JPH0251604B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、入れ歯の作成方法に関する。従来
の入れ歯の作成方法は次の通りである。まず、患
者口腔内より臨床石膏模型を採取し、次に、この
模型から入れ歯の咬合面の形状、入れ歯の全体的
な形状寸法を計測し、更に製作者がその経験に基
づいて、形状の修正を行ない、入れ歯形状を決定
した上で作成する方法である。

しかしながら、上記従来方法では、入れ歯形状
の決定が製作者（技工士）の技術と経験に大きく
依存されるため、一般歯科医は患者に対し、常に
良質の入れ歯を提供することが困難な状況にあ
る。

また、入れ歯の作成時間も長く、失敗などによ
る入れ歯の作り直し修正の繰り返しなどが大きな
問題となつている。

また公知技術として、特開昭51−42395号があ
る。これは上記した従来技術の欠点をふまえた上
での新規な義歯とその製造方法について述べてい
る。その要点は義歯そのものは従来と同様の材料
で作られるが、これに密着して接合される融和性
のアクリル材である義歯床体の歯茎相当部分に接
合するなどをするとともに義歯床に変形可能な層
の周縁端を接合または封じ込む部材を設けること
により、口腔内での最終押しばめ用の変形材を硬
化させて患者の口腔内に完全にはめ込む方法に関
する。しかし形状の決定については従来の技術を
用いているに過ぎない。

また特開昭51−10696号がある。これは既製圧
金属冠をあらかじめコードナンバを付して分類整
理してコンピユータに記憶させ、臨床採取石膏模
型から各種のデータを得、あらかじめ記憶されて
いる既製金属冠の中から最も適切なものを選択し
て、該金属冠をもとに当該患者の金属冠を製作す
る方法の記載である。これは分類整理されている
金属冠を基に行なうので、ある程度の合理化がは
かれるものゝその加工にはやはり技工士の経験に
依存せざるを得ない。

本発明の目的は前述した従来技術の欠点を改善
し、入れ歯の形状の決定を容易にしかつその加工
をも自動的におこなう新規な入れ歯の製作システ
ムを提供することにある。

本発明は患者から採取された石膏をもとに該石
膏形状を三次元座標自動測定装置により計測し、
該計測において採取されたデータに基づいて具体
的な入れ歯の加工をおこなうことに特徴がある。

また本発明の他の特徴は石膏による形状採取時
における対向歯や他の歯との咬合部位の応力状態
の模擬により形状修正をおこなうとともに修正さ
れた最終データにより入れ歯の加工をおこなうこ
とにある。

以下本発明の具体的なシステムについて説明す
る。第１図は本発明を構成するシステムの概略図
を示す。計算機４にはデータ入力装置１、図形表
示装置２、２次元座標入力装置３、３次元座標計
測装置５、工作機械６が結合されている。

第２図は、図形表示装置としてCRTグラフイ
ツクデイスプレイの場合を、２次元座標入力装置
としてデータタブレツト３′を使用した場合の例
である。このシステムにおける最適形状を有した
入れ歯の作成手順について説明する。

第１工程 入れ歯と対向する複数の歯牙の型をとつた臨床
石膏５０を、高精度三次元座標測定装置５の測定
台に設定する。ついで、歯牙の高さ方向をＺ軸と
し、Ｚ軸との垂直面であるxy平面上の矩形領域
内のメツシユ格子の各格子点における複数歯牙の
咬合面の高さ（Ｚの値）を計算機４による自動測
定のための制御により計測する。３次元座標測定
装置５は例えば第３図に示されるような咬合面の
メツシユ分割例にしたがつてデータが採取され
る。メツシユは細かいほどデータが詳細に採取で
きる。計測は接触探子による方法の例を第２図に
示したが、レーザビームを利用する方法であつて
もよい。計算機４はあらかじめ定められたメツシ
ユ単位に接触子を送り順次第３図に対応するｚ方
向のデータを採取する。

第２工程 入れ歯の左右の複数歯牙の形状の臨床石膏か
ら、高精度三次元座標測定５を用いて、左右歯牙
群の咬合面形状をＺ方向から計測・入力する。第
４図は入れ歯の左右歯牙の咬合面のメツシユ分割
図例である。

第３工程 第１工程で得た入れ歯の対向歯牙群および第２
工程で得た入れ歯の左右歯牙群に対し、得られた
データを用いて計算機４ではスムージング処理を
おこなう。このスムージング処理自体について
は、例えば穂坂衛：「曲線、曲面の合成および平
滑化理論」（情報処理、vol.10、No.３ pp121〜
131、1969）に述べられている方法などを利用す
ればよい（穂坂氏の理論は曲面の仮想歪エネルギ
ーを最小にするスムージング方法である）。スム
ージングされた点群による曲面の生成の例を第５
図、第６図に示す。第５図はスムージング（ある
いはフエアリング）処理前の曲面の例、第６図は
第５図のスムージング処理後の曲面の例を示して
いる。このスムージング処理による補正曲面を雄
型とすれば、その対向歯の形状はその補間空間と
しての雌型として得られる。

第４工程 グラフイツク・デイスプレイ２上に、第３工程
で求めた両咬合面を表示し、両曲面を、タブレツ
トにより会話的に移動点を入力しつつ移動し、そ
の両咬合面の位置合せを行なう。この後、入れ歯
の対応咬合面のうち、入れ歯と直接咬合するべき
領域をタブレツトからの点座標入力により指定す
る。計算機４は、その指定領域の咬合面の雄型の
咬合面を生成し、これを入れ歯自身の咬合面とす
る。第７図の実線部は入れ歯の左右の歯牙形状で
あり、点線部はその対向咬合面の形状である。こ
の図では両者が咬み合つた時の状況が示されてお
り、図中の矩形領域Ａは指定された入れ歯の対向
咬合面であり、Ｂはそれをもとに作成された入れ
歯の咬合面である。

第５工程 第４工程で得られた形状を持つ入れ歯とその対
向歯牙が、咬み合わさつた時の、両者の咬合面に
かかる応力分布を、応力解析問題として解くこと
により求める。例えば有限要素法（詳細は三好他
著：「有限要素法」実教出版参照）を利用して算
出することができる。この応力解析に必要な入力
項目としては、 (1) 第４工程で得られた入れ歯形状および対向歯
牙形状のメツシユ分割図（例：第８図） (2) 入れ歯の材料及び対向歯牙の持つ個有の材料
定数（縦弾性係数、ボアソン比） (3) (1)のおかれる環境、すなわち、応力解析での
境界条件 (4) 入れ歯および対向歯牙がすり合さつた時の両
者の咬合面圧 であり、計算機４での有限要素法による演算出力
として、両者の咬合面の各部位の応力分布、変形
状況、歪が得られる。

第６工程 本システムの操作者は、グラフイツクデイスプ
レイ上に、入れ歯ならびにその対向歯牙群の咬合
面形状と、その形状各部位における応力分布等を
表示する。第９図は、等応力図の例である。次い
でこの応力分布を見て、応力集中度合の高い部位
を探し、その応力が軽減するよう、入れ歯の形状
修正を計算機４に指示する。

計算機４は、修正された入れ歯形状を第５工程
の入力として再び第５工程の処理に戻る。この作
業をくり返し行ない、その結果第５工程で、ある
一定範囲以内で応力集中がなされるようになつた
と判断した場合、計算機４は工作機械６を稼動制
御させるための、入れ歯形状加工用数値制御デー
タ（NCデータ）を作成し、これを工作機械に転
送し、所定の入れ歯を加工する。第１０図はこれ
ら一連の工程を示すフロー図である。

尚、上記全工程のうち、入れ歯形状の修正は応
力解析計算を行なわず、本システム利用者の経験
に基づく判断によつて行なつても良い。

上記の実施例における効果は次の通りである。

(1) 型をとつた石膏の形状を直接に三次元座標自
動計測装置により測定し、その雄型を計算機４
が自動製作するため、従来のように、高度な技
術や熟練が、入れ歯の形状決定に際し不要にな
る。

(2) 入れ歯形状が、その対向歯との接触により、
どの咬合部位に過度の応力集中が行なわれるか
を容易に知ることができるため、入れ歯形状の
修正を適切にかつ迅速に行とうことができる。

(3) 入れ歯の形状が最終決定された後、計算機４
は工作機械６を自動的に制御して入れ歯を加工
するので、従来に比し大巾な加工時間の短縮が
できる。

本発明によると、従来のように熟練した技術と
長い時間を要さずに、適切な形状を有する入れ歯
を迅速に作成することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は入れ歯形状決定装置の全体構成図、第
２図は、その実施例における全体構成図を、第３
図、第４図はデータ採取メツシユの説明図を、第
５図、第６図はスムージングの説明図を、第７図
は対向または隣接歯の咬合せ状況の例を、第８
図、第９図はメツシユ分割とその等応力分布図
を、第１０図は処理フロー図をそれぞれ示す。 ２…図形表示装置、４…計算機、５…３次元座
標計測装置、６…工作機械。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 患者から採取された石膏歯型から入れ歯を作
   成する方法において、 前記石膏歯型から３次元座標データを計測し、
   前記得られたデータに基づいて前記入れ歯形状を
   図形表示装置に表示し、 前記表示された入れ歯形状に対し修正が必要な
   場合は、前記表示装置上で前記形状の修正を行な
   い、前記修正された歯型の形状データを入れ歯工
   作機械の加工指令として与え、 且つ、前記表示された入れ歯形状に対し修正な
   き場合は、前記計測されたデータを前記入れ歯工
   作機械の加工指令として与え、入れ歯を作成する
   ことを特徴とする入れ歯の自動作成方法。 ２ 特許請求の範囲第１項記載の入れ歯の自動作
   成方法において、 前記表示された入れ歯形状に対する修正は、対
   向する歯の噛み合わせにより生じる応力分布か
   ら、応力集中度の高い部位の応力値を低減するよ
   うに修正することを特徴とする入れ歯の自動作成
   方法。