JPH0310165Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔技術分野〕 本考案は長大ケーブルの端末構造に関し、具体
的には、斜長橋のケーブル定着装置に関する。

〔技術の背景〕

近年、斜長橋のケーブルは、定着部構造の単純
化や美観上の理由から、従来の大断面少数ケーブ
ルから、小断面複数多段ケーブルへと変わる傾向
にあり、断面形状も多様化している。さらに、構
造の巨大化に伴つて、ケーブルの振動数および減
衰率も低下して橋桁の耐風安定性だけでなく、ケ
ーブル自体の耐風安定性が問題になつてきてい
る。

従来の定着部構造を見ると、ソケツトに固定さ
れたケーブルの基端部にシース管が嵌め込まれ、
その内部にすなわち、シース管内壁とケーブルと
の間隔にシール材を充てんした構造である。そし
て、充てんされたシール材の弾性と密封性によつ
てその中を貫通するケーブルの振動吸収と抑制お
よび防水を行つている。しかし、間隔に充てんさ
れるものがシール材だけであるためにまず第１に
比較的高価なシール材を多量に要する、第２にシ
ール材自体にある程度硬いものを使用せざるを得
ず、硬化後、ケーブルの振動を受けて、シール材
とケーブル表面とが剥離しやすい等の難点があ
る。前記の剥離が生じると制振作用が劣化するば
かりでなく、剥離間隙を伝う浸透水によつて防水
作用はきわめて劣化する。

〔本考案の目的〕

本考案は前記のようなケーブル基端部における
構造を改善し、長期にわたつて、制振機能や防水
機能が維持され、かつ、比較的高価であるシール
材を節約できる制振、防水装置を提供する。

〔本考案の構成〕

ケーブル基部をソケツトに固定し、そのケーブ
ル基端部にシース管を嵌め込み、シース管内に弾
性シール材を充てんする構成において、弾性シー
ル材充てんに先立ち、ケーブルとシース管の間に
短円筒形のバツクアツプ材を嵌挿すると共にシー
ス管の先端開口に数枚のゴムダンパーを密嵌す
る。このようにしてソケツトとゴムダンパーによ
りシース管内部は密封され、その中に弾性シール
材が充てんされた構成である。

〔実施例の説明〕

第１図、第２図は共に、斜長橋を例としたケー
ブルの定着部を示し、第１図が塔側、第２図が桁
側である。いずれの側においてもケーブルの制振
防水構造としては格別な差はないので主として第
１図の塔側について説明し第２図については同じ
記号を付して説明に代える。

記号１は塔でありこれを貫通してシース管２が
固着されている。各ケーブル３の基端部はシース
管２を貫通してその基端がシース管２を出たとこ
ろでソケツト４に固着され、塔側に固定される。
これでケーブル３と塔１とは連結されたわけであ
るがケーブル３に対する制振と防水のために本考
案では次の構成を採る。すなわち、シース管２内
にシール材を充てんするに先立ち、まず、バツク
アツプ材５を嵌挿し、シース管２の先端開口をゴ
ムダンパー６で密嵌する。この結果、シース管２
の内部はソケツト４とゴムダンパー６とで密封さ
れる。このようにした後に、ソケツトもしくはゴ
ムダンパー等に設けた孔から低モジユラスの弾性
シール材を圧入した構成である。なお、図におい
て記号７はシース管２の開口部に固着したゴムダ
ンパーの押え金で８はアルミブーツである。

バツクアツプ材５は第１図に示すように軸方向
で数個に分断され、各個に間隔を保つた構成で
も、第２図のように軸方向間隔を詰めたものでも
よい。ただ、このバツクアツプ材５はシース管２
の内壁との間に一定の間隙を維持できることはも
ちろん、ケーブル３との間にも間隙を維持できる
ことが必要である。さらにバツクアツプ材５は第
３図に示すように半割構造とし、装着を容易にす
るのが便利である。第３図において記号９はバツ
クアツプ材の側周壁に設けたスペーサーであり、
記号１０はシール材の充てん時における流通をス
ムーズにするための凹部である。中心部の開口は
ケーブルを挟むためであり、偏芯しているのはケ
ーブルの位置ずれに対応させるためである。

スペーサー９はバツクアツプ材を軸方向に間隔
を維持するためにも用いられ、第４図はその様子
を示す。

ゴムダンパー６は数枚からなつていて、その各
一枚は第５図に示すようにやはり半割構造とする
のが便利である。中央の開口はケーブルを挟むた
めのものであり、孔１１は前記したシール材の圧
入用孔である。また、記号１２はゴムダンパー６
を押え金７で固定する際に挿通するボルトのため
の孔である。

〔作用効果〕

シース管２内に弾性シール材を充てんするとシ
ース材はバツクアツプ材とシース管の間およびバ
ツクアツプ材内腔のケーブルとの間にも行きわた
る。そのため、ケーブル３は直接弾性シール材に
囲まれて制振作用が行なわれる。制振に関しては
さらにシース管の入口個所でゴムダンパー６がケ
ーブルに接し、ここでも強力な制振作用が行なわ
れる。

防水に関しては、まず第１にシース管の入口個
所にゴムダンパー６が密嵌されているのでここで
殆んどの防水が行なわれる。ゴムダンパーを越え
て浸水してもシース管の内部には弾性シール材が
充てんされているので実質的にこれ以上の浸水は
ない。

そして、シース管内にバツクアツプ材を用いた
ことで弾性シール材を多量に節約することがで
き、経済性が良い。また、バツクアツプ材を用
い、ゴムダンパーを用いることで弾性シール材と
して低モジユラスのものを用いることができ、柔
かく、かつ、ケーブルの動きに対して追随性が良
く、ケーブルやシース管から剥離する恐れが少な
いなどの効果を発揮する。

【図面の簡単な説明】

第１図は一部を破断して内部を示した正面図、
第２図は第１図に同様の正面図、第３図はバツク
アツプ材の平面図、第４図は内部構造を示した正
面図、第５図はゴムダンパーの平面図。 １……斜長橋の塔、２……シース管、３……ケ
ーブル、４……ソケツト、５……バツクアツプ
材、６……ゴムダンパー、７……押え金、８……
アルミブーツ、９……スペーサー。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) ソケツトに固定したケーブル基端部にシース
   管を嵌挿し、ケーブルとシース管の間にさらに
   バツクアツプ材を嵌挿し、シース管の先端開口
   に数枚のゴムダンパーを重ねて密嵌し、前記ソ
   ケツトとゴムダンパーとで密閉されたシース管
   内部に弾性シール材を充てんしてなることを特
   徴とした、ケーブルの制振防水装置。 (2) バツクアツプ材およびダンパーが半割構造と
   なつていることを特徴とした、実用新案登録請
   求の範囲第１項に記載したケーブルの制振防水
   装置。 (3) バツクアツプ材はケーブルに沿つて相互に間
   隔をとつて配置されていることを特徴とした、
   実用新案登録請求の範囲第１項に記載したケー
   ブルの制振防水装置。 (4) バツクアツプ材はその側周面にシース管壁と
   の間隙を一定に維持するためのスペーサーを数
   個有していることを特徴とした、実用新案登録
   請求の範囲第１〜３項のいずれか一つに記載し
   たケーブルの制振防水装置。