JPH031067Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はセメント原料、セメントクリンカ、高
炉スラグ、石炭、一般鉱石等の粉砕用に利用でき
る立形ミルに関するものである。

（従来の技術） セメント原料、セメントクリンカ、石炭、一般
鉱石等を粉砕する粉砕機として、立形粉砕機が電
力消費が少ないこと、設置場所をとらないこと、
コンパクトな装置であること等の有利性があるた
め従来より多用されているが、そのローラ及びテ
ーブルの摩耗が大きく、短期間で取替える必要が
あること、時々振動が発生すること等の欠点があ
ることから、軟らかい物質の粉砕以外には余り使
われていなかつた。

しかし近年これらの問題もかなり解決されてき
たこと、更に省エネの要求が高まつたこと等か
ら、急速にチユーブミルより本装置への転換が進
むようになつた。この現象を促したものに外部循
環方式がある。この方式は、立形ミルへ供給する
風量を可能な限り少なくし、通風動力消費を大幅
に低減したものである。その結果テーブル周囲よ
り落下する比較的粗い被粉砕物は、立形ミルより
抜き出し、外部に設けた輸送機、例えばバケツト
エレベータ等で運搬し、テーブルへ再び返し、粉
砕するようにしたものである。

しかしこの種の装置にも、なお被粉砕物がロー
ラの有効圧下部に噛込まれず、テーブル上を素通
りするものが存在し、粉砕量を出すために、過度
の外部循環量を必要としたり、ローラによつて被
粉砕物噛込量に差がでて、振動、摩耗の問題を生
ずる場合もあつた。従つて供給物のローラの有効
圧下部への噛込率を増すと共に、各ローラへの配
分の均等化の有効手段の出現が要望されていた。

（考案が解決しようとする問題点） 本考案は、従来の立形ミルにおける供給物のロ
ーラの有効圧下部への噛込量の不均一、振動、摩
耗等の問題点を解決しようとするものである。

（問題点を解決するための手段） このため本考案は、傾斜した供給シユートから
回転するテーブルに供給される粒塊状物を、数個
の粉砕用ローラによつて圧潰粉砕する立形ミルに
おいて、傾斜した供給シユートは、テーブル中心
で、下方に垂直に折り曲げられ、その先端は中央
に粒塊状物を集中させる漏斗を備えた円筒部で、
その下部は円錐状に拡がり、最下端には、粒塊状
物がテーブル面との間に被粉砕物を通すに十分な
隙間をもつストツパを設け、更に同ストツパ外方
は同ストツパと同心をなすローラと同数の適当な
高さ、幅を持つた円弧状スクレーパが付属し、更
にローラ端面とそのすぐ外側に前記スクレーパと
の間に同スクレーパと同心円状にテーブル上面に
隆起した適当な高さのリング状の堰を設けた構成
を有する粒塊状物偏向器を備えてなるもので、こ
れを問題点解決のための手段とするものである。

（作用） 供給シユーから、テーブル中央に隆起状に設け
た円形の棚の上に落下した粒塊状物は、テーブル
の回転に伴い回転による遠心作用により外側へ移
動するが、供給シユート下部で円錐状に拡がり、
更にか下端部が円筒状に形成され、テーブル面と
所定間隔離れて設けられたストツパに当たり、外
向半径方向の速度を失う。テーブル上に落ちた粒
塊状物は再びテーブルの回転により遠心力を受け
て、外側へ移動を始める。更にストツパの外側に
ローラと同数の適当な幅を持つて円弧状に設けら
れたスクレーパにより、再び半径方向の速度を一
旦拘束されるが、スクレーパの開口部に至ると拘
束が解け、外向の速度を増してゆくことで、適性
な軌跡に従つてローラの有効圧下部へ効果的に誘
導される。粒塊状物には細粒が混在しているが、
堰によりこれがスクレーパ下端とテーブル間の僅
少な隙間をくぐりぬけて外周に向かつて流れるこ
とを防止する。

実施例 以下本考案の実施例を図面に付いて説明する
と、第１図〜第５図は本考案の実施例の立形ミル
粒塊状物偏向器を示す。即ち、第１図は立形ミル
の縦断面図、第２図は第１図のＡ〜Ａ断面図、第
３図は第２図のＢ〜Ｂ断面図、第４図は第２実施
例の第２図に対応する断面図、第５図は第４図の
Ｃ〜Ｃ断面図である。

先づ第１図〜第３図の実施例において、１は水
平面で回転するミルのテーブル、２６はテーブル
１の駆動装置、２５はテーブル１の上方に拡がる
粉砕乾燥室、７は粒塊状物をミル内に導入する供
給シユートであり、２４，５，６等から成る構造
体は、前記供給シユート７の先端に接続され、テ
ーブル１の回転中心線上に軸心を略垂直に配置さ
れる本考案の粒塊状物偏向器である。また３２は
テーブル１下部に取付けられたスクレーパであ
る。

２はテーブル１上に配置された複数個のローラ
（本図の場合は２個）で、供給シユート７からテ
ーブル１上に供給された粒塊状物をテーブル１上
に押しつけて粉砕しながら、テーブル１の回転矢
印２８に伴い摩擦で回転する。１０は前記ローラ
２のローラ軸、３はテーブル１の外周とシエル３
１との間に設けられた隙間で、熱ガス入口１４か
ら導入された熱ガスを熱風室１５を経て、上方に
吹上げるガス通路である。ローラ２によつて圧潰
された粉砕物が、テーブル１の回転による遠心力
で外周に振り出され、テーブル１外周から溢流し
前記隙間３から吹き出す熱ガスによつて細粉は上
方に搬送され、残りの粗粒物はテーブル１上に落
下し、スクレーパ３２にて集められて下記のよう
に外部循環系で運ばれ、テーブル１上に戻されて
再粉砕される。

粉砕物乾燥室２５の上部には、分級機１６が設
けられており、上昇する熱ガス流によつて搬送さ
れる粉砕物中の粗粉は、分離してテーブル上に落
下し、再び粉砕される。残りの微粉は精粉として
熱ガスと共に、ミル頂部の熱ガス排出口１７から
排出される。一方テーブル１の前記外周隙間３か
ら落下する粗粒物は、スクレーパ３２および溢出
粉砕物排出シユート１８に集められて取り出さ
れ、更に輸送機１９によつて供給シユー７まで運
ばれて新しい粒塊状物と混合されるが、製品とし
て外部に排出されるまで、ミル内外で循環過程を
繰り返す。

次ぎにミル内へ粒塊状物を供給する供給シユー
ト７の先端に設けられる本考案の１実施例の粒塊
状物偏向器について説明すると、供給シユート７
は第１図に示す如く、傾斜してミル本体内部に入
り、中央で下方に鉛直方向に折り曲げられた形と
なり、その下端は漏斗２３を内蔵したデイスタン
スピース２４を介してストツパ５ト連結する。ス
トツパ５は、下方が円錐形に拡がつて下部が円筒
状になつており、テーブル１中央に隆起した円形
の棚４を覆うような形で、テーブル１面と最大粒
塊状物が通過出来るだけの隙間を残した状態で配
設されている。

またストツパ５の下部円筒部外方には、同心円
の円周上に適当な高さをもつ円弧状のスクレーパ
６が、取付板２２によりストツパ５下部円筒に取
付けられると共に、前記スクレーパ６のすぐ外側
のローラ２の間には、テーブル１より隆起するリ
ング状の比較的低い堰９が存在している。本考案
の１実施例の粒塊状物偏向器は、以上のリング状
堰９を含めた漏斗２３付デイスタンスピース２
４、ストツパ５、スクレーパ６、同取付板２２に
よつて構成されるものである。

次ぎに以上の如く構成された粒塊状物偏向器の
作用について説明する。供給シユート７内に供給
される粒塊状物は、デイスタンスピース２４内部
の漏斗２３の作用により中央に集められて、テー
ブル１中央の棚４上に先づ鉛直に落下し、遠心力
により外方に向かうが、外方にあるストツパ５の
円筒に衝突し、外方に向かう速度を失い落下して
円筒部下端をくぐる。ここで再びテーブル１の回
転により、遠心力を受けて外方に向かうが、再び
スクレーパ６のため外方に向かう速度を奪われて
テーブル１と共に回転し、スクレーパ６の拘束が
なくなれば遠心力で外方に向かう速度を増し、ロ
ーラ２の有効圧下部８に矢印の如く、確率高く誘
導されることとなる。スクレーパ６の下端は、テ
ーブル１と僅少な隙間を残して近接しており、更
に前記のようにスクレーパ６のすぐ外側に堰９が
設けてあり、スクレーパ６では殆ど被粉砕物は外
向（半径方向）へ向かうことはないが、スクレー
パ６の存在しない範囲では、堰９を越えて外方向
へ有効ローラ圧下部へ噛まれるように移動する。

次ぎに第４図及び第５図の第２実施例について
説明すると、第１実施例で提案された粒塊状物偏
向器と、第２実施例で提案する粒塊状物偏向器と
は、構造上の相違は殆どなく、第２実施例でスト
ツパ５の中間部に位置する円錐状の天井カバーを
なくして、上部小円筒と下部大円筒を数個の連結
板２９で連結している点のみが構造上の相違点で
ある。

次ぎに第２実施例の作用について説明すると、
前記の如く熱ガス入口１４から導入される熱ガス
は、熱風室５を通り、主として隙間３より上向に
吹き出すこととなるが、ローラ２によつて圧潰さ
れた粉砕物は、テーブル１の回転による遠心力で
外周に振り出される。この時隙間３に入る圧潰粉
砕された粒塊状物は、第３図、第５図の点線矢印
３０の如く、上方に搬送され、その中で粗粒物は
テーブル１に落下する。また吹上げられた細粒粉
も、粉砕物乾燥室２５の上部に位置する分級機１
６により、精粉となる細粉のみが、熱ガスと共に
排出口１７より機外に排出されるが、分級されて
分離された粗粉は、テーブル１上に落下し、再粉
砕されることとなる。

この場合ストツパ５の円錐状天井に内部循環
（矢印３０）する粗粉が堆積する。第１実施例の
場合、これらの堆積落下物はローラ２の有効圧下
部に誘導されることなく、テーブル１の外周まで
出てしまう可能性のあるものが多いが、第２実施
例の如く天井カバーのないものは、供給シユート
７から棚４上に落下する粒塊状物と共に、ストツ
パ５下端より矢印２７の如く、ローラ２の有効圧
下部に誘導される。

（考案の効果） 以上詳細に説明した如く本考案は、ストツパの
外側に同心円上に適当な幅の円弧状スクレーパを
置くこと、更にローラとスクレーパの間にテーブ
ルより隆起させたリング状の堰を設けることによ
り、従来テーブル外周に、ローラに噛み込まれず
に溢出していた粒塊状物が少なくなり、ローラの
有効圧下部への粒塊状物の誘導を確率高く行うこ
とができて、各ローラへの被粉砕物噛込量が均等
化され、振動、摩耗等の問題の発生が避けられ
る。

なお、ストツパ円錐部の天井カバーを除けば、
天井カバー上へ、内部循環する粉砕物の細粒が堆
積するのを防止出来るので、堆積して流下する細
粒中、ローラの有効圧下部へ導かれない可能性の
あるものを、ストツパ内部の棚、スクレーパを通
して導くことが可能となり、無駄な内部循環が少
なくなり、圧損失が低減されて効率がよくなる。
従つて本考案によると、粉砕能力が増大し、動力
原単位の低下を図ることができ、かつ振動、摩耗
等が少なくなると共に、立形ミルの大型化に対応
出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す立形ミルの縦断
面図、第２図は第１図のＡ〜Ａ断面図、第３図は
第２図のＢ〜Ｂ断面図、第４図は第２図と異なる
実施例の横断面図、第５図は第４図のＣ〜Ｃ断面
図である。 図の主要部分の説明、１……テーブル、２……
ローラ、５……ストツパ、６……スクレーパ、７
……供給シユート、９……堰、２３……漏斗、３
２……スクレーパ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 傾斜した供給シユートから回転するテーブルに
   供給される粒塊状物を、数個の粉砕用ローラによ
   つて圧潰粉砕する立形ミルにおいて、傾斜した供
   給シユートは、テーブル中心で、下方に垂直に折
   り曲げられ、その先端は中央に粒塊状物を集中さ
   せる漏斗を備えた円筒部で、その下部は円錐状に
   拡がり、最下端には、粒塊状物がテーブル面との
   間に被粉砕物を通すに十分な隙間をもつストツパ
   を設け、更に同ストツパ外方は同ストツパと同心
   をなすローラと同数の適当な高さ、幅を持つた円
   弧状スクレーパが付属し、更にローラ端面とその
   すぐ外側に前記スクレーパとの間に同スクレーパ
   と同心円状にテーブル上面に隆起した適当な高さ
   のリング状の堰を設けた構成を有する粒塊状物偏
   向器を備えてなることを特徴とする立形ミル。