JPH0252524B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は燃料タンク用ストレーナに係り、特に
燃料タンク内に吊下されて液体燃料料に含まれる
不純物を過するための燃料タンク用ストレーナ
及びその製造方法に関する。

〔従来技術〕 自動車等の車輌に装備される燃料タンクは、通
常、ガソリンのような液体燃料に含まれているゴ
ミ等の不純物を過するためのストレーナを備え
ている。この種の燃料タンク用ストレーナ１は、
第７図に示されるように燃料タンク２の開口部に
吊下パイプ３を介して取りつけられている。この
取りつけに際しては、燃料タンク２の底部が第７
図に示されるように外気の温度変化に呼応して膨
脹したり凹んだりするため（第７図において仮想
線は凹んだ状態を示す）、タンク底部に燃料タン
ク用ストレーナを密着させないで所定距離ｄだけ
離して行なつている。これは、タンクの変形によ
るストレーナ自体の破損や変形を避けるためであ
る。

〔発明が解決しようとする問題点〕

しかしながら、上記した従来のストレーナで
は、燃料タンク内の燃料を余すことなく吸引する
ことは困難でありタンク容積の有効利用を妨げて
いた。

また、タンク底部に近接して取りつけられる
と、タンク底部の呼吸作用でストレーナが干渉
し、自動車走行中等不快音を発生させることがあ
つた。

本発明は、上記事情に鑑みて創案されたもの
で、その目的とする処は、ストレーナ自体を柔軟
性に富んだ構造とし、燃料タンクの呼吸作用に応
動して変形し得るようにし、燃料タンク内の燃料
を余すことなく吸引し得る燃料タンク用ストレー
ナ及びその製造方法を提供することにある。

〔問題点を解決するための手段〕

上記問題点を解決するための第一の発明の燃料
タンク用ストレーナは、細かい網目を有する袋状
のスクリーンと、この袋状のスクリーンの開口端
を保持するスクリーン保持部材と、このスクリー
ン保持部材から外部に突出し液を吸引するサク
シヨンパイプとからなり、前記スクリーン開口端
とスクリーン保持部材とサクシヨンパイプとを相
互に一体に溶着したことを特徴とするものであ
る。

また、第二の発明の燃料タンク用ストレーナの
製造方法は、細かい網目を有するスクリーンと
液を吸引するサクシヨンパイプとを個別に成形
し、この成形したサクシヨンパイプとスクリーン
とを同一金型内にセツトし、このサクシヨンパイ
プとスクリーン開口端とを一体に溶着するように
前記金型でスクリーン保持部材を成形することを
特徴とするものである。

〔作用〕

網目状のスクリーンを保持するスクリーン保持
部材と、このスクリーン保持部材と連通するサク
シヨンパイプとを別体のものとし、スクリーンを
スクリーン保持部材に溶着させる際に、サクシヨ
ンパイプとスクリーン保持部材をも一体に溶着さ
せ、これによりスクリーンの取付角度の任意性を
確保するとともにシール部材を使用しなくとも良
いようにしたものである。

また、前記スクリーン保持部材には柔軟性に富
んだ板状のスクリーン支持体を設け、燃料吸引時
にスクリーン側壁相互が接触することを防止する
とともに、燃料タンクの呼吸作用に応動して変形
し得るようにしたものである。

〔発明の実施例〕

以下、本発明に係る燃料タンク用ストレーナ及
びその製造方法について第１図乃至第６図を参照
して詳細に説明する。

第１図は燃料タンクの縦断面図を示すものであ
り、同図において燃料タンク１０のキヤツプ１１
を貫通してパイプ１２が燃料タンク１０内に挿入
されている。前記パイプ１２の下端には、ポンプ
１３が配設されており、このポンプ１３の吸入管
１３ａに燃料タンク用ストレーナ１５がジヨイン
トされている。

燃料タンク用ストレーナ１５は、第２図乃至第
４図に示されるように細かい網目を有する袋状の
スクリーン１６と、この袋状のスクリーン１６の
開口端を保持するスクリーン保持部材１８と、こ
のスクリーン保持部材１８から外部に突出し液
を吸引するサクシヨンパイプ２４とから構成され
ている。

前記スクリーン１６は、ポリエチレン糸を特殊
綾織りしたメツシユ２５０相当のシート状部材を
重ね合わせて下端縁及び一側端縁を超音波溶着で
袋状に形成したものである。

また、スクリーン保持部材１８は、袋状のスク
リーン１６の開口端を閉塞するとともに保持する
楕円盤状のスクリーン保持部１９と、このスクリ
ーン保持部１９の中央部から下方に突出したパイ
プ状の液吸引部２０と、前記スクリーン保持部
１９の周縁部から下方に突出した薄板状の支持体
２１とを備えている。

一方、スクリーン保持部材１８から上方に突出
したサクシヨンパイプ２４は、上端部近傍で所定
角度折曲されており、その最頂部には薄い板厚の
リング２５が圧入されている。なお、本実施例に
おいては、スクリーン保持部材１８及びサクシヨ
ンパイプ２４は、いずれもナイロン６にて形成さ
れている。

次に、本発明に係る燃料タンク用ストレーナ１
５の製造方法について説明する。

まず、サクシヨンパイプ２４を横型インジエク
シヨン成形機によつて成形する。このとき、樹脂
温は260℃、射出圧は150Kg／cm²で行ない、サクシ
ヨンパイプ２４は第５図に示すように上部に円筒
部２４ａ、中間部に角筒部２４ｂ、下端にフラン
ジ部２４ｃを有している。

一方、ポリエチレン系を綾織りしたスクリーン
１６を構成するシート状部材Ｓを別途用意してお
く。そして、サクシヨンパイプ２４とスクリーン
１６を構成するシート状部材Ｓとを同一金型２６
内にセツトし、この金型２６内にスクリーン保持
部材１８を形成する樹脂を射出するものである。

前記金型２６は、第５図に示されるような下型
２７と上型２８とこの上下型２７，２８内に挿入
される楕円柱体状の中間型２９とからなつてい
る。上下型２７，２８は、それぞれ一側が開口し
た凹部２７ａ，２８ａを有し、また上下型２７，
２８側壁にはサクシヨンパイプ２４が嵌合される
切欠き２７ｂ，２８ｂが形成されるとともに樹脂
が注入される注入口２７ｃがそれぞれ形成されて
いる。一方、中間型２９には液吸引部２０を形
成する円筒状凹部２９ａと舌状の支持体２１を形
成する舌状凹部２９ｂとが形成されている。

しかして、下型２７の切欠き２７ｂにサクシヨ
ンパイプ２４の角筒部２４ｂを嵌合し、次に中間
型２９の外周壁にシート状部材Ｓを巻回し、互い
の側縁を重ね合わせてその重合面を超音波溶着す
る。そして、この中間型２９を上下型２７，２８
と嵌合した後、注入口２７ｃより縦型インジエク
シヨン成形機を介して樹脂を注入し、第６図に示
すようにスクリーン保持部材１８を形成するとと
もに、このスクリーン保持部材１８にてサクシヨ
ンパイプ２４及びスクリーン１６の上部開口端を
一体に溶着する。このとき、樹脂温は約275℃、
射出圧はできるだけ弱い状態に近づけて行なつ
た。この射出後に金型２６から射出成形品を取り
出した後、スクリーン１６の開口下端部を超音波
溶着して燃料タンク用ストレーナ１５が完成され
る。

このように、本発明に係る燃料タンク用ストレ
ーナの製造方法においては二重成形を行なつた
が、この二重成形を行なう理由はサクシヨンパイ
プ２４及びスクリーン１６との接合の際、気密
性、即ちシール効果が必要であり、二重成形を行
なわないとサクシヨンパイプ２４とスクリーン保
持部材１８との間にガスケツトが必要となり、又
その固定手段も必要となるためと、サクシヨンパ
イプ２４の箇所とスクリーン保持部材１８の箇所
において２段階に亘つて所定角度折曲されてお
り、この２段階以上に傾けられていると、樹脂成
形時に金型の抜きの関係で一体化できないためで
ある。

また、この二重成形の型には、スクリーン１６
に密着するように成形される支持体２１が同時に
得られるようになつており、この支持体２１はス
クリーン１６と一体に変形し、燃料タンク１０の
呼吸作用に呼応して変形する。前記支持体２１
は、樹脂の弾性域内で設計されており、本実施例
においては、全周で４本設けられ、各支持体２１
の幅５mm、厚さ1.2〜1.5mmとし、支持体２１がタ
ンク底部に軽く密着するように取付けられる。な
お、支持体２１が剛性が高いと、タンク底部を通
じて伝わる走行振動に共鳴し、運転時不快音を発
することがあるため、特に柔軟性を有するような
材質、形状を選択した。

〔発明の効果〕

以上、実施例の説明から明らかなように本発明
によれば、袋状のスクリーンをスクリーン保持部
材に一体成形した板状支持体で弾性的に支持した
ので、ストレーナ自体を柔軟性に富んだ構造とな
し、スクリーンが燃料吸引時に著しく変形するこ
とがなく、燃料タンクの呼吸作用に応動して変形
し得るため、燃料タンク内の燃料を余すことなく
吸引することができる。

また、本発明によれば、ストレーナの成形に際
して２重成形を行なつたため、設計ニーズに合せ
て任意に角度を設定できるとともに強力な接着強
度が得られ、シール効果も万全となり、ストレー
ナ保持部材に一体に弾性部材からなる支持体を一
体成形で設けるので製作コストの低減を図ること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る燃料タンク用ストレーナ
を装着した燃料タンクの断面図、第２図は燃料タ
ンク用ストレーナの断面図、第３図は同ストレー
ナの側面図、第４図は同ストレーナの平面図、第
５図は燃料タンク用ストレーナを成形する金型の
分解斜視図、第６図は同金型で成形する状態を示
した説明図、第７図は従来の燃料タンク用ストレ
ーナの説明図である。 １０……燃料タンク、１１……キヤツプ、１２
……パイプ、１３……ポンプ、１５……燃料タン
ク用ストレーナ、１６……スクリーン、１８……
スクリーン保持部材、１９……スクリーン保持
部、２０……液吸引部、２１……支持体、２４
……サクシヨンパイプ、２５……リング、２６…
…金型、２７……下型、２８……上型、２９……
中間型。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 細かい編目を有する袋状のスクリーンと、こ
   の袋状のスクリーン開口端を保持するスクリーン
   保持部材と、このスクリーン保持部材から外部に
   突出し液を吸引するサクシヨンパイプとからな
   り、前記スクリーン保持部材は、周縁部に前記ス
   クリーン側壁を弾性的に支持する板状支持体を備
   え、前記スクリーン開口端とスクリーン保持部材
   とサクシヨンパイプとを相互に一体に溶着したこ
   とを特徴とする燃料タンク用ストレーナ。 ２ 細かい編目を有するスクリーンと液を吸引
   するサクシヨンパイプとを個別し成形し、この成
   形したサンシヨクパイプとスクリーンとを同一金
   型内にセツトし、このサンシヨクパイプとスクリ
   ーン開口端とを一体に溶着するように前記金型で
   スクリーン保持部材およびスクリーン側壁に弾性
   的に支持するための板状支持体を成形することを
   特徴とする燃料タンク用ストレーナの製造方法。