JPH0313481Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、印刷装置に組込まれる原紙搬送装置
に係り、更に詳細には使用済みの原紙の排版排棄
のために搬送する排版のための原紙搬送装置に係
る。

考案の背景 印刷装置における排版の自動化のために、使用
済みの孔版印刷原紙の如き比較的薄い原紙を印刷
ドラムより剥ぎ取つてこれを自動排棄する原紙取
外し装置が既に知られており、この種の原紙取外
し装置は本出願人と同一の出願人による実願昭54
−179595号及び実願昭54−179596号に於て既に提
案されている。

上述の如き原紙取外し装置は、印刷ドラムより
剥ぎ取つた原紙を排棄箱内へ搬送する原紙搬送装
置を含んでおり、この原紙搬送装置は、一対の回
転軸に各々軸線方向に互いに隔置して固定され互
いに係合して回転する複数組のローラ対を有し、
前記ローラ対によつて原紙を挟んで該原紙を搬送
するようになつている。

上述の如き構成の原紙搬送装置に於ては、前記
ローラ対のうち原紙のインキ付着面と対接するロ
ーラは印刷インキによつて滑りを生じることなく
原紙を搬送すべく金属製セレーシヨンローラの如
く剛固な歯車状をなし、これに対し前記ローラ対
のうち原紙のインキ未付着面と対接するローラは
前記歯車状のローラによる原紙の搬送が確実に行
われるよう、この歯車状のローラと弾性変形によ
つて噛合うゴム状弾性部材により構成されてい
る。この場合、原紙がその搬送方向に直交する方
向、即ち横幅方向の弛みを持つた状態にて前記ロ
ーラ対間に進入して該ローラ対により搬送される
と、原紙は互いに隣接するローラ対間にてゴム状
弾性部材製のローラの側に弛みを生じ、この弛み
部分は、回転しているゴム状弾性部材製のローラ
の側端面に接触するようになる。すると、この原
紙は前記ローラの側端面に沿つてこれの径方向内
側へ移動し、前記ローラを支持している回転軸の
周りに絡み付き、良好な搬送が行われなくなるこ
とがある。

考案の目的 本考案は、従来の原紙搬送装置に於ける上述の
如き不具合に鑑み、原紙がその横幅方向の弛みを
持つた状態にてローラ対間に進入してきても原紙
が回転軸に絡み付かないように改良された原紙搬
送装置を提供することを目的としている。

考案の構成 上述の如き目的は、本考案によれば、使用済の
原紙を排版のために搬送する排版原紙搬送装置に
於て、一対の回転軸に各々軸線方向に互いに隔置
して固定され互いに係合して回転する複数組のロ
ーラ対を有し、前記ローラ対のうち前記原紙のイ
ンキ付着面と対接するローラは剛固な歯車状をな
し、前記ローラ対のうち前記原紙のインキ未付着
面と対接するローラはゴム状弾性部材により構成
されて対をなす前記歯車状のローラと弾性変形状
態にて係合し、該ゴム状弾性部材製のローラの両
側部には該ローラの側端面に連続して多孔質部材
が配置されていることを特徴とする排版原紙搬送
装置によつて達成される。

考案の効果 上述の如き構成によれば、ゴム状弾性部材製の
ローラの側部にその側端壁に連続して多孔質部材
が存在していることにより、原紙がその横幅方向
の弛みを持つた状態にて前記ローラ対間に進入し
てその原紙に各ローラ間にて弛みが生じてもこの
原紙がゴム状弾性部材製のローラ側端面に沿つて
これの径方向内側へ移動することを阻止され、こ
れが該ローラの回転軸の周りに絡まることがな
い。多孔質部材は、スポンジ、連続発泡樹脂の如
く印刷インキを侵漬し得る多孔質材料により構成
されていてよく、このため原紙の印刷インキが多
孔質部材に付着してもこれの外表面に印刷インキ
の層が出来ることがない。従つて印刷インキの粘
性によつて原紙が多孔質部材の周りに付着してこ
れの周りに絡まることもない。

実施例の説明 以下に添付の図を参照して本考案を実施例につ
いて詳細に説明する。

第１図及び第２図は本考案による排版原紙搬送
装置を備えた孔版印刷装置の一つの実施例を示し
ている。図に於て、１は印刷ドラムを示してお
り、該印刷ドラムはインキ通過性の多孔質構造の
円筒体により構成され、外周面の一部に孔版印刷
用原紙Ｓの一端部を選択的に係止するクランプ装
置２を有し、図示されていない電動機によつて自
身の中心軸線の周りに図にて反時計周り方向に回
転駆動されるようになつている。印刷ドラム１内
にはスクイージローラ３とドクタロツド４とイン
キ供給パイプ５とを含むインキ供給装置６が設け
られており、該インキ供給装置は印刷ドラム１の
回転に応じて内周面へ印刷インキを供給するよう
になつている。

印刷ドラム１の外周面には一端部をクランプ装
置２によつて印刷ドラム１に係止された孔版印刷
用原紙Ｓが印刷インキの粘性によつて巻付け装着
されるようになつている。

印刷ドラム１を挟んでスクイージローラ３と対
向する部分にはプレスローラ７が設けられてお
り、該プレスローラは、図示されていない印刷用
紙を印刷ドラム１の外周面へ向けて押し付け、印
刷ドラム１と共働して孔版印刷を行うようになつ
ている。

１０は排版装置を示しており、該排版装置は本
考案による排版原紙搬送装置１１と原紙剥ぎ取り
爪１２と原紙排棄箱１３とを含んでいる。排版原
紙搬送装置１１は各々印刷ドラム１の軸線に平行
に設けられて互いに並行する下部回転軸１４と上
部回転軸１５とを有している。下部回転軸１４
は、図示されていない電動機によつて第１図で見
て反時計周り方向に回転駆動され、複数個の金属
ローラ１６を軸線方向に互いに隔置して固定担持
している。金属ローラ１６の外周面には滑り止め
のためのセレーシヨン１７が形成されている。上
部回転軸１５には複数個のゴム或いはゴム類似品
よりなるゴムローラ１８が軸線方向に互いに隔置
して固定されており、該ゴムローラは各々金属ロ
ーラ１６と係合して複数組のローラ対をなしてい
る。ゴムローラ１８の外周面は平滑面であつてよ
く、金属ローラ１６のセレーシヨン１７との噛み
合いによつて弾性変形を生じるようになつてい
る。上部回転軸１５の互いに隣接するゴムローラ
１８間にはこれらゴムローラの側端面に連続して
該ゴムローラと実質的に同一外径の多孔質筒状部
材１９が取付けられている。多孔質筒状部材１９
は、スポンジ、連続発泡樹脂の如く印刷インキを
浸漬し得る多孔性材料により構成されている。多
孔質筒状部材１９は、図示の実施例に於ては、互
いに隣接するローラ１８間に連続して延在して両
端面にて各々ローラ１８の側端面に接合している
が、多孔質筒状部材１９は少なくともローラ１８
の側部に隣接する位置にのみ設けられてローラ間
の中央部には必ずしも設けられていなくても良
い。

原紙剥ぎ取り爪１２は、基端部を枢軸２０によ
つて枢支され且駆動レバー２１によつてソレノイ
ド装置２２のプランジヤ２３に駆動連結され、示
されている如き原紙剥ぎ取り位置と前記原紙剥ぎ
取り位置より枢軸２０の周りに第１図で見て時計
周り方向に回動した待避位置との間に回動駆動さ
れるようになつている。

印刷ドラム１の外周面に巻付け装着されている
孔版印刷用原紙Ｓを印刷ドラム１より取外す排版
は、クランプ装置２による孔版印刷用原紙Ｓの一
端部の係止が解放され、原紙剥ぎ取り爪１２が第
１図に示されている如き剥ぎ取り位置に位置し、
この状態にて印刷ドラム１が第１図で見て反時計
周り方向に回転することにより行われる。これに
より印刷ドラム１の外周面に取付けられている孔
版印刷用原紙Ｓは、その一端部より原紙剥ぎ取り
爪１２によつて印刷ドラム１の回転に伴ない印刷
ドラム１より剥ぎ取られ、第１図に於て仮想線で
示されている如く剥ぎ取り爪１２の先端面に案内
されてインキ付着面を下面として金属ローラ１６
とゴムローラ１８との間に進入し、金属ローラ１
６の第１図で見て反時計周り方向の回転及びこれ
に伴なうゴムローラ１８の第１図で見て時計周り
方向の回転に伴ない該両ローラに挟まれて排棄箱
１３内へ向けて搬送される。孔版印刷用原紙Ｓ
が、その搬送方向に直交する方向、即ち横幅方向
の弛みを持つた状態にて金属ローラ１６とゴムロ
ーラ１８との間に進入し、金属ローラ１６とゴム
ローラ１８との各ローラ対間にてゴムローラ１８
の側に弛みを生じてもゴムローラ１８間には、特
にゴムローラ１８の両側部には多孔質筒状部材１
９が設けられていることによりその弛み部分がゴ
ムローラ１８の側端面に接触することがなく、孔
版印刷用原紙Ｓが上部回転軸１５の周りに絡み付
くことがない。また多孔質筒状部材１９は印刷イ
ンキを浸漬し得る多孔質材料により構成されてい
るから、多孔質筒状部材１９の表面に印刷インキ
が付着しても多孔質筒状部材１９の表面に印刷イ
ンキの層が形成されるとがない。従つて、印刷イ
ンキの粘性によつて孔版印刷用原紙Ｓが多孔質筒
状部材１９の周りに絡み付くこともない。

第３図は本考案による原紙搬送装置の他の一つ
の実施例を示している。尚、第３図に於て第２図
に対応する部分は第３図に付した符号と同一の符
号により示されている。第３図に示された実施例
に於ては、各ゴムローラ１８の両側端面に各々連
続してコーン形状の多孔質部材２０が設けられて
いる。

この実施例に於ても、孔版印刷用原紙が上部回
転軸１５に巻き付くことが多孔質部材によつて回
避される。

尚、図示された実施例に於ては、印刷用ドラム
１より剥ぎ取られた孔版印刷用原紙Ｓはゴムロー
ラ１８の側に上向きの弛みを生じ、下部回転軸１
４の周りには絡み付くことがないという考察か
ら、上部回転軸１５にのみ多孔質筒状部材１９が
設けられているが、下部回転軸１４の周りにも孔
版印刷用原紙Ｓが巻き付く虞れがある場合には下
部回転軸１４の各金属ローラ１６間にも多孔質筒
状部材１９と同じ多孔質筒状部材が設けられてよ
い。

以上に於ては、本考案を特定の実施例について
詳細に説明したが、本考案は、これらに限定され
るものではなく、本考案の範囲内にて種々の実施
例が可能であることは当業者にとつて明らかであ
ろう。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による原紙搬送装置を備えた孔
版印刷用装置の一つの実施例をその要部について
示す概略側面図、第２図は第１図に示された本考
案により原紙搬送装置の正面図、第３図は本考案
による原級搬送装置、の他の一つの実施例を示す
正面図である。 １……印刷ドラム、２……クランプ装置、３…
…スクイージローラ、４……ドクタロツド、５…
…インキ供給パイプ、６……インキ供給装置、７
……プレスローラ、１０……排版装置。１１……
原紙搬送装置、１２……原紙剥ぎ取り爪、１３…
…原紙排棄箱、１４……下部回転軸、１５……上
部回転軸、１６……金属ローラ、１７……セレー
シヨン、１８……ゴムローラ、１９……多孔質筒
状部材、２０……枢軸、２１……レバー、２２…
…ソレノイド装置、２３……プランジヤ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 使用済の原紙を排版のために搬送する排版原紙
   搬送装置に於て、一対の回転軸に各々軸線方向に
   互いに隔置して固定され互いに係合して回転する
   複数組のローラ対を有し、前記ローラ対のうち前
   記原紙のインキ付着面と対接するローラは剛固な
   歯車状をなし、前記ローラ対のうち前記原紙のイ
   ンキ未付着面と対接するローラはゴム状弾性部材
   により構成されて対をなす前記歯車状のローラと
   弾性変形状態にて係合し、該ゴム状弾性部材製の
   ローラの両側部には該ローラの側端面に連続して
   多孔質部材が配置されていることを特徴とする排
   版原紙搬送装置。