JPH025439Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は搬入機構を備えた放射性廃棄物の貯蔵
庫に関する、高レベル放射性固定廃棄物には、燃
料用パイプ（ハルと呼ばれている）や合成樹脂製
容器、各種フイルタ、ポンプ等がある。これらの
放射性廃棄物は特殊なドラム缶（通常ハルドラム
と呼ばれている）に入れて貯蔵庫に格納される。
今までの貯蔵庫は、放射線の遮蔽のため内部に水
を張つたプール式（湿式）のものが主であつた。
しかしこの貯蔵方式には次のような欠点がある。
先ず第１に、水を使うのでその管理が大変である
ということである。つまり、水の浄化設備を要す
ると共に、維持管理のためエネルギ（電力）と人
員とを要するのである。第２の、プールからの水
漏れは放射能廃液の漏洩を意味するので絶対に避
けなければならず、そのためプールを水のしみ出
ることのない頑丈なもの、例えば内面又は全面を
ステンレス製としたものとしなければならず、製
作上及び経費の面で問題があつた。

上記のような欠点を解消するため、従来より水
を使わない乾式の貯蔵庫の開発が進められてい
る。そして更に、このような乾式の貯蔵庫におい
て、安全性及び良好な作業性の確保を図ると共
に、効率の良い貯蔵を可能にするため、貯蔵物の
搬入を自動化することが進められている。

本考案は上記のような状況のもとになされたも
ので、その目的とするところは、貯蔵物の自動搬
入機構を備えた貯蔵庫を提供することにある。

この目的を達成するための本考案の構成は、放
射性廃棄物が貯蔵される円筒形の貯蔵室の天井部
に、貯蔵室外の駆動源により天井部中心を中心と
して旋回駆動される第１案内部材を設けると共
に、この第１案内部材の長さを貯蔵室の直径に略
等しいものとし、この第１案内部材の旋回中心を
境にしてその一方側に走行台を第１案内部材の長
手方向に沿つて移動可能に搭載すると共に、第１
案内部材の他方側に前記走行台と対応して接近離
反動するバランスウエイトを設け、更に、前記走
行台に放射性廃棄物の吊り下げ手段を設ける一
方、一端側が放射性廃棄物の搬入部及び保守シエ
ルにつながる移送通路の他端を前記貯蔵室の側面
上部に接続し、更にこの移送通路内において、前
記貯蔵室内の第１案内部材が一直線状となり得る
位置に第２案内部材を設け、一直線状となつた第
１，第２案内部材を案内として前記走行台及び吊
り下げ手段を保守シエルに移動できるようにして
あることを特徴とする。

以下、本考案に係る貯蔵庫を図面に示す実施例
に基づき詳細に説明する。

第１図には一実施例の縦断面図を示し、第２図
には第１図中のＡ−Ａ矢視断面を示す。当該貯蔵
庫１の貯蔵室は放射線を十分遮断し得る厚さのコ
ンクリートで円筒状に形成されている。貯蔵庫１
の床面１ａ上にはハルドラム２を積み重ねて収容
するためのラツク３が形成されている。ラツク３
は所定の形状（本実施例では６角形）の連続を区
画構成すべく立設されたパイプ若しくは棒材（以
下パイプ等という）４と隣り合うパイプ等４同士
を結合する横材５からなり、パイプ４等と横材５
とにより形成される６角柱の空間にハルドラム２
が積み重ねられるようになつている。貯蔵庫１の
側壁１ｂの上部には一端が図示されていない保守
シエル、放射性廃棄物の搬入部につながれた移送
通路６の他端が接続されている。７は移送通路６
と貯蔵庫１との境に設けられた開閉扉で、なくて
よい。移送通路６の床面には貯蔵庫１との境にか
けてレール８が敷設され、このレール８上を自走
機能を備えた搬送台車９が移動するようになつて
いる。放射性廃棄物の入れられたハルドラム２は
この搬送台車９により運搬されるのである。又、
移送通路６の天井面には貯蔵庫１の入口から前記
保守セルにかけて第２案内部材としての天井レー
ル１０が架設されている。一方、貯蔵庫１の円筒
状貯蔵室の天井面１ｃの中心部には回転軸１１が
軸受を介して垂直に支持してあり、その貯蔵庫１
内側の端部には第１案内部材として天井レール１
２が水平に取付けられ、他端部には貯蔵庫１外に
おいて駆動機１３の出力軸が連結されている。つ
まり、駆動機１３の駆動により前記天井レール１
２が水平面内で旋回されるようになつているので
ある。尚、この天井レール１２は前記移送通路６
内の天井レール１０と小さい隙間をもつて一直線
に並び得る長さとなつている。天井レール１２上
には走行台である天井クレーン１４とバランスウ
エイト１５とが懸架されている。天井クレーン１
４は車輪１６及び駆動源（図示省略）を備えて自
走できるようになつており、更にハルドラム２を
吊り下げるための吊り下げ手段としてのフツク１
７及びその昇降用の電動機（図示省略）を備えて
いる。前記バランスウエイト１５も車輪１８及び
駆動源（図示省略）を備えており、これら天井ク
レーン１４とバランスウエイト１５とは釣り合い
を取るため天井レール１２の中心に対し互いに接
近離反移動するようになつている。天井クレーン
１４及びバランスウエイト１５の駆動源及び電動
機等の電源は前記回転軸１１内に通した給電線に
よつて得られる。又、各給電線は、天井クレーン
１４やバランスウエイト１５が移送通路６を通つ
て保守シエルまで移動する場合があるので、移動
量に合わせて繰り出し或いは巻き取りができるよ
うになつている。尚、天井クレーン１４及びバラ
ンスウエイト１５の電源としては蓄電池を用いて
もよい。

上記構成の貯蔵庫へのハルドラム２の運搬貯蔵
は次のようにして行なう。

放射性固定廃棄物を収容してあるハルドラム２
は搬送台車９上に載せて移送通路６内を貯蔵庫１
の入口まで搬送される。一方、天井クレーン１４
は移送通路６内の天井レール１０の端部に移つて
待機し、下方に搬送台車９によつてハルドラム２
が運搬されて来ると、フツク１７によつてハルド
ラム２を吊り下げる。この後天井クレーン１４は
貯蔵庫１の天井の天井レール１２に移り、天井レ
ール１２に沿つての移動及び天井レール１２自体
の旋回により、ハルドラム２を貯蔵すべきラツク
３の上方に移動される。その後、フツク１７が下
降され、ハルドラム２はラツク３のパイプ等４が
区画する空間内に収められる。搬送台車９の移動
及びハルドラム２を収容すべき位置の割り出し、
天井クレーン１４の始動、停止等はすべて自動制
御でなされる。又、本実施例では貯蔵庫１を横断
面形状が円形若しくは多角形状としてあるので、
空間を有効に利用した効率的な貯蔵が行なえる。

天井レール１４或いはバランスウエイト１５を
点検する場合には、天井レール１２は移送通路６
内に天井レール１０と一直線とされる。この状態
で天井クレーン１４或いはバランスウエイト１５
はその走行により天井レール１２から天井レール
１１へ移つて、保守シエルへと移動される。

第３図には他の実施例の縦断面を示し、第４図
〜６図にはその主要部の詳細を示す。コンクリー
ト製の貯蔵庫１の床面１ａ上にラツク３が形成さ
れ、貯蔵庫１の側面１ｂに移送通路６がつながつ
ている構成は先に挙げた実施例と同じである。
又、移送通路６の床面にも同様にレール８が敷設
され、そこに自走機能を備えた搬送台車９が乗つ
ている。移送通路６の天井には下側に軸方向に平
行に案内溝２０を設けてある天井架台２１が貯蔵
庫１の入口から保守シエルにかけて架設してあ
る。この天井架台２１の中心軸上には送りねじ軸
２２が軸受２３により回転自在に支持されてい
る。送りねじ軸２２の数個所を支持する前記軸受
２３の外径は送りねじ軸２２の外径より小さくな
つている。つまり、送りねじ軸２２の軸受支持さ
れる部分の径は細くなつており、その部分が軸受
２３により支えられた構造となつているのであ
る。一方、貯蔵庫１の天井１ｃにはその中心を中
心とするリング状の天井レール２４が設けてあ
り、上面に車輪２５を備えた旋回天井架台２６が
前記天井レール２４上に乗る前記車輪２５を介し
て懸架されている。天井架台２６は筒状をなし、
その上面における長手方向中央部に結合された垂
直な旋回用回転軸２７が貯蔵庫１の天井１ｃに回
転自在に支持されている。回転軸２７の上端部周
囲には歯車２８が設けてあり、この歯車２８に
は、貯蔵庫１の上面に支持された駆動機２９に連
結する歯車３０が噛み合つている。つまり、駆動
機２９の駆動により天井架台２６に旋回されるの
である。前記回転軸２７内には移動用回転軸３１
が軸受を介して支持されており、その上端には駆
動機３２が連結し、天井架台２６の中央内側に臨
む他端にはベベルギヤ３３ａが取付けられてい
る。天井架台２６内には前記ベベルギヤ３３ａに
それぞれ噛み合うベベルギヤ３３ｂが端部に具え
た案内部材としての送りねじ軸３４が天井架台２
６の中心軸上において対称に軸受３５で回転自在
に支持されている。軸受３５は送りねじ軸３４よ
り径が小さくなつている。つまり、第４，５図に
示すように、送りねじ軸３４の軸受支持部３４ａ
の径は小さくなつており、この細径部３４ａが送
りねじ軸３４より径の小さい軸受３５で支持され
ているのである。尚、軸受３５は天井架台２６の
内天面にブラケツト３６を介して取付けられる。
天井架台２６の下部にはその中心線に平行な案内
溝３７が全長に亘つて形成してあり、この溝３７
を通して一方の送りねじ軸３４には走行台として
天井クレーン３８が、他方の送りねじ軸３４には
バランスウエイト３９がそれぞれねじ合わせられ
ている。天井クレーン３８の送りねじ軸３４と螺
合する部分の頂部には、第５図に示すように軸受
３５及び前記軸受２３の支持部の厚みより大きい
幅で切欠き４０が設けてある。つまり、天井クレ
ーン３８は軸受３５，２３を越えて移動できるよ
うになつているのである。前記バランスウエイト
３９も同様の構造となつている。天井クレーン３
８には先に挙げた実施例と同様にハルドラム２を
吊り下げるためのフツク１７及びその駆動源（図
示省略）が搭載されている。この駆動源への電流
の供給は天井クレーン３８に搭載される蓄電池や
外部からの給電線によりなされるが、本実施例で
は、天井クレーン３８につながる給電線４１を移
送通路６内の天井架台２１に吊架してある。この
給電線４１は天井クレーン３８の動きに合わせて
繰りされ或いは巻き取られるようになつている。
尚、旋回天井架台２６はその送りねじ軸３４が移
送通路６側の天井架台２１の送りねじ軸２２と正
確に一直上となつた状態で停止でき、更にこの状
態で送りねじ軸３４と送りねじ軸２２とが連結さ
れるようになつている。

この実施例におけるハルドラム２の運搬及び貯
蔵は次のようにして行なう。

先に挙げた実施例と同様にハルドラム２は搬送
台車９に載せて移送通路６内に貯蔵庫１の入口ま
で搬送される。一方、貯蔵庫１内の天井架台２６
を、その送りねじ軸３４が移送通路６内の天井架
台２１の送りねじ軸２２に連結した状態とし、そ
の入口端に天井クレーン３８を移動し待機させて
おく。又は、天井クレーン３８を天井架台２６の
送りねじ軸２２に移して待機させておく。搬送台
車９上のハルドラム２は上記状態にある天井クレ
ーン３８のフツク１７により吊り下げ支持され、
天井クレーン３８が送りねじ２２上で待機してい
た場合には送りねじ３４側に移される。その後、
回転軸２７の回転による天井架台２６の旋回及び
移動用回転軸３０の回転による天井クレーン３８
の送りねじ軸３４に沿つての移動により、ハルド
ラム２は貯蔵すべきラツク３の上方に移動され
る。バランスウエイト３９は天井クレーン３８と
釣り合いをとるため、天井クレーン３８に対し接
近離反移動する。以後は、他の実施例と同様にフ
ツク１７の下降によりラツク３内に収められる。
天井クレーン３８やバランスウエイト３９を点検
する場合には、送りねじ軸３４と２２とを一直線
上で結合し、天井クレーン３８、バランスウエイ
ト３９を送りねじ軸３４から２２へ渡らせ、更に
保守シエルへ移動させることにより行なう。送り
ねじ軸３４，２２を点検する場合は、これらを連
結して保守シエル側へ軸受２３，３５と共に引き
抜くことにより行なう。尚、軸受２３，３５はブ
ラケツト３６より外れる。

上記二つの実施例において、前記搬送台車９に
移載装置を設けて、天井レール１２若しくは天井
架台２６の端部に待機する天井クレーン１４若し
くは３８のフツク１７にハルドラム２を渡すよう
にすることもでき、又搬送台車９が天井レール１
２や天井架台２６の端部下方にせり出し、そこで
天井クレーン１４，３８に直接ハルドラム２を渡
すようにすることもできる。

上述の如く、本考案に係る貯蔵庫では、搬入機
構を備えているので、放射性廃棄物を収容してあ
るハルドラム等の貯蔵が安全に行なえ、作業者が
被爆するおそれが全くなく、しかも自動化ができ
るので能率も向上する。また、走行台等の保守、
点検等の際には、貯蔵室天井面の第１案内部材と
移送通路内の第２案内部材とを一直線状にし、こ
れらを案内として走行台等を保守シエルに導くこ
とができるので、走行台等の収容がきわめて容易
かつ安全に行なえるようになる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の縦断面図、第２図
は第１図中のＡ−Ａ矢視断面図、第３図は他の実
施例の縦断面図、第４図は第３図中のＢ部の拡大
図、第５図は第４図のＣ−Ｃ矢視断面図、第６図
は第３図中のＤ部の拡大図である。 図面中、１は貯蔵庫、２はハルドラム、３はラ
ツク、６は移送通路、９は搬送台車、１１は回転
軸、１２は天井レール、１４は天井クレーン、１
５はバランスウエイト、１７はフツク、２６は旋
回天井架台、２７は回転軸、３１は移動用回転
軸、３４は送りねじ軸、３７は案内溝、３８は天
井クレーン、３９はバランスウエイト、４０は切
欠きである。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 放射性廃棄物が貯蔵される円筒形の貯蔵室の
   天井部に、貯蔵室外の駆動源により天井部中心
   を中心として旋回駆動される第１案内部材を設
   けると共に、この第１案内部材の長さを貯蔵室
   の直径に略等しいものとし、この第１案内部材
   の旋回中心を境にしてその一方側に走行台を第
   １案内部材の長手方向に沿つて移動可能に搭載
   すると共に、第１案内部材の他方側に前記走行
   台と対応して接近離反動するバランスウエイト
   を設け、更に、前記走行台に放射性廃棄物の吊
   り下げ手段を設ける一方、一端側が放射性廃棄
   物の搬入部及び保守シエルにつながる移送通路
   の他端を前記貯蔵室の側面上部に接続し、更に
   この移送通路内において、前記貯蔵室内の第１
   案内部材が一直線状となり得る位置に第２案内
   部材を設け、一直線状となつた第１，第２案内
   部材を案内として前記走行台及び吊り下げ手段
   を保守シエルに移動できるようにしてあること
   を特徴とする放射性廃棄物の貯蔵庫。 (2) 前記第１案内部材と平行かつ回転自在に送り
   ねじ軸を支持し、当該送りねじ軸に前記走行
   台、バランスウエイトを螺合し、更に、送りね
   じ軸を回転させて前記走行台、バランスウエイ
   トを互いに接近離反移動させるべく前記送りね
   じと貯蔵室外の前記駆動源とを歯車機構を介し
   て連結してあることを特徴とする実用新案登録
   請求の範囲第１項に記載の放射性廃棄物の貯蔵
   庫。