JPH0311708A - 磁性材料及びその製造方法 - Google Patents

磁性材料及びその製造方法

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JPH0311708A
JPH0311708A JP14717789A JP14717789A JPH0311708A JP H0311708 A JPH0311708 A JP H0311708A JP 14717789 A JP14717789 A JP 14717789A JP 14717789 A JP14717789 A JP 14717789A JP H0311708 A JPH0311708 A JP H0311708A
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JP
Japan
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magnetic
thin film
substrate
magnetic field
permeability
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JP14717789A
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English (en)
Inventor
Shinji Furukawa
古川 伸治
Kazuki Oka
岡 和貴
Teru Tanimura
谷村 暉
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Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
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Publication date
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    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F41/00Apparatus or processes specially adapted for manufacturing or assembling magnets, inductances or transformers; Apparatus or processes specially adapted for manufacturing materials characterised by their magnetic properties
    • H01F41/14Apparatus or processes specially adapted for manufacturing or assembling magnets, inductances or transformers; Apparatus or processes specially adapted for manufacturing materials characterised by their magnetic properties for applying magnetic films to substrates
    • H01F41/18Apparatus or processes specially adapted for manufacturing or assembling magnets, inductances or transformers; Apparatus or processes specially adapted for manufacturing materials characterised by their magnetic properties for applying magnetic films to substrates by cathode sputtering

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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、標識やインダクタンス素子などに用いられる
磁性材料及びその製造方法に関するものである。
(従来の技術) 軟磁性材料は、トランス、磁気ヘッド、センサーなどの
磁心や電磁シールド材として、盛んに用いられている。
軟磁性材料は、大きく分けて低鉄損材料と、高透磁率材
料に分けることができる。
このうち、高透磁率材料は、外部から印加された磁場に
対してできるだけ容易に磁化され得ることが望まれてお
り、そのために、保磁力、結晶磁気異方性、磁歪定数、
誘導磁気異方性の低い材料が開発されている。現在、高
透磁率材料としては。
バルク、薄帯、線材、薄膜などの形状のものが用いられ
ている。
一方、電子機器などの駆動周波数の高周波化に伴い、高
周波域においても高い透磁率を有する材料が望まれてお
り、そのためには、高周波域での渦電流による損失をで
きるだけ抑える必要があるので、抵抗を大きくシ、断面
積を小さくすることが効果的であるところから、材料を
薄膜化することが盛んに研究されている。
高透磁率の薄膜は、現在、磁気ヘッドや磁気抵抗素子な
どに用いられており、軟磁性材料の磁気特性は9組成2
組織、内部欠陥、残存応力などに敏感であるため、薄膜
の作製条件やその後の熱処理などに大きく影響される。
特に透磁率の優れたものを得るためには、薄膜の形成中
、又はその後に数百℃の高温にさらすことが必要なため
に、基板として耐熱性に優れたガラスやセラミクスが用
いられていた。
薄膜の製造方法としては、蒸着法、イオンブレーティン
グ法、スパッタリング法などの乾式法。
めっき法などの湿式法がある。特に軟磁性薄膜を製造す
る場合は、乾式法を用いた方が良好な結果が得られてい
る。また1組成のばらつきが小さく。
付着強度の大きな薄膜が得られることから、特に透磁率
が高いことが望まれる磁気ヘッド材料などを作製する場
合には、スパッタリング法が用いられることが多い。
スパッタリング法においては、プラズマ中で薄膜の形成
が行われるが、このとき、プラズマを磁場によって制御
することができる。また、マグネトロン・スパッタリン
グ装置は、ターゲットの表面に磁場を印加し、印加した
磁場のうちのターゲット表面に平行な成分でイオン及び
電子をサイクロトロン運動させることにより、高真空に
おいてもプラズマを発生させ、スパッタリング効率を向
上させることができる。さらに、マグネトロン以外の方
式においても電場や磁場を印加することにより、プラズ
マやスパッタされた粒子を制御することが試みられてい
る。
前者の例としては、バイアス・スパッタ法があげられ、
  J、Appl、Phys、、45.50 (197
4)などに示されている。すなわち、バイアス電場を基
板側に印加させることにより、プラズマ中のイオン種を
加速又は減速し、薄膜の再スパツタ率を変化させ。
ガス成分の混入量や1表面状態の制御が可能であること
が示されている。
後者の例としては、特開昭63−270463号公報や
J、Appl、 Phys、 、 60.482 (1
986)に示されている。特開昭63−270463号
公報ではその実施例において、RF2極スパッタリング
装置を用いて、基板からターゲットの方向に直流磁場を
印加することにより、Sin、薄膜と5b−Te薄膜の
表面状態及び結晶性を改善できることが開示されている
。また、  Jppl、Physl、60.482(1
986)には、同様の補助磁界の発生手段を組み込んだ
RFスパッタリング装置によりZnO薄膜を作製した結
果が示されており、基板からターゲットの方向に直流磁
界を印加することにより1表面状態の良好な薄膜が作製
できることが開示されている。
さらに特開昭63−270461号公報には。
対向ターゲット式スパッタリング装置に補助磁界発生手
段を配置し、Co−Cr合金薄膜を作製する方法が示さ
れている。すなわち、ターゲットの面に垂直、基板の面
に平行な方向に補助磁界を印加することにより、ターゲ
ットの利用率を向上させて優れた垂直磁化膜が作製でき
ることが開示されている。
一方、高透磁率材料は、各種のセンサーやシールド用途
などに盛んに用いられている。特に盗難防止などに用い
られている標識、インダクタンス素子、電磁シールド材
などは今後ますます需要が増大する分野として注目され
ている。
盗難防止のための物品監視装置に用いられる標識は小売
店や図書館などにおいて商品や書籍などの物品が無断で
持ち出されることを防止する各種の監視装置に用いられ
るものであり、これらの監視装置は、物品が監視区域を
通って運び出されるとき、それらの物品にあらかじめ付
けられた標識によって物品の通過を遠隔検出するもので
あり。
その検出手段によって大きく電磁式と磁界式に分けるこ
とができる。
電磁式は、標識にダイオードからなる変調回路やコンデ
ンサーからなる共振回路を組み込んであり、呼び掛は装
置により送信される電磁場内に物品に付けられた標識が
存在した場合、ダイオードにより、呼び掛は周波数の倍
音周波数の高調波が発生したり、共振により呼び掛は信
号が減衰又は共鳴することにより、物品の存在を検出す
るものである。これらの方式は、標識として電気回路を
用いているため、形状が大きく、高価であり、主に高額
の商品に添付されており、その添付された標識は1回収
して再利用することが多い。
また、磁界式は、標識として強磁性材料が用いられてお
り、呼び掛は信号として送信されている特定周波数の交
流磁界によってこれらの強磁性体が磁化反転し、呼び掛
けた交流磁界の高調波を発生させて検出に利用するもの
である。この磁界式は、電磁式に比べると、標識が安価
で、小形なため、低額な商品にも添付され、その添付さ
れた標識は、使い捨てにされることが多い。
標識として用いられる強磁性体は、標識の発生する信号
と他の一般的な磁性体1例えば、買い換部や腕時計など
から発生する信号とをできるだけはっきりと区別され得
る必要があるために、−船釣な磁性体とは大きく磁気特
性が異なる。すなわち、印加した交流磁場に対して非常
に急速に磁化反転する材料が用いられている。すなわち
、高透磁率材料及び大バルクハウゼン効果を有する材料
(特開昭61−153799号公報)が標識として通常
用いられている。
このうち、高透磁率材料は、磁化反転に際して磁歪など
反転の抵抗となるものが非常に少ないために、非常に容
易に磁化反転するものである。従って、誤動作の原因と
なる標識以外の磁性体と区別され得るためには、高周波
域においてもできるだけ高い透磁率を有することが求め
られている。
一方、外部から交流磁界を印加した場合、磁性体には電
磁誘導現象により渦電流が発生し、印加した磁界の一部
は相殺されてしまうため、透磁率は周波数が高くなると
低下する。そのために、渦電流の発生を抑える必要があ
り、電気抵抗を大きくすること、又は渦電流の発生する
領域を小さくすることが有効である。また、磁性体に外
部から磁場を印加して磁化する場合、磁性体にN、  
S両極の磁極が生じて反磁界を形成し、印加磁場を見掛
上相殺しようとする。この反磁界の影響をできるだけ小
さくするためには磁極を十分離す必要があるため、磁性
体の形状は、その磁気特性に非常に大きく影響を与える
ものである。
インダクタンス素子は、電気回路を構成する基本要素で
あるが、最近は、電気回路に半導体が多く用いられるよ
うになり、インダクタンス素子も小型化したものの需要
が多くなってきている。また、半導体集積回路が高周波
で駆動されるため。
周波数の高い領域においても特性の低下が少ないことが
要求されている。インダクタンス素子は。
磁心とコイルによって構成されており、磁心として用い
られる磁性体はその素子の目的に応じて。
高透磁率、恒透磁率、高角型性、非線形性などの特性を
考慮して適宜選択される。そのうちでも高透磁率の磁心
を用いたものが非常に多く用いられている。
現在、磁心としてバルク材、板材、薄帯の形状のものを
用いたインダクタンス素子が市販されているが、これら
は、かなり形状の大きなものであり、また、IMHzを
超える高周波域において。
損失が著しいものであった。
このことから、高周波域においても良好な特性を維持し
、かつ十分小型であるインダクタンス素子の開発が期待
されており、今までにも、軟磁性細線を磁心に用いたも
のが特開昭61.−219114号公報に、また、軟磁
性薄膜を磁心として用いたものが電気学会研究会資料M
AG85−192.86−69に提案されている。
前者は、高透磁率を有する非晶質金属細線と被覆鋼線を
交絡させ、織物状にしたものであり、磁心である非晶質
金属細線の直径が約0.1mm以下と非常に細く、また
、その比抵抗が150μΩ・cm以上と高いために、渦
電流損失が小さく。
高周波領域における特性に優れたものであることが示さ
れている。
一方、後者は、磁心に高透磁率を有する薄膜を用いて絶
縁膜を挾んで導電膜によりコイル・パターンを形成した
ものであり、磁心が数μm以下の薄膜であることから渦
電流損が小さく2反磁界の影響の小さな形状であるため
、高周波特性に優れたものであることが示されている。
電磁シールド材料は、電子機器において誤動作の原因と
なる電磁的なノイズを遮断するために用いられるもので
ある。電子機器が電磁ノイズによって誤動作することを
防ぐためには、電磁ノイズの発生そのものを低減させる
方法と、電磁ノイズを吸収又は反射することにより、電
磁ノイズを遮断する方法がある。
このうち、電磁ノイズの遮断に用いられるシールド材料
としては、大きくわけて導電材料と磁性材料に分けられ
る。導電材料は、電磁ノイズの主に電界を吸収又は反射
して遮蔽する効果があり。
その材質としては、できるだけ電気抵抗が低いことが望
まれる。
一方、磁性材料は比較的周波数の低い磁界に対する遮蔽
効果を有しており、材質はできるだけ高周波域において
も透磁率の高いことが望まれる。
電磁シールド材料の具体例として、導電塗料、導電金属
フィラーやカーボンを含浸させたプラスティック、無電
解メツキ薄膜、蒸着やスパッタリングにより作製された
導電薄膜、非晶質金属薄帯を挾んだフィルム、極薄金属
箔、金属板などがある。
このうち、磁界遮蔽の効果を有する磁性体を用いている
シールド材としては、Ni無電解メツキ薄膜、Ni蒸着
膜、Co基非晶質金属薄帯やこれらの薄片を挾んだフィ
ルム、薄い鉄箔、パーマロイなどの板などがある。
(発明が解決しようとする課題) 従来の技術において、高透磁率薄膜を作製する際には、
基板としてガラスやセラミクスが用いられていた。これ
は、従来、薄膜を形成した後に磁場中などで熱処理する
か、又は基板を高温に加熱して薄膜形成をする必要があ
ったために耐熱性。
寸法安定性に優れたこれらの基板が用いられていたので
ある。前述したプラズマを磁場や電場によって制御する
方法を用いても、そのままでは特性の優れた薄膜を得る
ことはできず、高温で熱処理する必要があった。すなわ
ち、従来の技術においては、低温で形成された薄膜は、
そのままでは透磁率の高いものが得られず、薄膜作製後
に磁場中又は無磁場で300℃以上の温度で熱処理を加
える必要があった。
一方、磁気ヘッドや磁気抵抗素子などは基板として硬く
て脆いセラミクスを用いてもそれ程問題はないが、でき
れば可撓性の基板が望ましい場合も多かった。例えば、
高透磁率を有する磁性材料は、電磁シールド材として使
用されているが、その場合には可撓性が必要である場合
もあり、従来の磁性薄膜は、基板に可焼性のないセラミ
クスが使われているため、これらの用途に用いることが
できなかった。
また、物品監視装置に用いられる標識は、安価で使い捨
てにできることが望まれるが、基板にセラミクスを用い
ている場合は連続的に生産することが困難であり、しか
も基板が非常に高価なものであることから、現在まで用
いられてはいない。
このように可撓性、連続性が重視され、また。
安価に製造されることが望まれている用途に対しては、
フィルムなどの有機高分子材料を基板として用いること
ができれば、非常に有望であることは明白である。しか
し、従来の技術では有機高分子基板を用いた場合、薄膜
作製したままではセラミクス基板を用いた場合と同様に
作製されるものに比べて特性の劣るものであった。また
、有機高分子基板は耐熱性に劣るためにセラミクス基板
のように熱処理を施すことができなかった。そのために
、従来は有機高分子基板を用いては高い透磁率を有する
薄膜材料を作製することは不可能であった。
一方、従来の物品監視装置に用いられる標識としての高
透磁率磁性材料は、厚さが15〜30μmの薄帯状ある
いは線径が100〜300μmの線材であった。そのた
め、高周波域での透磁率は渦電流損により低いものであ
った。また、これらの材料を用いて標識を構成するため
には1反磁界の影響が小さくなるように磁性体の幅や長
さを。
厚さあるいは線径に比べて十分大きくする必要があり、
その結果、標識の小型化はかなり制限されていた。
インダクタンス素子は、小型、高周波化が要求され、薄
膜素子あるいは極細線を用いた素子などが検討されてい
る。しかし、これらの薄膜素子は基板としてガラスある
いはセラミクス基板を用いたものであり、従って、連続
的に生産することが困難で、また、基板自体が高価なも
のであることから、現在のバルク材を用いた素子に比べ
て遥かに高価になる欠点を有していた。また、極細線を
交絡した織物によって、素子を構成する方法も。
薄膜素子と同程度の性能を得るためには極細線に加工す
るコストが非常に高くなることが問題であった。
この様なことから、安価に、かつ連続的に製造できる素
子が望まれていた。
また、近年、電子機器においては、処理を高速にするた
めに高周波で駆動することが多くなってきている。その
ために、電磁的なノイズの発生及びその遮蔽が問題にな
っている。
この周波数が低く磁気的なノイズを遮蔽するためには、
できるだけ高周波域においても透磁率が高いことが要求
される。現在、高透磁率材料を用いている電磁シールド
材料は、Co基非晶質金属薄帯やこれらの薄片を挾んだ
フィルム及びパーマロイ板に限られていた。非晶質金属
薄帯は、溶融状態の金属を1つ又は複数の冷却ロールを
用いて104から106℃/Sの冷却速度で急速に冷却
することによって作製される。これらは非常に高い透磁
率を有するが1通常20μm以上の厚さを有し1重い上
に9弾性率が非常に高く非晶質合金を所望の形状にする
ことは困難であった。また。
パーマロイ板は、パーマロイ合金が難加工性材料である
ため、あまり薄い板に加工することができず、非晶質金
属薄帯以上に重く、形状に制限を受けるものであり、し
かも非常に高価なものであった。非晶質金属薄片を挾ん
だフィルムは、これらの欠点を改善しようとしたもので
あったが、工程が複雑なために高価なものとなり、また
、全体がかなり厚いため取扱に不便なものであった。さ
らに、これらのものはバルク状であることから、高周波
域での透磁率は低いものであった。
磁性体により完全にノイズの磁界を遮蔽するためには、
シールド材料の厚みはできるだけ厚い方がよい。しかし
2反面1重くなるため、ノイズの遮蔽量を適当に設定し
、適当な厚さにして軽くする方が好ましい場合が多い。
非晶質金属薄帯やパーマロイ板は、携帯用電気製品のよ
うに軽量なことが望まれる場合、使用に適さないことが
多かった。
これらの現状に対して、大面積で安価に生産することの
できる薄膜材料は、有望なものであったが、従来の高透
磁率磁性薄膜は、ガラスあるいはセラミクス基板に作製
されているため、大面積で連続的なものを生産すること
は困難であった。また1本来、これらは堅くて脆いため
に、電磁シールド材として用いるためには不適当なもの
であった。
有機高分子材料は、柔軟で、安価で、また連続したもの
を容易に入手できることから、薄膜の基板材料として用
いることができれば非常に有用なものとなる。しかし、
前記したように、有機高分子基板は、耐熱性に劣るため
に、バルク材やセラミクスを基板に用いたときのように
熱処理を施すことができなかった。従って、薄膜形成し
たままでも良好な磁気特性を示すものを作製しなければ
ならず、従来の技術ではこのような薄膜を作成すること
は不可能であった。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した
結果、スパッタリング法を用いて薄膜を形成する際に、
ターゲットから基板の方向に直流磁界を印加することに
より、有機高分子基板上に熱処理を加えずとも、高透磁
率を有する磁性薄膜を形成できることを見出し、この知
見に基づいて本発明に到達したものである。
すなわち、第一の発明は、有機高分子基板の表面に磁性
薄膜が形成されている磁性材料において。
その磁性薄膜が1 kHzの磁界中で少なくとも10.
000の透磁率を有していることを特徴とする磁性材料
を要旨とするものである。
また、第二の発明は、スパッタリング法を用いて有機高
分子基板上に軟磁性薄膜を形成させて磁性材料を製造す
る方法において、基板に垂直で。
かつターゲットから基板の方向に直流磁場を印加させて
薄膜を構成する粒子を基板上に付着させることを特徴と
する磁性材料の製造方法を要旨とするものである。
本発明の磁性材料は、1kHzの磁界中で少なくとも1
0,000の透磁率を有していることが必要であり、少
なくとも10,000の透磁率を有していないと、標識
、インダクタンス素子、電磁シールド材などの用途に用
いることができなくなる。
本発明において、磁性薄膜を構成する物質としては9例
えば、磁歪がほぼ零となる金属1合金。
酸化物、窒化物、炭化物などがあげられる。そのような
具体例としてFe、Ni−Feパーマロイ合金、Mn−
Znフェライトなどがあげられる。
さらに、結晶質材料のほかに非晶質材料を用いることも
でき、これらの材料としては1例えばC。
−F e −3i −B系非晶質合金を用いることがで
きる。また、磁性層は、単層膜であっても多層膜であっ
てもよく1例えば、 Co−Nb−Zr −N系非晶質
合金においてNの濃度を変調させることによって、飽和
磁化の大きなものを得ることができ、また、FeとSi
n、を多層化することにより、飽和磁化の大きな高透磁
率材料を得ることができる。
また、磁性層あるいは有機高分子基板は1表面が平滑で
あってもよいし、何等かの起伏があってもよい。さらに
は、磁性層に有機高分子基板の長手方向にストライブを
入れることによって磁性層の反磁界を減らすこともでき
る。
本発明に用いられる有機高分子基板としては。
例えば、ポリエチレンテレフタレー) (PET)フィ
ルム1 ポリイミド・シート、ナイロン・プレートなど
があげられる。
このような第1の発明の磁性材料は9例えば。
第2の発明の方法で製造することができる。
本発明の方法において、スパッタリング法を用いること
は必須である。これは1本発明の方法においては、基板
に滞積する粒子の入射エネルギーが大きいほど好ましい
ためであり、蒸着法などの方法では入射エネルギーが不
十分なために良好な特性を得ることができないからであ
る。
また9本発明の方法においては、薄膜の形成時に、基板
に垂直で、かつ、ターゲットから基板の方向に、直流磁
場を印加することが必要である。
この様に1粒子の入射エネルギーの大きなスパッタリン
グ法を用いてスパッタリング時に直流磁場を印加するこ
とによって、有機高分子基板を用いて薄膜を形成したま
までも高い透磁率を有する磁性材料を作製することがで
きる。
次に1本発明の方法を図面により説明する。
第1図は1本発明の磁性材料を製造するための直流2極
スパツタリング装置の模式図である。第1図において、
1はターゲットであり、2は基板であって、上述したよ
うにターゲットとしてC。
−Fe−3i−B系合金を、基板としてポリエチレンテ
レフタレート (PET)フィルムが用いられる。ター
ゲット1が陰極に、基板ホルダー3が陽極になるように
直流電圧を印加してプラズマ放電させてスパッタリング
するが、このとき1例えば、3X10−2T、orrの
Ar雰囲気下で行うことが好ましい。
本発明においては、ターゲットから基板の方向に直流の
バイアス磁界を印加するには9例えば。
4及び5の永久磁石により達成することができ。
このとき、永久磁石4の上面がS極、永久磁石5の下面
がN極になるようにすればよい。
本発明においては、磁気回路として永久磁石によるもの
には限定されず、ソレノイドコイルあるいはへルムホル
ッコイルを用いた電磁石、さらにこれらと永久磁石を組
み合わせた複合磁石などを用いてもよい。
一方9本発明においては、薄膜の作成方法として1粒子
の入射エネルギーの大きなスパッタリング法を採用する
ことが必要であるが、その具体的な装置は特別に限定さ
れるものではない。すなわち、第1図に示したと同様の
配置で、高周波2極スパツタリング装置としても本発明
を達成することができるし、2極スパツタリング装置以
外でも直流あるいは高周波のマグネトロンスパッタリン
グ装置を用いることもできる。
次に、直流マグネトロンスパッタリング装置を用いた具
体例を第2図を用いて説明する。1はターゲットであり
、2は基板としての連続したフィルムであり、このフィ
ルムは8.9.16の各ローラーによって連続的に巻き
とられる。この基板フィルム2はメインローラー16上
で成膜されるが、このとき、基板フィルム2の温度上昇
を防ぐために、メインローラーを水冷することが好まし
い。ターゲット1の下にはマグネトロン放電するために
必要な磁気回路が電磁石11及び13によって構成され
ているが、第2図はProc、Int’ I IonB
ngineering Congress、 l5IA
T’83 & IPAT ’ 83Kyoto 945
 (1983)に開示されているものと同様に10及び
12のヨークによって磁束がターゲットの上にまで導か
れている。このようにヨーク10及び12を用いること
により、ターゲットの消費率を良好なものとすることが
でき、また、マグネトロン放電させるためにターゲット
表面近傍に印加する磁界の制御が容易となる。ヨーク1
1及び12は純鉄やパーマロイ合金のような透磁率の高
い材料を用いることが望ましい。直流バイアス磁界はソ
レノイドコイル17によって印加される。
すなわち、ソレノイドコイル17の基板に近い側がN極
となるようにコイルに直流電流を流しながらスパッタリ
ングすればよい。スパッタリング時の雰囲気はAr流通
下で3X10−’Torr程度雰囲気にすることが好ま
しい。
以上のように1本発明は、各種の装置によって実施する
ことができ、スパッタリング装置の種類によって何等制
限されるものではなく、生産性やその後の加工性に応じ
て適宜装置を選択すればよい。
一方、高透磁率を有する磁性薄膜の特性は、形成条件に
よって大きく影響を受けることが知られている。通常、
磁性薄膜は、形成時に何等かの応力が導入されることが
多いが2本発明の磁性材料は、柔軟な有機高分子基板上
に構成されるため。
磁性薄膜層の形成時にかかる応力を制御することが非常
に容易である。例えば、連続したフィルムを一方のロー
ルからもう一方のロールに送りながら磁性薄膜層を形成
する際、薄膜を形成する領域でフィルムを弛ませること
によって形成時に生じる応力を緩和することもできるし
、逆にフィルムに張力を付加することにより磁性薄膜層
に適当量の応力を導入することもできる。通常、高透磁
率を得るためには磁歪ができるだけ零になる組成が選ば
れるが1例えば、磁歪が若干正になる組成の場合は、引
っ張り応力を付加することにより、透磁率を高いものに
することもできる。
本発明の磁性材料は、有機高分子基板上に形成されてい
るために可焼性に優れ、連続的に生産することができる
。また、安価に製造することも容易である。そのため、
高透磁率を必要とされる各種の用途に広範に用いること
ができるが、特に。
インダクタンス素子、物品監視装置に用いられる標識、
電磁シールド材として非常に有用である。
以下、これらの用途について詳しく説明する。
まず、物品監視装置に用いられる標識について説明する
と2本発明の磁性材料は、1kHzで少なくとも10,
000の透磁率を有してふり、監視区域内において、入
射磁界により非常に高速で磁化反転され、入射周波数の
高調波を発生する。
このとき、透磁率が10,000に満たない場合には、
十分周波数の高い高調波が発生せず、他の一般的な磁性
体と識別することが困難となる。
さらに本発明の磁性材料を標識に用いるに当たって、高
透磁率を有する磁性層と共に、さらに1つあるいは複数
の上記磁性層よりも保磁力の大きな磁性層を形成するこ
とにより、監視装置による検出を人為的に妨げることが
できる。すなわち。
あらかじめ保磁力の大きいいずれかの磁性層を磁化して
おき、その磁性層の残留磁化により高透磁率磁性層にバ
イアス磁界を印加することによって本来、磁化反転すべ
き高透磁率磁性層の磁化反転を抑制して標識を失活状態
とすることができる。
このことは、正当に購入された商品や貸し出し手続きを
受けた書籍が、監視区域を通過する際に。
その装置がその存在を検知しないようにすることができ
るためには非常に有効である。
上記標識は9例えば特開昭61−501229号公報に
開示されている装置により識別することができる。すな
わち、監視区域内に3つのコイルを設置し、うち第1の
コイルからは周波数f1とflと比べて大幅に低い周波
数f3とが重畳した高周波交流磁界を放射し、一方、第
2のコイルからはflとは異なる周波数f2と周波数f
3とが重畳した高周波交流磁界を放射する。もし、監視
区域内に標識が存在すれば、その磁化過程で発生する相
互変調した差周波数及び和周波数n−f1+m−f、を
、第3のコイルで受信して標識の存在を検出するもので
ある。
本発明の標識は、盗難防止用のほかに各種識別用として
も用いることができ、識別を必要とされている物品に取
り付け、識別装置によって標識を識別することができる
。この際、標識を識別する装置は、盗難防止装置と同様
な高調波を利用する方式以外にも磁性層の発する信号を
確実に識別できるものであれば如何なるものでもよく、
何等の制限も受けるものではない。例えば入射磁界に対
して磁化する過程をモニターすることによって標識を識
別することもできる。このとき、入射磁界に対して異な
る磁化過程をする複数の磁性層を設置することによって
複数の物品の識別をすることができる。
本発明の標識は物品に貼付して用いられるが。
本発明の磁性材料を2枚の紙に挾んだ構成にすることが
好ましい。すなわち、物品に貼付する側は粘着テープで
9表側は保護紙で挾むとよい。保護紙にはバーコードを
印刷することにより、商品の値段や種類を光学的に識別
することもできる。
次にインダクタンス素子について説明すると。
インダクタンス素子は電気回路を構成する基本素子の一
つであり、低価格であることが望まれ、インダクタンス
素子の磁心として用いるためには。
磁性材料が1kHzで少なくとも10.000の透磁率
を有していなければならない。この透磁率がio、oo
o未滴の場合、インダクタンスの値が十分でなく実用に
供することが困難となる。
本発明の磁性材料をインダクタンス素子に用いた場合、
磁心である磁性薄膜とコイルを構成する導電層からイン
ダクタンス素子が構成されるが。
この導電層としては、Ag粉末やCu粉末を含有したペ
ーストを塗布することによって形成させてもよいし、ま
た、蒸着法やスパッタリング法などによってAI、Ag
やCuなどの薄膜をパターニングしてコイルを形成させ
てもよい。さらに磁性層と導電層を別々のフィルムに形
成した後に貼り合わせてもよいし、1枚のフィルムに絶
縁層を介して磁性層と導電層を積層してもよい。例えば
磁心であるC Ose、+s F e4.+sS i 
+z、5Bis (原子%)組成の非晶質合金層とコイ
ルを構成するCu層を有機高分子基板の同一面上に構成
する場合。
絶縁層として5iO=層を挾むことは回路の短絡を防ぐ
ために非常に有効である。
本発明の磁性材料を用いてインダクタンス素子を製造す
るには1例えば電気学会マグネティックス研究会MAG
−88−132及び特開昭63−160112号公報に
開示されている方法を採用すればよい。すなわち、Co
−Fe−3i −B系非晶質合金等からなる本発明の磁
性材料を磁心とし、Cuをコイルとし、SiO2を絶縁
層として電気学会マグネティックス研究会MAG−88
−132に開示されているものと同じ構成のインダクタ
ンス素子を製造するに当たって、特開昭63−1601
12号公報に開示されているごとく。
上述したそれぞれの薄膜を形成する前にカルボキシルメ
チルセルロースやメチルセルロースなどの水溶性高分子
インキを印刷し、薄膜形成後に水洗することにより容易
にバターニングすることができる。このインダクタンス
素子の構成の具体例を第4図を用いて説明すると、第4
図は1本発明のインダクタンス素子の具体例を示す平面
図であって、有機高分子基板として1例えばポリエチレ
ンテレフタレート (PET)フィルムを用い、厚さ1
μm、長さ17.5mmの短冊状のC05a、+sF 
e a、 3SS i 12.5B I5 (原子%)
の組成を有スル本発明の磁性材料22を0.5mm間隔
で10本平行に並べ、500人のS r 02を絶縁材
として挾んで本発明の磁性材料に直行し、かつ上下交差
する形で厚さ1μm1幅0,5mm、長さ17.5mm
の短冊状のCu層23を配置することにより、上記のイ
ンダクタンス素子を得ることができる。PETフィルム
と5iOz&の接着性をよくするためには1例えばCr
などを接着層として用いればよい。
さらに電磁シールド材について説明すると、電磁シール
ド材は、できるだけ広帯域においてシールド特性が優れ
ていることが好ましいが、特に低周波数域の磁気的なノ
イズが問題になる場合は。
シールド材に用いる材料の透磁率を1 kHzで少なく
とも10.000にする必要がある。この透磁率が10
,000未満の場合は、磁界の遮蔽が不十分で、非磁性
の導電性薄膜を用いたシールド材と比べて有意性がない
ため適当ではない。
上記電磁シールド材は1本発明の磁性材料をそのまま用
いることができるが、さらに本発明の磁性材料側又は基
板側に粘着材を塗布することにより、シールドを必要と
している機器に容易に貼付することができる。
また2本発明の磁性材料と、 Cu、 AI、 Auな
どの導電性に優れた金属薄膜(良導電層)とを組み合わ
せることによって、高周波領域での特性を良好なものと
して、さらに広い周波数域において高いシールド性能を
有する材料を提供することができる。
この電磁シールド材は、磁界シールド効果が支配的であ
る低周波域においては1本発明の磁性材料が主に電磁シ
ールド効果を担い、電界シールド効果が支配的な高周波
域においては、良導電層が優れたシールド効果を有する
ために広い周波数域において優れた特性を示す。このと
き、良導電層としては、シールド効果を向上させるため
に0.5Ω/口以下の表面抵抗であることが望ましい。
また、良導電層としては1本発明の磁性材料の上下どち
らの面上に形成させてもよいし、また1本発明の磁性材
料を形成するのと同じ装置によって。
あるいは蒸着やメツキなどの全く異なる方法によって形
成させてもよい。
(実施例) 次に9本発明を実施例によって具体的に説明する。
実施例1 第1図に示したような直流2極スパツタリング装置を用
いて軟磁性薄膜を有機高分子基板上に形成させた。薄膜
作製時に磁場を印加するための手段としては、直径10
cm、厚さ2cmの住友特殊金属社製NKS−550の
アルニコ合金磁石4及び5を用い、基板の位置でIOC
の直流磁場がターゲット1から基板2の方向に印加する
ように調節した。すなわち、永久磁石4はターゲラ)1
の下におき、永久磁石5は基板ホルダー3の背面にあく
ことにより、ターゲット1から基板2の方向に直流磁場
を印加した。
このとき、ターゲットとしてC068,1SFe<、s
s  S 11L5  Bus (原子%)組成の焼結
ターゲット(純度99.9%)を用いた。ターゲットの
直径を10cmとし、ターゲット1と基板2の間隔を1
2.5cmとした。
マタ、基板2の有機高分子として、フィルム厚50μm
の20cm四方のポリエチレンテレフタレー) (PE
T)フィルムを用いた。
このフィルムを125℃の雰囲気中、真空容器中におい
て脱ガス処理を行った後、ボンバード処理(流量比 A
r :O,=10 : 3.真空度4×10−2To 
r r)を行った。
次に、真空容器内を2X10−6Torrまで真空引き
後Arガスを導入することによって、  3x1O−2
Torrに保ち、電圧600V、電流10Aの直流電界
を6kW印加した。
この条件下で約30分プレスパツタリングを行った後、
厚さ1μmの薄膜を形成させた。
このとき、基板ホルダー3を水冷し、基板表面温度を1
00℃以下に保った。
このようにして得られた薄膜を、理学電気社製X線回折
装置RAD−RBにより組織の同定を行い、また、理研
電子社製薄膜用磁気履歴測定装置ACBH−100Kに
より無応力下での磁気特性(測定周波数1.kHz)を
評価した。
その結果、得られた薄膜は非晶質単相であり。
Hc=0.080eと非常に低い保磁力を示し。
軟磁気特性に優れたものであった。
また、横河ヒューレットパツカード社製インピーダンス
/ゲインフェーズ・アナライザー4194Aを用いて1
 kHzから10MHzの周波数で試料に0.0050
eの磁場を印加し、上記で得られた薄膜の回りに設置さ
れたソレノイドコイルのインダクタンスを測定すること
によって、上記で得られた薄膜の透磁率を測定した。
その結果を第3図に示す。
第3図は、透磁率の周波数特性を示した図であって、縦
軸に透磁率を、横軸に周波数を示しており2図中の18
が本実施例の結果である。
この図から明らかなように、得られた薄膜は。
1 kHzにおける透磁率が10,800で、10MH
zでも2.000と、熱処理なしで、有機高分子基板上
に1kHzで10,000以上という高い透磁率を示し
ている。
実施例2 第2図に示したような直流マグネトロンスパッタリング
装置を用いて軟磁性薄膜を有機高分子基板上に形成させ
た。薄膜作製時に磁場を印加するための手段としては、
電磁石11と13及びソレノイドコイル17を用いた。
電磁石11及び13をマグネトロンとしてターゲットの
直下に設置し。
そしてソレノイドコイル17をターゲット1とメインロ
ール16の間に設置し、ターゲット1から基板2の方向
に基板位置で50Gの直流磁場を印加した。
このとき、ターゲットとしてCOa。−N b +。
Zr、。(原子%)組成の焼結ターゲット (純度99
.9%)を用いた。ターゲットの直径を10cmとし、
ターゲットと基板の間隔を15cmとした。
また、基板2の有機高分子として、フィルム厚50μm
、フィルム長100mのポリエチレンテレフタレート(
PET)フィルムを用いた。
このフィルムを125℃の雰囲気中で、1m/minの
フィルム処理速度で真空容器中において巻き取ることに
よって脱ガス処理を行った後、ボンバード処理(流量比
Ar : 02 =10 : 3.真空度6 X 10
−2To r r)を行った。
次に、真空容器内を1(1’Torrまで真空弓き後A
rガスを導入することによって3X10−3Torrに
保ち、電圧600V、電流30Aの直流電界を18kW
印加した。
この条件下で約30分プレスバッタリングを行った後、
フィルム2を走行速度1m/minで巻き取りながら連
続して厚さ1μmの薄膜を形成させた。
このとき、メインロール16を水冷し、基板表面温度を
100℃以下に保った。
このようにして得られた薄膜を、実施例1と同様にして
組織の同定を行い、また、実施例1と同様にして磁気特
性(測定周波数1kHz)を評価した。
その結果、得られた薄膜は非晶質単相であり。
Hc=0.050eと非常に低い保磁力を示していた。
また、実施例1と同様にして透磁率を測定した結果を第
3図中の19に示す。
第3図から明らかなように、得られた薄膜は。
1 kHzにおける透磁率が15,000で、10MH
zでも2,500という高い透磁率を示している。
比較例1 永久磁石4及び5のない状態にした以外は、実施例1と
同じ装置を用いて軟磁性薄膜の作製を行った。ターゲッ
ト組成及び作製時のその他の条件も実施例1と同様にし
た。
形成された薄膜の磁気特性を実施例1と同様に測定した
ところ、Hc=0.250eと保磁力が大きなものであ
った。
また、実施例1と同様にして透磁率を測定した結果を第
3図中の20に示す。
第3図から明らかなように、透磁率も1 kHzにおい
て5,300.10MHzでも1,150と低く、1k
Hzで10.000未満の透磁率しか有していなかった
比較例2 ソレノイドコイル17をはずし、電磁石11及び13の
作る磁気回路を閉磁回路とし、ターゲット近傍から磁束
が洩れないような条件に設定した以外は、実施例2と同
じ装置を用いて軟磁性薄膜の作製を行った。ターゲット
組成及び作製時のその他の条件は実施例2と同様にした
形成された薄膜の磁気特性を実施例1と同様に測定した
ところ、Hc=0.150eと保磁力が大きなものであ
った。
また、実施例1と同様にして透磁率を測定した結果を第
3図中の21に示す。
第3図から明らかなように、透磁率も1 kHzにおい
て7,800.10MHzでも1,800と低く、1k
Hzで10,000未満の透磁率しか有していなかった
実施例3 実施例2によって作製された磁性材料を1幅5m m 
、長さ50mmに裁断して標識となし、その標識を、5
0Hzの周波数で10eの交流磁界中に設置して標識の
磁化により2次的に周囲に放射される磁界を標識の周り
に設置したピックアップコイルに誘起される電圧をエヌ
エフ社製FFTアナライザー5050Aにより周波数解
析して標識としての性能を調べた。
その結果1周波数(50Hz)の第99調波まで識別可
能であり、磁気式盗難防止用標識として優れた特性を有
していた。
比較例3 比較例1によって作製された磁性材料を用いて実施例3
と同様にして標識となし、実施例3と同様の方法で標識
としての性能を評価した。
その結果、第55調波以上はノイズレベル以下であり、
実施例3に比べると特性の低い、すなわち誤動作の多い
、磁気式盗難防止用標識として劣るものであった。
実施例4 実施例1と同様の装置及び条件で第4図に示したような
磁心入りコイル・パターンを作製した。
すなわち、ポリエチレンテレフタレー) (PET)・
フィルムを基板として、厚さ1μm9幅1mm、長さ1
7.5mmの短冊状のC05a、ls F es、ss
S i 12. sB ls (原子%)組成を有する
本発明の磁性材料22を9.5mm間隔で10本平行に
並べて500人の5iOzを絶縁材として挾んだうえで
本発明の磁性材料に直行、かつ上下交差する形で厚さ1
μm1幅0.5mm、長さ17□ 5mmの短冊状のC
u層23を配置させた。また、基板と各薄膜(本発明の
磁性材料)の接着性をよくするために、接着層として1
00人のCr層を設けた。
このとき1本発明の磁性材料22とCu層23を実施例
1と同様の条件で形成させた。また、絶縁層である81
02は、SiO□をターゲットに用い、流量化Ar :
 02 =1.0 : 3.真空度4×10−’Tor
rに保持し、13.56MHzの高周波電界を6kW印
加して作製した。コイル・パターン及び磁心を、カルボ
キシルメチルセルロースを実際に必要なパターンのネガ
となるように印刷し、成膜後に水洗してカルボキシルメ
チルセルロース及びその上の薄膜を除去することにより
作製した。
インダクタンス素子を作る過程で本発明の磁性材料のみ
を同時に作製して実施例1と同様に透磁率を測定したと
ころ、1kHzで10.800であった。
このように作製したインダクタンス素子に対して実施例
1で用いたものと同一のインピーダンスアナライザーに
より、ピックアップ・コイルに1kHzから10MHz
まで周波数を変えながら交流電流を印加し1発生するイ
ンダクタンスの値を測定した結果を第5図に示す。
第5図は、縦軸にインダクタンスの値、横軸に周波数を
示したものであり1図中の24が本実施例の結果である
この図から明らかなように、高周波域においてもインダ
クタンスの低下が少ない優れたインダクタンス素子が得
られている。
また、上記インダクタンス素子を6個用いて発振回路を
形成させ、外部の直流磁界を検出する磁界センサーを構
成して出力電圧を測定した結果を第6図に示す。
第6図から本発明の高透磁率磁性材料を用いたインダク
タンス素子が磁界センサーとしても有用なものであるこ
とが明らかである。
比較例4 実施例4と同様の構成のインダクタンス素子を比較例2
の装置を用いて作製した。このときの単層磁性薄膜の透
磁率は1 kHzで7.800であった。
作製されたインダクタンス素子のインダクタンスの周波
数特性を実施例4と同様に測定した結果を第5図中の2
5に示す。
この図から明らかなように、インダクタンスの値が小さ
く、また、高周波でのインダクタンスの低下の大きなも
のであった。
実施例5〜6.比較例5〜6 実施例2で作製した本発明の磁性材料を用いて電磁シー
ルド材となしたものを実施例5とした。
また、実施例2で作製した本発明の磁性材料を用いて磁
性膜が形成されているのと反対の面の基板上に同一の装
置及び条件でCu薄膜を1μmの厚さで形成したものを
用いて電磁シールド材となしたものを実施例6とした。
さらに比較のために。
片面にCu薄膜のみを1μm形成したものを用いて電磁
シールド材となしたものを比較例5とし。
比較例1によって作製した透磁率が10.000に満た
ない磁性材料を用いて電磁シールド材となしたものを比
較例6とした。
これらの試料についてロッジ・アンド・シュワルツ社製
テスト・レシーバ−ESH−3型及びESVP型装置を
用いて20 KHz〜100MHzの範囲で電磁シール
ド効果を測定した。
なお、測定方法は、測定範囲の各周波数の電磁波を発生
させてテスト・レシーバ−のプローブを測定試料で覆い
、測定された電界強度をこれら試料のない場合の値で比
較することで行った。このとき、20KHzから25M
Hzまではプローブの5cm前方に直径7cmのループ
・アンテナを設置し、交流アンプにより電磁波を発生さ
せた。
また、20MHzから100MHzまではタケダ理研社
製トラッキング・ジェネレーターTR4151によって
電磁波を発生させた。
シールド特性としての磁界モード、電界モードのそれぞ
れの測定結果を第7図(a)〜(c)に示す。
この図中の26は実施例5の結果を、27は実施例6の
結果を、28は比較例5の結果を、29は比較例5の結
果を、それぞれ示している。
この図から明らかなように1本発明の磁性材料を用いた
電磁シールド材である実施例5及び6は従来の電磁シー
ルド材である比較例5に比べて磁界モードでのシールド
特性に優れ、また、実施例6のように本発明の磁性材料
である磁性層と導電層を組み合わせると、磁性層のみで
ある実施例5よりも磁界モード、電界モードともに、さ
らに高いシールド効果を有している。
また、比較例6は実施例5及び6に比べると。
シールド特性が劣っており、磁界モードでも従来の技術
である比較例5と特性的に大差のないものであった。
(発明の効果) 本発明の磁性材料は、1kHzでの透磁率が少なくとも
10,000という高透磁率を有しているとともに可焼
性に優れたものであるので、高透磁率を必要とされる各
種の用途に広範に用いることができるが、特に、インダ
クタンス素子、物品監視装置に用いられる標識、電磁シ
ールド材として非常に有用である。
特に本発明の磁性材料を用いた標識が発生する高調波成
分は、他の一般的な磁性体の信号とたやすく区別するこ
とができ、また、薄膜であることから反磁界の影響が少
ないため、標識を小型にして用いることができる。さら
に、基板が可焼性で安価な有機高分子材料であることか
ら、商品に貼付することが容易であり、使い捨てにする
ことができる。
また9本発明の磁性材料をインダクタンス素子の磁心と
して用いることにより、非常に低価格なインダクタンス
素子が得られ、また、得られたインダクタンス素子が高
周波域まで透磁率の低下が少ないという優れた特性を有
している。
さらに本発明の磁性材料を電磁シールド材に用いること
より、安価であるとともに軽くて、フレキシブルである
電磁シールド材が得られ、また。
得られた電磁シールド材が電磁シールド特性に優れたも
のである。
本発明の磁性材料の製造方法は、スパッタリング中に基
板に垂直に直流磁界を印加することによって、安価に、
かつ連続的に生産することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は9本発明の磁性材料を製造するための直流2極
スパツタリング装置の模式図であり、第2図は1本発明
の磁性材料を製造するための直流マグネトロンスパッタ
リング装置の模式図であり。 第3図は、透磁率の周波数特性を示した図であり。 第4図は1本発明のインダクタンス素子の具体例を示す
平面図であり、第5図は、実施例4及び比較例4におけ
るインダクタンス素子のインダクタンスの周波数特性を
示す図であり5第6図は、実施例4におけるインダクタ
ンス素子で構成した磁界センサーの出力電圧を示す図で
あり、第7図(a)〜(C)は、実施例5,6.比較例
5及び6における電磁シールド材のシールド特性を示す
図である。 1°ターゲツト   2 基板 3°基板ホルダー 4及び5 永久磁石6 真空バルブ
  7 チャンバー

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. (1)有機高分子基板の表面に磁性薄膜が形成されてい
    る磁性材料において,その磁性薄膜が1kHzの磁界中
    で少なくとも10,000の透磁率を有していることを
    特徴とする磁性材料。
  2. (2)スパツタリング法を用いて有機高分子基板上に軟
    磁性薄膜を形成させて磁性材料を製造する方法において
    ,基板に垂直で,かつターゲツトから基板の方向に直流
    磁場を印加させて薄膜を構成する粒子を基板上に付着さ
    せることを特徴とする請求項1記載の磁性材料の製造方
    法。
  3. (3)所定の周波数で周期的に変動する磁界を監視区域
    内に形成し,その区域内の物品の存在を,高調波磁界が
    検出されたときに警報を発生するようになした物品監視
    装置に用いられる標識であつて,その標識が請求項1記
    載の磁性材料で構成されていることを特徴とする標識。
  4. (4)磁心部と,その磁心部の周囲に設置されたコイル
    部とで構成されているインダクタンス素子であつて,そ
    の磁心部が請求項1記載の磁性材料で構成されているこ
    とを特徴とするインダクタンス素子。
  5. (5)外部からの電磁気的なノイズを遮蔽する電磁シー
    ルド材料であつて,そのシールド材が請求項1記載の磁
    性材料から構成されていることを特徴とする電磁シール
    ド材。
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