JPH025880Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、サイクロン式分級機の考案に係り、
サイクロン室内に形成される旋回流によつて分級
すべき資料を分級処理するようにしたものにおい
て、該サイクロン室底部にその全周面に関して均
等な旋回流を形成し、分級精度および効率を大幅
に向上して装置的にコンパクトな機構を提供しよ
うとするものである。

粉粒資料を分級するためのサイクロン式分級機
は、この種分級機構として代表的なものであり、
従来から種々に広く採用されているところであ
る。即ちこのものは倒円錐形のサイクロン室内に
旋回流を形成し、該旋回流と重力との関係によつ
て分級を得ようとするものであつて、機構的に回
動部分などを必要とせず、又重力を利用した分級
設備であることから構成が簡易で、しかもそれな
りの分級結果が得られるメリツトを有している。
然しこのような従来のサイクロン式分級機につい
て本考案者等が検討した結果による旋回流を形成
するための流体の全量がサイクロン室の頂部に導
入されるものであることからその導入旋回流の少
なくとも一部分が直ちに上部の微粒分排出口に排
出される可能性が高く、このような排出流によつ
てそれなりの粗粒分が微粒分中に混入する可能性
がある。又粗粒分は前記のようなサイクロン室の
内面にそつて旋回し、微粒分はこの粗粒分旋回流
の内側に旋回流を順次形成し、サイクロン室内面
にそつた粗粒分は順次下方に流下し取出されるわ
けであるけれども、斯様にサイクロン室内壁面に
そつて流下する粗粒分中にはその粗流分の流下す
る流れの中にそれなりの微粒分も混入する可能性
が高い。

勿論、このような設備において処理性を問題と
しないならば精度の高い分級結果が得られるけれ
ども、前記したような粗粒分に微粒分の混入する
可能性の高い従来のものにおいては設備を大とす
るか、処理時間を長大にしなければ精度の高い分
級をなし得ない。

本考案は上記したような本考案者による検討結
果に基いて考案されたものであつて、サイクロン
室内面にそつて流下する粗粒分の流れを乱すこと
なく混入しようとする微粒分を有効に分離しよう
とするものであり、その具体的実施態様を添付図
面に示すものについて説明すると、断面円形をな
したサイクロン室１の上部にその切線方向に送入
口２が形成されていて分級すべき資料と共に気体
又は液体のような流体が旋回状態で吹込まれ、該
サイクロン室１は底部を次第に狭小として倒円錐
状に形成され、頂面中央には微粒分排出口４が形
成されると共に底部には粗粒分受入室３が形成さ
れ、該受入室３の底部における狭搾された取出口
３ａから受入れられた粗粒分を取出すように成つ
ており、サイクロン室１においてはその内面にそ
つて旋回流が形成されて分級が行なわれるもので
あること自体は従来から知られているサイクロン
分級機と同様のものであるが、本考案においては
このような構成のものにおいて前記したように狭
小化されたサイクロン室１の底部中心に第２図に
示す如く円板状をなす上下板の間にサイクロン室
の内面に対し切線方向を採つてガイド片を配設し
た円板型旋回流形成機構５を設け、該機構５には
流体送入管６を設けて上記のようにサイクロン室
１の内面にそつて上記取出口３ａに向け流下する
粗粒分に対しこの円板型旋回流形成機構５による
分別作用を与えるようにしたものである。

即ち上記したような本考案によるときは第２図
に示すようにサイクロン室１の上部から吹込まれ
た旋回流によつて分級効果を受け、その内壁面に
そい流下してくる粗粒分に対してサイクロン室１
の底部において前記円板型旋回流形成機構５によ
る旋回上昇流がサイクロン室１の全内周面におい
て均等状態に形成され、このような旋回上昇流に
よる分級効果が更に加えられることは明かであ
り、粗粒分受入室３は狭搾された取出口３ａ部分
がバルブの閉塞あるいは取出口３ａに堆積した粗
粒分で閉塞状となり、そのような条件下において
該粗粒分の流れに帯同して粗粒分受入室３に入ろ
うとする粗粒分を有効に分別し再びサイクロン室
１内に戻す。蓋し上記のようにサイクロン室１の
内面にそつて流下する粉粒の流れは、基本的には
粗粒分であるとしても壁面側は粗粒分に富んだも
のであるのに対し内側部は比較的微粒であり、勿
論それらが若干混合した状態をなしていて、この
ような状態のものに対して前記機構５による全周
面において均等な分級効果が上記した比較的微粒
部分に対して均様に与えられるわけで、送入され
た流体は前記排出口４から放出されることから上
向きの旋回流を形成し、微粒分を適切に分別する
ことができる。又このような構成によるときは従
来のものが排出口４から排出される流体量に相当
した全量が上記送入口２から供給されるものであ
るのに対して本考案のものではサイクロン室上部
の送入口２から送入される流体量が前記機構５か
ら吹込まれる流体量分だけ減少することにより、
又該機構５から吹込まれて上昇する流体はサイク
ロン室１の上部にあつては送入口２からの旋回流
の内側において旋回する傾向を有することから送
入口２からの資料を帯同した流体は殆んど排出口
４に導かれないこととなり、該排出口４からの放
出流中に粗粒分の混入する可能性は少いものとな
つて微粒分についての分級精度をも高め、結局精
度の高い分級処理を円滑に実施することができ
る。

以上説明したような本考案によればこの種サイ
クロン式分級機における粗粒分および微粒分の何
れに対しても分級精度および効率を有効に向上す
ることができ、従つてコンパクトな機構で能率的
な作業を行わせ、しかも前記した円板型旋回流形
成機構５は単にサイクロン室１の底部中心に収容
して設定されるだけでよいからこの円板型旋回流
形成機構によつて分級機構全般を殊更に大型化す
るようなことがなく、又特別な駆動部の如きを必
要とせず単に流体を送入すればよいものであるこ
とからサイクロン分級機の特質を適切に保持し、
構成ないし操作が簡易であるなどの作用効果を有
しており、実用上その効果の大きい考案である。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施態様を示すものであつて、
第１図は本考案によるものの全般的な装置構成を
示した側面図、第２図はそのサイクロン室底部に
設けられた別の旋回流形成機構部分の断面図であ
る。 然してこれらの図面において、１はサイクロン
室、１ａはその底部、２はその上部に設けられた
吹込口、３は粗粒分受入室、３ａはその取出口、
４は微粒分及び流体を排出する排出口、５はサイ
クロン室底部に設けられた別の旋回流形成機構、
６は送入管、１５はガイド片を示すものである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. サイクロン室の上部に旋回状態で分級すべき資
   料を流体と共に送入し、該サイクロン室内に形成
   される旋回流により前記資料を分級し微粒分を上
   部排出口から放出すると共に粗粒分を底部取出口
   より取出すようにしたものにおいて、前記したサ
   イクロン室の下部に設けられた粗粒分受入室の底
   部を狭搾化して取出口を形成し、しかも上記サイ
   クロン室の底部中心に上下板の間にサイクロン室
   内面に対し切線方向を採つてガイド片を配設した
   円板型旋回流形成機構を設け、該サイクロン室内
   面にそつて上記取出口に向け流下する粗流分に対
   して前記円板型旋回流形成機構による分別作用を
   サイクロン室内面の全周において均等に与えるよ
   うにしたことを特徴とするサイクロン式分級機。