JPH0255489B2 - - Google Patents

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JPH0255489B2
JPH0255489B2 JP62294758A JP29475887A JPH0255489B2 JP H0255489 B2 JPH0255489 B2 JP H0255489B2 JP 62294758 A JP62294758 A JP 62294758A JP 29475887 A JP29475887 A JP 29475887A JP H0255489 B2 JPH0255489 B2 JP H0255489B2
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JP
Japan
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cast iron
temperature
austenite
ductile cast
wall thickness
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JP62294758A
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Shinya Takeno
Seiji Yoshioka
Kazuhisa Fukui
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Kurimoto Ltd
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Kurimoto Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕 本願発明は遠心力鋳造法により製造する鋳鉄管
のうち、特にベイナイトダクタイル鋳造管の製造
方法に係る技術である。 〔従来の技術〕 公知のダクタイル鋳鉄管は異形管を除いて殆ど
すべて遠心力鋳造法により製造されており、Mg
処理をした溶湯を高速回転するモールド中へ鋳造
し、凝固し終るまで遠心力をかけて円筒管を得る
特殊な成形手段によつている。このダクタイル鋳
鉄管は大部分が水道用の管路に使用し、一部がガ
ス用および排水用、農水用などに向けられるが、
ここで問題となるのは主に腐食の点であり、管の
内面をセメントモルタル、外面を塗料で被覆して
これに対応している。 しかし最近は鋳鉄管の需要対象が拡張し、耐熱
性、耐食性、吸震性、消音性などに着目して種々
に輸送管路に使用されはじめた。たとえば地域ぐ
るみの塵芥処理として、家庭と処理場を繋ぐ空気
輸送管、工場やプラントにおける原料や製品の粉
体輸送管に適用されている。この場合には従来の
使用先以上に耐摩耗性と強度(薄肉軽量化)が要
求され材質的に1ランク高いレベルが険討された
末、ベイナイトダクタイル鋳鉄管が非常に適合し
ていると認められるようになつた。ベイナイトダ
クタイル鋳鉄自身は公知の材質であつて、ダクタ
イル鋳鉄をその材料のA1変態点以上に加熱保持
して基地をオーステナイトに変態したのち、この
領域からMs点以上400℃以下の温度域まで急冷し
て恒温変態によりベイナイト組織を得るものであ
る。ベイナイト組織はパーライト組織とは全く異
なり保持する恒温の温度によつて羽毛状乃至針状
となる。ところで従来ベイナイトを得るための恒
温処理(オーステンパーと呼ばれる)はその温度
に保持した塩浴炉中へ浸漬保持していた。この方
法は単重が数Kg程度の小物であれば実験室的な小
規模装置で十分処理できるが、遠心力鋳鉄管のよ
うに全長が6mに及ぶような場合には炉が大規模
となり、オーステナイト化した均熱炉から塩浴炉
への搬送が迅速でなければならないから付帯設備
も大がかりとなり煩瑣な高熱作業を強いられるこ
ともある。さらに使用塩類には危険物に該当する
ために取扱いや廃棄に注意しなければならないも
のも含まれる。塩浴を回避してベイナイト組織を
得るにはNi、Cu、Moなど添加成分の効果によつ
て鋳放し又はオーステナイト化後の放冷化で実現
するアシキユラー鋳鉄があり、これに関する改善
としては特開昭59−80714号公報がある。また、
肉厚品で通常のオーステンパー処理では中心部に
ベイナイト組織の得られ難い製品に対してNi、
Cuを添加した上で通常の急冷温度よりさらに低
く過冷する特開昭58−185745号公報もある。この
場合には一般に採用されているソルト炉よりも安
価なオイル又は液体窒素の使用を可能とする。 「高強度球状黒鉛鋳鉄鋳物の製造方法」(特開
昭61−288011号公報)は塩浴炉を使用しないでベ
イナイト基地の高強度球状黒鉛鋳鉄、すなわちベ
イナイトダクタイル鋳鉄を得る方法を提案してい
る。 当該方法はNi 0.5%〜2.0%、Cu 1.0%〜3.0%、
Mo 0.3〜2.0%を含有した球状黒鉛鋳鉄溶湯を鋳
型に注湯した後、鋳物を鋳型から取り出してオー
ステナイト化温度に加熱した後Ms点以上400℃以
下の温度域まで強制空冷した後放冷し、基地をベ
イナイト組織とすることができたとしている。こ
の方法を開発することによつて従来必須とされて
いた塩浴炉を不要とし、そのために併発するいろ
いろのトラブルや不利益を克服できたと謳つてい
る。 〔発明が解決しようとする問題点〕 最初の引用例は加工品の熱処理に係り、焼準・
焼戻によつて相当部分を球状パーライト化して加
工性を高めた上で加工し、その後オーステナイト
域から常温まで放冷してベイナイト組織を得るも
ので、ベイナイト化自体については従来のアシキ
ユラー鋳鉄の製法を踏襲したものに留まる。 また次の事例は塩浴を免れることを示唆するも
ののオルなど別の手段による急冷自体は省く意図
は見当らない。さらに第三の引例は実施例も参酌
して判断する限り、鋳型(通常の砂型)へ注湯す
る異形管を対象とし、従来の球状黒鉛鋳鉄をオー
ステナイト域から強制空冷しただけでベイナイト
化できるのは1〜3mm程度の薄肉に限られていた
ので、合金元素添加により焼入性向上を利用して
CCT図におけるパーライトノーズを長時間側へ
ずらし、厚肉に実用品への適用を可能とした点に
目的があると解される。そのため具体的には肉厚
20mmから40mm程度の異形管を鋳造、凝固後オース
テナイト域まで加熱し大型扇風機などで通風し強
制急冷するものである。 ところで遠心力鋳造によるダクタイル鋳鉄管に
ついては引例の方法をそのまま踏襲しても必ずし
も良い結果が得られない。その原因の第一はオー
ステンパー前の両者の母組織が異なることであ
り、金型遠心力鋳造法で急冷した組織(セメンタ
イト多出)と鋳型内で除冷した組織(パーライ
ト)と顕著な差がある。 次に遠心鋳造管の実用品は肉厚が10〜20mmに限
られ、引例に比較して相当に薄い。したがつてオ
ーステナイト域から強制空冷された後放冷された
ときは保有熱量を急速に失い未変態残留オーステ
ナイトがマルテンサイトに変態しベイナイトダク
タイル鋳鉄本来の靭性が得られない場合のあるこ
とが確認されている。さらに遠心鋳造管の実用品
を強制空冷した後放冷すると、肉厚に比べてその
全長が100倍以上の比率にあるため軸線方向に対
する僅かな反り、歪みが全長に対しては許容を越
える大きな値となり、直管としての規格の限度を
超える懸念が非常に高い。 本願発明は以上の問題点を解決するために遠心
力鋳造法による肉厚20mm以下のダクタイル鋳鉄管
のベイナイト化に当り、塩浴することなく最も強
靭性の優れた材料を得る方法の提示を目的とす
る。 〔問題点を解決するための手段〕 本願発明に係るベイナイトダクタイル鋳鉄管の
製造方法は公知のダクタイル鋳鉄成分に重量比率
で4.0〜5.5%のNi、又は1.0〜2.0%のNiに0.5〜1.0
%のMoもしくは1.0〜2.0%のNiと0.5〜1.0%の
Moと2%以下のCuを加えて溶製し遠心力鋳造法
により鋳造した肉厚20mm〜10mm、かつ全長が肉厚
の少くとも100倍以上のダクタイル鋳鉄管を、一
旦オーステナイト域に保持したのち770℃まで急
冷、770℃から730℃まで最除冷したのち自然放冷
し、さらに再びオーステナイト温度域に加熱して
オーステナイト化し、これをMs点以上400℃以下
の温度域まで放冷し、当該温度に制御された焼鈍
炉内へ装入してほぼ当域で1hrから3hr保持した
後、常温まで放冷することによつて上記の問題点
を解決した。 〔作用・実施例〕 Niは単独では4.0%〜が最低必要であり、この
含有量を切ると肉厚20mm以下であつても単なる放
冷ではベイナイト組織を得ることができない。も
つとも5.5%を超えるときはNiの固溶体硬化が進
みかつ短時間のオーステンパー処理では常温まで
の放冷時に残留オーステナイトがマルテンサイト
に変態し、靭性が著しく劣化する。高価なNiを
節約するための低Ni配合では他の成分の働きを
借りる。すなわちNi1.0〜2.0%では1〜0.5%の
Moを加え、さらに硬度の向上を得るためには2
%以下のCuをこれに加える。 Moを1%以上含有させると、炭化物の晶出が
著しく、これは完全焼鈍を施しても消失しがたく
そのため靭性が著しく劣化する。 またCuを2%以上含有させると、Niの場合と
同様な原因で靭性が著しく劣化する。また球状黒
鉛の球状化にも悪影響をおよぼす。 溶湯に公知の黒鋭球状化処理を施し、高速回転
中の金型中へ注湯し凝固後公知の完全焼鈍を行な
う。この実施の一例としては970℃にて保持、770
℃まで急冷、770℃から730℃まで最徐冷したのち
自然放冷する。この熱処理によつて金型中の急冷
によつて生じたセメンタイトを分解してオーステ
ナイト中へCを固溶させ、オーステンパー処理後
の靭性を与える。すなわち完全二段焼鈍によつて
Acm線を最除冷して通過するので基地は完全パー
ライト化し、これが後のオーステンパー時のセメ
ンタイトの析出を抑制し靭性豊から強化組織を得
る前条件となる。 次に鋳鉄管は再度オーステナイト領域に加熱し
た後炉外で曝気し自然放冷によつてMs点の上400
℃以下の温度に達すると直ちに当該温度付近で保
持する処理を加える。鋳鉄管中に含まれた合金元
素の働きと、20mm以下の肉厚からなる円筒体とい
う形状の特殊性のため、敢えて強制空冷によるま
でもなく自然放冷の方がベイナイト化には好適で
あり、かつこの温度域で1〜2時間保持すること
によつてベイナイト化の進行が完結する。その後
放冷することによつてベイナイト相が常温まで持
ち越されて残留オーステナイトの少ない強度、硬
度の優れた材質が得られる。しかも成分と形状の
熱変化の三者整合によつてマルテンサイトの変態
が防止され、強度の割に伸びの高い靭性をも併せ
具えることができる。さらに本願発明の形態的特
徴に基づく特定の要請を応えるために製造工程の
中にまず急冷処理をしないことを第一の目的と
し、第二に均一安定な組織を得ることを次の目的
とする。 具体的には前処理の完全焼鈍においてはγ→α
への変態を最除冷によつて行うため、周知の格子
変換(面心立方→体心立方)に伴う容積膨脹を全
長に亘つて均等かつ徐々に進め、急冷に判う変態
跛行による歪みが最小限に抑止されるように図
る。 またベイナイト処理において最も望ましい実施
例は、炉内では製品を垂直に立ててオーステナイ
ト域に加熱、保持し、その上端を掴んで吊り出し
て炉外で自然放冷し所定の温度に達すると、あら
かじめ当該温度に制御されている別のオーステン
パー炉(熱風循環炉)内へ竪向きに吊り下げて炉
内で保持するように設定することが推賞できる。 従来技術と本願の作用の相違を示すため同一材
料を出発点とする両者の顕微鏡組織を検鏡した。
この実施例および比較例の化学成分は第1表に示
すとおりであり、外径325mm、肉厚15.5mm、長さ
6mの標準型のダクタイル遠心力鋳造管から隣接
して試片を切り出した。
〔発明の効果〕
本願の技術的範囲に含まれる実施例について幾
つかの機械的性質を調査した。比較例と比べて明
らかに強度がすぐれ、伸び、シヤルピー衝撃エネ
ルギにおいても顕著な差が見られた。よつて少く
とも肉厚10〜20mmよりなるダクタイル遠心力鋳鉄
管に限つて結論するならば、本願発明による方法
がより有効に機能して耐摩耗性を要する分野にお
ける適応性が高いとして差支えない。第2表は効
果の実例をまとめたものであり、表中実施例1と
比較例はそれぞれ前出の第1図、第2図に示す組
織を形成するものである。さらに肉厚に対して少
くとも100倍を超える全長を有する長尺の鋳鉄管
を許容範囲内の寸法精度を確保しつつベイナイト
化処理を施すに当つては本願発明による製造が最
も合理的であり、他の要件(たとえば添加成分の
増量)による解決よりも経済的優位に立つ効果が
ある。
【表】
【表】 【図面の簡単な説明】
第1図は本願実施例の、第2図は従来技術の、
それぞれ金属組織を示す顕微鏡写真である。(倍
率400倍)。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 1 公知のダクタイル鋳鉄成分に重量比率で4.0
    〜5.5%のNi、又は1.0〜2.0%のNiに0.5〜1.0%の
    Mo、もしくは1.0〜2.0%のNiと0.5〜1.0%のMo
    と2%以下のCuを加えて溶製し遠心力鋳造法に
    より鋳造した肉厚20mm〜10mm、かつ全長が肉厚の
    少くとも100倍以上のダクタイル鋳鉄管を、一旦
    オーステナイト域に保持したのち770℃まで急冷、
    770℃から730℃まで最除冷したのち自然放冷し、
    さらに再びオーステナイト温度域に加熱してオー
    ステナイト化し、これをMs点以上400℃以下の温
    度域まで放冷し、当該温度に制御された焼鈍炉内
    へ装入してほぼ当域で1hrから3hr保持した後、常
    温まで放冷することを特徴とするベイナイトダク
    タイル鋳鉄管の製造方法。
JP29475887A 1987-11-20 1987-11-20 ベイナイトダクタイル鋳鉄管の製造方法 Granted JPH01136932A (ja)

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