JPH0251000B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 この発明は、鋼管の管端めつき用アノード装置
に関するものである。

〔従来技術とその問題点〕

従来から採用されている鋼管の管端めつき用ア
ノード装置は、一端が開口した筒状の装置ケース
の他端壁に、非回転の可溶性棒状アノードを植設
し、そのアノードの自由端を装置ケースの軸芯に
沿つて延設させたもので、鋼管の管端を装置ケー
スの開口側から装置ケース内に挿入させ、装置ケ
ースと管端との間および管内をシールし、それに
よつて画成された装置ケース内の密封中空部内
に、めつき液を満たし、新液の補給なしにめつき
作業を行つていた。

このような鋼管の管端めつき用アノード装置で
は、めつき液が循環供給されないので、めつき液
成分の濃度低下および不均一等により正常なめつ
きが不可能となるため、アノードは可溶性のもの
を使用せざるをえなかつた。

そのため可溶性アノードが部分的に消耗され、
アノードと管端内周面との距離にばらつきが生
じ、均一な厚さのめつき層が得られない場合があ
つた。また、めつき液が循環、攪拌されないた
め、めつき液中に発生するガスが管端内に滞留
し、めつき不良を起すことも多かつた。

特に、高クロム材のめつきの下地処理として予
め施される薄厚のニツケルめつきでは、ニツケル
金属イオンを安定供給することは、極めて難しか
つた。

〔発明の目的〕

従つて、この発明の目的は、均一な厚さで、か
つ均質なめつき層を得ることのできる鋼管の管端
めつき用アノード装置を提供することにある。

〔発明の概要〕

この発明の装置は、めつき液が収容されためつ
き液槽と、一端が開口した筒状の装置ケースと、
前記装置ケースの他端壁に回転可能に支承させ、
自由端を前記装置ケース内へ延設させ、周壁に孔
を穿設した中空軸と、前記中空軸の周面に配設し
た不溶性ラス状アノードケースと、前記アノード
ケース内に充填した溶解性金属塊と、前記めつき
液槽内のめつき液を前記中空軸内に供給するため
のパイプの途中に設けられたポンプと、前記中空
軸内に供給され、前記アノードケースを通つて前
記装置ケース内に流出し、前記装置ケース内に挿
入された鋼管の端部をめつきした後のめつき液
を、前記めつき液槽に戻すための、前記装置ケー
スにその一端が接続された、他端が前記めつき液
槽に至る排出パイプとからなつており、前記中空
軸から前記アノードケース内にめつき液を吐出さ
せ、電解反応により前記金属塊を溶解して、金属
イオンを連続的にめつき液中に安定供給させるよ
うにし、かつアノードは不溶性のものを使用して
形状の変化を防いだことに特徴を有するものであ
る。

〔発明の構成〕

次に、この発明を、図面を参照しながら説明す
る。第１図は、この発明の鋼管の管端めつき用ア
ノード装置の一実施態様を示す概略縦断面図であ
り、第２図および第３図は、その装置の要部を示
す縦断面図および横断面図である。

この鋼管の管端めつき用アノード装置（以下ア
ノード装置と云う）は、一端が開口した筒状の装
置ケース１を備えている。この装置ケース１は、
水平方向に対して僅かに傾斜して設置されてい
る。装置ケース１の端壁１ａの中心には、軸受ケ
ース２が固定設置されている。この軸受ケース２
には、回転軸３が支承されている。この回転軸３
は内部に図示しないめつき液通路を有しており、
一端が装置ケース１内に位置されている。この回
転軸３の他端には、ロータリジヨイント４を介し
てパイプ５の一端が連結されている。このパイプ
５の他端は、ポンプ６を介してめつき液槽７に連
通されている。したがつて、めつき液は、めつき
液槽７から、ポンプ６によつて吸上げられ、パイ
プ５、回転軸３内のめつき液通路を経て装置ケー
ス１内へ供給される。

また、このアノード装置は、回転軸３の駆動手
段が備えられている。回転軸３の駆動手段は、回
転軸３に周設させたプーリ８と、装置ケース１の
外部に設置されたモータ９と、モータ９の軸に固
設されたプーリ１０と、プーリ８，１０間に巻掛
けられたベルト１１とから成るもので、モータ９
の動力は、プーリ１０、ベルト１１、プーリ８を
介して回転軸３に伝達される。

さらにまた、このアノード装置は、アノードア
ツセンブリ１２を備えている。このアノードアツ
センブリ１２は、第２図および第３図に示したよ
うに、一端がブラケツト１３に固定された筒状の
アノードケース１４と、同様に一端がブラケツト
１３に固定され、かつアノードケース１４内に収
容設置された中空軸１５と、アノードケース１４
内に充填されたニツケルの球状または角状金属塊
１６と、アノードケース１４を包み込むように配
設されたアノードバツグ１７等から成つている。
ブラケツト１３は、上記した回転軸３の一端に結
合させるものである。アノードケース１４は、チ
タンラス材に白金めつきを施したもので、周面の
長手方向に塩化ビニル製の羽根１８が固設されて
おり、筒状先端開口には塩化ビニル製のキヤツプ
１９が施されている。また中空軸１５は、その周
壁に多数の孔２０が穿設されており、この中空軸
１５は、アノードケース１４の内周面に沿つて軸
方向に配置され、先端がキヤツプ１９に係止され
ている。アノードバツク１７は、アクリル繊維に
よつて形成されており、上記したニツケル金属塊
１６の中に含まれている不純物をアノードケース
１４から外へ出さないようにするためのフイルタ
である。このアノードバツグ１７には、周壁の長
手方向にスリツトが形成されており、このスリツ
トを介してアノードケース１４の羽根１８がアノ
ードバツグ１７の外方へ突出される。

そして、このようなアノードアツセンブリ１２
は、ブラケツト１３によつて、第１図に示したよ
うに回転軸３の一端に設置される。

このアノード装置には、第１図に示したよう
に、装置ケース１の開口端から鋼管２１の端部が
挿入され、装置ケース１と鋼管２１との間および
鋼管内部にシール材２２，２３が充填されて装置
ケース１内の密封が図られる。このシール材２
２，２３は、流体を供給して膨張させることによ
つて管２１と密接させ、シールを完全にさせるよ
うにするとよい。なお、実施例では、鋼管２１を
セツトした状態において、第２図に示したよう
に、鋼管２１から露出するアノードケース１４の
部分を覆うように、塩化ビニル製の遮蔽体２４が
設置されている。この遮蔽体２４は、管端部にめ
つきが付きすぎないように電極を覆うためのもの
である。

次いで、上記したように、めつき液が回転軸３
を介して中空軸１５内に供給される。このめつき
液は、中空軸１５の孔２０からアノードケース１
４内へ噴出され、溶解たニツケルイオンとともに
アノードバツグ１７を通つて鋼管２１の管端内へ
流出される。このようにして流出されためつき液
は、羽根１８によつて攪拌され、めつき液成分が
均一化される。

めつき作用に供された後のめつき液は、装置ケ
ース１の上部に連接された排出パイプ２５によつ
てめつき液槽７へ戻される。

〔発明の効果〕

以上詳述したように、この発明の鋼管の管端め
つき用アノード装置では、不溶性のアノードケー
スを採用し、かつそのアノードケース内に溶解性
金属塊を充填し、めつき液をアノードケース内に
噴出させるとともに、電解反応によつて金属塊を
溶解しながら、めつき液を管端に供給し、さら
に、中空軸と共にアノードケースを回転させて、
めつき作業を行うので、めつき液が均一化され、
したがつて管端周面に均一な厚みで、かつ均質な
めつき層を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の鋼管の管端めつき用アノー
ド装置の一実施態様を示す概略縦断面図、第２図
はその装置の要部を示す縦断面図、第３図は同じ
く横断面図である。図面において、 １……装置ケース、１ａ……端壁、２……軸受
ケース、３……回転軸、４……ロータリジヨイン
ト、５……パイプ、６……ポンプ、７……めつき
液槽、８……プーリ、９……モータ、１０……プ
ーリ、１１……ベルト、１２……アノードアツセ
ンブリ、１３……ブラケツト、１４……アノード
ケース、１５……中空軸、１６……溶解性金属
塊、１７……アノードバツグ、１８……羽根、１
９……キヤツプ、２０……孔、２１……鋼管、２
２，２３……シール材、２４……遮蔽体、２５…
…排出パイプ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ めつき液を収容するめつき液槽と、一端が開
   口した筒状の装置ケースと、前記装置ケースの他
   端壁に回転可能に支承させ、自由端を前記装置ケ
   ース内へ延設させ、周壁に孔を穿設した中空軸
   と、前記中空軸の周面に配設した不溶性ラス状ア
   ノードケースと、前記アノードケース内に充填し
   た溶解性金属塊と、前記めつき液槽内のめつき液
   を前記中空軸内に供給するためのパイプの途中に
   設けられたポンプと、前記中空軸内に供給され、
   前記アノードケースを通つて前記装置ケース内に
   流出し、前記装置ケース内に挿入された鋼管の端
   部をめつきした後のめつき液を、前記めつき液槽
   に戻すための、前記装置ケースにその一端が接続
   された、他端が前記めつき液槽に至る排出パイプ
   とからなることを特徴とする、鋼管の管端めつき
   用アノード装置。