JPH025123Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、被駆動軸の回転を常時は両方向に対
し規制するとともに、操作部材の簡単な回転操作
により所望の方向への回転規制を解除することが
可能となるロツク機構に関する。

（従来の技術） たとえば車両用シートなどにおいて、可動式の
ヘツドレストの前後位置調整装置、シートバツク
のリクライニング装置、シートクツシヨンの上下
位置調整装置、さらにはランバーサポートの回動
位置調整装置などにあつては、その調整を行なう
ために、回動軸とその変位伝達手段とからなる調
整機構が一般に採用されている。ところで、この
ような調整装置において望まれることは、できる
だけ簡単でしかも軽快な回動操作によつて調整装
置が適切に働き、所望の調整操作を簡単かつ確実
に行なえるとともに、その調整位置で可動側の移
動を規制し、可動側に加わる負荷に対し完全なロ
ツク状態を維持することができるようなロツク機
構が必要とされることである。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら、この種のロツク機構として従来
から一般によく知られているものはいずれも、そ
の構造が複雑で、構成部品点数が多く、組立作業
が面倒なものであり、さらに円滑でかつ小さな力
で解除操作が行なえない等といつた問題をもち、
一長一短であり、まだまだ改善の余地が残されて
おり、上述したような要請をすべて満足し得る簡
易型のロツク機構の出現が要望されている。

本考案はこのような事情に鑑み、簡単かつ円滑
でしかも軽い回動操作により所望の回動方向への
ロツク状態を解除し、被駆動軸を回動調整し得る
とともに、調整後においてはその調整位置で安定
して強固なロツク状態を得ることができ、しかも
その構造が簡単で、構成部品点数も少なく、組立
性にも優れており、コスト的にも安価な簡易型の
ロツク機構を得ることを目的としている。

（問題点を解決するための手段） このような構成に応えるために、本考案に係る
ロツク機構は、円筒状を呈するステータと、この
ステータ内に臨む被駆動軸上に設けられこの軸と
直交する方向に延在する基部およびその両端部か
ら夫々前記ステータの内周面に沿つて湾曲形成さ
れて面接触する外向きに付勢力が与えられている
二対の円弧状ストツパ片を有する板ばね部材と、
この板ばね部材における各円弧状ストツパ片の先
端に夫々形成された屈曲部と、時計方向および反
時計方向に外部から回動操作される操作部材を備
え、前記板ばね部材の基部の一端部の一対の屈曲
部は夫々時計方向および反時計方向に屈曲形成さ
れ、該一対の屈曲部に夫々隣接して一対の係合ピ
ンが前記操作部材に設けられ、前記操作部材を時
計方向に回動させた場合に、前記反時計方向に屈
曲された一方の屈曲部に隣接する係合ピンが該一
方の屈曲部内側に挿入され、前記一方の屈曲部側
のストツパ片の付勢力に抗して当該ストツパ片を
内向きに回動させ、当該ストツパ片とステータ内
周面との面接触を解除させると共に、前記時計方
向に屈曲された他方の屈曲部に隣接する係合ピン
は他方の屈曲部を回動させず、他方の屈曲部側の
ストツパ片はステータ内周面と面接触した状態で
回動されるように構成したものである。

（作用） 本考案によれば、板ばね部材の各円弧状ストツ
パ片はその少なくとも先端側が、それ自身の付勢
力で常時はステータ側に面接触し、これにより確
実なロツク状態を維持し得るものであり、また操
作部材の回動操作によりその係合ピンが回動方向
の円弧状ストツパ片に係合することで、その円弧
状ストツパ片をそれ自身の付勢力に抗して内向き
に回動させ、上述した面接触によるロツク状態を
解除し、これにより被駆動軸を所要の方向に回動
調整し得るものである。

（実施例） 以下、本考案を図面に示した実施例を用いて詳
細に説明する。

第１図および第２図は本考案に係るロツク機構
の一実施例を示すものであり、その要部のみを拡
大して示している。

さて、本考案に係るロツク機構１は、概略以下
のような構成とされている。すなわち、このロツ
ク機構１は、円筒状を呈するステータ２と、この
ステータ２内に臨む被駆動軸３上に設けられこの
軸３と直交する方向に延在する基部４ａおよびそ
の両端部から前記ステータ２の内周面に沿つて湾
曲形成されて面接触する外向きに付勢力が与えら
れている二対の円弧状ストツパ片５ａ，５ｂ，６
ａ，６ｂを有する板ばね部材４と、この板ばね部
材４における各円弧状ストツパ片５ａ，５ｂ，６
ａ，６ｂの先端屈曲部７に係合する係合ピン８ａ
を有し所要の方向に外部からその操作端８ｂが回
動操作される操作部材８を備えている。なお、図
中３ａは前記板ばね部材４の基部を係入して固定
するための被駆動軸３側のスリツト、９は被駆動
軸３上に組付けられる各部材を固定するための係
止リングである。

そして、前記各円弧状ストツパ片５ａ，５ｂ，
６ａ，６ｂは、常時は第１図に示すように、その
先端側がそれ自身の反発力でステータ２の内周面
に面接触することで、増大された摩擦力で簡単か
つ確実にロツクされてその状態を維持する。一
方、前記操作部材８が、第３図ａ，ｂに示すよう
に、時計方向または反時計方向へ回動されると、
その回動側の係合ピン８ａが、これに対向する円
弧状ストツパ片５ａ，６ｂまたは５ｂ，６ａの屈
曲部７に係合してこれをそれ自身の反発力に抗し
て内向きに回動させ、その部分のステータ２との
面接触を解除する。そして、このときにおける摩
擦力は、全体から見れば、ロツク状態に比べ半減
されるもので、これにより板ばね部材４を介して
被駆動軸３を所要の方向に回動調整操作し得るも
のである。

また、上述した操作部材８の操作力を解除する
と、各円弧状ストツパ片５ａ，６ｂまたは５ｂ，
６ａは、それ自身の反発力で元の状態に復帰し、
これにより円弧状ストツパ片５ａ，５ｂ；６ａ，
６ｂがステータ２内周面に面接触した状態とな
り、再び増大する摩擦力で確実でしかも安定した
ロツク状態を確保できるものである。したがつ
て、このような構成によるロツク機構１は、無段
階で微調整し得る調整機構としての効果を発揮し
得るものである。

なお、本考案は上述した実施例構造に限定され
ず、各部の形状、構造等を必要に応じて適宜変
形、変更することは自由で、またこのような本考
案によるロツク機構は、種々の分野における機
器、装置に適用してその効果を発揮し得るもので
ある。

（考案の効果） 以上説明したように、本考案に係るロツク機構
によれば、ステータ内に臨む被駆動軸上に設けら
れこの軸と直交する方向に延在する基部およびそ
の両端部からステータ内周面に沿つて湾曲形成さ
れて面接触する二対の円弧状ストツパ片を有する
板ばね部材と、その各円弧状ストツパ片の先端屈
曲部に係合する係合ピンを有し所要の方向に外部
から回動操作される操作部材を備えてなる構成と
したので、簡単な構成にもかかわらず、簡単かつ
円滑でしかも軽い回動操作にて所望の方向へのロ
ツク状態を解除し、被駆動軸を所望の方向に無段
階で品調回動し得るとともに、調整後においては
その調整位置で円弧状ストツパ片の面接触によ
り、がた付き等といつた問題を生じることなく、
安定して強固なロツク状態を得ることができ、し
かもその構造が簡単で、構成部品点数も少なく、
組立性にも優れ、コスト的にも安価で、各種機
器、装置におけるロツク機構として用いて効果的
である等といつた実用上種々優れた効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るロツク機構の一実施例を
示す要部拡大断面図、第２図はその要部を分解し
て示す概略分解斜視図、第３図ａ，ｂは本考案に
よる作動状態を示す説明図である。 図中、１……ロツク機構、２……ステータ、３
……被駆動軸、４……板ばね部材、４ａ……基
部、５ａ，５ｂ，６ａ，６ｂ……円弧状ストツパ
片、７……屈曲部、８……操作部材、８ａ……係
合ピン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 円筒状を呈するステータと、このステータ内に
   臨む被駆動軸上に設けられこの軸と直交する方向
   に延在する基部およびその両端部から夫々前記ス
   テータの内周面に沿つて湾曲形成されて面接触す
   る外向きに付勢力が与えられている二対の円弧状
   ストツパ片を有する板ばね部材と、この板ばね部
   材における各円弧状ストツパ片の先端に夫々形成
   された屈曲部と、時計方向および反時計方向に外
   部から回動操作される操作部材を備え、前記板ば
   ね部材の基部の一端部の一対の屈曲部は夫々時計
   方向および反時計方向に屈曲形成され、該一対の
   屈曲部に夫々隣接して一対の係合ピンが前記操作
   部材に設けられ、前記操作部材を時計方向に回動
   させた場合に、前記反時計方向に屈曲された一方
   の屈曲部に隣接する係合ピンが該一方の屈曲部内
   側に挿入され、前記一方の屈曲部側のストツパ片
   の付勢力に抗して当該ストツパ片を内向きに回動
   させ、当該ストツパ片とステータ内周面との面接
   触を解除させると共に、前記時計方向に屈曲され
   た他方の屈曲部に隣接する係合ピンは他方の屈曲
   部を回動させず、他方の屈曲部側のストツパ片は
   ステータ内周面と面接触した状態で回動されるよ
   うに構成されていることを特徴とするロツク機
   構。