JPH0258040B2 - - Google Patents
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- JPH0258040B2 JPH0258040B2 JP57175929A JP17592982A JPH0258040B2 JP H0258040 B2 JPH0258040 B2 JP H0258040B2 JP 57175929 A JP57175929 A JP 57175929A JP 17592982 A JP17592982 A JP 17592982A JP H0258040 B2 JPH0258040 B2 JP H0258040B2
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Classifications
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B23—MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- B23K—SOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
- B23K35/00—Rods, electrodes, materials, or media, for use in soldering, welding, or cutting
- B23K35/22—Rods, electrodes, materials, or media, for use in soldering, welding, or cutting characterised by the composition or nature of the material
- B23K35/24—Selection of soldering or welding materials proper
- B23K35/30—Selection of soldering or welding materials proper with the principal constituent melting at less than 1550 degrees C
- B23K35/3033—Ni as the principal constituent
Landscapes
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- Arc Welding In General (AREA)
Description
この発明は1000℃付近までの高温で使用するニ
ツケル基耐熱合金の溶接用溶加材に関するもので
ある。 化学プラントや高温ガス原子炉においては600
〜1000℃もの高温で作動する種々の機器が使用さ
れる。それらには高温で十分な強度を有する耐熱
合金としてニツケル基耐熱合金が構成材料として
用いられる。しかし公知のように高温機器の部材
に荷重が長時間作用すると、部材が時間とともに
変形するクリープ現象が生じる。したがつて高温
機器に用いられる材料ではクリープ強度が高いこ
とが最も重要な材料特性になる。さらに機器は溶
接構造をとることが多いので、溶接部のクリープ
強度も母材と同等ないしはそれ以上必要になる。
しかし、溶接金属は一旦溶融させ急速に凝固させ
たものであるため、母材とは金属組織が異なり、
金属学的にも安定な状態でない。このため、母材
と同一の金属で母材同志を溶接しても、溶接金属
のクリープ特性は母材とは全くかけ離れたものに
なるのが普通である。 クリープ特性の中で重要なものに三つの特性が
挙げられる。すなわちクリープ破断時間、クリー
プ速度および破断延性である。溶接金属のクリー
プ特性の中でこの3特性がそれぞれほぼ母材のク
リープ特性に等しいと高温構造物の健全性上から
は理想的なのであるが、現実にはそのような条件
が満たされることはほとんどない。一般には母材
と溶接金属のクリープ破断時間をほぼ等しくする
のは可能だが、破断延性やクリープ速度に関して
は溶接金属の方が著しく小さくなることが多い。
このようなクリープ特性のくい違いは部材の強度
や信頼性を著しく低下させるのである。以下この
代表的な実験結果を紹介する。 第1図に示す丸棒形のクリープ試験片1の中央
部に溶接部2があるものを900℃で軸方向に荷重
をかけて破断するまでの時間を求めた。その結果
は第2図に示すとおりで、溶接継手のない試験片
3と継手のあるもの4とでは破断時間にほとんど
差がない。破断は溶接部で起こつている。同じ試
験を1000℃で行なうと母材部で破断するようにな
り、溶接部があつても十分なクリープ強度がある
ように思われる。しかしこれが構造物となると全
く様相が異なつてくる。 第3図はニツケル基合金から作られた管5の中
央部に突合せ溶接周継手部6があるような構造物
を模擬した試験体で、小管7から管5の内部にガ
スを導入して内部から圧力をかけ、高温下に置く
と管は徐々にふくらんで第4図に示すようなつづ
み形になつて、最後には変形に耐えきれなくなつ
て破裂するか、小さな割れ8が発生して内部のガ
スが漏れ出してしまう。第4図は正常な高温にお
けるクリープ変形挙動であり、むしろ溶接継手の
ない場合に相当する。 これに対して第3図のような溶接周継手部6が
ある場合には、第5図に示すように溶接金属6の
クリープ速度が小さいため、中央部が凹んだひよ
うたん型になる。そして溶接金属の破断延性も小
さいので溶接金属はほとんど伸びないでき裂が発
生して破損に至る。特に第5図に示す形状からわ
かるように、母材のクリープ速度が溶接金属のそ
れより大きいため、溶接金属を引張つてその破断
を速めてしまう働きがあり、第4図のように十分
変形した後に破断する場合の時間に比べて1/2
〜1/10もの短時間で破断してしまう。このよう
に前述した三つのクリープ特性が母材と溶接金属
とでそろわないと高温溶接構造部材の信頼性が著
しく低下する。 本発明はニツケル基耐熱合金に対して以上述べ
たクリープ特性上の欠点を改善した溶接金属を得
ることができる溶加材を提供することを目的とす
る。この目的は溶接用の溶加材として、重量比率
で、C:0.05〜0.15%、Mn:1.0%以下、Si:1.0
以下、P:0.04%以下、S:0.03%以下、Cr:
20.5〜23.0%、Co:0.5〜2.5%、Mo:8.0〜10.0
%、W:0.20〜1.0%、Fe:17.0〜20.0%、B:
0.003〜0.015%、残部Niから成るものを用いるこ
とによつて達成される。 溶接金属のクリープ特性の中で最も改善しなけ
ればならないものは破断延性である。なぜなら
ば、溶接構造部材中の破断延性に乏しい溶接金属
がなんらかの変形を強いられて少しでも変形する
と、短時間内に破断に至つてしまうためであつ
て、信頼性を高めるには破断延性の改善が最も重
要であり、ついで破断時間も長い方が良い。 第1表は本発明を実証するために母材として用
いたニツケル基耐熱合金の化学組成である。この
合金はハステロイXの商品名で呼ばれている。こ
の材料で第3図に示すような管を製作し、本発明
による溶加材を用いて管の突合せ溶接をTIG溶接
法で行なつて、前述のような900℃で内圧クリー
プ試験を実施した。TIG溶接法においては、タン
グステン電極と母材である被溶接金属との間にア
ークを飛ばし、その時にワイヤ状の溶加材を挿込
んでアーク熱によつて溶かしながら溶接した。そ
の溶加材には第1表に示す組成の合金にボロンを
種々のppm量微量添加したものを溶製した上で、
ワイヤ状に加工したものを用いた。
ツケル基耐熱合金の溶接用溶加材に関するもので
ある。 化学プラントや高温ガス原子炉においては600
〜1000℃もの高温で作動する種々の機器が使用さ
れる。それらには高温で十分な強度を有する耐熱
合金としてニツケル基耐熱合金が構成材料として
用いられる。しかし公知のように高温機器の部材
に荷重が長時間作用すると、部材が時間とともに
変形するクリープ現象が生じる。したがつて高温
機器に用いられる材料ではクリープ強度が高いこ
とが最も重要な材料特性になる。さらに機器は溶
接構造をとることが多いので、溶接部のクリープ
強度も母材と同等ないしはそれ以上必要になる。
しかし、溶接金属は一旦溶融させ急速に凝固させ
たものであるため、母材とは金属組織が異なり、
金属学的にも安定な状態でない。このため、母材
と同一の金属で母材同志を溶接しても、溶接金属
のクリープ特性は母材とは全くかけ離れたものに
なるのが普通である。 クリープ特性の中で重要なものに三つの特性が
挙げられる。すなわちクリープ破断時間、クリー
プ速度および破断延性である。溶接金属のクリー
プ特性の中でこの3特性がそれぞれほぼ母材のク
リープ特性に等しいと高温構造物の健全性上から
は理想的なのであるが、現実にはそのような条件
が満たされることはほとんどない。一般には母材
と溶接金属のクリープ破断時間をほぼ等しくする
のは可能だが、破断延性やクリープ速度に関して
は溶接金属の方が著しく小さくなることが多い。
このようなクリープ特性のくい違いは部材の強度
や信頼性を著しく低下させるのである。以下この
代表的な実験結果を紹介する。 第1図に示す丸棒形のクリープ試験片1の中央
部に溶接部2があるものを900℃で軸方向に荷重
をかけて破断するまでの時間を求めた。その結果
は第2図に示すとおりで、溶接継手のない試験片
3と継手のあるもの4とでは破断時間にほとんど
差がない。破断は溶接部で起こつている。同じ試
験を1000℃で行なうと母材部で破断するようにな
り、溶接部があつても十分なクリープ強度がある
ように思われる。しかしこれが構造物となると全
く様相が異なつてくる。 第3図はニツケル基合金から作られた管5の中
央部に突合せ溶接周継手部6があるような構造物
を模擬した試験体で、小管7から管5の内部にガ
スを導入して内部から圧力をかけ、高温下に置く
と管は徐々にふくらんで第4図に示すようなつづ
み形になつて、最後には変形に耐えきれなくなつ
て破裂するか、小さな割れ8が発生して内部のガ
スが漏れ出してしまう。第4図は正常な高温にお
けるクリープ変形挙動であり、むしろ溶接継手の
ない場合に相当する。 これに対して第3図のような溶接周継手部6が
ある場合には、第5図に示すように溶接金属6の
クリープ速度が小さいため、中央部が凹んだひよ
うたん型になる。そして溶接金属の破断延性も小
さいので溶接金属はほとんど伸びないでき裂が発
生して破損に至る。特に第5図に示す形状からわ
かるように、母材のクリープ速度が溶接金属のそ
れより大きいため、溶接金属を引張つてその破断
を速めてしまう働きがあり、第4図のように十分
変形した後に破断する場合の時間に比べて1/2
〜1/10もの短時間で破断してしまう。このよう
に前述した三つのクリープ特性が母材と溶接金属
とでそろわないと高温溶接構造部材の信頼性が著
しく低下する。 本発明はニツケル基耐熱合金に対して以上述べ
たクリープ特性上の欠点を改善した溶接金属を得
ることができる溶加材を提供することを目的とす
る。この目的は溶接用の溶加材として、重量比率
で、C:0.05〜0.15%、Mn:1.0%以下、Si:1.0
以下、P:0.04%以下、S:0.03%以下、Cr:
20.5〜23.0%、Co:0.5〜2.5%、Mo:8.0〜10.0
%、W:0.20〜1.0%、Fe:17.0〜20.0%、B:
0.003〜0.015%、残部Niから成るものを用いるこ
とによつて達成される。 溶接金属のクリープ特性の中で最も改善しなけ
ればならないものは破断延性である。なぜなら
ば、溶接構造部材中の破断延性に乏しい溶接金属
がなんらかの変形を強いられて少しでも変形する
と、短時間内に破断に至つてしまうためであつ
て、信頼性を高めるには破断延性の改善が最も重
要であり、ついで破断時間も長い方が良い。 第1表は本発明を実証するために母材として用
いたニツケル基耐熱合金の化学組成である。この
合金はハステロイXの商品名で呼ばれている。こ
の材料で第3図に示すような管を製作し、本発明
による溶加材を用いて管の突合せ溶接をTIG溶接
法で行なつて、前述のような900℃で内圧クリー
プ試験を実施した。TIG溶接法においては、タン
グステン電極と母材である被溶接金属との間にア
ークを飛ばし、その時にワイヤ状の溶加材を挿込
んでアーク熱によつて溶かしながら溶接した。そ
の溶加材には第1表に示す組成の合金にボロンを
種々のppm量微量添加したものを溶製した上で、
ワイヤ状に加工したものを用いた。
【表】
第6図は溶加材中のボロン含有量と900℃にお
ける溶接周継手付き管の内圧クリープ破断時間と
の関係を示す。曲線11に示すようにボロンの含
有量が多くなるに従つて破断時間が延び、含有量
70ppmでは母材の方が破断するようになり、さら
に100ppmを越えると点線12で示すようにそれ
以上破断時間は長くならない。図には溶接継手の
ない管の破断時間範囲を10で示している。この
図から分るように、ボロン含有量約30ppmの溶加
材で溶接すると、溶接継手のない管とほぼ同程度
の破断時間が得られるようになる。 第2表はボロンを含有する溶加材を用いて溶接
した管の900℃、3.4Kgf/mm2フープ応力下におけ
るクリープ破断特性の例を示したものである。こ
の例では、溶加材中のボロン含有量が37ppmにな
ると破断時間は溶接継手のない場合と同程度にな
るが、破断伸びが5.5%しかなく構造物の健全性
を考慮するとまだ十分とはいえない。しかし、ボ
ロン含有量が70ppmになると破断伸びは12.4%に
達し、母材のクリープ破断伸びの半分近くにな
り、構造物の健全性は著しく改善される。なおボ
ロン含有量70ppmの溶加材を用いた場合の内圧ク
リープ破断時間が溶接継手のない管より長くなつ
ているのは、溶接金属のクリープ速度が小さいた
め母材のクリープ変形を抑制する働きがあるため
である。
ける溶接周継手付き管の内圧クリープ破断時間と
の関係を示す。曲線11に示すようにボロンの含
有量が多くなるに従つて破断時間が延び、含有量
70ppmでは母材の方が破断するようになり、さら
に100ppmを越えると点線12で示すようにそれ
以上破断時間は長くならない。図には溶接継手の
ない管の破断時間範囲を10で示している。この
図から分るように、ボロン含有量約30ppmの溶加
材で溶接すると、溶接継手のない管とほぼ同程度
の破断時間が得られるようになる。 第2表はボロンを含有する溶加材を用いて溶接
した管の900℃、3.4Kgf/mm2フープ応力下におけ
るクリープ破断特性の例を示したものである。こ
の例では、溶加材中のボロン含有量が37ppmにな
ると破断時間は溶接継手のない場合と同程度にな
るが、破断伸びが5.5%しかなく構造物の健全性
を考慮するとまだ十分とはいえない。しかし、ボ
ロン含有量が70ppmになると破断伸びは12.4%に
達し、母材のクリープ破断伸びの半分近くにな
り、構造物の健全性は著しく改善される。なおボ
ロン含有量70ppmの溶加材を用いた場合の内圧ク
リープ破断時間が溶接継手のない管より長くなつ
ているのは、溶接金属のクリープ速度が小さいた
め母材のクリープ変形を抑制する働きがあるため
である。
【表】
ボロンの微量添加によつてクリープ特性が著し
く改善される理由については次のように考えられ
る。溶接金属は凝固組織のままであつて柱状晶か
ら成つている。柱状晶と柱状晶の界面には、凝固
時に不純物元素が集まつており、高温になると界
面強度が弱くなつて界面で剥離するように破断し
やすい。このため破断延性が著しく小さく、破断
時間も短くなる。これに対し微量のボロンを添加
すると、柱状晶界面の不純物にボロンが結合して
界面を浄化し、高温強度を高める働きがある。そ
の証左として、クリープ試験後溶接金属の顕微鏡
組織観察を行なうと、ボロンが入つていない場合
は柱状晶界面に沿つて割れが直線的に進行してい
るのに対し、ボロンを含有するものでは柱状晶界
面に気泡状の割れがまず発生し、クリープ変形と
ともに成長して互いに連ながつて破断に至る形態
が観察される。また、ボロンが入つていると900
〜1000℃の高温下で使用中に溶接金属を再結晶さ
せ、凝固組織が母材組織に近づく現象も認められ
る。 これまではニツケル基耐熱合金のみならずオー
ステナイト・ステンレス鋼にボロンを含有させる
と、柱状晶界面に融点の低いM2B2やM3B4(ここ
でMは金属元素を意味する)が形成され溶接割れ
を起こすとされており、またボロンを原子炉用材
料として使つた場合に中性子照射によつてぜい化
するので、ボロン含有量はなるべく少ない方が良
いとされていた。また、ニツケル基耐熱合金の溶
接金属のクリープ強さにはばらつきが多く、溶加
材の溶製により、あるいは製造者によつて特性が
著しく異なることが多かつた。本件の発明者はそ
の原因を究明する中でボロンの効果を見い出し、
しかもクリープ特性を改善するに有効な程度含有
しても全く溶接割れが起らないことを見出したも
のである。 以上に示した実施例はTIG溶接の場合である
が、MIG溶接や被覆アーク溶接にも全く同一理
由で適用が可能である。また溶加材の形状は直径
1.0〜2.6mm程度のワイヤ状のみならず、同程度の
断面積をもつた帯状のものでも使用できる。 これまで使用されているニツケル基耐熱合金の
溶接用溶加材は1〜10ppm程度のボロンを溶製時
に自然に混入しており、これが溶接金属のクリー
プ特性のばらつきの一因であつたと考えられる。 本発明による溶加材は、ボロン含有量の下限値
を30ppmとすることによりクリープ特性を確実良
好な領域にもつてくることができる。ボロン含有
量の上限値を150ppmとしたのは、実用上は
100ppmでも十分なのであるが、溶製時のボロン
の歩留りが悪いので多目に設定して確実に特性が
改善されるようにしたものである。またボロンが
150ppm含有されても、溶接割れなどの悪影響は
現われない。しかし200ppm程度になると他の不
純物との関連で溶接割れ感受性が高くなつたり、
溶接後の曲げ試験で割れることが多くなる。 つぎに、上記の説明から容易に理解できるよう
にボロンを適量含有したニツケル基耐熱合金は、
溶加材としてのみならず母材自身としても有用な
合金である。その一例として、ボロンを70ppm含
有する第1表に示す組成のニツケル基耐熱合金を
溶製し、第1図に示す丸棒形のクリープ試験片を
作成し、900℃、応力4.5Kgの条件でクリープ試験
を実施した。この結果を第3表に示す。
く改善される理由については次のように考えられ
る。溶接金属は凝固組織のままであつて柱状晶か
ら成つている。柱状晶と柱状晶の界面には、凝固
時に不純物元素が集まつており、高温になると界
面強度が弱くなつて界面で剥離するように破断し
やすい。このため破断延性が著しく小さく、破断
時間も短くなる。これに対し微量のボロンを添加
すると、柱状晶界面の不純物にボロンが結合して
界面を浄化し、高温強度を高める働きがある。そ
の証左として、クリープ試験後溶接金属の顕微鏡
組織観察を行なうと、ボロンが入つていない場合
は柱状晶界面に沿つて割れが直線的に進行してい
るのに対し、ボロンを含有するものでは柱状晶界
面に気泡状の割れがまず発生し、クリープ変形と
ともに成長して互いに連ながつて破断に至る形態
が観察される。また、ボロンが入つていると900
〜1000℃の高温下で使用中に溶接金属を再結晶さ
せ、凝固組織が母材組織に近づく現象も認められ
る。 これまではニツケル基耐熱合金のみならずオー
ステナイト・ステンレス鋼にボロンを含有させる
と、柱状晶界面に融点の低いM2B2やM3B4(ここ
でMは金属元素を意味する)が形成され溶接割れ
を起こすとされており、またボロンを原子炉用材
料として使つた場合に中性子照射によつてぜい化
するので、ボロン含有量はなるべく少ない方が良
いとされていた。また、ニツケル基耐熱合金の溶
接金属のクリープ強さにはばらつきが多く、溶加
材の溶製により、あるいは製造者によつて特性が
著しく異なることが多かつた。本件の発明者はそ
の原因を究明する中でボロンの効果を見い出し、
しかもクリープ特性を改善するに有効な程度含有
しても全く溶接割れが起らないことを見出したも
のである。 以上に示した実施例はTIG溶接の場合である
が、MIG溶接や被覆アーク溶接にも全く同一理
由で適用が可能である。また溶加材の形状は直径
1.0〜2.6mm程度のワイヤ状のみならず、同程度の
断面積をもつた帯状のものでも使用できる。 これまで使用されているニツケル基耐熱合金の
溶接用溶加材は1〜10ppm程度のボロンを溶製時
に自然に混入しており、これが溶接金属のクリー
プ特性のばらつきの一因であつたと考えられる。 本発明による溶加材は、ボロン含有量の下限値
を30ppmとすることによりクリープ特性を確実良
好な領域にもつてくることができる。ボロン含有
量の上限値を150ppmとしたのは、実用上は
100ppmでも十分なのであるが、溶製時のボロン
の歩留りが悪いので多目に設定して確実に特性が
改善されるようにしたものである。またボロンが
150ppm含有されても、溶接割れなどの悪影響は
現われない。しかし200ppm程度になると他の不
純物との関連で溶接割れ感受性が高くなつたり、
溶接後の曲げ試験で割れることが多くなる。 つぎに、上記の説明から容易に理解できるよう
にボロンを適量含有したニツケル基耐熱合金は、
溶加材としてのみならず母材自身としても有用な
合金である。その一例として、ボロンを70ppm含
有する第1表に示す組成のニツケル基耐熱合金を
溶製し、第1図に示す丸棒形のクリープ試験片を
作成し、900℃、応力4.5Kgの条件でクリープ試験
を実施した。この結果を第3表に示す。
【表】
【表】
第3表に示すようにボロン70ppmを含有する材
料はふつうのニツケル基耐熱合金に比して約4倍
クリープ破断時間が長くなる結果が得られた。ま
た、一般にニツケル基耐熱合金の破断伸びは試験
時間が長くなると低くなる傾向があり、欠点とさ
れている。ボロンの添加はこのような欠点を解決
するのにも有効である。さらに前述のようにボロ
ンの添加によつて高温延性が著しく向上するの
で、延性に依存することが大な高温疲れ特性の向
上にも有効である。
料はふつうのニツケル基耐熱合金に比して約4倍
クリープ破断時間が長くなる結果が得られた。ま
た、一般にニツケル基耐熱合金の破断伸びは試験
時間が長くなると低くなる傾向があり、欠点とさ
れている。ボロンの添加はこのような欠点を解決
するのにも有効である。さらに前述のようにボロ
ンの添加によつて高温延性が著しく向上するの
で、延性に依存することが大な高温疲れ特性の向
上にも有効である。
第1図は中央部で溶接された丸棒形クリープ試
験片、第2図は第1図の試験片の900℃における
クリープ破断強度を示す図、第3図は内圧クリー
プ試験用の中央部で溶接された管状のクリープ試
験片、第4図は溶接部がない場合の管状クリープ
試験体のクリープ変形および破断個所を示す図、
第5図は溶接部がある管状クリープ試験体のクリ
ープ変形形状を示す図、第6図は本発明による溶
加材中のボロン含有量と溶接継手付管状試験体の
クリープ破断時間との関係を示す図である。
験片、第2図は第1図の試験片の900℃における
クリープ破断強度を示す図、第3図は内圧クリー
プ試験用の中央部で溶接された管状のクリープ試
験片、第4図は溶接部がない場合の管状クリープ
試験体のクリープ変形および破断個所を示す図、
第5図は溶接部がある管状クリープ試験体のクリ
ープ変形形状を示す図、第6図は本発明による溶
加材中のボロン含有量と溶接継手付管状試験体の
クリープ破断時間との関係を示す図である。
Claims (1)
- 1 重量比率で、C:0.05〜0.15%、Mn:1.0%
以下、Si:1.0%以下、P:0.04%以下、S:0.03
%以下、Cr:20.5〜23.0%、Co:0.5〜2.5%、
Mo:8.0〜10.0%、W:0.20〜1.0%、Fe:17.0〜
20.0%、残部Niから成るニツケル基耐熱合金の溶
接用溶加材であつて、該溶加材は、重量比率で、
C:0.05〜0.15%、Mn:1.0%以下、Si:1.0以
下、P:0.04%以下、S:0.03%以下、Cr:20.5
〜23.0%、Co:0.5〜2.5%、Mo:8.0〜10.0%、
W:0.20〜1.0%、Fe:17.0〜20.0%、B:0.003〜
0.015%、残部Niから成ることを特徴とするニツ
ケル基耐熱合金の溶接用溶加材。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17592982A JPS5966994A (ja) | 1982-10-06 | 1982-10-06 | ニツケル基耐熱合金の溶接用溶加材 |
DE19833336221 DE3336221A1 (de) | 1982-10-06 | 1983-10-05 | Fueller fuer gegen schweisshitze bestaendige legierungen auf nickelbasis |
US06/731,614 US4673123A (en) | 1982-10-06 | 1985-05-07 | Filler for welding a heat resistant nickel-base alloy |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17592982A JPS5966994A (ja) | 1982-10-06 | 1982-10-06 | ニツケル基耐熱合金の溶接用溶加材 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS5966994A JPS5966994A (ja) | 1984-04-16 |
JPH0258040B2 true JPH0258040B2 (ja) | 1990-12-06 |
Family
ID=16004714
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP17592982A Granted JPS5966994A (ja) | 1982-10-06 | 1982-10-06 | ニツケル基耐熱合金の溶接用溶加材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS5966994A (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2583238B2 (ja) * | 1987-06-11 | 1997-02-19 | 新日本製鐵株式会社 | オーステナイト系ステンレス耐熱合金用tig溶接用溶加材 |
JPH01122694A (ja) * | 1987-11-07 | 1989-05-15 | Nippon Uerudeingurotsuto Kk | Ni基耐熱合金の溶接用溶加材 |
FR2786419B1 (fr) * | 1998-12-01 | 2001-01-05 | Imphy Sa | Electrode de soudage en alliage base nickel et alliage correspondant |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS51134341A (en) * | 1975-05-17 | 1976-11-20 | Nippon Steel Corp | Welding wire for heat resistant alloy |
JPS51139537A (en) * | 1975-05-28 | 1976-12-01 | Nippon Steel Corp | Welding rod for heat resistant alloy |
JPS5326221A (en) * | 1976-08-24 | 1978-03-10 | Daido Steel Co Ltd | Nickel based alloy suitable for cores of gas shielded welding rods |
-
1982
- 1982-10-06 JP JP17592982A patent/JPS5966994A/ja active Granted
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS51134341A (en) * | 1975-05-17 | 1976-11-20 | Nippon Steel Corp | Welding wire for heat resistant alloy |
JPS51139537A (en) * | 1975-05-28 | 1976-12-01 | Nippon Steel Corp | Welding rod for heat resistant alloy |
JPS5326221A (en) * | 1976-08-24 | 1978-03-10 | Daido Steel Co Ltd | Nickel based alloy suitable for cores of gas shielded welding rods |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS5966994A (ja) | 1984-04-16 |
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