JPH0251295B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、パルス幅変調インバータのゲートパ
ルスとして用いられるパルス幅変調信号の発生装
置に関する。

一般に、パルス幅変調信号（以下PWM信号と
略称）は、第１図に示すように通常正弦波波形の
変調波と呼ばれる信号１と、通常三角波波形の搬
送波と呼ばれる信号２の大きさを比較することに
よつて信号３のように得られる。

従来、上記の方式によつてPWM信号を発生す
る方法として、変調波信号と搬送波信号とをデイ
スクリートなハードウエアを用いて発生し、両者
の大きさをデイジタル比較器で比較して、その大
小関係により、フリツプフロツプの状態を切替え
ることにより得る方法がある。この方式による
PWM信号発生装置の構成は第２図のようであ
り、クロツクパルス発生器４の出力であるクロツ
クパルスをカウンタ６で計数し、そのカウント値
をもとに搬送波テーブル８を索引することによつ
て得られる搬送波信号と、上記クロツクパルスを
分周カウンタ５で分周して得られた変調波に比例
した周波数の、クロツクパルスをカウンタ７で計
数し、そのカウント値より、変調波テーブル９を
索引して得られる変調波信号との大きさを、デイ
ジタル比較器１０で比較してPWM信号を発生す
る。

この方法では、変調波信号と搬送波信号の発生
から両者の大きさの比較までの機能をデイスクリ
ートなハードウエアを用いて行なうため、要求さ
れる仕様に応じてハードウエアを設計し製作する
ことにより、必要な機能を持つPWM信号発生装
置が得られる。しかし、この方式はデイスクリー
トなハードウエアを用いて構成されるため、変調
波信号と搬送波信号の発生に必要な論理回路や両
信号の同期をとるのに必要な回路などにより、ハ
ードウエア構成が非常に複雑になるという欠点が
あつた。更に、回路構成に汎用性がなく、PWM
信号発生機能を変更もしくは追加しようとする場
合、ハードウエアを設計し直さなければならない
という欠点もあつた。

これに対して、マイクロプロセツサとメモリお
よびその周辺素子であるカウンタなどを用い、変
調波信号と搬送波信号の発生を含め両信号の大き
さの比較までの機能をマイクロプロセツサのソフ
トウエア処理によつて行ない、特殊なハードウエ
ア素子を用いることなく、PWM信号を発生する
方式が提案されている。この方式によるPWM信
号発生装置の構成を第３図に示す。マイクロプロ
セツサ１３を中心に搬送波信号を発生するための
回路１１と、変調波信号を発生するための回路１
２、および、マイクロプロセツサの割込処理時点
を与えるタイマ１５、マイクロプロセツサからデ
ータが設定されクロツクパルス発生器４から出力
されるクロツクパルスを計数し、設定されたデー
タに対応した時間後にパルスを出力するプログラ
マブルカウンタ１４から構成される。

この方式によるPWM信号発生の動作を第４図
を用いて説明する。マイクロプロセツサ１３はタ
イマ１５から出力される一定周期の割込みパルス
毎に、その時点の変調波信号１と搬送波信号２の
瞬時値をそれぞれ演算し、両信号の大きさの差
ΔNを搬送波周波数に比例した周波数のクロツク
パルスを計数するプログラマブルカウンタ１４に
設定する。このカウンタ１４は前記クロツクパル
スを計数し、そのカウント値１６は第４図ｂのよ
うに変化する。設定値ΔNはこれが設定された時
刻から次の変調波と搬送波とが交わる時刻までの
時間に対応しているため、カウンタ１４が設定値
を計数し終えた時刻は変調波１２と搬送波１１と
が交わる時刻に一致する。したがつて、このカウ
ンタ１４から出力されるパルス１７をフリツプフ
ロツプに入力し、パルス入力毎にその状態を切替
えることにより、所望のPWM信号３が得られ
る。

この方式は、マイクロプロセツサを中心とした
ハードウエア構成のため回路構成に汎用性があ
り、またPWM信号発生機能の変更や拡張にも容
易に対応できるという利点がある。

しかし、この方式では、マイクロプロセツサの
処理時点を与える割込パルスをタイマを用いて発
生しており、マイクロプロセツサは搬送波周波数
の高低にかかわらず一定周期毎にPWM信号発生
のための処理を行なう。このため、搬送波信号と
タイマから出力される割込パルスとは同期がとれ
ておらず、タイマからの割込周期が長くなつて搬
送波周期と同程度になつたときPWM信号を正し
く発生できない場合がある。これを第５図、第６
図を用いて説明する。両者は同じ搬送波周波数で
同じ割込周期Tsの場合であるが、第５図の場合
には正しいPWM信号を発生するのに対して、第
６図の場合は誤つたPWM信号を発生している。
すなわち、第５図、第６図のように、搬送波信号
２と割込パルス１８とが非同期のとき、搬送波周
期に対して割込周期が長くなると、正しいPWM
信号が得られなくなる。従つて、このような現象
を避けるため、本質的に割込パルス１８の周期
Tsは、できるだけ短かくする必要がある。この
ため、マイクロプロセツサは搬送波周波数の高低
にかかわらずできるだけ短い周期毎にPWM信号
発生のための割込処理を行なうことが要求され、
マイクロプロセツサはPWM信号発生処理に専従
することになる。この結果、マイクロプロセツサ
にPWM信号発生以外の処理を分担させることが
できず、マイクロプロセツサシステムの特徴であ
る時分割処理の利点を生かせないという欠点があ
つた。

本発明の目的は、マイクロプロセツサとその周
辺素子を用いたPWM信号発生方式において、マ
イクロプロセツサがPWM信号発生に専従する時
間を少なくして、システムの異常診断などの
PWM信号発生以外の処理も分担できるPWM信
号発生装置を提供するにある。

本発明の構成は、第７図に示すように、分周カ
ウンタ１９を用いてクロツクパルス発生器４から
出力されるクロツクパルスを分周し、得られた信
号をマイクロプロセツサの処理時点を与える割込
パルスとしてマイクロプロセツサに加えることに
より、割込処理時点を搬送波信号に同期するよう
にしたことである。

この方式により、第８図に示すように、割込パ
ルス１８を三角波波形をした搬送波信号２の値が
最大および最小になる時点に同期させることがで
き、このため変調波信号２と搬送波信号１の交点
が常に正確に求まる。従つて、第８図ｄに示すよ
うに、搬送波１周期あたりの割込時点の回数が少
なくても精度のよいPWM信号３が得られる。

以下、本発明の実施例を図面を用いて説明す
る。本発明によるPWM信号発生装置のハードウ
エア構成を第９図に、その動作波形を第１０図な
いし第１２図に示す。第９図において、マイクロ
プロセツサ１３からのデータが設定され、それに
対応した周波数のクロツクパルスを発生するクロ
ツクパルス発生器４の出力に、変調波信号を発生
するための分周カウンタ２０と変調波アドレスカ
ウンタ２１および搬送波信号を発生するための搬
送波発生カウンタ２２、マイクロプロセツサに対
する割込処理時点を与えるための割込時点発生カ
ウンタ２３、マイクロプロセツサからの割込時点
毎に設定値が再設定されるPWM信号発生カウン
タ２６が接続され、それぞれロツクパルス発生器
４から出力されるクロツクパルスを計数する。マ
イクロプロセツサはROM２４に書込まれた
PWM信号発生プログラムに従つて動作し、割込
時点発生カウンタからの割込パルス毎に、変調波
アドレスカウンタの計数値とROMに格納した変
調波波形データテーブルと指令として与えられる
変調波振幅値とから変調波信号の瞬時値を、搬送
波発生カウンタ２２の計数値から搬送波信号の瞬
時値をそれぞれ計算し、両者の値からPWM信号
発生カウンタ２６に対する設定値を演算し、その
結果をPWM信号発生カウンタ２６に設定する。
PWM信号発生カウンタ２６はクロツクパルス発
生器４から出力されるクロツクパルスを計数し、
マイクロプロセツサ１３から設定された設定値を
計数し終えた時点で、パルスを出力する。このパ
ルス出力でフリツプフロツプ２７の状態を切換え
ることにより、所望のPWM信号を発生する。

次に、本方式によるPWM信号発生の動作を第
１０図ないし第１２図を用いて説明する。まず、
搬送波信号は、第１０図ａに示すようなクロツク
パルス２８を搬送波発生カウンタ２２で計数して
同図ｂのような三角波形状の信号２９として得
る。一方、変調波信号は、まずクロツクパルス２
８を分周カウンタ２０で分周して、第１１図ｂに
示すような変調波に比例した周波数のクロツクパ
ルス３０を得る。このクロツクパルス３１を変調
波アドレスカウンタ２１で計数することにより、
第１１図ｃに示すような変調波１周期毎に計数値
がリセツトされる鋸歯状波状のカウント値３１を
得る。このカウント値をROMに格納した変調波
波形データテーブルの読出しアドレスとしてデー
タを読出すことにより、第１１図ｄに示すような
正弦波形状の変調波信号３２を得る。このように
して得られる搬送波信号と変調波信号とから
PWM信号を発生する処理について、第１２図を
用いて説明する。まず、マイクロプロセツサに対
する処理時点を与える割込パルスは、前記クロツ
クパルス２８を割込時点発生カウンタ２３で計数
することにより得る。割込時点発生カウンタのカ
ウント値は第１２図ｃのように変化し、カウント
値が零になつた時カウント値がリセツトされ、こ
のとき同図ｄのようなパルスが出力される。この
出力パルスをマイクロプロセツサに対する割込信
号として用いる。割込時点発生カウンタは搬送波
信号の発生に用いたのと同じクロツクパルス２８
を計数するため、このカウンタから出力される割
込パルス３４は搬送波信号２に同期している。第
１２図には搬送波一周期あたり４回割込パルスが
入る場合について示した。マイクロプロセツサは
割込パルス毎に前述した方法により搬送波信号２
と変調波信号１との瞬時値を得て、両者の差を
PWM信号発生カウンタ２に設定する。このカウ
ンタはクロツクパルス２８を計数してカウント値
は第１２図ｅのように変化し、カウント値が零に
なつた時点で同図ｆのようなパルス出力が得られ
る。このパルス出力１７は変調波信号１と搬送波
信号２の交点に一致するので、このパルス毎にフ
リツプフロツプ２７の状態を切替えることによ
り、第１２図ｇに示すようなPWM信号３が得ら
れる。

以上、本実施例で述べたように、搬送波に比例
した周波数のクロツクパルスを分周して、マイク
ロプロセツサの処理時点を与える割込パルスとす
ることにより、割込時点を搬送波信号に同期させ
ることができ、これによつて、割込時点が非同期
の場合に比べて、搬送波一周期あたりの割込処理
の回数が少なくても、精度のよいPWM信号を発
生することができる。この結果、マイクロプロセ
ツサがPWM信号発生に専従している時間を全体
として短縮することができ、マイクロプロセツサ
に対してPWM信号発生処理以外の機能（例えば
PWM信号発生を含めたシステム全体の異常診断
等の機能）を分担させることが可能になる。

なお、以上の説明は１相分についてのみ行つた
が、３相に容易に拡張できることは原理から明白
である。

本発明によれば、マイクロプロセツサがPWM
信号発生に専従する時間を短縮することができる
ので、マイクロプロセツサにPWM信号発生以外
の処理を分担させて、機能を高めることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はPWM信号発生の原理図、第２図は従
来のデイジタル方式によるPWM信号発生装置の
構成図、第３図はタイマから一定周期毎の割込パ
ルスを用いたPWM信号発生装置の構成図、第４
図は第３図の動作波形図、第５図、第６図は割込
周期を短くできないことを示す動作波形図、第７
図は本発明によるPWM発生装置の構成図、第８
図は第７図の動作波形図、第９図は本発明の実施
例を示す構成図、第１０図ないし第１２図はその
動作波形図である。 １……変調波信号、２……搬送波信号、３……
PWM信号、４……クロツクパルス発生器、１３
……マイクロプロセツサ、１４……プログラマブ
ルカウンタ、２０……分周カウンタ、２１……変
調波アドレスカウンタ、２２……搬送波発生カウ
ンタ、２３……割込時点発生カウンタ、２４……
ROM、２５……RAM、２６……PWM信号発生
カウンタ、２７……フリツプフロツプ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ マイクロプロセツサとそれを動作させるため
   のメモリ、前記マイクロプロセツサによつてデー
   タが設定され、それに対応して所望の周波数のク
   ロツクパルスを発生するクロツクパルス発生器、
   前記マイクロプロセツサによつて設定値が書込ま
   れ、その設定値を初期値として前記クロツクパル
   スを計数するカウンタから構成され、前記マイク
   ロプロセツサが所定の周期毎に演算を行なつてそ
   の結果を前記カウンタに書込むことによりパルス
   幅変調信号を発生するものにおいて、前記マイク
   ロプロセツサの演算周期を与える割込パルスを前
   記クロツクパルスを分周して得るように構成した
   ことを特徴とするパルス幅変調信号発生装置。