JPH029058Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は内燃機関用排気マニホルドの改良に
関し、更に詳しくは、排気ガスの熱が排気マニホ
ルド外表面から逃げないように改良した内燃機関
用排気マニホルドに関する。

従来、デイーゼル機関等の内燃機関の排気マニ
ホルドは、一般に鋳鉄で作られているが、機関運
転中は常に高温の排気ガスが通過するために、排
気マニホルド自体が高温となり、この高温となつ
たマニホルド表面からは排気ガスの熱エネルギの
一部が空気への熱伝達により失なわれている。こ
の熱エネルギの損失は、内燃機関に排気ターボ過
給機を装着した場合において、排気ガスの全熱エ
ネルギをターボ過給機に利用することができない
ことになり、排気ガスの有効利用という面からは
損失となつている。

また、排気マニホルド自体が高温となるため、
排気マニホルド周囲に取り付けられた部品はその
放射熱の影響を受けて劣化による強度低下等の不
具合が発生したりする。そして、この熱害を防ぐ
ためには自動車等のエンジンルーム内に遮熱板等
を必要とし、エンジン設計上のネツクになつてい
た。

そこで排気マニホルドを断熱構造にすることが
従来から試みられている。例えば特公昭53−
11922号公報の発明は、耐熱性金属板で内管を作
り、端部を残してその外側に断熱耐火物層を形成
し、前記内管の端部を挾持するように鋳ぐるんだ
断熱構造を開示している。

しかしながら、前記公報の先行技術は、端部フ
ランジを鋳鉄，鋳造用合金材などの鋳物体で形成
しているために、この部分からの放熱があり断熱
性に問題がある。しかも前記断熱層は、コロイダ
ルシリカなどのバインダーやプラズマコーテイン
グにより溶融シリカなどの断熱材を前記内管に付
着させているので、排気ガスによる膨張・収縮の
際の熱歪を吸収しにくく、構造的欠点がある。

また別の先行技術として実開昭53−14023号公
報の考案は、水冷ジヤケツトを設けて断熱するも
のであり、内管及びその周囲に設ける断熱層を端
部に露出させた上に水冷ジヤケツトを設けた外管
を鋳物により形成したものである。この場合に
は、端部からの放熱は防止される反面、フランジ
面に断熱層が露出するので、フランジ部のシール
などの面で問題があり、また構造が複雑になるな
ど一般車両用内燃機関に適用することは困難であ
る。

本考案は、以上の問題に着目して成されたもの
であり、断熱性及び耐熱歪が高い内燃機関の排気
マニホルドを提供することを目的としている。

以上の目的を達成するための本考案の内燃機関
の排気マニホルドの構成は、耐熱金属製の内管か
ら成り、、且つフランジの一部を構成する該内管
の端部を中空のリング状とした断熱部に形成し、
該断熱部を除き前記内管の外周に繊維状耐熱断熱
材層を形成し、その外側には端部にフランジを有
する鋳物製外管を形成したことを特徴としてい
る。

前記繊維状断熱材は、例えばセラミツクフアイ
バ、石綿などを使用することができる。

前記構成の排気マニホルドは、繊維状断熱材で
内管と外管とが隔てられているので、内・外管の
熱的特性が異なつても、該断熱材部分で吸収可能
である。しかしながら、例えば鋳造時に構造上熱
歪が大きくなり強度的問題が生じる場合には、内
管に蛇腹式の凹凸部を設けることにより亀裂など
の発生を防止することができる。

以下図面を用いてこの考案の実施例を説明す
る。

第１図はこの考案の排気マニホルド１の断面図
であり、第２図はその−線における断面図で
ある。

この考案では直接排気ガスＧに触れる排気マニ
ホルド１の内管２に、排気ガスＧの高温に十分耐
えられ、かつ熱容量ができるだけ小さいステンレ
ス等の金属を使用している。そして、この内管２
の外周部は、セラミツクフアイバ，石綿等の断熱
材３１を用いてルーズに被覆し、断熱層３を形成
する。この後にこれら内管２および断熱材３１の
外側を鋳鉄で鋳込み、外管４が鋳鉄で構成される
三層の排気マニホルド１を形成する。

第１図の実施例の排気マニホルド１は、内管２
の両端部を外管４の両フランジ４１，４２部にお
いてフランジ端面４３，４４に沿つて折り曲げ、
さらにその折り曲げ部２１，２２を内側に、内管
２の外周部２４まで折り返して、前記フランジ４
１，４２内に断熱空気層２５を形成している。な
お、２６は断熱空気層２５の１辺を構成する面２
７に溶接された補強板で、この部分がフランジ部
分に鋳込まれ振動等に対して補強され安定した強
度が得られるものである。

この断熱空気層２５は、鋳鉄製の外管４の排気
ガスＧによる熱的影響をできる限り少なくするた
めに設けたものである。

また、鋳造後排気マニホルド１の温度が下がる
と、排気マニホルド１の各部は若干収縮し、その
ために内管２が圧縮され、応力が加わつて場合に
よつては亀裂が発生することがある。

そこで、前記内管２の熱変形を防止するため
に、第３図の参考断面図に示すように内管２の途
中の内周部に環状に凹凸部２３を形成し、熱応力
を吸収するようにすることができる。この凹凸部
２３の形状はこの参考断面図のように波形に形成
しても良いし、また鋸歯状等のように形成しても
良く、その凹凸形状は特に限定されるものではな
い。さらに、前記凹凸部２３の条数も何条でもか
まわない。

以上のように構成されたこの考案の排気マニホ
ルド１は、製造後の熱変形もなく、また、機関冷
態時と機関稼動中の温度差によつて熱変形するこ
ともない。以上説明したように、この排気マニホ
ルド１内を通過する排気ガスＧの熱は、熱容量の
小さい金属製内管２と、この内管２の外周部に設
けられた断熱層３及び断熱空気層２５により外管
４に伝わりにくくなり、排気マニホルド１の外表
面から空気中への熱伝達が小さく抑えられる。

以上説明したようにこの考案の排気マニホルド
は、耐熱金属製の内管から成り、且つフランジの
一部を構成する該内管の端部を中空のリング状と
した断熱部に形成し、該断熱部を除き前記内管の
外周に繊維状耐熱断熱材層を形成し、その外側に
は端部にフランジを有する鋳物製外管を形成した
構成としたので次の効果を得ることができる。

排気マニホルド全面に対し内管と外管とを効率
よく断熱して外表面温度を従来より低く抑えるこ
とができるためにエンジンルーム内に遮熱板等が
不要となり、熱の影響を受け易い部品のレイアウ
トの自由度を増加させることができる。

特に過給機を装着した内燃機関においては排気
ガスの熱エネルギ損失を大幅に低減させるので、
過給機の仕事率を増加させ、機関全体としての熱
効率を向上させることができる。

また外管と内管との間の断熱層に可撓性のある
繊維状断熱材を使用したために、内外の熱特性の
相違を無理なく吸収させて熱的強度を高めること
ができ、しかも鋳込みにより製造も容易であり、
工業的に有利である。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の内燃機関用排気マニホルド
の一実施例の断面図、第２図は第１図の−線
における断面図、第３図は内管の熱歪対策の方法
を説明する参考断面図である。 １……排気マニホルド、２……内管、３……断
熱層、４……外管、２１，２２……折り曲げ部、
２３……凹凸部、２５……断熱空気層、３１……
断熱材、４１，４２……フランジ、４３，４４…
…フランジ端面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 耐熱金属製の内管から成り、且つフランジの一
   部を構成する該内管の端部を中空のリング状とし
   た断熱部に形成し、該断熱部を除き前記内管の外
   周に繊維状耐熱断熱材層を形成し、その外側には
   端部にフランジを有する鋳物製外管を形成した内
   燃機関用排気マニホルド。