JPH0263075B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 (A) 産業上の利用分野 本発明はサーマルヘツドにより加熱して色材を
被記録体に昇華転写して記録を得る昇華型感熱転
写記録方式に用いるに適した熱転写記録受像シー
トに関し、その発色特性と表面剥離強度が顕著に
向上した熱転写記録受像シートを提供するもので
ある。

(B) 従来技術及びその問題点 従来この種の記録方式は、例えば特開昭57−
169370号、特開昭58−197089号公報等で知られて
おり、テレビ画像やコンピユーター端末機で画像
のハードコピー化手段として、小型、安価、保守
点検操作が簡便という特徴ともつ記録方式であつ
て、昇華型感熱記録方式などと呼ばれて注目を浴
びているものである。

この方式は、昇華性色材を紙等の基材に塗布し
た色材シートを熱写受線シートと対向し、加熱転
写染色することによつて受像シートに画像記録を
得るものである。そして、色材の色をイエロー、
マゼンタ、シアン及び必要によりブラツクとし、
順次加熱転写することによりフルカラーのハード
コピーも得ることができる。

ここで用いられる受像シートは、普通紙ではむ
らのない高濃度の画像を得ることはむずかしく、
合成樹脂フイルムの方が画線受理性の点では良い
が、一般消費者はペーパーライク（紙様）の受像
シートの方を好むので紙を樹脂加工する必要があ
る。しかし、紙を樹脂加工しようとすると、特開
昭57−169370号公報にも記載されているように特
に好ましい樹脂はポリエステル樹脂、ポリ塩化ビ
ニル樹脂、などなので有機溶剤塗工もしくはフイ
ルム貼り合わせ、などの危険であつたり高原価の
特殊な製造工程を採用しなければならなくなる。

これに対して、特開昭58−197089号公報にはポ
リエステル樹脂の水分散液（非水溶性ポリエステ
ル樹脂微細粉末の水性懸濁液）を紙に水性塗工し
ている例が見られるが、本発明者等の試験による
と支持体シートへの塗層の接着性が弱過ぎ、その
上記記録像も眠たい不十分なものであつた。

(C) 発明の目的 本発明の目的は、昇華性色材熱転写画像記録方
式に用いるに適した熱転写記録受像シートを安全
かつ低原価の製造工程により、塗層表面接着性及
び発色性等の性能の顕著に改良された工業製品と
して提供することにある。そして、本発明者等は
鋭意研究を重ねた結果、ここに、スルホン化フタ
ル酸異性体残基含有ポリエステル樹脂から成る層
を有するシートが製造工程面でも性能面でも極め
て優れ受像シートであることを見出し、本発明の
目的を達成した。

(D) 発明の構成 本発明は、熱昇華性色材層を有する色材シート
と画像受理層を有する熱転写記録受像シートと組
合わせ、加熱により論受理層に画像記録を得る昇
華性色材熱転写記録方式に用いられる熱転写記録
受像シートの画像受理層に特徴がある。

即ち、本発明においては画像受理層に新規なポ
リエステル樹脂、すなわちスルホン化フタール酸
異性体残基含有ポリエステル樹脂を用いる。

ポリエステル樹脂は、周知の通り、多価カルボ
ン酸と多価アルコールとの重縮合高分子であつ
て、通常は非水溶性（有機溶剤可溶性）である。

ところが、本発明で用いられるポリエステル樹
脂は、スルホン化テレフタロイル基、スルホン化
イソフタロイル基およびスルホン化オルトフタロ
イル基から成る群より選ばれる１種以上のスルホ
ン化フタール酸異性体残基を少くとも含有する水
溶性ポリエステル樹脂であつて、スルホン化テレ
フタール酸、スルホン化イソフタール酸及びスル
ホン化オルトフタール酸（いずれもスルホン基の
数は１から４までの任意の正数）からなる群より
選ばれる１種以上のスルホン化フタール酸異性体
とエチレングリコールの如き多価アルコールとの
エステル結合という化学構造を少くとも含有して
いる。

具体的実例としては、例えば互応化学(株)製にな
る商品名プラスコートがあり、これはスルホン化
されていないフタール酸異性体とスルホン化フタ
ール酸異性体との混合多価カルボン酸とエチレン
グリコールとの共重縮合ポリエステルなる化学構
造を持つ水溶性ポリエステル樹脂である。

このようなポリエステル樹脂は実用上如何なる
濃度でも水に溶けるので、必要に応じて他の副材
料や添加物と共に、水性塗液とすることが出来、
シート状支持体へ容易に水性塗工することができ
るという利点がある。

昇華性色材は通常水不溶性有機溶剤可溶性の分
散型塗料が用いられるので、受像シートの受理層
はあまり極性の大でない材料で構成されるべきか
と当初考えられ、本発明で用いるようなスルホン
基置換されたポリエステル樹脂では分散型塗料に
対する親和性、相溶性が劣つてしまうのではない
かと懸念されたが、実際にはそれは杞憂に過ぎ
ず、公知のポリエステル樹脂を用いた場合よりも
むしろ美麗な高濃度のカラー画像が得られた。

従来のポリエステル樹脂の水分散物は少量の有
機溶剤、あるいは界面活性剤を用いて水分散系に
したものであり、水性塗工は可能であつたが、支
持体に塗布した場合その表面接着力が劣り、画像
形成の為の昇華性色材熱転写時に塗層のハガレと
なつたり、又、界面活性剤等の影響によると思わ
れるが、その発色性が阻害されることがあつた。

又、その表面接着力を補なう点から水溶性高分
子接着剤、合成樹脂ラテツクス類を併用すること
が考えられるが、いずれも発色性が損なわれた。

本発明での新規なスルホン基を有するポリエス
テル樹脂を用いると発色阻害のおそれのある水溶
性高分子接着剤その他バインダーを加えることな
く、表面剥離強度の向上が図れ、発色性の良好な
熱転写受像シートを得ることができるものであ
る。

本発明において用いられる熱昇華性色材として
は昇華点70〜400℃の範囲のものが好ましく、特
に100〜200℃のものが好適である。たとえば、デ
イスパーズブルー20（商品名Duranol Blue2G）、
デイスパーズイエロー42（商品名Resulin Yellow
GR）、デイスパーズレツド−１（商品名Celiton
ScarletB）、等の染料その他キナリザリー染料、
分散性モノアゾ染料、分散性アントラキノン染
料、分散ニトロジフエニルアミン系染料、分散ニ
トロリフエニルアミン染料、アンスラセン系染料
等が上げられ、昇華性色材の支持体としてはサー
マルヘツドの熱伝導の点からできるだけ熱伝導性
の良い薄葉体が望ましく、コンデンサー紙、グラ
シン紙等の紙類、合成類、合成樹脂フイルム等が
用いられる。接着剤として、昇華を妨げないもの
を使用しインキ化しグラビア印刷等で染料シート
を作成することができる。

一方、熱転写受像シートとしては上記分散性昇
華性色材を効果的に染着し得る樹脂として本発明
のスルホン基を有するポリエステル樹脂の他に他
のポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アセテート
樹脂、ナイロン樹脂等の水分散体を併用しても良
い。

その他色材シートと受像シートの熱融着防止の
点からシリカ、炭酸カルシウム、カオリン、クレ
ー等の無機粒子を加えても良く、より均質な熱伝
達により発色ムラを防止するためにポリエチレ
ン、パラフイン等のワツクス類を加えても良い。

受像層の支持体としてはサーマルヘツドとの密
着の関係上できるだけ表面平滑性が良く適度なク
ツシヨン性が必要であり、普通紙、表面コート
紙、合成紙、合成樹脂フイルムが使われる。

熱転写受像シートの作成は前記のスルホン化ポ
リエステル樹脂を水溶性に必要に応じて、無機顔
料、ワツクス類などを混合分散し、エアナイフ、
ロール、プレート等の通常のコーターへツドを有
する塗工機で塗布、乾燥することによりなされ
る。

(E) 実施例 次に実施例によつて本発明をさらに詳しく説明
する。

実施例 １ 厚さ10ミクロンのコンデンサー紙に、分散性昇
華性色材としてカセツトブルー906（日本化薬）、
カヤセツトエローAG（日本化薬）、カヤセツトレ
ツドＢ（日本化薬）をそれぞれ10ｇにエチルセル
ロース３ｇニブシールＥ−200A（日本シリカ製ホ
ワイトカーボン）２ｇとイソプロピルアルコール
45ｇをボールミルで混合粉砕し、グラビア印刷で
塗工量２ｇ／m²になるように塗布し、それぞれの
色材シートを得た。

受像シートとして、ピーチコートWE−110（日
清紡製、合成紙）にプラスコートＺ−802（互応化
学製、親規なスルホン化ポリエステル樹脂の25％
水溶液、軟化点120℃）100ｇとスプシールＥ−
200A（日本シリカ製、ホワイトカーボン）40ｇを
混合分散し、エアーナイフコーターで塗工量４
ｇ／m²になるように塗抹し熱転写受像シートを得
た。

この受像シートの塗工面にセロテープをはりつ
け表面剥離強度を調べたが、塗層は全然剥離せず
良好であつた。

又、色材シートと塗布面対向し、松下電器(株)製
の薄膜式サーマルヘツドでのテスト機でヘツド電
圧16Vで通電巾3.4ｍsecで熱転写の結果、受像シ
ートの塗層の剥離はなく、発色性も良好であり、
特にシアンの色のさえが良かつた。

実施例 ２ 実施例１でプラスコートＺ−802をプラスコー
トＺ−4201（互応化学製スルホン化ポリエステル
樹脂25％水溶液、軟化点150℃）に代え同じよう
に行なつた結果、同様の良い結果を得た。

実施例 ３ 実施例１でニピシールＥ−200A（日本シリカ
製、ホワイトカーボン）の代りにスノーテツクス
Ｃ（日産化学製、コロイダルシリカ）に代え、同
じように行なつた結果同様の良好な結果を得た。

比較例 １ 実施例１でプラスコートＺ−802の代りにパイ
ナールMD−1200（東洋紡製、公知の水不溶性ポ
リエステル樹脂微粉末40％水分散液）を使用し、
同じように行なつた結果、受像シートのセロテー
プでの表面剥離が大きく塗層がセロテープ側にと
れてしまつた。

又、色材シートとの熱転写で色材シートと受像
シートを離す時、受像シートの塗層の剥離が見ら
れ、その上発色性も色のさえがなかつた。

(F) 発明の効果 本発明は実施例の結果から明らかなように、比
較例に比べ、水系塗工品の熱転写受像シートの塗
層の剥離もなく、イエロー、マゼンタ、シアンそ
れぞれの発色性も良好であり、特にシアンの発色
のさえが良好であり、水系塗工製造での熱転写受
像シートとしての従来法の問題点を解決すること
ができた。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 熱昇華性色材層を有する色材シートと画像受
   理層を有する熱転写記録受像シートとを組合わ
   せ、加熱により該受理層に画像記録を得る昇華性
   色材熱転写記録方式に用いられる熱転写記録受像
   シートが、シート状支持体上にスルホン化フター
   ル酸異性体残基含有ポリエステル樹脂から成る画
   像受理層を設けたものであることを特徴とする熱
   転写記録受像シート。