JPH0310857Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 イ 考案の目的 〔産業上の利用分野〕 本考案は魚釣り用のスピニングリール、更に詳
しくは、そのベールアーム反転装置に関する。

〔従来の技術〕

従来、上述ベールアーム反転装置にあつて、ロ
ーターの外側に対設したアームに操作レバーを回
転可能に軸支し、該操作レバーの回転操作によつ
てベールアームを糸巻取位置から糸放出位置に反
転するようにしたものは例えば実公昭59−17171
号公報等で知られている。

しかし従来の装置は、操作レバーを上方へ引き
上げ回転する方式及び操作レバーをベールアーム
レバーと共に回転させる方式の何れの方式も、上
記操作レバーによつてベールアームオープン状態
になる方向（ベールアームの糸放出位置方向）へ
ベールアームレバーを直接回動させる構成である
為、ベールアームの糸巻取位置と、糸放出位置の
双方へ付勢するトーシヨンバネの死点を越える位
置まで、上記ベールアームレバーを回転する必要
があるので、操作レバーの移動量が長くなるばか
りでなく、操作レバーを操作するのに大きな力が
必要であつて操作性が悪かつたり、操作レバーも
ある程度長くする必要があるので糸絡みの原因に
なる等の問題点がある。

〔考案が解決しようとする問題点〕

そこで本考案は上述問題点に鑑みて検討の結
果、プツシユボタンをプツシユすることでカムを
作動させ、間接的にベールアームレバーをオープ
ン状態の方向とは反対方向へ僅かに回動させるこ
とでベールアームをトーシヨンバネにより糸放出
位置へ回動する構成とすることによつて、上記プ
ツシユボタンを僅かに、かつ小さい力でプツシユ
するだけでベールアームを糸放出位置に反転でき
るようにして、操作性の向上と、この種装置を備
えたリールの小型、軽量化を図り得るようにした
のが、その目的である。

ロ 考案の構成 〔問題点を解決するための手段〕 即ち本考案は、ローターに対設したアームにベ
ールアームを支持したベールアームレバー及びベ
ールアームカムの一方を、トーシヨンバネにより
糸放出位置方向へ弾撥付勢せしめて軸支し、該ベ
ールアームをハンドルの回転によつて糸放出位置
から糸巻取位置に自動反転するようにした魚釣り
用スピニングリールにおいて、上記アームにはプ
ツシユボタンを後方へプツシユ可能に、かつバネ
により前方への突出力を付勢せしめて取り付け、
該プツシユボタンには、上記ベールアームレバー
に設けた突起を係合し、かつ後退移動により当該
ベールアームレバーを糸放出位置と反対方向へ押
圧回動可能とする傾斜面と、該傾斜面の前側下部
にあつて、上記ベールアームレバーが所定角度回
転された後に上記突起の係合を解除可能なるよう
当該突起を回転方向へ通過可能な溝部とを備えた
カムを設け、上記プツシユボタンを押圧操作する
と、ベールアームレバーがわづか回動しこの回動
角度を機械的伝達手段によりリンク機構に伝達す
ると、該リンク機構に死点を越えトーシヨンバネ
１０の弾撥力によつて付勢方向にベールアームレ
バーを回転するよう構成して上述問題点を解決し
たのである。

［作用］ プツシユボタンを押圧操作することによりベー
ルアームレバーに設けた突起をプツシユレバーの
カムの傾斜面によりベールアームレバーをわづか
時計回り方向に回動し押圧がプツシユレバーの溝
部に到ると該回動運動は歯車伝達機構によつてリ
ンク機構に伝えられリンク機構に設けられた死点
を越えるとトーシヨンバネの弾撥力により、ベー
ルアームレバーを反時計回り方向に回動する、こ
の時ベールアームレバーの突起はプツシユボタン
のカムの溝部を通過して回転する。

［実施例］ 以下本考案の実施例を図面に基づいて詳述すれ
ば、第１図ないし第３図に示したように、本体１
の前部に管軸２にて回転自在に軸支されたロータ
ー３の外周には一対のアーム４，５が対称に、か
つ前後方向へ長く設けられている。

上記両アーム４，５の先端部には、ベールアー
ム６を支持したベールアームレバー７及びベール
アームカム８が段ビス９等にて糸巻取位置方向及
び糸放出位置方向へ相互に回転可能に枢着させて
あると共に、一方のアーム５に内装して介在した
トーシヨンバネ１０にて糸放出位置方向へバネ力
を付勢させてある。

又、上記ローター３の内部には、ベールアーム
６の糸巻取位置でのロツクを解除し糸放出位置ま
で反転させ、かつ糸放出位置から糸巻取位置へロ
ーターの回転によつて自動的に反転復帰させる為
の機構を備えている。

こゝでの上述機構は、死点を有するリンク機構
１１と、従動部ギヤー１２と、歯車伝達機構１３
とで形成されている。

即ち上記リンク機構１１は、上記ローター３の
本体１側に設けられた凹所３ａ内にあつて、その
軸受囲りの壁部３ｂに設けられるのであつて、こ
れは第３図に明示した如く、相互に一端部をピン
１６にて枢着した第１、第２の両リンク１４，１
５と、該第２のリンク１５の他端と一端をピン１
８にて枢着した第３のリンク１７とで形成されて
おり、その第１のリンク１４と第３のリンク１７
には夫々ギヤー１４ａ，１７ａが設けてあつて、
上記壁部３ｂに段ビス１９，２０にて回転可能に
枢着されており、該第１のリンク１４のギヤー１
４ａは、上記ベールアームレバー７に設けたギヤ
ー７ａと上記歯車伝達機構１３にて連動させてあ
る。

又、上記従動部ギヤー１２は、上記ローター３
の壁部３ｂに段ビス２１等にて回転可能に枢着さ
れていて、上記第３のリンク１７のギヤー１７ａ
と噛合させてある。

又、上記従動部ギヤー１２にはピン１２ａが半
径方向へ突設させてあり、該ピン１２ａが上記ロ
ーター３の軸承部囲りの本体１側に固設したベー
ルアーム反転用カム２２と干渉可能に図示の矢印
ａ方向へ介在したバネ２３にて弾撥付勢されてお
り、これによつて上記リンク機構１１は死点を有
している。

又、上記歯車伝達機構１３は、上記アーム４内
にあつて、上記ベールアームレバー７のギヤー７
ａと噛合して軸装したアイドルギヤー２４と、該
アイドルギヤー２４と噛合して連結軸２５にて軸
支した駆動ギヤー２６と、上記連結軸２５の上記
凹所３ａ内へ突出した端部に固定した連結ギヤー
２７にて形成されており、該連結ギヤー２７を上
記第１のリンク１４のギヤー１４ａと噛合させて
あり、これによつて上記ベールアームレバー７と
上記従動部ギヤー１２とは相互に連動される。

そしてベールアーム反転装置は次のように構成
されている。

第１図ないし第６図に示したように、上記アー
ム４にあつて、そのベールアームレバー７の外側
にはプツシユボタン２８を前後方向へ摺動可能
に、かつバネ２９を介在して前方への突出力を付
勢せしめて配設してあり、該プツシユボタン２８
の裏面にはカム３０を一体に、かつ上記ベールア
ームレバー７と対向して配置させてある。

上記カム３０の後側部には、上記ベールアーム
レバー７から起立突設した突起７ｂと係合して、
プツシユボタン２８をプツシユした時の後退移動
を、上記ベールアームレバー７の糸放出位置方向
とは反対方向への回転力に変換伝達可能な傾斜面
３０ａと、該傾斜面３０ａによつて上記突起７ｂ
が所定角度回転された後、傾斜面３０ａとの係合
を外して糸放出位置方向へ回動可能なるよう当該
突起７ｂの通過を許容する溝部３０ｂを上記傾斜
面３０ａの前側部裏面にあつて横幅方向へ設けて
ある。

こゝで上記アーム４の外側には横断面略下向き
コ字形状とした前後方向に長いカバー３１を上記
アーム４の長さ方向に沿つてビス３８等にて固定
してあり、その前部は開口部３１ａに、後部は閉
鎖端壁３１ｂに形成してあつて、上記プツシユボ
タン２８を前後方向へ摺動自在に嵌合している。

又、上記バネ２９は上記カバー３１の閉鎖端壁
３１ｂとプツシユボタン２８の後端面との間に介
在させてあつて、当該プツシユボタン２８がカバ
ー３１の開口部３１ａから外側へ突出するよう弾
撥付勢させてある。

又上記プツシユボタン２８の左右の側壁と、上
記カバー３１における左右の側壁３１ｃ，３１ｃ
の内面には、前後方向に長く凹溝２８ａ，２８ａ
と、突条３１ｄ，３１ｄを対設して相互にスライ
ド可能に係嵌させてあり、これによつて上記プツ
シユボタン２８は上記アーム４にプツシユ操作可
能に支承されている。

又、上記プツシユボタン２８は、その少なくと
も先端部位を第１図に示した如く釣竿３２を握持
した手の指３３にてプツシユ操作し易い位置に予
め設定して配置させてあると共に、その先端部は
第１図のように釣糸３４をピツクアツプし、その
指先でプツシユ操作し易いよう例えば図示の如く
一側部を凹部２８ｂ等に形成させてある。

尚、第１図において３５は摺動軸３６に固定し
たスプールで、ハンドル３７の回転によつて前後
方向へ往復摺動し、この時ローター３も回転して
ベールアーム６に掛装した釣糸３４を平均に巻装
可能としてあることは従来品と同様であるから、
それら駆動機構の説明は省略する。

而して上記構成において、ベールアーム６を糸
巻取位置とした第１図、第４図の状態ではプツシ
ユボタン２８はバネ力によつて前方へ突出保持さ
れているのでカム３０における傾斜面３０ａの先
端部はベールアームレバー７における突起７ｂの
一側部に近接した位置にあつて相互に係合される
ことなく保持されている。

上記糸巻取位置から糸放出位置とするときは、
第４図の糸巻取位置において、プツシユボタン２
８をバネ力に抗してプツシユすると、上記カム３
０の傾斜面３０ａと突起７ｂは係合し、更にプツ
シユすることで、上記傾斜面３０ａによつて上記
突起７ｂは糸放出位置方向とは反対方向へ第５図
に示した如く僅かに回転され、この回転はベール
アームレバー７に設けたギヤ７ａと噛合つたアイ
ドルギヤー２４に伝わり駆動ギヤー２６の連結軸
２５に伝わつて、ギヤー２７と噛合うギヤ１４ａ
に伝えられ、ギヤー１４ａの回転はリンク１４と
ピン１６を反時計廻り方向に回転して、第２リン
ク１５と第３リンク１７が直線上に並ぶまで回転
されると、こんどはバネ２３の時計廻り方向の弾
撥力を受けた従動ギヤー１７ａの回転力によつて
第３リンク反時計廻り方向即ちプツシユボタン２
８の押圧回動力を受けて回転する方向と同一方向
に回転するから第３リンク１７と第２リンク１５
とは始めて死点を越えるのでロツクは解かれる。

上記ベールアームレバー７が所定角度回転され
ると、上記突起７ｂはカム３０の溝部３０ｂと一
致するので、該溝部３０ｂに突起７ｂは嵌合され
ることによつて傾斜面３０ａとの係合は外され、
該突起７ｂは溝部３０ｂ内を通過することにより
ベールアームレバー７は第５図の位置から第６図
に示した糸放出位置にトーシヨンバネ１０によつ
て反転される。

又、上記プツシユボタン２８は、釣糸３４を指
先でピツクアツプするのと同時にプツシユ操作す
る。

上記溝部３０ｂを突起７ｂが通過した後、プツ
シユボタン２８のプツシユ力を解くと当該プツシ
ユボタン２８はバネ力によつて前方へ押し出され
て第４図の位置に復帰し、次のベールアーム糸放
出位置への反転操作の為に準備される。

又、上述のようにしてベールアーム６が糸放出
位置となると、前記リンク機構１１と連動して従
動部ギヤー１２はバネ力によつて第３図の二点破
線で示した如く回動し、そのピン１２ａはカム２
２と干渉する位置に保持される。

次にベールアーム６を糸巻取位置とするとき
は、第６図の状態でハンドル３７を糸巻取り方向
へ回転してローター３を回転させると、上記ピン
１２ａがカム２２の突部に当接し、バネ力に抗し
て押圧回動されるので、これがリンク機構１１に
伝達されて死点を越える位置まで回動され、これ
が更に歯車伝達機構１３に伝達されることにより
ベールアームレバー７は糸巻取位置に反転復帰さ
れ、ベールアーム６は第４図の糸巻取位置に復帰
する。

又、このとき、プツシユボタン２８は前方へ突
出した状態に保持されているので、そのカム３０
と上記突起７ｂは干渉されることはないのであ
る。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案に係る魚釣り用スピ
ニングリールは構成したものであるから、釣糸投
擲時にあつては、釣糸３４をピツクアツプした指
先にてプツシユボタン２８を押圧動作し、これと
一体に設けたカム３０の傾斜面３０ａよつて突起
７ｂを回転方向へ移動させ、これによりベールア
ームレバー７を糸放出位置とは反対方向へ僅かに
回転させてロツクを解除した後、直ちにカム３０
の溝部３０ｂを突起７ｂが通過することによりベ
ールアームレバー７はトーシヨンバネ１０によつ
て糸放出位置に反転されるのであつて、従来のレ
バー方式の如くレバーにてベールアームレバー７
を直接糸放出位置に反転するものではないから、
ベールアーム６を反転する為の操作移動量を小さ
くできるのみならず、カム３０によつてベールア
ームレバー７を僅かに回動させるだけでよいから
小さい力でプツシユボタン２８を操作できてベー
ルアーム反転を迅速にして軽快に行なうことがで
きる。

又、レバー方式のように、作動空間を広くとる
ものではなく、かつプツシユボタン２８はアーム
４から前方へ長く突出するものではないから、竿
受脚等も短かくできて、この種リールの小型軽量
化を図る上で有効であり、更にカム３０を付設し
たプツシユボタン２８とバネ２９との極めて数少
ない部材で構成できて構造簡単であるから故障発
生要素がほとんどなくなつて不動作や故障はな
く、又安価に製造できる等の効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る魚釣り用スピニングリー
ルの実施例を一部断面して示した側面、第２図、
第３図は同リールの主要部を一部断面して夫々示
した側面図と正面図、第４図、第５図、第６図は
同リールにおけるプツシユボタンとベールアーム
レバーとの関係において、その作動状態を順番に
示した各平面図である。 ３…ローター、４，５…アーム、６…ベールア
ーム、７…ベールアームレバー、７ｂ…突起、１
０…トーシヨンバネ、２８…プツシユボタン、２
９…バネ、３０…カム、３０ａ…傾斜面、３０ｂ
…溝部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ローター３に対設したアーム４，５にベールア
   ーム６を支持したベールアームレバー７及びベー
   ルアームレバーカム８の一方を、トーシヨンバネ
   １０により糸放出位置方向へ弾撥付勢せしめて軸
   支し、該ベールアームをハンドル３７の回転によ
   つて糸放出位置から糸巻取位置に自動反転するよ
   うにした魚釣り用スピニングリールにおいて、上
   記アーム４にはプツシユボタン２８を後方へプツ
   シユ可能に、かつバネ２９により前方への突出力
   を付勢せしめて取り付け、該プツシユボタンに
   は、上記ベールアームレバーに設けた突起７ｂを
   係合し、かつ後退移動により当該ベールアームレ
   バーを糸放出位置とは反対方向へ押圧回動可能と
   する傾斜面３０ａと、該傾斜面の前側下部にあつ
   て、上記ベールアームレバーが所定角度回転され
   た後に上記突起の係合を解除可能なるよう当該突
   起を回転方向へ通過可能な溝部３０ｂとを備えた
   カム３０を設け、上記プツシユボタンを押圧操作
   すると、上記ベールアームレバーがわづか回動
   し、この回動角度を機械的伝達手段によりリンク
   機構に伝達すると、該リンク機構に死点を越えト
   ーシヨンバネ１０の弾撥力によつて付勢方向にベ
   ールアームレバーを回転するよう設けてなること
   を特徴とする魚釣用スピニングリール。