JPH0310897Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 本考案は、キヤツプを外して後端の回転可能部
分と係合させた時のみ、キヤツプを回転すること
によつて初めて化粧料芯の繰出しが可能となる棒
状化粧料容器に関するものである。

〔従来技術とその問題点〕

口紅やアイシヤドウなどの棒状化粧料は、通常
筒体の中に収納され、筒体の一端に設けられてい
る回し部を手で回すことにより化粧料を筒体他端
から進出又は後退させるようになつている。使用
時には、外したキヤツプは不用なために、粉失し
てしまい易かつた。また、この回し部は容器外周
の一部であるため、不使用時でも何かのの拍子で
回し部が回り、化粧料が突出し、延いては化粧料
が欠損することもあつた。さらに、回し部の長さ
を回すのが容易となるように十分に長くすると、
全長が長くなつて収納に不便であり、収納に便利
なように全長を短くすると、回し部を回すのに不
便であつた。

〔考案の目的〕

本考案はこれらの事情に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、不使用時に不用意
に化粧料を突出させることがなく、また、不使用
時はコンパクトな長さであるが、使用時には使い
易い長さとなる棒状化粧料容器を提供することに
ある。

〔考案の概要〕

本考案は、回転しない両端の開放した軸筒の内
周の中間部又は前端部に嵌合パイプを固着し、そ
の嵌合パイプの内周に回転しない筒体の後端又は
後端付近を固着して筒体の前半部を前記軸筒の前
端から段差をなして突出させ、この筒体の後半部
の内部に回し部中空体の先端部側を軸方向に抜け
出すことがないように相対回転可能に嵌め込むと
共に該中空体の後端部外周と前記軸筒の後端側内
周との間に環状の間隙を形成し、使用時は前記筒
体の前半部上に被冠されるキヤツプの開口端を、
使用時には前記環状の間隙に挿入可能で前記中空
体の外周に密嵌する内径に形成し、該キヤツプ開
口端が前記環状間隙に挿入されるとその内周が非
回転部分の周面と実質的に摩擦接触することなく
前記回し部中空体の外周と摩擦係合して、回し部
中空体の回転力を筒体内の化粧料の直線的な前進
及び後退運動に変えるようにしたことを特徴とす
る、繰出用キヤツプを有する棒状化粧料容器を提
供するものである。

〔考案の実施例〕

次に図面を参照して本考案の実施例について詳
説する。

第１図から第３図には、本考案に係る化粧料容
器の実施例を示し、第１図は不使用時に化粧料を
収納した状態の縦断面図、第２図はキヤツプが回
し部中空体後端と嵌合し、化粧料を進出させた状
態の縦断面図、第３図は第２図−線方向に見
た断面図である。

１３は軸筒であつて、その先端には飾に輪２４
が固着され、その中央内部１４には軸筒１３の全
長と比較して短い嵌合パイプ１３ａが固着されて
いる。その嵌合パイプ１３ａの内側には、後端を
そろえるようにして筒体１の後端部が固着され、
従つて、軸筒１３の先端内部に環状間隙１７が形
成される。更に、その筒体１の内部後方に、ほぼ
環状のブロツク４が固着されている。そのブロツ
ク４の先端には、第３図に示したような断面六角
形のガイド開口５が形成されている。そのブロツ
ク４の後方内側には、内周にほぼ全長に亘り螺旋
又はメネジ８が形成されている回し部中空体６の
先端が収納され、それらは環状凹凸部７により回
転自在に連結されている。従つて、回し部中空体
６は筒体１及びブロツク４に対し相対回転はでき
るが、軸線方向の移動はできない。この回し部中
空体６は完全に軸筒１３内に収納されている。ま
た、軸筒１３の後方内部にも、この回し部中空体
６の後端部により、環状間隙１６が形成される。

回し部中空体６の中空部内には、前記メネジ８
と螺合する数条のオネジ突起９を後端外周に有す
る進退軸１０が挿入される。進退軸１０は、第３
図から認められるようにガイド開口５の断面形状
に対応して断面六角形の角柱状に形成され、ガイ
ド開口５に挿通されて非回転直線運動をするよう
に案内されている。

進退軸１０とこれを挿通案内するガイド開口５
は断面六角形のものとして図示してあるが、これ
は回し部中空体６のの回転によつて化粧料１１を
回転させず並進運動させるためであり、従つて六
角形に限らずその他の多角形断面あるいは楕円形
などにしてもよいことは勿論である。

化粧料１１は棒状をなし、その後端のホルダー
１２を介して進退軸１０の前端に固定される。

キヤツプ１８は一端に底部、他端に開口部を有
する金属製筒体であつて、底部側筒体２０及び開
口部筒体２１から成る。開口部筒体２１は一端が
底部側筒体２０の内周に嵌合されており、キヤツ
プ１８は段差を有して開口部側外径（開口部筒体
２１の外径）が底部側外径（底部側筒体２０の外
径）より小径をなす。開口部筒体２１が底部側筒
体２０の内部に挿入され過ぎないように、開口部
筒体２１の外周中央部には環状凸部１９が設けら
れている。しかしながら、キヤツプ１８は、底部
側筒体２０と開口部筒体２１とが一体として成形
されても良い。底部側筒体２０の外径は軸筒１３
の外径と等しく、開口部筒体２１の外径は軸筒１
３の内径とほぼ等しいか、又はそれより小径とす
る。

キヤツプ１８は、開口部筒体２１の開口部側２
２を軸筒１３前端の間隙１７に第１図に示すよう
に挿入被冠して筒体１の前半部及びその中に収納
されている化粧料１１を被覆することができると
共に、第２図に示すように軸筒１３後端の間隙１
６内に挿入して、回し部中空体６の外周と摩擦係
合させることができる。この時、キヤツプ１８は
非回転部分との間に摩擦係合することは事実上な
い。開口部側２２の軸方向長さａは間隙１６の奥
行ｂ及び間隙１７の奥行ｃよりも短いか、又はそ
れと等しく、開口部側２２は間隙１６，１７内に
十分に挿入される。開口部側２２を間隙１７内に
挿着したとき、開口部側２２は筒体の板バネ２３
を介して嵌合する。キヤツプ１８が軸筒１３の前
端に挿着されたとき、筒体１の前端はキヤツプ１
８内に収納される。

このように、キヤツプ１８を軸筒１３の先端に
挿着しておくと、回し部中空体６は完全に軸筒１
３内に収納されていることから、回し部中空体６
を軸筒１３に関して回転させることができない。

開口部側２２を軸筒１３後端の間隙１６内に挿
着したとき、開口部側２２は回し部中空体６と板
バネ２３を介して嵌合する（第２図参照）。従つ
て、キヤツプ１８と回し部中空体６とが、一体で
回転運動を行ない得る。同じ目的を達成するため
には、板バネでなくても、他の係合手段、例えば
ローレツトを周囲に設けてもよい。このように使
用時に、キヤツプ１８を軸筒１３の後端側の間隙
１６に嵌合したときに初めて回し部中空体６の筒
体１に対する相対回転をおこなうことができ、更
に、容器の全長が伸びて使用するのが容易とな
る。また、キヤツプ１８を後端の間隙１６に差し
込まなければ化粧料を繰出すことができないか
ら、この化粧料容器を使用する以上キヤツプを粉
失することはない。使用時には、筒体１の前端か
ら引き抜いたキヤツプ１８を、第２図に示すよう
に軸筒１３の後端から間隙１６に挿入して回し部
中空体６に摩擦係合させ、このキヤツプ１８を一
方に回転させて化粧料１１を直線的に突出させる
のであるが、この時キヤツプ１８は回転しない部
分、例えば軸筒１３の周面に摩擦接触することが
ないから、回転は抵抗を受けることがなく、きわ
めてスムーズに繰作できる。化粧を終つてキヤツ
プ１８を反対に回して化粧料１１を筒体１内へ引
込める時も同様であつて、回転繰作はきわめて軽
快である。

次に、第４図から第６図には本考案と異なる参
考例を示し、第４図は不使用時の状態の縦断面
図、第５図は化粧料を進出させた状態の縦断面
図、第６図は第５図−線方向に見た断面図で
ある。

参考例において、嵌合パイプ１３a′は、軸筒１
３の先端内部に設けられている。従つて、実施例
のように環状の間隙１７は形成されていない。他
の構造は、キヤツプを除いて、実施例と同一であ
り、対応する要素は同一の符号が付されている。

参考例のキヤツプ１８は、実施例と異なり開口
部筒体２１が設けられていない。従つて、キヤツ
プ１８の先端は、軸筒１３に設けられた嵌合パイ
プ１３ａの先端と当接する。また、キヤツプ１８
は、板バネ２３を介して筒体１に着脱可能に嵌合
する。

この参考例においても、回し部中空体６は、軸
筒１３内に完全に収納されていることから、第３
図のようにキヤツプを前端嵌合している状態では
回し部中空体６を回転させることは不可能となつ
ている。

第５図は、キヤツプ１８を回し部中空体６の後
部１５に嵌合させ、第２図のように化粧料を繰り
出した状態を示している。

キヤツプ１８は、キヤツプ１８が内に挿入され
過ぎないように回し部中空体６の中央に設けた環
状突起１５ａと当接するまで挿入されている。こ
のような環状突起を設けなくとも、嵌合パイプを
長くすることによつて、又は筒体１の後端にスリ
ーブを設けることによつて過剰な挿入の防止がで
きる。

キヤツプ１８をこのように嵌合させると、キヤ
ツプ１８と回し部中空体６とが一体的となり、キ
ヤツプを回転させると、回し部中空体６を軸筒１
３に対して相対回転をおこなわせることができ
る。その際、キヤツプ１８の外周壁が軸筒１３の
内周壁と接触すると、化粧料の繰出しが妨げられ
るので、キヤツプの外径は軸筒１３の内径よりも
小さくする必要がある。

〔考案の効果〕

以上詳説のように、本考案によれば回し部中空
体３０の全体が軸筒１３内にあり、更に回し部外
周と軸筒内壁との間隙が狭いため、キヤツプを軸
筒後端に挿入して回す以外には回し部中空体を回
転させることができず、従つて、不使用時に不用
意に化粧料が突出することは全くない。使用に際
しては、キヤツプを軸筒後端に挿入して初めて使
用可能となるためキヤツプを粉失することがなく
なり、更に使用時、全長が長くなるので使い勝手
も良くなる等、実用上大なる効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例の縦断面図。第２図は
第１図の状態から化粧料を進出させた状態の縦断
面図。第３図は第２図−線方向に見た断面図
である。第４図は本考案の参考例の第１図と同様
な縦断面図。第５図は第４図の状態から化粧料を
進出させた状態の断面図。第６図は第５図−
線方向に見た断面図である。 〔主要符号〕 １……筒体、４……ブロツク、５……ガイド開
口、６……回し部中空体、８……メネジ、９……
オネジ突起、１０……進退軸、１１……化粧料、
１３……軸筒、１３ａ，１３a′……嵌合パイプ、
１６，１７……間隙、１８……キヤツプ、２２…
…開口部側。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 回転しない軸筒１３の内周一部に嵌合パイプ１
   ３ａを固着し、該嵌合パイプの内周に、前記軸筒
   １３の前端側へ段差をなして長く突出する回転し
   ない筒体１の後半部の外周一部を固着し、該筒体
   １の外周と前記軸筒１３の前端内周との間にキヤ
   ツプ被着用の環状間隙１７を形成し、 該筒体１の内部後方に非円形開口５を有する環
   状ブロツク４を固着し、該ブロツク４を介して内
   周にメネジ螺旋８を有する回し部中空体６の先端
   を筒体１と相対回転可能に連結し、該中空体６の
   後端部外周と前記軸筒１３の後端側内周との間に
   外したキヤツプ収納用の環状間隙１６を形成し、 回し部中空体６の内部には、メネジ螺旋８にか
   み合うオネジ突起９を有し且つ前記非円形開口５
   と相似形断面で該開口を貫通する進退軸１０を配
   置し、進退軸１０の前端に連結するホルダー１２
   により化粧料１１を前記筒体１内に出没可能に保
   持し、 前記非回転筒体１の外径及び回し部中空体６の
   外径に密嵌する内径の開口部筒体２１と、前記長
   く突出する筒体１の前端側を覆うに足りる長さの
   底部側筒体２０とを有するキヤツプ１８を設け
   て、化粧料不使用時はキヤツプ開口部筒体２１を
   前記被着用環状間隙１７に挿入して前記軸筒１３
   の外周と段差なくキヤツプを被着し、 化粧料使用時には前端から外したキヤツプの開
   口部筒体２１を前記収納用環状間隙１６に挿入し
   て回し部中空体６の外周に摩擦係合させると共に
   底部側筒体２０を前記軸筒１３と段差なく連結
   し、キヤツプ１８の底部側筒体２０を回すことに
   よる回転力を回し部中空体６、メネジ螺旋８、オ
   ネジ突起９、進退軸１０、ホルダー１２を介して
   化粧料１１に直線運動として伝達して化粧料の繰
   出し−後退をさせるようにしたことを特徴とする
   繰出用キヤツプを有する棒状化粧料容器。