JPH0253569B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この出願は、海洋構造物の建設方法および海洋
構造物の建設装置に関し、特に、上下方向に延び
た縦壁を有し、縦壁の内側に中空部を形成してな
るブロツクに、縦壁の外側方向に突出する横材を
取付け、横材下面に、離脱可能に基台を取付け、
基台に、ラムを下方に向けてジヤツキを取付けて
海洋構造物の建設装置を構成し、この装置を、所
定水域に移送して水底に向けて降下させ、ブロツ
クが所定高さ位置になつたときに、ジヤツキによ
り、ブロツクの重量を水底に支持し且つ姿勢を定
めて、ブロツクの高さ位置と姿勢とを仮固定し、
その後、ブロツクと水底との間に、岩石、土砂な
どの詰物を施してブロツクを本固定し、次いで、
ジヤツキを取付けてある基台を横材から撤去する
ことにより、水底が不整地であつても、その整地
を必要とすることなく、ブロツクを所定の高さ、
位置、姿勢に設置して海洋構造物を建設する方法
及び装置である。

従来、上下方向に延びた縦壁の内側に中空部を
形成した、コンクリート等からなるブロツクを、
所定水域に運搬して設置することにより、防波
堤、人工島等を形成する海洋構造物の建設方法が
あつたが、この従来例によれば、ブロツクを直接
水底に着床させるため、水底に凹凸がある不整地
の場合は、ブロツクを所定の高さ、位置、姿勢に
安定した状態で着床できるように、予め水底を整
地しなければならない不具合があつた。この整地
は、水底まで作業員を潜水させて行なうものであ
り、水中作業という条件下のため整地に多大な時
間を要し且つ危険を伴なう欠点がある。

そこでこの出願は、かかる従来の欠点を除去す
るためになされたものであり、ブロツクの設置の
ための水底の整地を省略し、ブロツクを所定の高
さ、位置、姿勢に正確に固定し、さらにブロツク
設置のための機材を反覆使用可能にすることを目
的とする。

すなわち、この出願は、上下方向に延びた縦壁
１を有し、縦壁１の内側に中空部２を形成してな
るブロツク３を用い、このブロツク３に、縦壁１
の外側方向に突出する横材４を取付け、横材４下
面に、離脱可能に基台５を取付け、基台５に、ラ
ム６を下方に向けたジヤツキ７を取付け、この状
態で前記ブロツク３を所定水域に移送して水底８
に向けて降下させ、ブロツク３が所定の高さ位置
になつたときに、ジヤツキ７により、ブロツク３
の重量を水底８に支持し且つ姿勢を定めて、ブロ
ツク３の高さ位置と姿勢とを仮固定し、その後、
ブロツク３と水底８との間に、岩石、土砂などの
詰物９を施してブロツク３を本固定し、次いで、
ジヤツキ７を取付けてある基台５を横材４から撤
去することを特徴とする海洋構造物の建設方法
を、特定発明にするとともに、上下方向に延びた
縦壁１を有し、縦壁１の内側に中空部２を形成し
てなるブロツク３を用い、このブロツク３に、縦
壁１の外側方向に突出する横材４を取付け、横材
４下面に、上面の少なくとも横材接触面５ａの摩
擦抵抗を低下させた基台５を、離脱可能に取付
け、基台５に、ラム６を下方に向けたジヤツキ７
を取付け、この状態で前記ブロツク３を所定水域
に移送して水底８に向けて降下させ、ブロツク３
が所定の高さ位置になつたときに、ジヤツキ７に
より、ブロツク３の重量を水底に支持し且つ姿勢
を定め、基台５と横材４との間の係合を解除した
後、基台５上で横材４を滑らせてブロツク３を所
定位置に横移動させて、ブロツク３を高さ方向の
位置および姿勢を仮固定し、横方向の位置を決定
し、その後、ブロツク３と水底８との間に、岩
石、土砂などの詰物９を施してブロツク３を本固
定し、次いで、ジヤツキ７を取付けてある基台５
を横材４から撤去することを特徴とする海洋構造
物の建設方法を、第１の併合発明とし、また第２
の併合発明として、上下方向に延びた縦壁１を有
し、縦壁１の内側に中空部２を形成してなるブロ
ツク３に、縦壁１の外側方向に突出する横材４を
取付け、横材４下面に、離脱可能に基台５を取付
け、基台５に、ラム６を下方に向けてジヤツキ７
を取付けたことを特徴とする海洋構造物の建設装
置を提供する。

以下、第２の併合発明を、図示する実施例にし
たがつて説明する。

図中３がコンクリート製のブロツクであり、上
下方向に延びた縦壁１により構成し、内側に、上
下方向に解放された中空部２を形成する。縦壁１
内側は、縦壁１と一体の仕切壁１０によつて仕切
つてあつて、中空部２を多数形成している。縦壁
１は、第２図に示すように一部を平面弧状にして
いるが、これを直線状にして、ブロツク３を平面
四辺形にしてもよい。ブロツク３には、縦壁１の
外側方向に突出する横材４を取付ける。この実施
例では、細長いコンクリート材を、ブロツク３下
面に掛渡し、その両端をブロツク３の相互に反対
側方向に突出させる。横材４は、ブロツク３と一
体成形したものでもよく、また、別体に成形した
後ブロツク３に固定したものでもよい。また、横
材４は、ブロツク３の縦壁１の高さ方向中途部か
ら水平方向に張出して構成することもできる。

横材４下面には基台５を取付ける。基台５上面
には、表面をテフロン加工して摩擦抵抗を低下さ
せた薄板１１を固定し、この薄板１１の表面を横
材４の下面に接して基台５と横材４とをピン１
２，１３で止着する。かくして、薄板１１表面が
基台５の横材接触面５ａをなす。横材接触面５ａ
は、基台５に直接設けてもよく、また、摩擦抵抗
を低下させる手段は、潤滑剤の塗着やローラの設
置のように他の手段を用いることもできる。垂直
なピン１２も水平なピン１３も着脱可能に係合し
てあり、垂直なピン１２の穴１２ａに、水平なピ
ン１３の先部が挿入されていて、これらのピン１
２，１３により、横材４に基台５を離脱可能に取
付ける。かかるピン１２，１３に代えて、横材４
に対する基台５の取付けをワイヤロープ等により
なすこともできる。

基台５下面には、ジヤツキ７を取付ける。この
ジヤツキ７は、液圧ジヤツキを用い、ラム６を下
方に向けていて、基台５の脚のように取付けてあ
る。基台５に対して３個のジヤツキ７が取付けて
あるが、ジヤツキ７の能力によつては、１つの基
台５に取付ける数は１個であつても足りる。ジヤ
ツキ７は、配管１４により、ブロツク３の適所に
設置されたコントローラ１５に連結してあつて、
各基台５の夫々のジヤツキ７をコントローラ１５
により制御できるようにしてある。図中１６はウ
インチである。かくして、第１〜３図に示すよう
に、海洋構造物の建設装置が構成される。

なお、この実施例のブロツク３は、中空部２が
上下方向に解放された形式について説明したが、
縦壁１の上部、中部、下部の少なくともいずれか
に仕切りが形成されて、中空部２を少なくとも上
下いずれかの方向に遮閉する形式のブロツク、例
えばケーソンのようなブロツクを用いることもで
きる。

而して、ジヤツキ７を取付けた基台５を、横材
４に取付けた状態で、ブロツク３を所定水域まで
搬送する。この搬送手段は、クレーン船によりブ
ロツク３を吊つた状態で搬送する手段や、ブロツ
ク３に浮力を与えて曳航する手段（例えば、特開
昭56−20235号）を用いる。所定水域に至つて、
ブロツク３を水底８に向けて下降させる。このと
き、ジヤツキ７は、ラム６を自重で伸長させてお
き、しかも液圧は加えずに水底８に当つて縮小可
能にしておく。そして、ブロツク３が所定の高
さ、および姿勢になる過程でジヤツキ７のラム６
が水底８に接し、水底８の凹凸に対応して各ジヤ
ツキ７のラム６の伸縮方向位置が変化する。すな
わち、水底８の凹状部分ではジヤツキ７は伸長し
た状態にあり、凸状部分ではジヤツキ７は縮小し
た状態にある。そして、いずれのジヤツキ７もラ
ム６が水底８に接した状態になり、ブロツク３が
所定の高さおよび姿勢になつたときに、コントロ
ーラ１５によりジヤツキ７をロツクする（第５
図）。これによつて、ジヤツキ７はラム６が固定
されるから、ブロツク３の姿勢、高さを変化させ
ることなく支持する。また、このようなジヤツキ
７の操作に代えて、各ジヤツキ７のラム６を夫々
伸縮調整しながら、ブロツク３の高さ位置と姿勢
とを制御する方法でもよい。かくして、ジヤツキ
７によりブロツク３重量を支持するため、ブロツ
ク３を吊つていたクレーンまたは浮体等を取外
す。

つぎに、ブロツク３を水平方向に移動させて予
め設置されているブロツク３に接合すること等に
より最終位置決めをする。この水平方向への移動
は、ピン１２，１３を抜去し、且つワイヤロープ
の先端を予め設置されているブロツク３または他
の施設に係着し、このワイヤロープをウインチ１
６で巻取ることにより行なう（第４図）。ウイン
チ１６によるワイヤロープの巻取りで、ブロツク
３は、横材４とともに基台５の横材接触面５ａ上
を滑つて移動する。横材４の移動距離は、ブロツ
ク３が降下時に予め定められた位置に降下されて
いるため、あまり大きくはならない。また、予め
設置されているブロツク３に隣接して精度よくブ
ロツク３の降下をなし得た場合や、予め設置され
ているブロツク３が存在せず、最初に設置される
ブロツク３である場合には、この水平方向の移動
を要しないこともある。これらの場合が特定発明
に対応する。このようにして、ブロツク３の高さ
方向の位置と水平方向の位置と姿勢とが決定され
る。これがブロツク３の仮固定である。

次に、ブロツク３の中空部２内に詰物９を投入
して、ブロツク３と水底８との間に岩石、土砂な
どの詰物９を施し、この詰物９によりブロツク３
を水底８に固定する。詰物９を、ブロツク３と水
底８との間に施した後に、中空部２に継続して同
様の詰物を投入して中詰めをする。また、中空部
２が上下に解放されていない、ケーソンのような
ブロツクにあつては、詰物９はブロツクの外側か
ら施す。図示実施例においても、中空部２内に投
入してブロツク３と水底８との間に詰物９を施す
方法と併行して、ブロツク３の外側からこれを施
してもよい。この詰物９によりブロツク３を水底
に支持して固定する。しかる後、ジヤツキ７のラ
ム６を縮めて、ジヤツキ７を取付けた状態の基台
５を横材４から取外す。横材４と基台５とを係合
するピン１２，１３はすでに抜去されているか
ら、基台５を容易に撤去することができる。基台
５の撤去によりブロツク３の設置は終了する（第
６図）。

このように、適宜数のブロツク３を順次設置す
ることにより、所定の長さまたは広がりをもつ海
洋構造物が建設され、防波堤、人工島等の所期の
目的に利用される。前記特定発明の実施に直接使
用する装置が第２の併合発明に対応する。

以上の説明のように、特定発明によれば、ジヤ
ツキを取付けた基台により、横材を介してブロツ
クを支持し、このとき、水底の凹凸に応じてジヤ
ツキの長さを調節して、水底の凹凸変化をジヤツ
キにより吸収するから、水底が不整地であつて
も、そのままブロツクを所定の高さ位置、姿勢に
設置することができる。このため、水底を予め整
地する目的で作業員を長時間潜水させる必要はな
くなつたから、作業の円滑化と安全性の向上をは
かることができる。また、この特定発明によれ
ば、ジヤツキ及びこれが取付けられた基台をブロ
ツクの設置後に撤去するため、これらの反覆使用
が可能となつて工費の節減をはかることができる
効果がある。

また第１の併合発明によれば、ジヤツキにより
ブロツクの高さ位置と姿勢を決めた後に基台と横
材との係合を解除して、基台上の摩擦抵抗を低下
させた面上で横材を滑らせることによりブロツク
を横移動させるから、前記特定発明の効果に加え
て、ブロツクの水平方向位置の微調整が可能であ
つて、他のブロツク等に対する相対位置の設定が
容易になるという効果がある。

さらに第２の併合発明によれば、水底が不整地
であつても、そのままブロツクを所定の高さ位
置、姿勢に設置することができるから、この装置
を使えば前記特定発明と同一の効果を得ることが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、海洋構造物の建設装置の一実施例を
示す正面図、第２図は、同平面図、第３図は、第
１図の要部拡大図、第４図は、海洋構造物の建設
方法を示す正面図、第５図は、第４図の要部拡大
図、第６図は、海洋構造物の建設終了の状態を示
す正面図である。 図中１は縦壁、２は中空部、３はブロツク、４
は横材、５は基台、５ａは横材接触面、６はラ
ム、７はジヤツキ、８は水底、９は詰物を示す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 上下方向に延びた縦壁を有し、縦壁の内側に
   中空部を形成してなるブロツクを用い、このブロ
   ツクに、縦壁の外側方向に突出する横材を取付
   け、横材下面に、離脱可能に基台を取付け、基台
   に、ラムを下方に向けたジヤツキを取付け、この
   状態で前記ブロツクを所定水域に移送して水底に
   向けて降下させ、ブロツクが所定の高さ位置にな
   つたときに、ジヤツキにより、ブロツクの重量を
   水底に支持し且つ姿勢を定めて、ブロツクの高さ
   位置と姿勢とを仮固定し、その後、ブロツクと水
   底との間に、岩石、土砂などの詰物を施してブロ
   ツクを本固定し、次いで、ジヤツキを取付けてあ
   る基台を横材から撤去することを特徴とする海洋
   構造物の建設方法。 ２ ブロツクの中空部は、上下方向に開放されて
   いて、詰物の施行は、中空部を介してなす特許請
   求の範囲第１項記載の海洋構造物の建設方法。 ３ 上下方向に延びた縦壁を有し、縦壁の内側に
   中空部を形成してなるブロツクを用い、このブロ
   ツクに、縦壁の外側方向に突出する横材を取付
   け、横材下面に、上面の少なくとも横材接触面の
   摩擦抵抗を低下させた基台を、離脱可能に取付
   け、基台に、ラムを下方に向けたジヤツキを取付
   け、この状態で前記ブロツクを所定水域に移送し
   て水底に向けて降下させ、ブロツクが所定の高さ
   位置になつたときに、ジヤツキにより、ブロツク
   の重量を水底に支持し且つ姿勢を定め、基台と横
   材との間の係合を解除した後、基台上で横材を滑
   らせてブロツクを所定位置に移動させて、ブロツ
   クの高さ方向の位置および姿勢を仮固定し、横方
   向の位置を決定し、その後、ブロツクと水底との
   間に、岩石、土砂などの詰物を施してブロツクを
   本固定し、次いで、ジヤツキを取付けてある基台
   を横材から撤去することを特徴とする海洋構造物
   の建設方法。 ４ 上下方向に延びた縦壁を有し、縦壁の内側に
   中空部を形成してなるブロツクに、縦壁の外側方
   向に突出する横材を取付け、横材下面に、離脱可
   能に基台を取付け、基台に、ラムを下方に向けて
   ジヤツキを取付けたことを特徴とする海洋構造物
   の建設装置。