JPH0313100Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は履帯式車両の遊動輪ガイド装置に関す
る。

従来の技術 従来の履帯式車両の走行装置では第４図、第５
図、第６図に示す如く、走行下部台を構成する左
右一対のクローラフレームの前方には水平なガイ
ド部材１７′，１８′がそれぞれ上下に設けてあ
り、遊動輪４を回転自在に枢支する軸１６′の両
端部に貫設して、スライドブロツク６′，６′がピ
ン１５，１５により固設してある。そうしてスラ
イドブロツク６′の、軸１６′貫通部付近の上面、
下面の水平摺動面ｂ，ｂにより摺動可能に挟持さ
れ、側面は上下のガイド部材１７′，１８′および
１７′，１８′それぞれの垂直摺動面ｃ，ｃにより
挟持され、左右の摺動面と適当な隙間が得られる
ように、スライドブロツク６′，６′を軸１６′に
固設するピン１５，１５の位置が決めてある。ま
た、スライドブロツク６′，６′の一端は後方に強
度部材となつて延長し一個のブラケツト１２の両
端部に固設され、スライドブロツク６′，６′の延
長した強度部材とブラケツト１２とで、おおむね
Ｕ字型の部材を形成し、このＵ字型部材の中で遊
動輪４は余猶の空間をもつて回転するようになつ
ている。

更に、ブラケツト１２はクローラフレーム２に
スプリング１１、シリンダ１３、ピストン１４な
どから構成される緩衝装置５を介して取付けられ
ており、履帯８が異常に緊張したときは緩衝装置
５のスプリング１１の作用により遊動輪４をスラ
イドブロツク６′、ブラケツト１２と共に後退さ
せ、また履帯８の摩耗等により、その張力が不足
したときはピストン１４の作用により遊動輪４の
位置を調整できる構造となつている。なお、図に
おいて１０はクローラフレーム２下面に所要のピ
ツチでブラケツトを介して固設された複数個の下
部転輪である。

考案が解決しようとする問題点 上述の如き従来の遊動輪ガイド装置を備えた履
帯式車両のスライドブロツクはクローラフレーム
ガイド部材に挟持され、走行時履帯に土石その他
の障害物が噛込むと緩衝装置の作用により頻繁に
摺動するので摩耗が起き易い、これを防止するた
め水平摺動面の面積を大きくする必要がある。第
５図に示すように一定の許容巾のクローラフレー
ムの中央部分には遊動輪または下部転輪が収納さ
れ、左右の残りの空間にガイド部材を設け、しか
も、スライドブロツクが摺動するガイド部材には
水平摺動面の他に遊動輪の左右位置を規制する垂
直摺動面をも同時に設けなければならないので、
ガイド部材上の水平摺動面の巾は制限され、止む
を得ずスライドブロツクの摺動方向の長さを長く
して所要の面積を確保することになるが、このよ
うな構造では形状が大きくなるのみではなく、遊
動輪の中心線Ｌと水平摺動面への負荷中心線Ｎと
の距離l′が長く、遊動輪を軸支する軸に加わる曲
げモーメントが大きくなるので軸径も大きくする
必要が生じる。また、クローラフレーム上の水平
摺動面には泥土が堆積し易く摺動面に侵入し摩耗
を助長させる。

問題点を解決するための手段 上記の如き問題点を解決するため遊動輪ガイド
装置に講じた本考案の手段は、 イ 上下摺動面が遊動輪用の軸の中心線に対し、
上下対称に傾斜したガイド部材をトラツクフレ
ームの前方に、遊動輪の中心線に対し左右対称
に設け、 ロ 遊動輪用の軸の両端部を把持するスライドブ
ロツクの上下の摺動面は、上記ガイド部材の上
下の摺動面にそれぞれ係合して摺動する如く傾
斜させ、 ハ ガイド部材の摺動面とスライドブロツク摺動
面との間に、摺動に必要な隙間を設けて、スラ
イドブロツクを遊動輪軸の端部に固設する。

作 用 スライドブロツクが移動するガイド部材上の摺
動面が傾斜し、かつ、左右対称となつているの
で、遊動輪に加わる上下および軸方向の負荷を同
時に傾斜した摺動面が受持つと共に遊動輪の正規
の位置を保持し、従来のような垂直摺動面を必要
としないので遊動輪の中心線と摺動面への負荷中
心との距離が短かくなる。

実施例 以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。第１図は本考案の遊動輪ガイド装置を有す
る、履帯式車両の走行装置を示す側面図、第２図
は第１図のＡ−Ａ矢視断面図、第３図は遊動輪お
よび緩衝装置の斜視図であるが、これらの図にお
いて、１は走行下部台で左右一対の箱形断面のク
ローラフレーム２に下部台枠３を架設し、それぞ
れのクローラフレーム２の前端には軸１６上に枢
支された遊動輪４を設け、該軸１６は、その両端
部において、スライドブロツク６に把持され、該
スライドブロツク６の後方に延長した強度部材は
ブラケツト１２を介し他端がクローラフレーム２
上の固定部材Ｂで支持される緩衝装置５に連結し
てある。また、クローラフレーム２の後端には油
圧モータ等により駆動力を与えられる駆動ホイー
ル７、上面には履帯８を支持する上部転輪９、下
面にはブラケツトを介して複数の下部転輪１０が
固設してあり、無限軌道式の履帯８が遊動輪４、
駆動ホイール７、上部転輪９、下部転輪１０の外
周に捲着されており、駆動ホイール７の駆動力に
より履帯８を正逆転して機体を移動させるように
なつている。上記緩衝装置５は第３図に示すよう
に既知のものであり、内部に注入する流液の量を
加減して履帯８の張り具合を調整するシリンダ１
３、ピストン１４、先端部にスライドブロツク
６，６を固設し、該スライドブロツク６，６と共
にＵ字形を形成してこのＵ字形の中央部に遊動輪
４を配置するブラケツト１２、および該ブラケツ
ト１２と前記シリンダ１３との間に一定の付勢力
で取付けられたスプリング１１などから構成さ
れ、履帯８に異常な張力が発生したときはスプリ
ング１１が圧縮されて衝撃を吸収するようになつ
ている。

そうして、クローラフレーム２の前端部、スラ
イドブロツク６，６が嵌装される部分は、第２図
断面図で示すように、上下ガイド部材１７，１８
が、遊動輪４の中心線Ｌに対して左右対称に固設
してあり、該ガイド部材１７，１８のそれぞれの
摺動面ａ，ａは軸１６の軸心に対して傾斜し、か
つ上下対称になるように設けてある。

軸１６の中央部には遊動輪４が回動自在に嵌装
され、両端部には、摺動部の断面が梯形で、上記
ガイド部材１７，１８の摺動面ａ，ａに係合して
摺動するスライドブロツク６，６がピン１５，１
５で固設してあるが、このピン１５，１５を挿入
する軸１６上の穴は左右のガイド部材１７，１８
とスライドブロツク６，６が摺動するに必要な隙
間を保持できる位置に設けてある。また、ガイド
部材１７，１８の断面形状はＬ形をなし、その摺
動面ａに、ほぼ直角な部材はクローラフレーム２
の部材に固着してあるので摺動部ａに加わる軸１
６の負荷に充分耐えると共に第２図の下部転輪１
０の外周との干渉をさけ、しかも摺動面ａの位置
を遊動輪４の中心線Ｌに接近させる効果をもつて
いる。なお、本実施例図におけるスライドブロツ
ク６，６の断面形状は相互に内方に向けて末広が
りの梯形となつているが、この傾斜面を逆の外方
に向け末広がりにしてもさしつかえないが、上述
のガイド部材１８と下部転輪１０との干渉の点で
は前者の方が強度的にも有利であることは言うま
でもない。

本考案は以上詳述したような構成となつている
ので、履帯式車両が不整地の走行または、履帯に
異物を噛み込んだ時、遊動輪４は緩衝装置５のス
プリング１１の付勢力に抗して移動し、履帯に異
常なる張力が発生することを防止する。また、長
期間嫁動し履帯８が緩むと、シリンダ１３に流体
を注入してピストン１４を伸長させ履帯８の張力
を調整することは従来と全く同様であるが、ガイ
ド部材の摺動面が左右対称的に傾斜しており、常
に遊動輪がクローラフレームの中心に位置するよ
うな力が作用する。

考案の効果 この考案は遊動輪の軸の両端部に固設したスラ
イドブロツクとクローラフレーム前部に設けたガ
イド部材の摺動面を傾斜させ、ガイド部材の断面
はＬ形材を使用しているので、従来の如くスライ
ドブロツクとガイド部材に垂直摺動面を設ける必
要はなく、また、ガイド部材と下部転輪の外周と
が干渉することもない。したがつて、同一巾寸法
のクローラフレームにおいても摺動面の巾を従来
よりも広くでき、クローラフレーム上のガイド部
材および、スライドブロツクの摺動面の長手方向
の寸法を短かくできるうえに、遊動輪中心とスラ
イドブロツク摺動面の負荷中心との距離が短縮で
き、軸径を小さくすることが可能で、ガイド装置
全体を小形に設計できる。また、それぞれの摺動
面は、従来は二面加工であつたものが本考案では
一面加工ですみ、しかも土砂が堆積し難い斜面と
なつているので加工費の低減と耐久性の向上に役
立つ。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の履帯式車両の走行装置を示す
側面図、第２図は第１図のＡ−Ａ断面矢視図、第
３図は第１図の緩衝装置の斜視図、第４図は従来
の履帯式車両の走行装置を示す側面図、第５図は
第４図のA′−A′断面矢視図、第６図は第５図の
要部の側面図を示す。 ２……クローラフレーム、４……遊動輪、５…
…緩衝装置、６，６′……スライドブロツク、８
……履帯、１６……軸、１７……ガイド部材、１
８……ガイド部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. クローラフレームの前端部に設けた水平および
   垂直摺動面を有するガイド部材に沿つて前後に摺
   動し、スプリングを介してクローラフレームに取
   付けられたスライドブロツクと、該スライドブロ
   ツクに両端部を把持された軸に回転自在に枢支さ
   れた遊動輪とから構成される履帯式車両の遊動輪
   ガイド装置において、上下の摺動面が遊動輪の軸
   の軸心に対し上下対称に傾斜した一対のガイド部
   材を、クローラフレームの前端部に、遊動輪の中
   心線に対し左右対称に設け、上記一対のガイド部
   材に係合する摺動面を有するスライドブロツクに
   遊動輪の軸の両端部をそれぞれ把持させ、かつ、
   ガイド部材とスライドブロツクの摺動面の間には
   摺動に必要な隙間を設けてスライドブロツクを遊
   動輪の軸に固設する手段を講じたことを特長とす
   る履帯式車両の遊動輪ガイド装置。