JPH0256561B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の利用分野〕 本発明は微粉燃料の燃焼方法に係り、特に燃焼
性の悪い石油コークスを燃料成分とし、その燃焼
を油焚ボイラ等で効果的に行わせることのできる
微粉燃料の燃焼方法に関する。

〔発明の背景〕

ボイラー等の燃焼炉用燃料としては主として重
油が用いられてきたが、近年の石油事情の悪化に
より固体燃料を用いてこれを燃焼炉に用いる技術
が研究されている。固体燃料としては、一般に微
粉石炭や重油と微粉石炭の混合燃料が知られてい
るが、石炭に多量に含まれる灰分の処理が問題と
なるため、最近では灰分が実質的に含まれず、燃
料コストの低廉な石油精製プロセスから出る残渣
が着目されている。

しかし、石油精製残渣のうち揮発分の高いピツ
チは微粉にして重油並の燃焼性が得られるものの
生産量の多いデイレードコークスやフルードコー
クス等の石油コークスについては、セメントキル
ン等の燃料として用いられる傾向にあるが、低揮
発分のために燃焼性が悪く、したがつて、重油焚
ボイラー等の燃料として用いることは困難であ
る。斯かる観点から、燃焼性の悪い石油コークス
に燃焼性の良い燃料を混合し、石油コークスを効
率よく燃焼させる方法として、微粉コークスと重
油のスラリー燃料とすること、あるいは微粉コー
クスにガスあるいは重油を助燃剤として使用する
方法等が考えられる。しかし、前者の場合には、
炉内に霧化された時、重油は微粉コークス表面に
付着しており、最初にコークス表面の重油が燃焼
を開始し、重油の燃焼が終了した後にコークス燃
焼が開始されることとなる。また、後者の方法に
おいても、コークスの燃焼速度に比較して、助燃
剤の燃焼速度は極めて速い。したがつて、いずれ
の方法によつてもコークスの固定炭素分の燃焼時
には重油あるいはガス等の燃焼性の良い燃料の燃
焼が終了しているために、コークスの固定炭素分
の燃焼速度を効果的に高めることができないとい
う欠点がある。それ故、石油コークスを通常の燃
焼炉に用いるための燃焼技術は未だ確立されてい
ないのが現状であり、石油コークスを燃料として
用いることができないという問題点があつたもの
である。

〔発明の目的〕

本発明は、上記従来の問題点に着目し、揮発分
が低く燃焼性の悪い石油コークスに所望する燃焼
性を持たせつつ、石油コークスの利用度を高く維
持して燃焼させることのできる微粉燃料の燃焼方
法を提供することを目的とする。

〔発明の概要〕

上記目的を達成するために、本発明に係る微粉
燃料の燃焼方法は、石油コークスとピツチとを前
記石油コークスの混合割合が80重量％以下に混合
して粉砕した微粉燃料とし、火炉出口の近傍と遠
部とに配置したバーナに対し、火炉出口に近いバ
ーナにはピツチ混合割合の多い微粉燃料を供給
し、火炉出口に遠いバーナには石油コークス混合
割合の多い微粉燃料を供給して燃焼させるように
した。望ましくは火炉出口近傍のバーナへはピツ
チ混合割合が80重量％程度あるいはそれ以下の微
粉燃料を供給し、他方のバーナへは石油コークス
混合割合が80重量％程度あるいはそれ以下とされ
た微粉燃料を供給するようにする。

このような構成に係る微粉燃料の燃焼方法によ
れば、火炉出口に近いバーナには揮発分が多く燃
焼性に優れたピツチが多量に含まれた微粉燃料が
供給されるため、火炉出口に近くて火炎長さが短
い範囲でも充分な燃焼が行われる。一方、火炉出
口から遠いバーナには燃焼性の悪い石油コークス
が多量に含まれた微粉燃料が供給され、当該バー
ナから生ずる火炎の後流にはコークス燃焼後の多
量のチヤーが含まれる。バーナ端から離れたチヤ
ー燃焼域では、バーナ端近傍の如き急激な撹拌効
果が少なく燃焼は緩慢となるが、火炉出口までの
バス長さが長く、当該チヤー燃焼域で火炉出口に
近いバーナから供給された燃料が多量のピツチを
含んで燃焼性が良好となつているためチヤー燃焼
を促進する。この結果、石油コークスを燃料とし
て効果的に使用でき、その使用率を高めることが
できるのである。

ここで、前記火炉出口に遠いバーナに対し供給
する燃料の石油コークス割合が80重量％以上とす
れば失火してしまい、燃焼を行わせることができ
なくなる。着火性と火炎の安定性を保持するため
には少なくとも揮発分の多いピツチを20重量％程
度含むことが望ましい。また、火炉出口に近いバ
ーナに対しては、火炎バス長さが短く未燃チヤー
が火炉出口から排出されないようにすること、お
よび、火炉出口から遠いバーナから供給される燃
料のチヤー燃焼域に対する助燃作用を行わせるた
めに、できるだけ燃焼性に優れたピツチの成分比
率が高いことが望ましい。しかし、石油コークス
の使用効率を高めるという目的から、ピツチの成
分比率は80重量％以下であること、すなわち石油
コークスが20重量％以上であることが望ましい。

斯かる燃焼方法によれば、石油コークスを燃料
として使用し、その使用効率を高くした状態で効
果的な燃焼を通常の火炉で行わせることができる
のである。

〔発明の実施例〕

次に、石油コークスとピツチとを成分とする微
粉燃料の燃焼を効果的に行うための燃焼方法を第
１〜２図に基づいて説明する。

第１〜２図は本実施例に係る微粉燃料の燃焼方
法を実施するための装置を示すものである。燃焼
本体装置は重油焚ボイラ１０の火炉１２であり、
この火炉１２は中央上部に火炉出口にスクリーン
１４を備えている。火炉１２の炉壁には上部バー
ナ１６と下部バーナ１８とが取付けられ、上部バ
ーナ１６は出口スクリーン１４に近い位置に設定
され、下部バーナ１８は出口スクリーン１４から
遠い位置となるように設定されている。また上下
バーナ１６，１８は各々３箇所設けられて火炉１
２内に臨まれている。上部バーナ１６、下部バー
ナ１８には各々燃料配管２０，２２が接続され、
別別に燃料を供給するようにしている。各燃料配
管２０，２２には燃料を独立して供給するよう
に、バンカー２４，２６とこれに連続する粉砕機
２８，３０が接続されている。そして、上部バー
ナ１６に接続されるバンカー２４にはピツチ比率
の高い混合燃料３２を、下部バーナ１８に接続さ
れるバンカー２６には石油コークス比率の高い混
合燃料３４を貯蔵し、これを粉砕して各バーナ１
６，１８に供給するようにしたものである。な
お、各バーナ１６，１８を囲むウインドボツクス
３６が設けられ、二次空気を供給するようにして
いる。

上記装置を用いて行う燃焼方法は具体的には次
のようにして行う。出口スクリーン１４に近い上
部バーナ１６には予め対応するバンカー２４内に
ピツチと石油コークスの重量比率が80：20となる
混合燃料３２を充填しておき、これを粉砕して供
給する。粉砕の程度は粒径が200メツシユ篩下70
％以上として燃焼性の悪いコークが未燃チヤーと
なることをできるだけ阻止する。一方、出口スク
リーン１４から遠い下部バーナ１８にはバンカー
２６内に石油コークス比率の高い燃料３４を充填
するが、この比率は下部バーナ１８での保炎が可
能な範囲でできるだけ石油コークス比率が高くな
るように、ピツチと石油コークス重量比が、20：
80とされた燃料３４を供給する。これらの混合燃
料３２，３４の成分である石油コークスとピツチ
は次のような性状のものを用いた。すなわち、石
油コークスは水分、揮発分、固定炭素、灰分がそ
れぞれ0.60（重量％）、9.70（同）、89.50（同）、0.2
0
（同）、高位発熱量が8680Kcal／Kgであり、ピツ
チとしては石油ピツチで、水分、揮発分、固定炭
素、灰分が0.04（重量％）、40.80（同）、58.70（同）
、
0.50（同）で、高位発熱量が9000Kcal／Kgである。
また、混合燃料３２としては前記両成分を混合
し、水分、揮発分、固定炭素、灰分が0.15（重量
％）、34.50（同）、64.91（同）、0.44（同）に調整し
、
200メツシユパス85.6（同）に粉砕したものを用い
た。更に、他の混合燃料３４としては同様に水
分、揮発分、固定炭素、灰分が0.49（重量％）、
15.90（同）、83.35（同）、0.26（同）に調整し、200
メツシユパス82.80（同）に粉砕したものを用い
た。

このようにして、石油コークス比率の低い燃料
３２を上部バーナ１６から、同比率の高い燃料３
４を下部バーナ１８からそれぞれ火炉１２に供給
することにより、良好な燃焼を行うことができ
る。すなわち、下部バーナ１８から生ずる火炎は
後流に多量のチヤーを含む。このチヤーの燃焼域
ではバーナ１８直後のような急激な撹拌効果が少
なく、燃焼が緩慢となる。このチヤーが完全に燃
焼するまでは長時間要するが、バーナ１８から出
口スクリーン１４までのバス長さが長いため、こ
の間で助燃作用が行われることによつて燃焼効率
が下がることはない。この助燃作用は上部バーナ
１６から揮発分が多量に含まれた混合燃料３２が
供給されることで達成される。すなわち、上部バ
ーナ１６は出口スクリーン１４までのバス長さが
短いため、石油コークスの混合比率をあまり高い
燃料を供給することはできない。したがつて、当
該上部バーナ１６には燃焼性に優れたピツチを多
量に含んだ燃料を供給するが、これはまた同時
に、下部バーナ１８からのチヤー燃焼域に作用す
るため、チヤー燃焼を促進する条件となる。この
結果、火炉１２に供給された全ての燃料を火炉１
２の出口スクリーン１４に至るまでの間に燃焼完
結させることができるのである。

ここで、ピツチの混合比率と火炎長さとの関係
は第３図に示されるようになる。ピツチはアスフ
アルトピツチ（ASP）を用いたが、このピツチ
が20重量％以下になると失火してしまうので、保
炎可能なピツチ混入比率20重量％以上でできるだ
け石油コークス比の高い混合燃料を下部バーナ１
８から供給することが好ましい。また、石油コー
クス比率を高めるとチヤー燃焼域が大きくなるの
で、上部バーナからは総火炎長さができるだけ短
く、かつできるだけ多く石油コークスを混合した
燃料を供給することが好ましく、およそピツチ含
有比率が80重量％程度が望ましい。

〔発明の効果〕

以上説明したように、本発明によれば、石油コ
ークスの使用率を高めつつ、燃料として火炉での
燃焼を行わせることができる効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本実施例に係る燃焼方法を実施するた
めの燃焼装置を示す正面図、第２図は同断面図、
第３図はアスフアルトピツチ比率と火炎長さの関
係を示すグラフ図である。 １０……ボイラ、１２……火炉、１４……出口
スクリーン、１６，１８……バーナ、２４，２６
……バンカー、３２，３４……混合燃料。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 石油コークスとピツチとを前記石油コークス
   の混合割合が80重量％以下に混合して粉砕した微
   粉燃料とし、火炉出口の近傍と遠部とに配置した
   バーナに対し、火炉出口に近いバーナにはピツチ
   混合割合の多い微粉燃料を供給し、火炉出口に遠
   いバーナには石油コークス混合割合の多い微粉燃
   料を供給して燃焼させることを特徴とする微粉燃
   料の燃焼方法。 ２ 前記火炉出口に近いバーナに供給される微粉
   燃料はピツチを80重量％以下含む混合割合とさ
   れ、他方の火炉出口に遠いバーナに供給される微
   粉燃料は石油コークスを80重量％以下含む混合割
   合とされていることを特徴とする特許請求の範囲
   第１項記載の微粉燃料の燃焼方法。