JPH0255089B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は重力式過装置の逆洗用サイフオン管
の起動および停止方法に関するものである。

従来は重力式過装置の各サイフオンを起動さ
せる際に、サイフオン管の上部に真空ポンプある
いはエゼクターを接続し、当該真空ポンプあるい
はエゼクターによりサイフオン管内の空気圧を減
圧してサイフオンを起動させていたが、動力源と
して高価な真空ポンプやエゼクター用圧力給水ポ
ンプを設けなければならないという欠点がある。

本発明は従来のこのような欠点を補い、特別な
動力源を必要とせず、安価な製作費および運転管
理費で、かつ簡便な操作で確実に逆洗用サイフオ
ン管を起動および停止させることを目的とする。

すなわち本発明は隔壁１４で床６と逆洗排水
流入室１３とに仕切つた過池３と、当該逆洗排
水流入室１３と分離した状態で隣接し、前記床
６の逆洗水が溢流する水位より下方に水位を保持
する逆洗排水滞留渠１６と、前記床６の底部と
連通し、かつ床６の逆洗水が溢流する水位より
上方に水位を保持する過水渠９と、過池３お
よび逆洗排水滞留渠１６および過水渠９の上方
に設置した原水渠２と、逆洗排水流入室１３と逆
洗排水滞留渠１６とを、過池３の水位より上方
に屈曲部を有して連通するとともに、その両端部
が水封されている逆Ｕ字管からなる逆洗用サイフ
オン管５とからすくなくとも構成され、逆洗排水
流入室１３内の水を逆洗用サイフオン管５で排出
して、過水渠９が保持する水頭により、過水
を床６に逆洗させるようになした重力式過装
置において、前記逆洗用サイフオン管５を起動お
よび停止させるにあたり、密閉状の水槽１９を設
置し、逆洗用サイフオン管５の上部と水槽１９と
を自動弁V₁を有する連通管２０で接続し、かつ
逆洗用サイフオン管５の上部あるいは自動弁V₁
と逆洗用サイフオン管５との間の連通管２０にサ
イフオン停止自動開放弁V₂を設け、また水槽１
９に自動弁V₄を有する吸水管２１を設け、当該
吸水管２１の下端を原水渠２内の原水で水封し、
さらに水槽１９に自動弁V₃を有する排水管２３
を設け、当該排水管２３の下端を逆洗排水滞留渠
１６の水で水封し、また水槽１９に自動弁または
手動弁からなる流入弁V₅を有する供給管２８を
設け、さらに水槽１９を逆洗用サイフオン管５を
起動させようとする時の逆洗排水流入室１３の水
面と、逆洗用サイフオン管５の上部との距離H₁
と、水槽１９内の低レベル水位と前記排水管２３
の水封水位との距離H₂とが、H₁＜H₂の関係にな
るとともに、水槽１９内の高レベル水位と前記吸
水管２１の水封水位の距離H₅と、逆洗用サイフ
オン管５の上部と逆洗排水滞留渠１６の水面との
距離H₄とが、H₅＜H₄の関係になるように設置
し、また水槽１９に前記高レベル水位を検出する
水面検出計２５を設けて、当該水面検出計２５と
前記自動弁V₄とを連動させ、かつ当該水槽１９
の容量を、当該水槽１９内の水をその高レベル水
位から低レベル水位まで排水管２３から排出した
時に、逆洗用サイフオン管５と連通管２０との内
部に有する空気を吸引することにより、逆洗排水
流入室１３内の水を吸い上げて逆洗用サイフオン
管５が起動するような容量とし、初回の逆洗用サ
イフオン管５を起動させる際に、自動弁V₃を閉
じるとともに、自動弁V₁、サイフオン停止自動
開放弁V₂、流入弁V₅を開けて、水槽１９内に前
記高レベル水位まで水を張り込み、次いで流入弁
V₅、サイフオン停止自動開放弁V₂を閉じ、自動
弁V₁、自動弁V₃を開けて水槽１９内の水を排水
管２３から水頭差で排出させることにより、逆洗
用サイフオン管５を起動させ、また起動後は自動
弁V₃を閉じ、自動弁V₄を開けて逆洗用サイフオ
ン管５の上部に発生する負圧により吸水管２１に
より原水渠２の原水を吸い上げ、その水位が高レ
ベル水位になつた時点で自動弁V₄を閉じて水槽
１９内に水を保持し、当該水槽１９内の水を次回
の逆洗用サイフオン管５の起動水として用い、ま
た自動弁V₁を閉じサイフオン停止自動開放弁V₂
を開けて起動している逆洗用サイフオン管５を停
止させ、さらに次回の逆洗用サイフオン管５を起
動させる際には、サイフオン停止自動開放弁V₂
を閉じるとともに、自動弁V₁、自動弁V₃を開け
て吸水管２１より吸い上げた水槽１９内の水を水
頭差で排出させることにより、逆洗用サイフオン
管５を起動させ、また起動後は自動弁V₃を閉じ、
自動弁V₄を開けて逆洗用サイフオン管５の上部
に発生する負圧により吸水管２１により原水渠２
の原水を吸い上げ、その水位が高レベル水位にな
つた時点で自動弁V₄を閉じて、水槽１９内に水
を保持し、当該水槽１９内の水を次回以降の逆洗
用サイフオン管５の起動水として用い、以後は当
該次回の逆洗用サイフオン管５の起動と前記逆洗
用サイフオン管５の停止とを順次繰り返すことを
特徴とする重力式過装置の逆洗用サイフオン管
の起動および停止方法に関するものである。

以下に本発明を図面に従つて詳細に説明する。

図面は本発明の逆洗用サイフオン管の起動およ
び停止方法を使用した重力式過装置の実施態様
に一例を示す縦断説明図であり、自己洗浄型の重
力式過装置１内に縦方向に一列に並んだ複数の
過池３を設け、さらに、当該過池３および後
述する逆洗排水滞留渠１６、過渠９の上方に各
過池３に共通の原水流入渠２を設ける。また当
該原水流入渠２の側部に各過池３に対応して原
水分配室４を設け、さらに当該原水分配室４の外
側に水封堰２７を介して原水流入室１５を設ける
とともに、当該原水分配室４と原水流入渠２とを
通水用サイフオン管２２を介して接続する。また
過池３を隔壁１４で２室に仕切り、一方の室を
逆洗排水流入室１３とし、当該室１３と前記原水
流入室１５とを原水管２４で連通する。また過
池３の他方の室の下方に支持床７を設け、当該支
持床７の上方に床６を形成するとともに、床
６の上方でかつ、前記隔壁１４の上端部の高さに
逆洗排水樋１２を複数本設け、当該逆洗排水樋１
２の隔壁１４側の一端を開口する。また支持床７
の下方に過水集水室８を設け、さらに当該室８
を過水渠９に接続し、各過池３から流出する
過水を過水集水室８を経て過水渠９に合流
させる。また当該過水渠９を溢流堰１１を介し
て過水流出渠１０に連通するとともに、当該溢
流堰１１を前記逆洗排水樋１２の上端よりも高く
なるように設け、過水渠９の水位を溢流堰１１
の高さにほぼ一定に保持する。また過池３に水
面検出計２６を付設する。

また逆洗排水流入室１３と分離した状態で隣接
して逆洗排水滞留渠１６を配置し、当該逆洗排水
滞留渠１６と過池３の逆洗排水流入室１３とを
過池３の水位より上方に屈曲部を有し、かつそ
の両端部が水封されている逆Ｕ字管からなる逆洗
用サイフオン管５で連通する。また当該逆洗排水
滞留渠１６のさらに外側に逆洗排水流出渠１８を
設け、当該逆洗排水滞留渠１６と逆洗排水流出渠
１８とを前記隔壁１４より高さが低い水封堰１７
を介して連通し、逆洗排水滞留渠１６の水位を水
封堰１７の高さに一定に保持させる。

また、逆洗排水滞留渠１６の上方であつて、逆
洗用サイフオン管５を起動させようとする時の逆
洗排水流入室１３の水面と、逆洗用サイフオン管
５の上部との距離H₁と、水槽１９内の後述する
低レベル水位と排水管２３の水封水位との距離
H₂とが、H₁＜H₂の関係になるとともに、水槽１
９内の後述する高レベル水位と吸水管２１の水封
水位の距離H₅と、逆洗用サイフオン管５の上部
と逆洗排水滞留渠１６の水面との距離H₄とがH₅
＜H₄の関係になるように、密閉状の水槽１９を
設ける。なお当該水槽１９の容量については後述
する。

また水槽１９の下方に水槽１９内の水を急速に
排出できるような太さを有する排水管２３を設け
るとともに、当該排水管２３の下端を逆洗排水滞
留渠１６の水面より下で開口させて水封し、空気
が当該排水管２３を上昇して水槽１９内に流入す
るのを防止する。

また当該水槽１９と原水渠２とを自動弁V₄を
有する吸水管２１を介して連通するとともに、当
該吸水管２１の原水渠２側の一端を原水渠２の水
面より下で開口させて水封し、空気が当該吸水管
２１を経て、水槽１９内に流入するのを防止す
る。

また当該吸水管２１の径を原水渠２の原水を水
槽１９内に短時間に吸い上げることができるよう
な太さとする。

また当該水槽１９の上部に連通管２０の一端を
接続し、また他端を自動弁V₁およびサイフオン
停止自動開放弁V₂を介して逆洗用サイフオン管
５の上部と接続する。また自動弁V₁の手前の連
通管２０を分岐して自動弁V₆およびサイフオン
停止自動開放弁V₇を介して通水用サイフオン管
２２の上部と接続してもよい。なお自動弁V₁の
手前の連通管２０をさらに分岐して他の過池の
逆洗用サイフオン管（図示せず）および通水用サ
イフオン管（図示せず）と連通することもでき
る。またサイフオン停止自動開放弁V₂を逆洗用
サイフオン管５の上部に設けてもよい。また前記
水槽１９に自動弁または手動弁からなる流入弁
V₅を有する供給管２８を接続する。

また水槽１９に水面検出計２５を設け、当該水
面検出計２５と自動弁V₄を連動させ、原水渠２
の原水を逆洗用サイフオン管５の上部に発生する
負圧により吸水管２１を経て水槽１９に吸い上げ
て水槽１９の水面が高レベル水位Ａまで達する
と、水面検出計２５と連動した自動弁V₄が閉じ、
吸水管２１からの水の吸い上げが停止するように
構成する。

また前述した水槽１９の低レベル水位Ｄは高レ
ベル水位Ａより下方であり、かつ当該水位Ａから
Ｄまでの水槽１９の容量を逆洗用サイフオン管５
と連通管２０との内部に有する空気を吸引して減
圧するのに十分な容量を有するものとし、水槽１
９内の水を排水管２３を経て水頭差で排出した場
合、その水位がＡからＤまで至る間に、逆洗用サ
イフオン管５が起動するように構成する。

このような過装置１において過を行うにあ
たり、まず通水用サイフオン管２２を起動させる
が、図面に示したように連通管２０の他端を分岐
して自動弁V₆を介して通水用サイフオン管２２
の上部と連通させている場合は、本発明に用いる
水槽１９を利用することにより、通水用サイフオ
ン管２２を起動させることができる。すなわち自
動弁V₆およびサイフオン停止自動開放弁V₇を開
けて水槽１９内を大気に開放するとともに、供給
管２８の流入弁V₅を開けて水槽１９に補給水と
して、たとえば給水ポンプ（図示せず）により雑
用水を供給する。なお、この際に自動弁V₁およ
びサイフオン停止自動開放弁V₂を開けて水槽１
９を大気に開放してもよい。当該水槽１９の水位
が高レベル水位Ａまで上昇したら流入弁V₅を閉
じ補給水の供給を停止する。また当該補給水の供
給を停止したらサイフオン停止自動開放弁V₇を
閉じる。次に通水用サイフオン管２２の自動弁
V₆および自動弁V₃を開けて、水槽１９内の水を
排水管２３より急速に排出する。当該水槽１９内
の水位が低下するにつれて通水用サイフオン管２
２内の空気が連通管２０を通して水槽１９内に吸
引され、原水渠２および原水分配室４によつて水
封された通水用サイフオン管２２の空気圧は急激
に低下し、通水用サイフオン管２２内の水面が上
昇してサイフオンが起動する。こうして原水渠２
の原水は通水用サイフオン管２２を経て原水分配
室４、続いて原水流入室１５へ流入し、さらに原
水管２４を経て過池３の逆洗排水流入室１３に
流入し、隔壁１４を越えて床６を下降流で通過
し、過水は過水集水室８、過水渠９および
過水流出渠１０を経て流出する。

このように、通水用サイフオン管２２は逆洗用
サイフオン管５と比べてサイフオン内の空気容量
がたとえば約12分の１と小さく、また通水用サイ
フオン管２２を起動させようとする時の流入側の
水面と通水用サイフオン管２２の上部との距離
H₃は通常の重力式過装置ではH₁よりはるかに
小さく、H₃《H₂の関係にあるので、本発明に用
いる水槽１９を利用することにより、前述した操
作によつて水槽１９内の水を急速に排出させて、
容易に通水用サイフオン管２２を起動させること
ができる。

また通水用サイフオン管２２が起動すると、水
槽１９の排水管２３からの水の排出が止まり、水
槽１９内の水面は一定となる。次に自動弁V₆お
よび自動弁V₃を閉じ、自動弁V₁およびサイフオ
ン停止自動開放弁V₂を開けて水槽１９を大気に
開放し、さらに流入弁V₅を開けて、前述したよ
うに水槽１９に補給水を高レベル水位Ａまで貯留
し、流入弁V₅を閉じて、初回の逆洗用サイフオ
ン管５の起動に待機しておく。

このような過を継続していると床６に目詰
まりが生ずるので、逆洗を行う。すなわち、過
の初期においては過池３の水位は過水渠９の
水位とほぼ同じであるが、床６に目詰まりが生
じてくると過池３の水位は徐々に上昇し、その
水位が水面検出計２６のＢまで達する。このよう
に至つたらサイフオン停止自動開放弁V₇を開け
て通水用サイフオン管２２内に空気を導入してサ
イフオンを切り、過池３への原水の流入を中断
する。また、予めタイマー（図示せず）にて設定
した採水時間が終了した時に、サイフオン停止自
動開放弁V₇を開けて通水用サイフオン管２２を
停止させてもよい。原水の流入を中断すると、
過池３内の水は床６を通過して過水渠９より
流出し、その水位はＢから過水渠９の水位より
やや上方のＣまで低下し、過池３の水抜きが終
了する。

水抜きの終了の検知は水面検出計（図示せず）
を設け、水位がＣまで低下したことを検知しても
よいし、予め水位がＣまで低下する時間を設定
し、タイマー（図示せず）で検知してもよい。

このようにした後初回の逆洗用サイフオン管５
を起動させるが、この場合は逆洗用サイフオン管
５のサイフオン停止自動開放弁V₂を閉じ、自動
弁V₁およびV₃を開けて、水槽１９内の水を排水
管２３より急速に排出する。当該水槽１９内の水
位が低下するにつれて、逆洗用サイフオン管５内
の空気が連通管２０を通して水槽１９内に吸引さ
れ、逆洗排水流入室１３および逆洗排水滞留渠１
６によつて水封された逆洗用サイフオン管５内の
水面が上昇してサイフオンが起動する。こうして
過池３の水は逆洗排水流入室１３より逆洗用サ
イフオン管５を経て、逆洗排水滞留渠１６、逆洗
排水流出渠１８より排出し、逆洗排水流入室１３
の水位は逆洗排水樋１２より下方まで低下する。

またこの間他の過池においては過が行われ
ており、過水渠９の水位は溢流堰１１の高さに
一定に保たれているから過水渠９の水位と逆洗
排水樋１２の上縁部との水頭差により過水渠９
の過水は過水集水室８より逆洗して床６の
逆洗を行い、逆洗排水は逆洗排水樋１２より逆洗
排水流入室１３に流入する。また当該逆洗排水流
入室１３に流入する逆洗排水は逆洗用サイフオン
管５を経て、前述のように逆洗排水滞留渠１６お
よび逆洗排水流出渠１８より排出し、当該室１３
内の水位を逆洗排水樋１２より下方で、かつ逆洗
排水滞留渠１６の水位より上方に保持するので
床６の逆洗を継続して行う。

一方逆洗用サイフオン管５が起動すると、水槽
１９の排水管２３からの水の排出が止まり、水槽
１９内の水面は低レベル水位Ｄとなる。その後も
自動弁V₁を開けた状態にして、自動弁V₃を閉じ
るとともに自動弁V₄を開けると、逆洗用サイフ
オン管５の起動により、当該サイフオン管５の上
部に発生した、たとえば４〜5m・H₂Oの負圧に
より、水槽１９内の空気は連通管２０を経て逆に
逆洗用サイフオン管５内へ吸引される。また当該
空気が吸引されるにしたがい、原水渠２の原水が
吸水管２１を経て水槽１９内へ吸い上げられ、当
該水槽１９の水位が高レベル水位Ａまで上昇する
が、この時点で自動的に自動弁V₄が閉じ、水槽
１９内への水の流入が停止する。そして次回以降
の逆洗用サイフオン管５の起動に待機しておく。

このように初回の逆洗用サイフオン管５が起動
する間に逆洗用サイフオン管５の上部に発生する
負圧を利用して原水渠２の原水を水槽１９に吸い
上げて、張り込むことができるので、初回の逆洗
用サイフオン管５を起動させる際にのみ、雑用水
などの補給水を水槽１９に供給すればよく、以後
は流入弁V₅を操作することなく各サイフオン管
の起動および停止を行うことができる。

次に所定の時間、逆洗を行つたら、自動弁V₁
を閉じてサイフオン停止自動開放弁V₂を開け、
逆洗用サイフオン管５内に空気を導入してサイフ
オンを停止し、逆洗排水の排出を停止する。

次に再び通水用サイフオン管２２を起動させて
過を行うが、２回目以降の通水用サイフオン管
２２の起動にあたつては次のような操作を行うと
よい。すなわち、通常の重力式過装置において
通水用サイフオン管は逆洗用サイフオン管に比べ
てサイフオン容量がはるかに小さく、またH₃は
H₁より非常に小さいので、通水用サイフオン管
２２のサイフオン停止自動開放弁V₇を閉じ、自
動弁V₆を開け、逆洗用サイフオン管５の起動に
よつて発生した残負圧を有する水槽１９に連通管
２０を介して通水用サイフオン管２２内の空気を
吸引させるだけで、通水用サイフオン管２２の水
面を上昇させて容易にサイフオンを起動させるこ
とができ、過が開始される。なお、通水用サイ
フオン管２２を起動させる時の水槽１９および連
通管２０はたとえば1.5〜3m・H₂Oの残負圧を有
しているので、このような負圧で十分起動させる
ことができる。また通水用サイフオン管２２を起
動後、自動弁V₆を閉じる。

また２回目以降の通水用サイフオン管２２の起
動に際しては起動している逆洗用サイフオン管５
の上部に発生した負圧を利用することもできる。
すなわち逆洗用サイフオン管５を停止する前に、
自動弁V₁を開けた状態で自動弁V₆を開けると、
前述した水槽１９内の残負圧に加えて逆洗用サイ
フオン管５の上部に発生した負圧を利用して通水
用サイフオン管２２の空気が吸引され、容易に通
水用サイフオン管２２を起動させることができ
る。このようにして通水用サイフオン管２２を起
動させ、過を開始した後、直ちに自動弁V₆を
閉じ、次にサイフオン停止自動開放弁V₂を開け
て逆洗用サイフオン管５を停止する。

また所定の時間、過を行つた後、再び逆洗を
行うが、まず前述したように通水用サイフオン管
２２のサイフオン停止自動開放弁V₇を開け、通
水用サイフオン管２２内に空気を導入して原水の
流入を中断する。

次回の逆洗用サイフオン管５の起動は以下のよ
うにして行う。

すなわちサイフオン停止自動開放弁V₂を閉じ、
自動弁V₁、自動弁V₂を開けて、前述した初回の
逆洗用サイフオン管の起動の際に吸い上げた水槽
１９内の水頭差で排出する。

当該水槽内の水位が低下するにつれて、逆洗用
サイフオン管５内の空気が連通管２０を通して水
槽１９内に吸引され、逆洗排水流入室１３および
逆洗排水滞留渠１６によつて水封された逆洗用サ
イフオン管５内の水面が上昇してサイフオンが起
動する。

またサイフオンが起動した後、前述した初回の
逆洗用サイフオン管５の起動と同じように、自動
弁V₁を開けた状態にして、自動弁V₃を閉じると
ともに自動弁V₄を開けると、逆洗用サイフオン
管５の起動により当該サイフオン管５の上部に発
生した負圧により原水渠２の原水が吸水管２１を
経て水槽１９内に吸い上げられる。

さらに当該水槽内に吸い上げられた水の水位が
高レベル水位Ａまで上昇するが、この時点で自動
的に自動弁V₄が閉じ、水槽１９内への水の流入
が停止する。

このようにして水槽１９内に吸い上げた水を次
回以降の逆洗用サイフオン管５の起動水として用
いる。

本発明の逆洗用サイフオン管の起動および停止
方法は水槽より水を逆洗用サイフオン管における
水頭差より大きい水頭差で排出させて、水槽と連
通させた逆洗用サイフオン管内の空気を吸引して
サイフオンを起動させ、またサイフオン停止自動
開放弁を開けて逆洗用サイフオン管内に空気を導
入してサイフオンを停止させる方法であるから、
真空ポンプなどの特別な動力源を必要とせず、小
口径の自動弁の開閉のみでサイフオンを確実に起
動あるいは停止させることができ、安価な製作費
および運転管理費で、かつ簡便な操作で確実にサ
イフオンを起動および停止させることができる。

また水槽１９と原水渠２とを吸水管２１で連通
し、逆洗用サイフオン管５の起動により発生した
負圧を利用して水槽１９内へ原水を吸い上げて張
り込むので、より短時間に水槽１９への水の張り
込みを行うことができるとともに、H₂をH₁に比
べてかなり大きくすることができるので、水槽１
９内の水を排水管２３を経て短時間で排出させ、
サイフオンをより迅速に起動することができる。

さらに通水用サイフオン管２２を本発明に用い
る水槽１９と自動弁V₆を介して連通させると、
自動弁V₆の切り換え操作のみで通水用サイフオ
ン管を容易に起動させることができる。

【図面の簡単な説明】

図は本発明の実施態様の一例の逆洗用サイフオ
ン管の起動および停止方法を用いる自己洗浄型の
重力式過装置の縦断説明図である。 １…重力式過装置、２…原水渠、３…過
池、４…原水分配室、５…逆洗用サイフオン管、
６…床、７…支持床、８…過水集水室、９…
過水渠、１０…過水流出渠、１１…溢流堰、
１２…逆洗排水樋、１３…逆洗排水流入室、１４
…隔壁、１５…原水流入管、１６…逆洗排水滞留
渠、１７…水封堰、１８…逆洗排水流出渠、１９
…水槽、２０…連通管、２１…吸水管、２２…通
水用サイフオン管、２３…排水管、２４…原水
管、２５…水面検出計、２６…水面検出計、２７
…水封堰、V₁，V₃，V₄，V₆…自動弁、V₂，V₇
…サイフオン停止自動開放弁、V₅…流入弁。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 隔壁１４で床６と逆洗排水流入室１３とに
   仕切つた過池３と、当該逆洗排水流入室１３と
   分離した状態で隣接し、前記床６の逆洗水が溢
   流する水位より下方に水位を保持する逆洗排水滞
   留渠１６と、前記床６の底部と連通し、かつ
   床６の逆洗水が溢流する水位より上方に水位を保
   持する過水渠９と、過池３および逆洗排水滞
   留渠１６および過水渠９の上方に設置した原水
   渠２と、逆洗排水流入室１３と逆洗排水滞留渠１
   ６とを、過池３の水位より上方に屈曲部を有し
   て連通するとともに、その両端部が水封されてい
   る逆Ｕ字管からなる逆洗用サイフオン管５とから
   すくなくとも構成され、逆洗排水流入室１３内の
   水を逆洗用サイフオン管５で排出して、過水渠
   ９が保持する水頭により、過水を床６に逆流
   させるようになした重力式過装置において、前
   記逆洗用サイフオン管５を起動および停止させる
   にあたり、密閉状の水槽１９を設置し、逆洗用サ
   イフオン管５の上部と水槽１９とを自動弁V₁を
   有する連通管２０で接続し、かつ逆洗用サイフオ
   ン管５の上部あるいは自動弁V₁と逆洗用サイフ
   オン管５との間の連通管２０にサイフオン停止自
   動開放弁V₂を設け、また水槽１９に自動弁V₄を
   有する吸水管２１を設け、当該吸水管２１の下端
   を原水渠２内の原水で水封し、さらに水槽１９に
   自動弁V₃を有する排水管２３を設け、当該排水
   管２３の下端を逆洗排水滞留渠１９の水で水封
   し、また水槽１９に自動弁または手動弁からなる
   流入弁V₅を有する供給管２８を設け、さらに水
   槽１９を逆洗用サイフオン管５を起動させようと
   する時の逆洗排水流入室１３の水面と、逆洗用サ
   イフオン管５の上部との距離H₁と、水槽１９内
   の低レベル水位と前記排水管２３の水封水位との
   距離H₂とが、H₁＜H₂の関係になるとともに、水
   槽１９内の高レベル水位と前記吸水管２１の水封
   水位の距離H₅と、逆洗用サイフオン管５の上部
   と逆洗排水滞留渠１６の水面との距離H₄とが、
   H₅＜H₄の関係になるように設置し、また水槽１
   ９に前記高レベル水位を検出する水面検出計２５
   を設けて、当該水面検出計２５と前記自動弁V₄
   とを連動させ、かつ当該水槽１９の容量を、当該
   水槽１９内の水をその高レベル水位から低レベル
   水位まで排水管２３から排出した時に、逆洗用サ
   イフオン管５と連通管２０との内部に有する空気
   を吸引することにより、逆洗排水流入室１３内の
   水を吸い上げて逆洗用サイフオン管５が起動する
   ような容量とし、初回の逆洗用サイフオン管５を
   起動させる際には、自動弁V₃を閉じるとともに、
   自動弁V₁、サイフオン停止自動開放弁V₂、流入
   弁V₅を開けて、水槽１９内に前記高レベル水位
   まで水を張り込み、次いで流入弁V₅、サイフオ
   ン停止自動開放弁V₂を閉じ、自動弁V₁、自動弁
   V₃を開けて水槽１９内の水を排水管２３から水
   頭差で排出させることにより、逆洗用サイフオン
   管５を起動させ、また起動後は自動弁V₃を閉じ、
   自動弁V₄を開けて逆洗用サイフオン管５の上部
   に発生する負圧により吸水管２１により原水渠２
   の原水を吸い上げ、その水位が高レベル水位にな
   つた時点で自動弁V₄を閉じて水槽１９内に水を
   保持し、当該水槽１９内の水を初回の逆洗用サイ
   フオン管５の起動水として用い、また自動弁V₁
   を閉じサイフオン停止自動開放弁V₂を開けて起
   動している逆洗用サイフオン管５を停止させ、さ
   らに次回の逆洗用サイフオン管５を起動させる際
   には、サイフオン停止自動開放弁V₂を閉じると
   ともに、自動弁V₁、自動弁V₃を開けて吸水管２
   １より吸い上げた水槽１９内の水を水頭差で排出
   させることにより、逆洗用サイフオン管５を起動
   させ、また起動後は自動弁V₃を閉じ、自動弁V₄
   を開けて逆洗用サイフオン管５の上部に発生する
   負圧により吸水管２１により原水渠２の原水を吸
   い上げ、その水位が高レベル水位になつた時点で
   自動弁V₄を閉じて、水槽１９内に水を保持し、
   当該水槽１９内の水を次回以降の逆洗用サイフオ
   ン管５の起動水として用い、以後は当該次回の逆
   洗用サイフオン管５の起動と前記逆洗用サイフオ
   ン管５の停止とを順次繰り返すことを特徴とする
   重力式過装置の逆洗用サイフオン管の起動およ
   び停止方法。