JPH025459Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は懸垂吊状耐張碍子装置に関するもので
ある。

（従来技術） 近年、送電線付近の都市化の進展により線下付
近は宅地造成などで地上高下足個所が増加する傾
向にあり、既設懸垂鉄塔においては電線地上高を
高くしなければならない場合が多い。その対策と
して鉄塔支持点に懸垂状取付金具、バランスヨー
クを挿入してそのヨーク両端に耐張碍子装置をピ
ン連結した懸垂吊状耐張碍子装置が用いられてい
るが、従来のものは送電線の断線等により大きい
不平均張力が生ずると高長力側へのバランスヨー
クの傾動長さだけ送電線張設点が移動するだけで
不平均張力の減衰効果は少なく鉄塔倒壊に至るこ
とがあつた。

（考案の目的） 本考案はこのような欠点を解決して、不平均張
力の減衰効果に優れた懸垂吊状耐張碍子装置を目
的として完成されたものである。

（考案の構成） 本考案は鉄塔アームへ取付けられる取付金具に
吊り部材を吊設して該吊り部材の下方部に連結部
材を軸支させ、該連結部材の左右両端部には耐張
碍子装置の取付ピンを摺動自在に支持する弧状の
長孔と前記吊り部材の下方部両側の係止溝と係合
する回転防止部とを備えた１対の回転連結板をピ
ンをもつて軸支したことを特徴とするものであ
り、以下、図示の実施例について詳細に説明す
る。

図中１は送電線の鉄塔アームへ取付けられる取
付金具、２は該取付金具１から軸ピン３をもつて
吊設された略長三角形状の吊り部材、６は該吊り
部材２の下方部中央に軸ピン５をもつて軸支され
た左右対称の連結部材である。吊り部材５の下方
部両側には軸ピン５を中心とする弧状の係止溝６
が刻設されており、これらの係止溝６に挟まれた
吊り部材２の下方部中央には段部７が形成されて
いる。この連結部材４の左右両端部には１対の扇
形の回転連結板８，８がその下縁中央部のピン
９，９をもつて軸支されている。回転連結板８，
８はその外方部に軸ピン５を中心とする弧状の長
孔１０，１０を備え、その内方部には前記吊り部
材２の係止溝６と係合して回転連結板８，８を第
１図〜第３図のように最も上方へ回転した状態に
保つピンのような回転防止部１１，１１を備えて
いる。そして、これらの長孔１０，１０には第３
図に示すように耐張碍子装置１２，１２の取付ピ
ン１３，１３が摺動自在に支持されているが、第
１図及及び第３図に示すように耐張碍子装置１
２，１２は常時は斜下向きの張力を取付ピン１
３，１３に加えるので、取付ピン１３，１３は長
孔１０，１０の最下部にて安定状態を保つてい
る。なお、図中１４は耐張碍子装置１２，１２の
両端に設けられた耐雷用のアークホーン、１５は
耐張碍子装置１２の先端に耐張クランプ１６を介
して取付けられた送電線である。

このように構成されたものは、常時は第１図及
び第３図に示すように送電線の鉄塔アームへ取付
けられる取付金具１から吊設された吊り部材２が
その下方部に軸支された左右対称の連結部材４に
左右の送電線１５による等しい張力を受けて垂直
状態を保つものであるが、例えば左側の送電線１
５が断線した場合には右側の送電線１５のみに張
力が作用するので吊り部材２の下方部は右方向に
強く引かれて吊り部材２は軸ピン３を中心として
反時計方向へ回転する。これにつれて連結部材４
の左右両端部にピン９，９をもつて軸支された１
対の回転連結板８，８のうち右側の回転連結板８
の内方部に設けられた回転防止部１１と吊り部材
２の下方部の係止溝６との係合が解かれるととも
に該回転連結板８はその内方部を吊り部材２の段
部７により上方に押上げられてピン９を中心とし
て時計方向に回転を生じ、同時に外方部の長孔１
０に摺動自在に支持された耐張碍子装置１２の取
付ピン１３が長孔１０の上端部へまで摺動して逐
には第４図のように軸ピン３とピン９と取付ピン
１３とが同一直線上に配置されて安定する。な
お、軸ピン５は反対側の回転連結板８の回転防止
部１１が係止溝６の上端に当つて連結部材４の回
転を抑制しているので上記の同一直線上からは外
れている。この結果、懸垂吊部の構成部材の長さ
がおおよそLsinθ＋Ｓ−Ｈだけ送電線実長に加算
されて不平均張力を低下させる。ここでＬは軸ピ
ン３と軸ピン５間の長さ、θは軸ピン３と軸ピン
５とを結ぶ直線が垂直線となす角度、Ｓはピン９
と取付ピン１３との最大長さ、Ｈはピン９と取付
ピン１３との最小長さである。これによつて断線
時における不平均張力は大幅に緩和され、送電線
鉄塔の倒壊等の事故を防止できる。

（考案の効果） 本考案は以上の説明からも明らかなように、送
電線の断線に対応して全体が張力側に傾動すると
ともに耐張碍子装置の取付ピンが張力側へ大きく
移動し、これによつて断線等により発生する不平
均張力を充分に減衰させて送電線断線時等の送電
線鉄塔の損壊を防ぐことができるものであり、し
かも、常時は鉄塔の下側アームとの間に従来の懸
垂吊状耐張碍子装置に依る場合と変りない絶縁距
離を維持できる利点をも有するもので、従来の欠
点を解決した懸垂吊状耐張碍子装置として実用的
価値極めて大なものである。

【図面の簡単な説明】

図面はいずれも本考案の実施例を示すもので、
第１図は一部切欠正面図、第２図は一部切欠側面
図、第３図は使用状態を示す一部切欠正面図、第
４図は断線後の安定状態において示す一部切欠正
面図である。 １：取付金具、２：吊り部材、４：連結部材、
６：係止溝、８：回転連結板、９：ピン、１０：
長孔、１１：回転防止部、１２：耐張碍子装置、
１３：取付ピン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 鉄塔アームへ取付けられる取付金具１に吊り部
   材２を吊設して該吊り部材２の下方部に連結部材
   ４を軸支させ、該連結部材４の左右両端部には耐
   張碍子装置１２の取付ピン１３を摺動自在に支持
   する弧状の長孔１０と前記吊り部材２の下方部両
   側の係止溝６と係合する回転防止部１１とを備え
   た１対の回転連結板８，８をピン９，９をもつて
   軸支したことを特徴とする懸垂吊状耐張碍子装
   置。