JPH0257133B2 - - Google Patents
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- JPH0257133B2 JPH0257133B2 JP60043981A JP4398185A JPH0257133B2 JP H0257133 B2 JPH0257133 B2 JP H0257133B2 JP 60043981 A JP60043981 A JP 60043981A JP 4398185 A JP4398185 A JP 4398185A JP H0257133 B2 JPH0257133 B2 JP H0257133B2
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Classifications
-
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- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02T—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
- Y02T10/00—Road transport of goods or passengers
- Y02T10/80—Technologies aiming to reduce greenhouse gasses emissions common to all road transportation technologies
- Y02T10/86—Optimisation of rolling resistance, e.g. weight reduction
Landscapes
- Metal Rolling (AREA)
- Heat Treatment Of Steel (AREA)
- Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)
Description
(産業上の利用分野)
耐リジング性と加工性に優れた低降伏比薄鋼板
の製造に関してこの明細書で述べる技術内容は、
圧延条件の規制により冷間圧延および再結晶焼鈍
工程を省略し得る新プロセスについての開発成果
を開示するところにある。 建材、自動車車体材、缶材ないしは各種表面処
理原板などの用途に使用される板厚がおよそ2mm
以下の加工用薄鋼板には以下のような特性が要求
される。 (1) 機械的特性 良好な曲げ加工性、張り出し加工性および絞
り加工性を得るために、主として高い延性と高
いランクフオード値(r値)が必要である。 とくに自動車外板などに使用されるものにつ
いては、低降伏比YR(%)=(降伏強度/引張
強さ)×100なる特性が要求される。これはYR
が低いと比較的軽加工される部位たとえばドア
アウターの取つてまわりなどの面ひずみを抑え
ることが可能だからである。また近年スポツト
溶接点の数の低減等をねらいパネルを大型化す
る傾向にあるが、この場合も低YRであること
は面歪の少ないプレス加工にきわめて有効であ
る。 (2) 表面特性 これら材料は主として最終製品の最外側に使
用されるため、素材としての形状および表面美
麗さはもちろんのこと、成形加工後の表面性状
が重要である。 これら薄鋼板の一般的な製造手段は、次のとお
りである。 まず鋼素材としては主に低炭素鋼を用い、造塊
−分塊圧延にて板厚200mm程度の鋼片とした後、
加熱炉にて加熱−均熱処理し、ついで粗熱延工程
により板厚約30mmのシートバーとしてから、仕上
温度がAr3変態点以上の範囲における仕上熱延工
程にて所定板厚の熱延鋼帯とし、しかるのちそれ
を酸洗後、冷間圧延により所定板厚(2.0mm以下)
の冷延鋼帯とし、さらに再結晶焼鈍を施して最終
製品とする。 かかる慣行の最大の欠点は最終製品に至るまで
の工程がきわめて長いことにある。その結果、製
品にするまでに要するエネルギー、要員および時
間が莫大になるだけでなく、これら長い工程中
に、製品の品質とくに表面特性上種々の問題を生
じさせる不利も加わる。例えば冷間圧延工程にお
ける表面欠陥の発生、あるいは再結晶焼鈍工程に
おける不純物元素の表面濃化および表面酸化に起
因する表面美麗さの劣化、さらには表面処理性の
劣化などが不可避的トラブルである。 ところで加工用薄鋼板の製造法としては、熱間
圧延工程にて最終製品とするものも考えられてい
る。この方法によれば、冷間圧延および再結晶焼
鈍工程が省略でき、そのメリツトは大きい。 しかしながら、熱間圧延のままで得られる薄鋼
板の機械的特性は、冷延−焼鈍工程を経たものに
比べるとはるかに劣る。とくに自動車の車体など
に使用されるプレス加工材には優れた深絞り性が
要求されるのに対し、熱延鋼板のr値は1.0前後
と低く、そのためその加工用途はきわめて限られ
たものになる。これは従来の熱延方法において
は、その仕上温度がAr3変態的以上であるため、
γ→α変態時に集合組織がランダム化するためで
ある。加えて2.0mm以下の板厚の薄鋼板を熱延工
程のみで製造することはきわめて困難である。し
かも寸法精度の問題の他に、薄くなることによる
鋼板温度の低下は、低炭素鋼のAr3変態点以下の
圧延を余儀なくし、材質(延性、絞り性)の著し
い劣化をもたらす。またたとえAr3変態点以下の
圧延によつて材質が確保できたとしても、フエラ
イト域で圧延された鋼板にはリジングが発生しや
すくなるという新たな問題が生じる。 ここにリジングとは製品の加工時に生じる表面
の凹凸の欠陥であつて、加工製品の最外側に使用
されることが主であるこの種の鋼板にとつては致
命的な欠陥である。 リジングは、金属学的には加工−再結晶過程を
経ても容易には分割されない結晶方位群(例えば
{100}方位粒群)が圧延方向に伸ばされたまま残
留することに起因するものであり、一般にフエラ
イト(α)域の比較的高温で加工された状況で生
じやすく、とくにフエライト域での圧下率が高い
場合すなわち薄鋼板の製造のような場合にはその
傾向が強い。 最近では、これら加工用薄鋼板は、加工製品の
複雑化、高級化に伴い厳しい加工を受けることが
多くなつたこともあり、優れた耐リジング性が要
求されるようになつてきた。 ところで近年鉄鋼材料の製造工程は著しく変化
しており、加工用薄鋼板の場合も例外ではない。 すなわち、近年まず連続鋳造プロセスの導入に
よつて分塊圧延工程が省略可能となり、また材質
向上と省エネルギーを目的として鋼片の加熱温度
は従来の1200℃近傍から1100℃近傍もしくはそれ
以下に低下される傾向にある。さらに溶鋼から直
ちに板厚50mm以下の鋼帯を溶製することにより、
熱延の加熱処理と粗圧延工程を省略できるプロセ
スも実用化されつつある。 しかしながらこれらの新製造工程は、いずれも
溶鋼が凝固する際にできる組織(鋳造組織)を破
壊するという点では不利である。とくに凝固時に
形成された{100}<uvw>を主方位とする強い鋳
造集合組織を破壊することはきわめて困難であ
る。 その結果として、最終薄鋼板には、前述したリ
ジングが起こりやすかつたのである。 (従来の技術) Ar3変態点以下の比較的低温域で所定板厚の薄
鋼板とし、その後は冷間圧延および再結晶焼鈍工
程を施さない加工用薄鋼板の製造方法もいくつか
提示されている。例えば特開昭48−4329号公報に
は、低炭素リムド鋼をAr3変態点以下の温度で90
%の圧延にて4mm板厚の鋼帯とすることによる降
伏点26.1Kg/mm2、引張強さ37.3Kg/mm2、伸び49.7
%、=1.29の特性を有する製造例が示されてい
る。また特開昭52−44718号公報には同じく低炭
素リムド鋼を熱延仕上温度800〜860℃(Ar3変態
点以下)で2.0mm板厚とし、巻取温度600〜730℃
とすることによる、降伏点20Kg/mm2以下の低降伏
点鋼板の製造法が示されている。しかしながら絞
り性の指標であるコニカルカツプ値は得られる製
品で60.60〜62.18mm程度であり、この点従来例の
60.58〜60.61に比べると絞り性は同等かそれ以下
である。さらに特開昭53−22850号公報には同じ
く低炭素リムド鋼を熱延仕上温度710〜750℃で
1.8〜2.3mm板厚とし、巻取温度530〜600℃とする
ことによる低炭素熱延鋼板の製造法が示されい
る。しかしながらこの方法によつて得られる製品
のコニカルカツプ値も上掲の特開昭52−44718号
公報の場合と同様に従来例よりも高く、絞り性は
劣つている。またさらに特開昭54−109022号公報
には、低炭素アルミキルド鋼を熱延仕上温度760
〜820℃で1.6mm板厚とし、巻取温度650〜690℃と
することによる降伏点14.9〜18.8Kg/mm2、引張強
さ27.7〜29.8Kg/mm2、伸び39.0〜44.8%の特性を
有する低強度軟鋼板の製造例が開示されている。
その他特開昭59−226149号公報にはC/0.002、
Si/0.02、Mn0.23、P/0.009、S/0.008、Al/
0.025、N/0.0021、Ti/0.10の低炭素Alキルド
鋼を500〜900℃で潤滑油を施しつつ76%の圧延に
て1.6mm板厚の鋼帯とすることにより、=1.21
の特性を有する薄鋼板の製造例が示されている。 しかしながら上記した公知技術にはいずれも、
前述した耐リジング性を向上させることについて
は何らの考慮も払われていない。 (発明が解決しようとする問題点) 冷間圧延のみならず再結晶焼鈍をも含まない新
プロセスによつて、耐リジング性と加工性に優れ
しかも低降伏比の薄鋼板の製造方法を与えること
が、この発明の目的である。 (問題点を解決するための手段) この発明は、低炭素鋼を所定板厚に圧延する工
程において、少なくとも1パスを、 Ar3変態点以下、500℃以上の温度範囲で、圧
下率:35%以上でかつひずみ速度:300(s-1)以
上で仕上げ、ひき続き500℃以上の温度で0.2秒以
上熱処理することを特徴とする耐リジング性に優
れ低降伏比を有するアズロールド薄鋼板の製造方
法である。 この発明の基礎となつた研究結果からまず説明
する。 供試材は表1に示す2種類の低炭アルミキルド
鋼の熱延鋼板であり、これらの供試材A、Bを
700℃に過熱、均熱後、1パスで20%、40%およ
び60%の各圧下率でそれぞれ圧延した。
の製造に関してこの明細書で述べる技術内容は、
圧延条件の規制により冷間圧延および再結晶焼鈍
工程を省略し得る新プロセスについての開発成果
を開示するところにある。 建材、自動車車体材、缶材ないしは各種表面処
理原板などの用途に使用される板厚がおよそ2mm
以下の加工用薄鋼板には以下のような特性が要求
される。 (1) 機械的特性 良好な曲げ加工性、張り出し加工性および絞
り加工性を得るために、主として高い延性と高
いランクフオード値(r値)が必要である。 とくに自動車外板などに使用されるものにつ
いては、低降伏比YR(%)=(降伏強度/引張
強さ)×100なる特性が要求される。これはYR
が低いと比較的軽加工される部位たとえばドア
アウターの取つてまわりなどの面ひずみを抑え
ることが可能だからである。また近年スポツト
溶接点の数の低減等をねらいパネルを大型化す
る傾向にあるが、この場合も低YRであること
は面歪の少ないプレス加工にきわめて有効であ
る。 (2) 表面特性 これら材料は主として最終製品の最外側に使
用されるため、素材としての形状および表面美
麗さはもちろんのこと、成形加工後の表面性状
が重要である。 これら薄鋼板の一般的な製造手段は、次のとお
りである。 まず鋼素材としては主に低炭素鋼を用い、造塊
−分塊圧延にて板厚200mm程度の鋼片とした後、
加熱炉にて加熱−均熱処理し、ついで粗熱延工程
により板厚約30mmのシートバーとしてから、仕上
温度がAr3変態点以上の範囲における仕上熱延工
程にて所定板厚の熱延鋼帯とし、しかるのちそれ
を酸洗後、冷間圧延により所定板厚(2.0mm以下)
の冷延鋼帯とし、さらに再結晶焼鈍を施して最終
製品とする。 かかる慣行の最大の欠点は最終製品に至るまで
の工程がきわめて長いことにある。その結果、製
品にするまでに要するエネルギー、要員および時
間が莫大になるだけでなく、これら長い工程中
に、製品の品質とくに表面特性上種々の問題を生
じさせる不利も加わる。例えば冷間圧延工程にお
ける表面欠陥の発生、あるいは再結晶焼鈍工程に
おける不純物元素の表面濃化および表面酸化に起
因する表面美麗さの劣化、さらには表面処理性の
劣化などが不可避的トラブルである。 ところで加工用薄鋼板の製造法としては、熱間
圧延工程にて最終製品とするものも考えられてい
る。この方法によれば、冷間圧延および再結晶焼
鈍工程が省略でき、そのメリツトは大きい。 しかしながら、熱間圧延のままで得られる薄鋼
板の機械的特性は、冷延−焼鈍工程を経たものに
比べるとはるかに劣る。とくに自動車の車体など
に使用されるプレス加工材には優れた深絞り性が
要求されるのに対し、熱延鋼板のr値は1.0前後
と低く、そのためその加工用途はきわめて限られ
たものになる。これは従来の熱延方法において
は、その仕上温度がAr3変態的以上であるため、
γ→α変態時に集合組織がランダム化するためで
ある。加えて2.0mm以下の板厚の薄鋼板を熱延工
程のみで製造することはきわめて困難である。し
かも寸法精度の問題の他に、薄くなることによる
鋼板温度の低下は、低炭素鋼のAr3変態点以下の
圧延を余儀なくし、材質(延性、絞り性)の著し
い劣化をもたらす。またたとえAr3変態点以下の
圧延によつて材質が確保できたとしても、フエラ
イト域で圧延された鋼板にはリジングが発生しや
すくなるという新たな問題が生じる。 ここにリジングとは製品の加工時に生じる表面
の凹凸の欠陥であつて、加工製品の最外側に使用
されることが主であるこの種の鋼板にとつては致
命的な欠陥である。 リジングは、金属学的には加工−再結晶過程を
経ても容易には分割されない結晶方位群(例えば
{100}方位粒群)が圧延方向に伸ばされたまま残
留することに起因するものであり、一般にフエラ
イト(α)域の比較的高温で加工された状況で生
じやすく、とくにフエライト域での圧下率が高い
場合すなわち薄鋼板の製造のような場合にはその
傾向が強い。 最近では、これら加工用薄鋼板は、加工製品の
複雑化、高級化に伴い厳しい加工を受けることが
多くなつたこともあり、優れた耐リジング性が要
求されるようになつてきた。 ところで近年鉄鋼材料の製造工程は著しく変化
しており、加工用薄鋼板の場合も例外ではない。 すなわち、近年まず連続鋳造プロセスの導入に
よつて分塊圧延工程が省略可能となり、また材質
向上と省エネルギーを目的として鋼片の加熱温度
は従来の1200℃近傍から1100℃近傍もしくはそれ
以下に低下される傾向にある。さらに溶鋼から直
ちに板厚50mm以下の鋼帯を溶製することにより、
熱延の加熱処理と粗圧延工程を省略できるプロセ
スも実用化されつつある。 しかしながらこれらの新製造工程は、いずれも
溶鋼が凝固する際にできる組織(鋳造組織)を破
壊するという点では不利である。とくに凝固時に
形成された{100}<uvw>を主方位とする強い鋳
造集合組織を破壊することはきわめて困難であ
る。 その結果として、最終薄鋼板には、前述したリ
ジングが起こりやすかつたのである。 (従来の技術) Ar3変態点以下の比較的低温域で所定板厚の薄
鋼板とし、その後は冷間圧延および再結晶焼鈍工
程を施さない加工用薄鋼板の製造方法もいくつか
提示されている。例えば特開昭48−4329号公報に
は、低炭素リムド鋼をAr3変態点以下の温度で90
%の圧延にて4mm板厚の鋼帯とすることによる降
伏点26.1Kg/mm2、引張強さ37.3Kg/mm2、伸び49.7
%、=1.29の特性を有する製造例が示されてい
る。また特開昭52−44718号公報には同じく低炭
素リムド鋼を熱延仕上温度800〜860℃(Ar3変態
点以下)で2.0mm板厚とし、巻取温度600〜730℃
とすることによる、降伏点20Kg/mm2以下の低降伏
点鋼板の製造法が示されている。しかしながら絞
り性の指標であるコニカルカツプ値は得られる製
品で60.60〜62.18mm程度であり、この点従来例の
60.58〜60.61に比べると絞り性は同等かそれ以下
である。さらに特開昭53−22850号公報には同じ
く低炭素リムド鋼を熱延仕上温度710〜750℃で
1.8〜2.3mm板厚とし、巻取温度530〜600℃とする
ことによる低炭素熱延鋼板の製造法が示されい
る。しかしながらこの方法によつて得られる製品
のコニカルカツプ値も上掲の特開昭52−44718号
公報の場合と同様に従来例よりも高く、絞り性は
劣つている。またさらに特開昭54−109022号公報
には、低炭素アルミキルド鋼を熱延仕上温度760
〜820℃で1.6mm板厚とし、巻取温度650〜690℃と
することによる降伏点14.9〜18.8Kg/mm2、引張強
さ27.7〜29.8Kg/mm2、伸び39.0〜44.8%の特性を
有する低強度軟鋼板の製造例が開示されている。
その他特開昭59−226149号公報にはC/0.002、
Si/0.02、Mn0.23、P/0.009、S/0.008、Al/
0.025、N/0.0021、Ti/0.10の低炭素Alキルド
鋼を500〜900℃で潤滑油を施しつつ76%の圧延に
て1.6mm板厚の鋼帯とすることにより、=1.21
の特性を有する薄鋼板の製造例が示されている。 しかしながら上記した公知技術にはいずれも、
前述した耐リジング性を向上させることについて
は何らの考慮も払われていない。 (発明が解決しようとする問題点) 冷間圧延のみならず再結晶焼鈍をも含まない新
プロセスによつて、耐リジング性と加工性に優れ
しかも低降伏比の薄鋼板の製造方法を与えること
が、この発明の目的である。 (問題点を解決するための手段) この発明は、低炭素鋼を所定板厚に圧延する工
程において、少なくとも1パスを、 Ar3変態点以下、500℃以上の温度範囲で、圧
下率:35%以上でかつひずみ速度:300(s-1)以
上で仕上げ、ひき続き500℃以上の温度で0.2秒以
上熱処理することを特徴とする耐リジング性に優
れ低降伏比を有するアズロールド薄鋼板の製造方
法である。 この発明の基礎となつた研究結果からまず説明
する。 供試材は表1に示す2種類の低炭アルミキルド
鋼の熱延鋼板であり、これらの供試材A、Bを
700℃に過熱、均熱後、1パスで20%、40%およ
び60%の各圧下率でそれぞれ圧延した。
【表】
このときのひずみ速度(ε〓)と圧延後の鋼板の
r値およびリジング指数との関係を第1図に示
す。 値およびリジング指数はひずみ速度と圧下率
とに強く依存し、圧下率35%以上でかつ300s-1以
上の高ひずみ速度にすることにより、値および
耐リジング性は著しく向上した。 なおひずみ速度(ε〓)の計算は以下の式に従つ
た。 n:圧延ロールの回転数(rpm) r:圧下率(%)/100 R:圧延ロールの半径(mm) H0:圧延前の板厚(mm) また同じく表1に示したB鋼の圧延鋼板を用い
650℃に加熱均熱後、1パスで圧下率:60%、ε〓
=1042s-1で圧延し、連続的に600℃に加熱してい
る炉にて熱処理したときの保持時間と降伏比
(YR)の関係について調べた結果を第2図に示
す。 同図より明らかなように0.2秒以上の保持によ
りYRが55%以下となり優れたYRとなる。 発明者らは、これらの基礎的データに基づき研
究を重ねた結果、以下のように製造条件を規制す
ることにより耐リジング性と加工性優れる低降伏
比薄鋼板が製造できることを確認した。 (1) 鋼組成 高ひずみ速度圧延の効果は本質的には鋼組成
に依存しない。ただし、一定レベル以上の加工
性を確保するためには、侵入型固溶元素である
C、Nはそれぞれ0.10%以下、0.10%以下であ
ることが望ましい。また鋼中OをAlの添加に
より低減することは、材質とくに延性の向上に
有利である。 (2) 圧延素材の製造法 従来方式、すなわち造塊−分塊圧延もしくは
連続鋳造法により得られた鋼片は当然に適用で
きる。 鋼片の加熱温度は800〜1250℃が適当であり、
省エネルギーの観点から1100℃未満が好適であ
る。連続鋳造から鋼片を再加熱することなく圧
延を開始するいわゆるCC−DR(連続鋳造−直
接圧延)法も勿論適用可能である。 一方溶鋼から直ちに50mm以下の圧延素材を鋳
造する方法(シートバーキヤスター法およびト
リツプキヤスター法)も省エネルギー、省工程
の観点から経済的メリツトが大きいので、圧延
素材の製造法としてはとりわけ有利である。 (3) 圧延工程 この工程が最も重要であり、低炭素鋼を所定
の板厚に圧延するに当り、仕上圧延において、
少なくとも1パスを、Ar3変態点以下、500℃
以上の温度範囲で、圧下率35%以上でかつひず
み速度300s-1以上で仕上げ、ひき続き鋼板を
500℃以上で0.2秒以上熱処理することが必須で
ある。 仕上圧延温度がAr3変態点を越える高温域で
は、たとえ圧下率35%以上、ひずみ速度300s-1
以上で圧延を施したとしても、加工性、耐リジ
ング性とも劣るものしか得られず、一方500℃
未満では、変形抵抗の著しい増大をもたらし、
冷間圧延法で特有な問題が生じるため仕上圧延
温度はAr3変態点〜500℃の範囲に限定した。 またひずみ速度については、300s-1に満たな
いと目標とする材質が確保できないので、
300s-1以上とりわけ500〜2500s-1が好適であ
る。 圧延パス数、圧下率の配分は、上記の条件が
満たされれば任意でよい。 圧延機の配列、構造、ロール径や、張力、潤
滑の有無などは本質的な影響力を持たない。 なお圧延後の熱処理は、冷却方法の制御また
は加熱炉や加熱ロールなどの加熱装置による加
熱処理のいずれでもよく、要は500℃以上の温
度に0.2秒以上保持することが肝要である。 (4) 酸洗、調質圧延 上述の手順で得られた鋼帯は、従来よりも低
温域での圧延であるため酸化層は薄く、酸洗性
は極めて良好であるので、酸洗せずに使用でき
る用途も広い。また脱スケールは、従来の酸に
よる除去の他に機械的除去も可能である。さら
に形状矯正、表面粗度調整などを目的として、
10%以下の調質圧延を加えることができる。 (5) 表面処理 かくして得られる鋼帯は、亜鉛めつき(合金
系を含む)、錫めつきおよびほうろう性など表
面処理性に優れるので、各種表面処理原板とし
て適用できる。 (作用) 耐リジング性さらには値が格段に向上する理
由については、次のとおりと考えられる。 圧延後の再結晶集合組織の形成は、圧延時に導
入される加工ひずみ量に大きく依存することが知
られている。すなわち、{222}方位粒に対する加
工ひずみ量が多いと、{222}方位を主方位とする
再結晶集合組織が形成される。従来行われてきた
圧延速度では、圧延時に導入される加工ひずみは
{200}方位粒が多く、そのため再結晶集合組織に
は{200}方位が集積しその結果低い値しか得
られなかつた。 しかしながらこの発明に従う高ひずみ速度圧延
では、{222}方位粒に導入される加工ひずみ量が
増大し、その結果{222}方位を主方位とする再
結晶集合組織が形成されるので、値が格段に向
上する。 さらに、{222}方位粒への加工ひずみにより、
{222}方位粒の再結晶が優先的に進行するため、
リジング発生の主原因である{200}方位粒を侵
食し、耐リジング性も向上する。 (実施例) 表2に示す組成鋼を表3に示す方法で板厚25〜
30mm板厚のシートバーとし、6列から成る圧延機
を用いて0.8〜1.6mm板厚の薄鋼板とした。このと
き等6スタンドを用いて高ひずみ速度圧延を行な
つた。仕上圧延機直後にある水冷装置により鋼板
の温度500℃以上における滞留時間を0.1〜5秒に
変化させた。その後鋼板を巻取り放冷後、調室圧
延(0.5〜1.0%)を施したのちの材料特性を表3
に示す。 なお引張特性JIS5号試験片として求めた。また
リジング性は、圧延方向から切り出したJIS5号試
験片を用い、15%の引張予ひずみを付加したもの
について、表面の凹凸を目視法にて1(良)〜5
(劣)の評価をした。この評価は、在来の低炭素
冷延鋼板の製造法によるとき、リジングが事実上
現れなかつたので評価基準が確立していない。従
つて、本発明では従来ステンレス鋼についての目
視法による指数評価基準をそのまま準用した。評
価1、2は実用上問題のないリジング性を示す。
r値およびリジング指数との関係を第1図に示
す。 値およびリジング指数はひずみ速度と圧下率
とに強く依存し、圧下率35%以上でかつ300s-1以
上の高ひずみ速度にすることにより、値および
耐リジング性は著しく向上した。 なおひずみ速度(ε〓)の計算は以下の式に従つ
た。 n:圧延ロールの回転数(rpm) r:圧下率(%)/100 R:圧延ロールの半径(mm) H0:圧延前の板厚(mm) また同じく表1に示したB鋼の圧延鋼板を用い
650℃に加熱均熱後、1パスで圧下率:60%、ε〓
=1042s-1で圧延し、連続的に600℃に加熱してい
る炉にて熱処理したときの保持時間と降伏比
(YR)の関係について調べた結果を第2図に示
す。 同図より明らかなように0.2秒以上の保持によ
りYRが55%以下となり優れたYRとなる。 発明者らは、これらの基礎的データに基づき研
究を重ねた結果、以下のように製造条件を規制す
ることにより耐リジング性と加工性優れる低降伏
比薄鋼板が製造できることを確認した。 (1) 鋼組成 高ひずみ速度圧延の効果は本質的には鋼組成
に依存しない。ただし、一定レベル以上の加工
性を確保するためには、侵入型固溶元素である
C、Nはそれぞれ0.10%以下、0.10%以下であ
ることが望ましい。また鋼中OをAlの添加に
より低減することは、材質とくに延性の向上に
有利である。 (2) 圧延素材の製造法 従来方式、すなわち造塊−分塊圧延もしくは
連続鋳造法により得られた鋼片は当然に適用で
きる。 鋼片の加熱温度は800〜1250℃が適当であり、
省エネルギーの観点から1100℃未満が好適であ
る。連続鋳造から鋼片を再加熱することなく圧
延を開始するいわゆるCC−DR(連続鋳造−直
接圧延)法も勿論適用可能である。 一方溶鋼から直ちに50mm以下の圧延素材を鋳
造する方法(シートバーキヤスター法およびト
リツプキヤスター法)も省エネルギー、省工程
の観点から経済的メリツトが大きいので、圧延
素材の製造法としてはとりわけ有利である。 (3) 圧延工程 この工程が最も重要であり、低炭素鋼を所定
の板厚に圧延するに当り、仕上圧延において、
少なくとも1パスを、Ar3変態点以下、500℃
以上の温度範囲で、圧下率35%以上でかつひず
み速度300s-1以上で仕上げ、ひき続き鋼板を
500℃以上で0.2秒以上熱処理することが必須で
ある。 仕上圧延温度がAr3変態点を越える高温域で
は、たとえ圧下率35%以上、ひずみ速度300s-1
以上で圧延を施したとしても、加工性、耐リジ
ング性とも劣るものしか得られず、一方500℃
未満では、変形抵抗の著しい増大をもたらし、
冷間圧延法で特有な問題が生じるため仕上圧延
温度はAr3変態点〜500℃の範囲に限定した。 またひずみ速度については、300s-1に満たな
いと目標とする材質が確保できないので、
300s-1以上とりわけ500〜2500s-1が好適であ
る。 圧延パス数、圧下率の配分は、上記の条件が
満たされれば任意でよい。 圧延機の配列、構造、ロール径や、張力、潤
滑の有無などは本質的な影響力を持たない。 なお圧延後の熱処理は、冷却方法の制御また
は加熱炉や加熱ロールなどの加熱装置による加
熱処理のいずれでもよく、要は500℃以上の温
度に0.2秒以上保持することが肝要である。 (4) 酸洗、調質圧延 上述の手順で得られた鋼帯は、従来よりも低
温域での圧延であるため酸化層は薄く、酸洗性
は極めて良好であるので、酸洗せずに使用でき
る用途も広い。また脱スケールは、従来の酸に
よる除去の他に機械的除去も可能である。さら
に形状矯正、表面粗度調整などを目的として、
10%以下の調質圧延を加えることができる。 (5) 表面処理 かくして得られる鋼帯は、亜鉛めつき(合金
系を含む)、錫めつきおよびほうろう性など表
面処理性に優れるので、各種表面処理原板とし
て適用できる。 (作用) 耐リジング性さらには値が格段に向上する理
由については、次のとおりと考えられる。 圧延後の再結晶集合組織の形成は、圧延時に導
入される加工ひずみ量に大きく依存することが知
られている。すなわち、{222}方位粒に対する加
工ひずみ量が多いと、{222}方位を主方位とする
再結晶集合組織が形成される。従来行われてきた
圧延速度では、圧延時に導入される加工ひずみは
{200}方位粒が多く、そのため再結晶集合組織に
は{200}方位が集積しその結果低い値しか得
られなかつた。 しかしながらこの発明に従う高ひずみ速度圧延
では、{222}方位粒に導入される加工ひずみ量が
増大し、その結果{222}方位を主方位とする再
結晶集合組織が形成されるので、値が格段に向
上する。 さらに、{222}方位粒への加工ひずみにより、
{222}方位粒の再結晶が優先的に進行するため、
リジング発生の主原因である{200}方位粒を侵
食し、耐リジング性も向上する。 (実施例) 表2に示す組成鋼を表3に示す方法で板厚25〜
30mm板厚のシートバーとし、6列から成る圧延機
を用いて0.8〜1.6mm板厚の薄鋼板とした。このと
き等6スタンドを用いて高ひずみ速度圧延を行な
つた。仕上圧延機直後にある水冷装置により鋼板
の温度500℃以上における滞留時間を0.1〜5秒に
変化させた。その後鋼板を巻取り放冷後、調室圧
延(0.5〜1.0%)を施したのちの材料特性を表3
に示す。 なお引張特性JIS5号試験片として求めた。また
リジング性は、圧延方向から切り出したJIS5号試
験片を用い、15%の引張予ひずみを付加したもの
について、表面の凹凸を目視法にて1(良)〜5
(劣)の評価をした。この評価は、在来の低炭素
冷延鋼板の製造法によるとき、リジングが事実上
現れなかつたので評価基準が確立していない。従
つて、本発明では従来ステンレス鋼についての目
視法による指数評価基準をそのまま準用した。評
価1、2は実用上問題のないリジング性を示す。
【表】
【表】
【表】
注☆:比較例、無印:適合例
この発明に従つて製造された鋼板は比較例より
も優れた値と耐リジング性さらには低降伏比を
示していた。 (発明の効果) かくしてこの発明によれば、Ar3変態点〜500
℃の温度範囲における高圧下率、高ひずみ速度圧
延および引続く短時間熱処理により、従来の冷間
圧延のみならず再結晶焼鈍をも省略したアズロー
ルドのままで、良好な加工性と共に優れた耐リジ
ング性をもちしかも低降伏比を有する薄鋼板を得
ることができ、しかも圧延素材についてもシート
バーキヤスター法、ストリツプキヤスター法など
に適合するなど、加工用薄鋼板の製造工程の大幅
な簡略化が実現できる。
この発明に従つて製造された鋼板は比較例より
も優れた値と耐リジング性さらには低降伏比を
示していた。 (発明の効果) かくしてこの発明によれば、Ar3変態点〜500
℃の温度範囲における高圧下率、高ひずみ速度圧
延および引続く短時間熱処理により、従来の冷間
圧延のみならず再結晶焼鈍をも省略したアズロー
ルドのままで、良好な加工性と共に優れた耐リジ
ング性をもちしかも低降伏比を有する薄鋼板を得
ることができ、しかも圧延素材についてもシート
バーキヤスター法、ストリツプキヤスター法など
に適合するなど、加工用薄鋼板の製造工程の大幅
な簡略化が実現できる。
第1図は、値およびリジング指数に及ぼすひ
ずみ速度の影響を、圧下率をパラメータとして示
したグラフ、第2図は、圧延後600℃における保
持時間とYRとの関係を示したグラフである。
ずみ速度の影響を、圧下率をパラメータとして示
したグラフ、第2図は、圧延後600℃における保
持時間とYRとの関係を示したグラフである。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 低炭素鋼を所定板厚に圧延する工程におい
て、少なくとも1パスを、 Ar3変態点以下、500℃以上の温度範囲で、ひ
ずみ速度:300(s-1)以上、圧下率:35%以上で
仕上げ、 ひき続き500℃以上の温度で0.2秒以上熱処理す
ることを特徴とする耐リジング性に優れ低降伏比
を有する加工用アズロールド薄鋼板の製造方法。
Priority Applications (10)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP60043981A JPS61204330A (ja) | 1985-03-06 | 1985-03-06 | 耐リジング性に優れ低降伏比を有する加工用アズロ−ルド薄鋼板の製造方法 |
AT86301470T ATE54950T1 (de) | 1985-03-06 | 1986-02-28 | Verfahren zur herstellung von gewalzten verformbaren duennen stahlblechen. |
US06/835,052 US4861390A (en) | 1985-03-06 | 1986-02-28 | Method of manufacturing formable as-rolled thin steel sheets |
EP86301470A EP0196788B1 (en) | 1985-03-06 | 1986-02-28 | Method of manufacturing formable as rolled thin steel sheets |
DE8686301470T DE3672864D1 (de) | 1985-03-06 | 1986-02-28 | Verfahren zur herstellung von gewalzten verformbaren duennen stahlblechen. |
CA000503250A CA1271396A (en) | 1985-03-06 | 1986-03-04 | Method of manufacturing formable as-rolled thin steel sheets |
AU54387/86A AU566498B2 (en) | 1985-03-06 | 1986-03-04 | Producing thin steel sheet |
CN 86102191 CN1013350B (zh) | 1985-03-06 | 1986-03-05 | 可成型的轧制薄钢板的制造方法 |
KR1019860001578A KR910000007B1 (ko) | 1985-03-06 | 1986-03-06 | 압연 상태의 얇은 가공용 강판의 제조방법 |
BR8600962A BR8600962A (pt) | 1985-03-06 | 1986-03-06 | Processo de fabricar chapas de aco finas,conformaveis como laminadas |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP60043981A JPS61204330A (ja) | 1985-03-06 | 1985-03-06 | 耐リジング性に優れ低降伏比を有する加工用アズロ−ルド薄鋼板の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS61204330A JPS61204330A (ja) | 1986-09-10 |
JPH0257133B2 true JPH0257133B2 (ja) | 1990-12-04 |
Family
ID=12678893
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP60043981A Granted JPS61204330A (ja) | 1985-03-06 | 1985-03-06 | 耐リジング性に優れ低降伏比を有する加工用アズロ−ルド薄鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS61204330A (ja) |
-
1985
- 1985-03-06 JP JP60043981A patent/JPS61204330A/ja active Granted
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS61204330A (ja) | 1986-09-10 |
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