度を高め、含窒素オーステ
ナイト系ステンレス鋼としての特徴である高強度
特性を付与するのに有効であるが、1.0%を越え
る添加は溶接性を劣化し、経済的見地からも不要
であるので1.0%以下に限定した。 N: Nはオーステナイト形成元素であり、また高価
なNiの節減、高強度の付与、更に耐孔食性の向
上等の含窒素鋼の特性を付与する効果を有してい
るが、0.05%未満ではその効果が少なく、0.40%
を越すと熱間加工性が低下し製造が困難になるの
で0.05〜0.40%に限定した。 実施例 本発明鋼と本発明鋼成分に近似しCu等の成分
が限定範囲を外れている比較鋼および従来鋼につ
いて、次の試験方法によつて耐応力腐食割れ性と
耐隙間腐食性の比較試験を行つた。 すなわち、厚さ1.5〜2.0mm、幅15mm、長さ120
mmの供試材の一端に厚さ1.5〜2.0mm、幅10mm、長
さ30mmの同一組成の供試材を重ねスポツト抵抗溶
接した試験片を80℃の3.5%NaCl水溶液の気液界
面に2月間浸漬した。 各供試材は溶体化処理した板を使用し、浸漬水
溶液はNaClと純水で調整し大気開放条件で試験
した。応力腐食割れの発生の判定は試験終了後の
試験片表面の割れの有無と、更に断面組織による
割れの有無から判定した。 第1表に試験に使用した本発明鋼と比較鋼の化
学組成とスポツト溶接試験片を80℃の3.5%NaCl
水溶液に2月間浸漬試験後の応力腐食割れおよび
隙間腐食減量の測定結果を示した。 第1表より明らかな如く、浸漬試験により、
SUS304鋼相当品およびSUS304N1鋼相当品を含
む含窒素オーステナイト系ステンレス
性のすぐれたオーステナイト系ステンレス鋼に係
り、特に海浜地帯などの海水の混入により耐隙間
腐食性を著しく要求される用途に適した含窒素オ
ーステナイト系ステンレス鋼である。 JIS G4305のSUS304N1鋼およびSUS304N2鋼
等の含窒素オーステナイト系ステンレス鋼は高強
度材料として最近使われているが、湿潤環境での
使用あるいは温水機器あるいは温水配管用途に用
いるとSUS304鋼と同様に塩化物応力腐食割れお
よび隙間腐食を発生し、このため著しく用途が制
限されている。 この種の通常の水環境における応力腐食割れは
塩素イオンの存在により惹起されるもので淡水環
境のように数10〜数1000ppmClといる微量でも応
力腐食を生じる。また常に応力腐食割れが問題に
なる海水濃度でも3.5%NaCl程度の低濃度範囲に
ある。しかるに、これまでの応力腐食割れ研究は
20%NaCl溶液あるいは42%MgCl2溶液が用いら
れてきた。この理由は低濃度塩化物溶液における
応力腐食割れの再現が難しく、濃厚促進液により
評価をせざるを得ない実状にあつたからである。
しかし、最近この濃厚塩化物による評価は実環境
に多い低濃度塩化物環境における実績と一致しな
い点が多いことが指摘されている。更に濃厚促進
液の相互の評価を比較しても、異つていることが
判明している。例えば沸騰42%MgCl2水溶液に対
してはSiの添加が割れの防止に有効であるが、
Moの添加は効果がない。一方沸騰20%NaCl水溶
液においては逆にSiの添加は効果がなく、Moの
添加は有効である。このように割れ機構あるいは
合金元素の効果は溶液の種類と濃度により異る。
従つて、応力腐食割れの真の解決のためには、実
体に則した低濃度塩化物溶液を用いて調査するこ
とが必要不可欠である。 本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決
し、通常の淡水あるいは海水等の低濃度塩化物環
境における耐塩化物応力腐食割れ性を耐隙間腐食
性のすぐれたオーステナイト系ステンレス鋼を提
供するにある。 本発明の要旨とするところは次のとおりであ
る。すなわち、重量比にてC:0.08%以下、Si:
1.0%以下、Mn:2.0%以下、Ni:6.0〜20.0%、
Cr:16.0〜25.0%、Cu:0.5%を越え3.5%以下、
Mo:1.5〜5.0%、Nb:1.0%以下、N:0.05〜
0.40%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物
より成ることを特徴とする耐塩化物応力腐食割れ
性と耐隙間腐食性のすぐれたオーステナイト系ス
テンレス鋼である。 本発明者らはスポツト抵抗溶接試験片の長期間
の浸漬試験を繰返し行つた結果スポツト溶接試験
片の如く隙間と残留応力のある試験片を用いると
100℃以下の低濃度食塩水においても応力腐食割
れが容易に再現が可能であり、また耐隙間腐食性
も同時に評価できることがわかつた。この方法は
溶存酸素を含む食塩水中に自然浸漬して応力腐食
割れを再現するもので多くの水使用の実環境に近
似している。 すなわちスポツト溶接試験片の長期間の浸漬試
験を繰返しCr−Niオーステナイト系ステンレス
鋼の耐応力腐食割れ性と耐隙間腐食性を調査した
結果低濃度食塩水中の耐応力腐食割れ性の改善に
は濃厚溶液と異なりSiとMoは効果がないが、Cu
の添加が有効であることを見出した。この事実を
基礎にさらに研究を重ねた結果、含窒素オーステ
ナイト系ステンレス鋼の応力腐食防止にも有効で
あることをつきとめた。しかし耐隙間腐食性は
Cuの添加ではあまり改善されずMoの添加が有効
であることも判明した。淡水環境における耐隙間
腐食性はMoを添加しなくても十分なことが多
い。また循環水などのように塩素イオンが濃縮す
る場合は1.2%以下の如き少量のMoの添加で隙間
腐食を防止できる。しかし本発明鋼で対象として
いる海浜における地下水などのように海水の混入
するような著しく悪い水環境に対してはそれに相
当してMo含有量の高いすぐれた耐隙間腐食性を
備えることが必要になる。 本発明者らは含窒素オーステナイト系ステンレ
ス鋼にCuを添加して応力腐食割れを防止し、更
に多量のMoを添加して海浜などの水環境の著し
く悪い用途にも適するように改良を加えたもので
ある。 本発明鋼は耐応力腐食割れ性についてみても
100℃以下の大気開放条件下における塩化物環境
での使用を目的として、これときわめて近い80℃
の3.5%の食塩水の腐食試験により開発されたも
のである。従つて、本発明鋼は従来の沸騰42%
MgCl2溶液あるいは20%NaCl溶液の試験で開発
されたものと異なる実環境下試験により近い試験
によるものである。 応力腐食割れに対するCuの有効性については
20%NaClの試験でも応力腐食割れ感受性を低下
させる元素であることが認められている。しか
し、20%NaClの試験ではCuの添加だけで割れを
防止できず、Cu、Siの共存あるいはCu、Si、Mo
の共存が必要である。これに反して本発明者らは
実環境に多い低濃度食塩水中における応力腐食割
れがCuの添加のみで効果的、経済的に防止でき
ることを見出したものであり、本発明は従来の認
識とは全く異なる新しい知見に基くことは明らか
で、この知見だけでオーステナイト系ステンレス
鋼の用途の適性範囲の拡大に著しく寄与するが、
更にMoを添加して耐隙間腐食性の向上を図るこ
とは多様な実環境への対応をより容易にすると考
えられる。 本発明における成分限定理由は次のとおりであ
る。 C: Cは応力腐食割れ感受性にほとんど影響しない
が、0.08%を越えると溶接部の粒界腐食感受性を
著しく高めるので上限を0.08%に限定した。 Si: Siは塩化物応力腐食割れ性の改善に対してはほ
とんど効果がなく、製鋼時の脱酸の目的に使用さ
れるが、1.0%を越す添加は必要がないので1.0%
以下に限定した。 Mn: Mnは製鋼時の脱酸剤として使用されるが、塩
化物応力腐食割れ感受性には影響がないので、通
常の2.0%以下に限定した。 Ni: Niはオーステナイト相を保持し、耐酸性を確
保するために少くとも6.0%以上を必要とするが
20.0%を越す添加は経済的見地より効果がないの
で6.0〜20.0%の範囲に限定した。 Cr: Crはステンレス鋼としての耐食性を付与する
主たる元素であり、少くとも16.0%を必要とする
が、25.0%を越すとオーステナイト組織を保持す
る上から好ましくないので、16.0〜25.0%の範囲
に限定した。 Cu: Cuは耐塩化物応力腐食割れ性の向上に著しい
効果があるが、0.5%以下ではその効果がなく、
3.5%を越えると熱間加工性が劣化し、また経済
上からも好ましくないので0.5%を越え3.5%以下
の範囲に限定した。 Mo: Moは耐隙間腐食性の改善に効果があるが、海
水の混入するような水環境に対しては少くとも
1.5%以上を必要とする。すなわち、オーステナ
イト系ステンレス鋼のスポツト溶接試験片に80℃
の3.5%食塩水における2月間の気液界面浸漬試
験を実施し、添付図面にその隙間腐食減量とステ
ンレス鋼中のMo含有量との関係を図示したが、
耐隙間腐食性はMo含有量が1.5%以上において著
しく向上しているのでMoの下限を1.5%とした。
しかし5.0%を越す添加は経済性を考慮すると効
果が少ないので5.0%を上限とし1.5〜5.0%の範囲
に限定した。 Nb: Nbは粒界腐食感受性を低下させると同時に、
オーステナイト地の強度を高め、含窒素オーステ
ナイト系ステンレス鋼としての特徴である高強度
特性を付与するのに有効であるが、1.0%を越え
る添加は溶接性を劣化し、経済的見地からも不要
であるので1.0%以下に限定した。 N: Nはオーステナイト形成元素であり、また高価
なNiの節減、高強度の付与、更に耐孔食性の向
上等の含窒素鋼の特性を付与する効果を有してい
るが、0.05%未満ではその効果が少なく、0.40%
を越すと熱間加工性が低下し製造が困難になるの
で0.05〜0.40%に限定した。 実施例 本発明鋼と本発明鋼成分に近似しCu等の成分
が限定範囲を外れている比較鋼および従来鋼につ
いて、次の試験方法によつて耐応力腐食割れ性と
耐隙間腐食性の比較試験を行つた。 すなわち、厚さ1.5〜2.0mm、幅15mm、長さ120
mmの供試材の一端に厚さ1.5〜2.0mm、幅10mm、長
さ30mmの同一組成の供試材を重ねスポツト抵抗溶
接した試験片を80℃の3.5%NaCl水溶液の気液界
面に2月間浸漬した。 各供試材は溶体化処理した板を使用し、浸漬水
溶液はNaClと純水で調整し大気開放条件で試験
した。応力腐食割れの発生の判定は試験終了後の
試験片表面の割れの有無と、更に断面組織による
割れの有無から判定した。 第1表に試験に使用した本発明鋼と比較鋼の化
学組成とスポツト溶接試験片を80℃の3.5%NaCl
水溶液に2月間浸漬試験後の応力腐食割れおよび
隙間腐食減量の測定結果を示した。 第1表より明らかな如く、浸漬試験により、
SUS304鋼相当品およびSUS304N1鋼相当品を含
む含窒素オーステナイト系ステンレス
【表】
【表】
鋼の比較鋼はいずれも応力腐食割れを生じてい
るが本発明鋼は全く応力腐食割れが発生していな
い。また本発明鋼は隙間腐食減量もMoを含まな
い比較鋼に比べると1/4以下に低減していること
がわかる。 本発明は上記実施例からも明らかな如く、含窒
素オーステナイト系ステンレス鋼に適正量のCu
とMoを添加することにより海水が混入するよう
な腐食性の強い水環境において極めてすぐれた耐
塩化物応力腐食割れ性と耐隙間腐食性を併せ有す
るオーステナイト系ステンレス鋼を得ることがで
きた。 本発明鋼は、しかも従来の高濃度塩化物水溶液
による試験を排し、実環境下の低濃度試験により
開発されたものであるので、実環境下における広
い用途に効果を発揮することが可能で温水機器材
料、例えば温水タンク、温水配管およびその継
手、あるいは熱交換器材料を始めとし、水環境で
使用される機器、構造材料、配管などで塩素イオ
ンによる応力腐食割れあるいは隙間腐食が発生す
るおそれのある所に広く適用できる。特に適して
いるのは100℃以下の水道水環境、冷却水環境に
おける使用である。
るが本発明鋼は全く応力腐食割れが発生していな
い。また本発明鋼は隙間腐食減量もMoを含まな
い比較鋼に比べると1/4以下に低減していること
がわかる。 本発明は上記実施例からも明らかな如く、含窒
素オーステナイト系ステンレス鋼に適正量のCu
とMoを添加することにより海水が混入するよう
な腐食性の強い水環境において極めてすぐれた耐
塩化物応力腐食割れ性と耐隙間腐食性を併せ有す
るオーステナイト系ステンレス鋼を得ることがで
きた。 本発明鋼は、しかも従来の高濃度塩化物水溶液
による試験を排し、実環境下の低濃度試験により
開発されたものであるので、実環境下における広
い用途に効果を発揮することが可能で温水機器材
料、例えば温水タンク、温水配管およびその継
手、あるいは熱交換器材料を始めとし、水環境で
使用される機器、構造材料、配管などで塩素イオ
ンによる応力腐食割れあるいは隙間腐食が発生す
るおそれのある所に広く適用できる。特に適して
いるのは100℃以下の水道水環境、冷却水環境に
おける使用である。
添付図面はオーステナイト系ステンレス鋼スポ
ツト溶接試験片の80℃、3.5%食塩水中の2月間
の気液界面浸漬試験における含有Mo量と隙間腐
食減量との関係を示す相関図である。
ツト溶接試験片の80℃、3.5%食塩水中の2月間
の気液界面浸漬試験における含有Mo量と隙間腐
食減量との関係を示す相関図である。
Claims (1)
- 1 重量比にてC:0.08%以下、Si:1.0%以下、
Mn:2.0%以下、Ni:6.0〜20.0%、Cr:16.0〜
25.0%、Cu:0.5%を越え3.5%以下、Mo:1.5〜
5.0%、Nb:1.0%以下、N:0.05〜0.40%を含有
し、残部はFeおよび不可避的不純物より成るこ
とを特徴とする耐塩化物応力腐食割れ性と耐隙間
腐食性のすぐれたオーステナイト系ステンレス
鋼。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP71382A JPS58117862A (ja) | 1982-01-05 | 1982-01-05 | 耐塩化物応力腐食割れ性と耐隙間腐食性のすぐれたオ−ステナイト系ステンレス鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP71382A JPS58117862A (ja) | 1982-01-05 | 1982-01-05 | 耐塩化物応力腐食割れ性と耐隙間腐食性のすぐれたオ−ステナイト系ステンレス鋼 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS58117862A JPS58117862A (ja) | 1983-07-13 |
JPH031372B2 true JPH031372B2 (ja) | 1991-01-10 |
Family
ID=11481398
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP71382A Granted JPS58117862A (ja) | 1982-01-05 | 1982-01-05 | 耐塩化物応力腐食割れ性と耐隙間腐食性のすぐれたオ−ステナイト系ステンレス鋼 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS58117862A (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2602015B2 (ja) * | 1986-08-30 | 1997-04-23 | 愛知製鋼株式会社 | 耐腐食疲労性、耐海水性に優れたステンレス鋼およびその製造方法 |
CN103451555A (zh) * | 2013-08-02 | 2013-12-18 | 安徽三联泵业股份有限公司 | 水泵叶轮用不锈钢材料及其制备方法 |
-
1982
- 1982-01-05 JP JP71382A patent/JPS58117862A/ja active Granted
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS58117862A (ja) | 1983-07-13 |
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