JPH0240898Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はアイライナー、アイブロウ、リツプラ
イナー、アイシヤドウ等の棒状化粧品に関するも
ので、特に相対回転する本体筒と芯チヤツク軸と
の螺合部に精密な寸法公差を要さずに、ガタつき
をなくし、安定した回動操作ができ、化粧料芯の
ブレをなくした繰出式棒状化粧品に関するもので
ある。

〔従来技術とその問題点〕

アイシヤドウやリツプライナーなどの繰出機構
を有する棒状化粧品は、通常芯チヤツク軸の先端
に保持された固形化粧料が先筒（又はテーパー
筒）の内部に収納され、先筒の後端に相対回転可
能に連結された本体筒（又はラセン筒）を手で回
すことにより化粧料を先筒先端から進出又は後退
させるようになつている。このような繰出式棒状
化粧品の先筒と本体筒とをプラスチツク製とする
場合は、先筒と本体筒との嵌め合い部に、一方に
環状のアンダーカツト、他方に環状の突起などを
形成して互いに嵌合させ、軸方向に抜けないで相
対回転できるようにするが、アンダーカツトと突
起との寸法公差、さらには嵌め合い部の一方の内
径と他方の外径との寸法公差を精密に設定しない
と、或る時は回動にきつい抵抗があり、また或る
時はゆるすぎて回動に対し全く抵抗がないばかり
か、先筒と本体筒とがガタつき、安物商品の印象
を与える。さらに、精密な所定寸法公差が設定で
きたとしても、現実に製作される個々の先筒およ
び本体筒に多少の寸法バラツキは避けられないの
で、完成品の歩留りが低下する難点がある。ま
た、使い初めの化粧品は先筒と本体筒との回動操
作がきつくて化粧料芯の進出又は後退が円滑に行
われず、何回も使用したものは連結部の摩耗によ
つて先筒と本体筒との回動操作が緩くなるなどの
欠点もあつた。

こうして、従来の化粧品では、化粧の際に先筒
と本体筒とがぐらついたり、本体筒の不意の回転
により芯が後退したりして芯の位置が定まらない
ので化粧しにくかつたり、収納した場合例えばハ
ンドバツグに入れて携行中に、振動によつて本体
筒が自然に回転し芯が突出して周囲の品物を汚し
たり、化粧料芯自体が欠損するなどの問題もあつ
た。

このような従来の問題点を解決する化粧品が、
本出願人名義の実開昭60−149322号に開示されて
いる。この化粧品は、先筒と本体筒との間に相対
回転に安定な弾力的抵抗を与えるため弾性Ｏリン
グを介在させたことを特徴とする。この考案によ
つて先筒と本体筒との嵌め合い部に精密な寸法公
差を設定することなく先筒と本体筒とのガタつき
等の前記諸問題が解決される。しかしながら、本
体筒と芯チヤツク軸との間には依然として精密な
寸法公差が必要とされ、本体筒のメネジ内径と該
メネジに係合する芯チヤツク軸の突起との寸法公
差を精密に設定しない場合には、或る時は回動に
きつい抵抗があり、また或る時は芯チヤツク軸と
本体筒とがガタつき芯の位置が定まらないので化
粧しにくく、特に目元等の細かい箇所に化粧する
とき非常に化粧しにくいという欠点が残つてい
た。さらに、精密な所定寸法公差が設定できたと
しても前述した先筒と本体筒との場合と同様、現
実に製作される個々の芯チヤツク軸および本体筒
に多少の寸法バラツキは避けられず、完成品の歩
留りが低下する難点がある。また、使い初めの化
粧品は芯チヤツク軸と本体筒との回動操作がきつ
くて化粧料芯の進出又は後退が円滑に行われず、
何回も使用したものは螺合部の摩耗によつて化粧
料芯がガタついてくるという問題が残つていた。

〔考案の目的〕

本考案はこれらの問題点を解決するためになさ
れたもので、その目的とするところは、相対回転
する芯チヤツク軸と本体筒との螺合部を精密な寸
法公差に製作しなくてもガタつきを生じることが
なく、多少の寸法バラツキはよく吸収することが
でき、本体筒の回動操作に一様な弾力的抵抗を与
えて安定ならしめ、化粧料芯のブレ又はガタつき
をなくした繰出式棒状化粧品を提供することにあ
る。

〔考案の概要〕

本考案は、基本的には、先筒と、先筒に相対回
転可能に連結した本体筒と、本体筒内の芯チヤツ
ク軸と、芯チヤツク軸先端の固形化粧料と、本体
筒と芯チヤツク軸との間の相対回転に安定な弾力
的抵抗を与えるため介在する弾性Ｏリングとから
成るものである。

〔考案の実施例〕

次に図面を参照して本考案の実施例について詳
説する。

第１図は本考案に係る棒状化粧品の一実施例を
示す縦断面図で、第２図は化粧料を繰り出した状
態の第１図の実施例を示す縦断面図である。

先筒（またはテーパー筒）１は、断面六角形の
ガイド開口１１を中心に有する化粧料を収納する
ための筒体である。先筒１は外周中程に肩１２を
有して、肩１２より先端１３へかけての前部１４
はテーパーをなして直線的に、または曲線的に細
まり、後部１５の外径は前部１４の肩１２付近の
径より小径をなす。

先筒１の後部１５には、中空管状の本体筒（ま
たはラセン筒）２が相対回転自在に連結される。
この連結は、後部１５の外周と本体筒２の先端内
周とに対応して設けた環状凹凸部２１によりなさ
れるから、本体筒２は先筒１に対し相対回転はで
きるが、軸線方向の移動はできない。本体筒２の
内周には、ほぼその全長にわたりメネジラセン２
２が形成されている。

本体筒２の中空部内には、前記メネジラセン２
２と係合するオネジ状突起３１を後端外周に有す
る芯チヤツク軸３が挿入される。オネジ状突起３
１は、後端以外の箇所に形成してもよい。芯チヤ
ツク軸３は、ガイド開口１１の断面形状に対応し
て断面六角形の棒状に形成され、ガイド開口１１
に挿通されて非回転直線運動をするように案内さ
れる。断面六角形部分は先筒１の開口のうちの一
部のみとしてもよく、また断面は六角形に限らず
その他の多角形或いは楕円形等の非回転形として
もよい。また、先筒内周軸線方向に溝を形成し芯
チヤツク軸外周に該溝と係合する突起を設けるこ
とにより非回転直線運動をさせてもよい。

芯チヤツク軸３の前端３２は例えば３つ割とな
つていて、固形棒状の化粧料芯４を保持する。

本考案によれば、本体筒２と芯チヤツク軸３と
の間に、Ｏリング５が設けられる。Ｏリング５
は、ゴム又は塩化ビニル等の弾性軟質材料から成
る環状の部材であつて、芯チヤツク軸３の外径よ
りやや小径の内径を有し、芯チヤツク軸３の後端
外周でオネジ状突起３１付近に設けられた環状の
凹所３３に嵌合固定される。Ｏリング５の外径は
メネジ２２とオネジ状突起３１との有効径にほぼ
等しく、Ｏリング５はメネジ２２に当接する。従
つて、本体筒２を回わして芯チヤツク軸３を進退
させるとき弾性Ｏリング５がメネジ２２から一様
の摩擦抵抗をうけ、本体筒２の回動操作に軽い抵
抗感が得られるとともに芯チヤツク軸３と本体筒
２との間にガタつきがないから、回動中も使用時
も化粧料芯４がガタつくことはない。

また、第２図で示すように、化粧料芯４をいつ
ぱいに出し切つたときは、弾性Ｏリング５が先筒
１の後端１６に当接して芯チヤツク軸３の前進に
弾力的抵抗を与え警報となるので、回し過ぎによ
りオネジ状突起３１が後端１６に突き当たつて破
損するのを防止することができる。

次に本考案の他の実施例について詳説する。

第３図は本考案に係る棒状化粧品の他の実施例
を示す縦断面図であり、第４図は化粧料を繰り出
した状態の第３図の実施例を示す縦断面図、第５
図は第４図の−線における断面図である。

先筒１０１、本体筒１０２、芯チヤツク軸１０
３及び化粧料芯１０４の構成は、前述の実施例の
先筒１、本体筒２、芯チヤツク軸３及び化粧料芯
４の構成とそれぞれほぼ同じである。この実施例
では、弾性Ｏリング１０５が本体筒１０２のメネ
ジ１２２の先端部１２３と先筒１０１の後端１１
６との間の環状空間内に設置されている点が異な
つている。弾性Ｏリング１０５は、前述の実施例
と同様、ゴム又は塩化ビニル等の弾性軟質材料か
ら成る環状の部材であり、芯チヤツク軸１０３の
外径とほぼ同径又はそれよりやや小径の内孔１５
６に芯チヤツク軸１０３を摺接挿通させる。弾性
Ｏリング１０５の外径は、本体筒１０２の内径と
ほぼ同径又はそれより小径とする。弾性Ｏリング
１０５は、外力を加えないとき孔１５６の形状が
円形をなすものであつても、材質が柔軟な性質を
有するため、第５図で示すように芯チヤツク軸１
０３の断面六角形の外周にも十分沿い、芯チヤツ
ク軸１０３の前進又は後退に対し十分な摩擦抵抗
を与える。芯チヤツク軸１０３が前進又は後退す
るとき、弾性Ｏリング１０５は、先筒１０１の後
端１１６又は本体筒１０２のメネジ１２２の先端
部１２３によつて前進又は後退を阻止されるか
ら、後端１１６と先端部１２３との間から前後へ
移動することはない。変形例として、弾性Ｏリン
グ１０５を先筒１０１の後端１１６又はメネジ１
２２の先端部１２３に接着してもよい。弾性Ｏリ
ング１０５を後端１１６に接着しておくことによ
り、化粧品の組立てをより容易にすることができ
る。

また、弾性Ｏリング１０５の外径を本体筒１０
２の内径とほぼ同径又はそれよりやや大径とする
こともできる。この場合、芯チヤツク軸１０３の
軸方向に対し垂直方向のガタつきを防止する効果
がより大きくなる。芯チヤツク軸１０３の軸方向
に対し垂直方向のガタつきを防止するためには、
さらに先筒１０１の内周と芯チヤツク軸１０３の
外周との間に、芯チヤツク軸１０３を貫通させて
他の弾性Ｏリングを設けてもよい。

第３〜５図の実施例でも前述の実施例と同様、
本体筒１０２を回わして芯チヤツク軸１０３を前
進又は後退させるとき、芯チヤツク軸１０３が弾
性Ｏリング１０５による一様の摩擦抵抗をうけて
安定した回動操作が得られ、使用時に化粧料芯１
０４がガタつくことを防止することができる。さ
らに、この実施例では前述の実施例に比較して、
弾性Ｏリング１０５に芯チヤツク軸１０３をその
後端付近まで貫通させる必要がないため、組立て
がより容易となる利点を有する。

本考案に係る棒状化粧品は、先筒１又は１０１
に対して本体筒２又は１０２を一方向に回転させ
ることにより化粧料４又は１０４を直線的に突出
させることができ、使い終つた後は本体筒２又は
１０２を前記と反対方向へ回転させることにより
化粧料４又は１０４を先筒１又は１０１内へ引込
めることができる。いずれの方向への回転に際し
ても弾性Ｏリング５又は１０５により軽い一様な
作動抵抗が与えられるので回動操作に安定な手応
えがあり、また芯チヤツク軸３又は１０３の、従
つて化粧料芯のガタつきが防止される。

なお、本考案に係る棒状化粧品の部材の材質及
び加工法の一例として、先筒１又は１０１にはポ
リプロピレンを射出成形したもの、本体筒２又は
１０２にはABS樹脂を射出成形したもの、芯チ
ヤツク軸３又は１０３にはポリオキシメチレンを
射出成形したもの、化粧料芯４又は１０４にはア
イシヤドウ、口紅等の化粧料の押出し成形したも
の、弾性Ｏリング５又は１０５にはニトリルゴム
（NBR）を圧縮成形したものが好適である。

〔考案の効果〕

本考案は、以上の構成を有し、本体筒と芯チヤ
ツク軸との間に弾性Ｏリングを介在させたため、
本体筒の回動操作に常に一様な軽い摩擦抵抗を与
えて安定ならしめ、従来の繰出式棒状化粧品に比
較して化粧料芯のより円滑で安定した進出又は後
退を行なうことを可能とする。従つて、本考案
は、精密な寸法公差に製作しなくても、また使用
の回数によつても、回動操作がきつかつたり緩く
なつたりすることがなく、常に安定した回動操作
をもたらして、化粧の際には芯がガタついたり後
退したりするのを防止し、目元等の細かい箇所に
もより綺麗に化粧することを可能とする。

また、本考案ではＯリングが芯チヤツク軸の突
起及び本体筒のメネジの部品ごとの寸法バラツキ
を弾力的に吸収するので、大量生産された製品に
多少の寸法バラツキがある場合でもその回動操作
が一様の抵抗を有して製品ごとの品質が一定にな
る。

更に、本考案は、化粧品全体がプラスチツクか
ら成る場合にも回動操作にＯリングの摩擦抵抗に
よる一様な手応えを受けるため、金属製の高級棒
状化粧品と同様の重厚な使用感を得ることができ
る。このＯリングの摩擦抵抗によつて、本考案に
係る棒状化粧品を収納した場合に、振動によつて
芯が自然に突出して周囲の品物を汚したり化粧料
芯自体が欠損したりするのを防止する効果をも有
する。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案に係る棒状化粧品の一実施例
を示す縦断面図である。第２図は、化粧料を繰り
出した状態の第１図の実施例を示す縦断面図であ
る。第３図は、本考案に係る棒状化粧品の他の実
施例を示す縦断面図である。第４図は、化粧料を
繰り出した状態の第３図の実施例を示す縦断面図
である。第５図は、第４図の−線における断
面図である。 主要符号、１，１０１……先筒、２，１０２…
…本体筒、３，１０３……芯チヤツク、４，１０
４……化粧料芯、５，１０５……弾性Ｏリング、
２２，１２２……メネジ、３１……オネジ状突
起、１６，１１６……先筒の後端、１５６……弾
性Ｏリングの孔、１２３……メネジの先端部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ ａ 多角形状のガイド開口を有する先筒と、 ｂ 前記先筒に相対回転可能に連結し内周にメ
   ネジラセンを形成した本体筒と、 ｃ 前記メネジラセンに係合するオネジ状突起
   を外周に有し且つ前記ガイド開口とほぼ一致
   する断面形状を有する芯チヤツク軸と、 ｄ 前記芯チヤツク軸の前端に保持され前記先
   筒内に収納される固形化粧料と、 ｅ 前記本体筒と前記芯チヤツク軸との間で、
   該芯チヤツク軸を貫通させて介在し、該本体
   筒及び該芯チヤツク軸の少なくとも一方の運
   動に対し摩擦抵抗を生じる弾性Ｏリングと から成る弾力的抵抗を有する繰出式棒状化粧
   品。 ２ 実用新案登録請求の範囲第１項記載の繰出式
   棒状化粧品であつて、 前記弾性Ｏリングが前記芯チヤツク軸の後部
   外周に固定されている繰出式棒状化粧品。 ３ 実用新案登録請求の範囲第１項記載の繰出式
   棒状化粧品であつて、 前記弾性Ｏリングが前記本体筒の前記メネジ
   ラセンの先端部と前記先筒の後端との間に配設
   されている繰出式棒状化粧品。