JPH0310388Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、車両用空気調和装置の冷媒ガスの圧
縮等に用いる可変容量型揺動板式圧縮機に関す
る。

（従来技術） 従来の可変容量型揺動板式圧縮機１は第２図に
示すように、シリンダブロツク２と、該シリンダ
ブロツク２の一端面（図中左端面）にバルブプレ
ート３を介して気密に取り付けられたシリンダヘ
ツド４とシリンダブロツク２の他端面（図中右端
面）に気密に取り付けられたヘツド部材５とによ
つて構成される圧縮機ケーシング６と、前記シリ
ンダブロツク２と前記ヘツド部材４とに軸受部
７，８を介して支承された駆動軸９と、該駆動軸
９に取り付けられ、その回転を揺動板取付部材１
０に伝達する回転保持部材１１と、前記駆動軸９
に所定傾斜角を自在に取り得るように取り付けら
れ、その回転を前記揺動板取付部材１０によつて
与えられその回転によつて揺動運動する揺動板１
２と、前記シリンダブロツク２内に前記駆動軸９
の軸方向と平行に且つ周方向に所定の間隔で形成
された複数のシリンダ１３…（図中１個のみ図
示）と、該シリンダ１３…内に夫々摺動自在に嵌
挿されたピストン１４…と、前記シリンダブロツ
ク２内に配置され前記シリンダブロツク２とヘツ
ド部材５とによつて形成されるクランク室１５内
の圧力を調節する圧力調節弁１６とによつて構成
されている。

前記リンダヘツド４は偏平な略円筒形をなし、
その一端面には圧縮された冷媒ガスが吐出する吐
出口４ａ及び前記圧力調整弁１６の設定圧力を調
整する調圧ネジ１７の挿入孔４ｂが夫々設けられ
ている。前記シリンダヘツド４の内部の略中央部
には吐出室１８が形成され、該吐出室１８には前
記バルブプレート３に設けられた吐出ポート３ａ
…を覆うカバー１９が設けられ、その略中央部に
は孔１９ａが穿設され前記吐出ポート３ａ…は前
記吐出室１８と連通している。前記吐出ポート３
ａ…には吐出弁２０…が設けられ、該吐出弁２０
は後述のシリンダブロツク２に設けられた連通孔
２２の小径孔２２ｃに螺着される。吐出室１８の
外周には吸入室２１が形成され、該吸入室２１は
前記バルブプレート３に設けられた吸入ポート３
ｂによつてシリンダ１３内と連通する。なお、吸
入ポート３ｂには図示しない吸入弁が設けられて
いる。

前記吸入室２１は図示しない吸入口を介して図
示しない空気調和装置のエバポレータの出口と接
続され、前記吐出室１８は吐出口４ａを介して図
示しないコンデンサの入口に接続されている。

前記シリンダブロツク２の略中央部にはヘツド
部材５側からシリンダヘツド４に向かつて大径孔
２２ａ、中径孔２３ｂ及び小径孔２２ｃからなる
連通孔２２が順次同心的に穿設されている。この
連通孔２２の中径孔２２ｂ内には軸受部７が収納
されると共に、該中径孔２２ｂと前記小径孔２２
Ｃとによつて形成される段部２２ｄと前記駆動軸
９の一端面９ａとの間にはプレロード用としてコ
ニカルワツシヤ２３が設けられている。したがつ
て該コニカルワツシヤ２３は前記駆動軸９を後述
するスラスト軸受装置３１側に付勢している。

前記シリンダブロツク２には前記圧力調整弁１
６を収納する収納孔２４が設けられ、弁体１６ａ
と、基板１６ｂと、該基板１６ｂと弁体１６ａと
の間に介在するベローズ１６ｃと、これらを収納
する円筒体１６ｄとによつて構成される前記圧力
調整弁１６が前記収納孔２４内に収納される。前
記圧力調整弁１６は前記調圧ネジ１７によつてそ
の設定圧力を調整され、前記吸入室２１内と前記
クランク室１５内との圧力調整を前記弁体１６ａ
の開閉によつて行う。

前記駆動軸９は前記軸受部７，８により支持さ
れ、その略中央部には揺動板１２が傾斜角を取る
場合の支点となるヒンジボール２５が設けられ、
該ヒンジボール２５と前記回転保持部材１１との
間には波状バネ２６が設けられている。また、前
記ヒンジボール２５から前記コニカルワツシヤ２
３側の駆動軸９にはストツパ２７が設けられ、該
ストツパ２７と前記ヒンジボール２５との間には
順次複数の板バネ２８…、コイルバネ２９が設け
られている。

前記揺動板１２の先端部１２ａと前記ピストン
１４とは夫々ボール３０ａ，３０ｂを有してなる
ピストンロツド３０により自在に連結され、前記
揺動板１２の揺動運動に伴つて、前記ピストン１
４は前記ピストンロツド３０によつて前記シリン
ダ１３内を軸方向に対して前後に摺動する。この
揺動運動によつて発生するスラスト荷重は前記回
転保持部材１１とヘツド部材５との間に設けられ
たスラスト軸受装置３１によつて受承される。

前記回転保持部材１１と前記揺動板取付部材１
０とはリンクピン３２を介して結合し、該リンク
ピン３２の一端はピン３３により回転自在に前記
回転保持部材１１と結合され、他端は長穴３２ａ
が穿設され、ピン３４により回動自在かつ長穴３
２ａの長手方向に進退可能に結合されている。

前記揺動板１２は軸受３５、スラスト軸受装置
３６，３７を介して前記揺動板取付部材１０に回
転自在に取り付けられ、該スラスト軸受装置３
６，３７は軸受押え板３８によつて前記揺動板取
付部材１０に固定される。

尚、第２図中３９は軸シール装置である。

（考案が解決しようとする問題点） 上述のような構成にかかる可変容量型揺動板式
圧縮機によれば、前記コニカルワツシヤ２３によ
り、前記駆動軸９を前記スラスト軸受装置３１側
に付勢、すなわちプレロードをかけていた。しか
しながら、低負荷時には、前記揺動板１２が前記
ヒンジボール２５を支点として前記駆動軸９の軸
方向に対して垂直方向に立ち上がり、この時に前
記駆動軸９のスラスト荷重は前記コニカルワツシ
ヤ２３にかかる。このため前記コニカルワツシヤ
２３は経時によつてヘタリが生じ、前記駆動軸９
にプレロードをかけることができないから前記ス
ラスト軸受装置３１に隙間が発生し、異音発生の
原因となる。

（考案の目的） 本考案は上記事情に鑑みてなされたもので、駆
動軸のスラスト荷重の変動によつてスラスト軸受
装置から発生する異音を防止することが可能な可
変容量型揺動板式圧縮機を提供することを目的と
する。

（問題点を解決するための手段） 上記問題点を解決するための本考案において
は、シリンダブロツクとヘツド部材とによつて支
承された駆動軸と、該駆動軸に取り付けられ、該
駆動軸の回転に伴つて揺動運動する揺動板と、前
記ヘツド部材との間に介在し前記揺動板の揺動運
動によつて発生するスラスト荷重を受承するスラ
スト軸受装置とを備え、圧力調整弁の制御により
吸入室とクランク室とを連通又は遮断せしめて、
該クランク室内圧力を変化させることにより揺動
板の傾斜角度を調整し、ピストンストロークを変
化させて吐出容量を可変し得る如く構成した可変
容量型揺動板式圧縮機において、前記シリンダブ
ロツクと前記揺動板との間にプレロード用スラス
ト軸受装置を介在させ、該プレロード用スラスト
軸受装置のいずれか一方のスラストレースの外周
縁部とシリンダブロツクに設けられた突起部とを
当接させ、且つ他方のスラストレースの内周縁部
と前記駆動軸に設けられた段部とを当接させるこ
とによつて前記駆動軸を前記プレロード用スラス
ト軸受装置方向に付勢することにより構成したも
のである。

（作用） 上記構成によれば、プレロート用スラスト軸受
装置によつて駆動軸をスラスト軸受装置方向に付
勢したため、前記スラスト軸受装置には異音の発
生原因となる隙間が発生しない。

（実施例） 以下、本考案の一実施例を第１図に基づいて詳
述する。

第１図は本考案の一実施例に係る可変容量型揺
動板式圧縮機の縦断面図である。

なお、本考案の実施例と従来例と共通する部分
については図面に同一符号を付してその詳細な説
明は省略する。

本考案の実施例の圧縮機ケーシング６は従来例
と同様にシリンダブロツク２の両端面の一方にバ
ルブプレート３を介してリンダヘツド４を、他方
にヘツド部材５を気密に取り付けられることによ
つて構成され、前記シリンダブロツク２の略中心
部にはヘツド部材５側からリンダヘツド４に向か
つて大径孔２２ａ、中径孔２２ｂ及び小径孔２２
ｃからなる連通孔２２が順次同心的に穿設されて
いる。大径孔２２ａと中径孔２２ｂとにより形成
される段部２２d′には突起部２２ｅが設けられ、
中径孔２２ｂには駆動軸９の軸受部７が収納さ
れ、小径孔２２ｃはネジ孔とされる。前記リンダ
ブロツク２に穿設された大径孔２２ａの段部２２
d′に設けられた突起部２２ｅと前記軸受部７近傍
の駆動軸９に設けられた段部９ａとの間にはプレ
ロード用スラスト軸受装置２３′が介在している。
該プレロート用スラスト軸受装置２３′はスラス
トベアリング２３′ａと該スラストベアリング２
３′ａの両端をはさむスラストレース２３′ｂ，２
３′ｃとから成る。該スラストレース２３′ｂの外
周縁部２３′b′と前記段部２２d′の突起部２２ｅ
とを当接させ、且つ前記スラストレース２３′ｃ
の内周縁部２３′c′と前記駆動軸９の段部９ａと
を当接させることによつて前記駆動軸９を前記ス
ラスト軸受装置３１方向に付勢するよう構成して
いる。したがつて、前記駆動軸９に設けられたス
トツパ２７によつて係止されている複数の板バネ
２８…及びコイルバネ２９…は前記駆動軸９を前
記スラスト軸受装置３１方向に付勢するようにな
る。

上述のような構成になる可変容量型揺動板式圧
縮機１の運転中、吸入室２１の圧力が前記圧力調
整弁１６の閉弁側付勢力に打ち勝つている間は前
記圧力調整弁１６の弁体１６ａは開弁し、前記吸
入室２１とクランク室１５は連通し、該クランク
室１５は低圧となり、ピストン１４の反力はクラ
ンク室１５の圧力に打ち勝つて揺動板１２は傾斜
角度を増し、且つ、駆動軸９はスラスト軸受装置
３１側にスラスト荷重が生じ、ピストンのストロ
ークが増加するから吐出容量が大きくなる。その
後車室温度がある温度まで低下すると吸入室２１
の圧力は低下するから前記圧力調整弁１６の閉弁
側付勢力に負けて弁体１６ａは閉弁し、吸入室２
１とクランク室１５は遮断されるので、クランク
室１５内はブローバイガス圧により高圧となつ
て、ピストン１４の反力がクランク室１５内の圧
力に負け、前記揺動板１２の傾斜角度を減じ、前
記駆動軸９は反スラスト軸受装置側にスラスト荷
重がかかる。このスラスト荷重はプレロード用ス
ラスト軸受装置２３′にかかることになる。した
がつて、前記スラスト軸受装置３１に隙間が発生
することがない。

（考案の効果） 以上詳述したように本考案によれば、シリンダ
ブロツクとヘツド部材とによつて支承された駆動
軸と、該駆動軸に取り付けられ、該駆動軸の回転
に伴つて揺動運動する揺動板と、前記ヘツド部材
との間に介在し前記揺動板の揺動運動によつて発
生するスラスト荷重を受承するスラスト軸受装置
とを備え、圧力調整弁の制御により吸入室とクラ
ンク室とを連通又は遮断せしめて、該クランク室
内圧力を変化させることにより揺動板の傾斜角度
を調整し、ピストンストロークを変化させて吐出
容量を可変し得る如く構成した可変容量型揺動板
式圧縮機において、前記シリンダブロツクと前記
揺動板との間にプレロード用スラスト軸受装置を
介在させ、該プレロード用スラスト軸受装置のい
ずれか一方のスラストレースの外周縁部とシリン
ダブロツクに設けられた突起部とを当接させ、且
つ他方のスラストレースの内周縁部と前記駆動軸
に設けられた段部とを当接させることによつて前
記駆動軸を前記プレロード用スラスト軸受装置方
向に付勢することにより構成したものである。

したがつて、駆動軸に対する反スラスト軸受装
置方向のスラスト荷重はプレロード用スラスト軸
受装置により受けるから、スラスト軸受装置には
隙間が発生しない、そのため異音の発生を防止す
ることが可能となる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係る可変容量型揺
動板式圧縮機の縦断面図、第２図は従来の可変容
量型揺動板式圧縮機の縦断面図である。 １……可変容量型揺動板式圧縮機、２……シリ
ンダブロツク、５……ヘツド部材、９……駆動
軸、９ａ……段部、１２……揺動板、１４……ピ
ストン、１５……クランク室、１６……圧力調整
弁、２１……吸入室、２２ｅ……突起部、２３′
……プレロード用スラスト軸受装置、２３′ｂ，
２３′ｃ……スラストレース、３１……スラスト
軸受装置。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. シリンダブロツクとヘツド部材とによつて支承
   された駆動軸と、該駆動軸に取り付けられ、該駆
   動軸の回転に伴つて揺動運動する揺動板と、前記
   ヘツド部材との間に介在し前記揺動板の揺動運動
   によつて発生するスラスト荷重を受承するスラス
   ト軸受装置とを備え、圧力調整弁の制御により吸
   入室とクランク室とを連通又は遮断せしめて、該
   クランク室内圧力を変化させることにより揺動板
   の傾斜角度を調整し、ピストンストロークを変化
   させて吐出容量を可変し得る如く構成した可変容
   量型揺動板式圧縮機において、前記シリンダブロ
   ツクと前記揺動板との間にプレロード用スラスト
   軸受装置を介在させ、該プレロード用スラスト軸
   受装置のいずれか一方のスラストレースの外周縁
   部とシリンダブロツクに設けられた突起部とを当
   接させ、且つ他方のスラストレースの内周縁部と
   前記駆動軸に設けられた段部とを当接させること
   によつて前記駆動軸を前記プレロード用スラスト
   軸受装置方向に付勢したことを特徴とする可変容
   量型揺動板式圧縮機。