JPH0248899Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は鉄共振定電圧変圧器に関するもので、
入力電圧が急変した際、その出力電圧が急昇する
ことを防止するようにした鉄共振定電圧変圧器を
提供せんとするものである。

交流電気鉄道の車両に使用される鉄共振定電圧
変圧器は、第１図のように交流電源（以下単に電
源という）８より架線５、レール７およびパンタ
グラフ４を経て給電される。架線５にはデツトセ
クシヨン６が設けられており、パンタグラフ４が
デツトセクシヨン６を通過する際、鉄共振定電圧
変圧器１の電源電圧は短時間零となり、再び電源
９より給電される。その時、第２図にその一例を
示したように、その出力電圧が給電直後、定常時
電圧より高電圧となり、負荷２に高電圧を供給す
る。

第１図では架線５に一両の車両３が接続された
場合を示したが、実用されている交流電気鉄道で
は10数両連結した車両が１編成として運用される
ので、１編成当りの力行時の使用電力は大きく、
また電源８，９に高電圧を採用しているので架線
長が長く、架線インピーダンスは大きい。架線末
端近くで車両３が力行より惰行になれば架線電圧
は急昇し、従つて鉄共振定電圧変圧器１の電源電
圧も同様で、その出力電圧は第３図に示すように
瞬時急昇し、負荷２に高電圧を供給する。

このようにデツトセクシヨン通過時や、車両３
の力行から惰行に移つた際の架線電圧の急変によ
り、鉄共振定電圧変圧器１の出力電圧が数サイク
ル高電圧を負荷２に供給する。負荷２に高電圧に
弱い電子部品が使用されていると、車両３の運転
に支障を生ずる場合がある。本考案は上述のよう
な高電圧発生を防止しようとするものである。

本考案による鉄共振定電圧変圧器は、入力コイ
ルと、共振コイルを共有した出力コイルを各々別
コイルとし、この両コイルが閉磁路鉄心に巻装さ
れ、入力コイルと出力コイル間に分路鉄心を設け
て、分路鉄心は両コイル間の継鉄（主脚鉄心）よ
り他の継鉄部に両コイルの磁束を分路するように
し、分路鉄心に設けた分路鉄心コイルに直列に抵
抗器を接続して閉回路を構成したことを特徴とし
たものである。

以下、本考案を実施例図面にもとづいて説明す
る。第４図は本考案による鉄共振定電圧変圧器の
一実施例の構造を示す図、第５図は本考案の鉄共
振定電圧変圧器の機能を説明するための図であ
る。

第４図において１１は入力コイル、１２は共振
コイルを共有した出力コイルで、鉄心１３に図示
のように各々巻装されている。入力コイル１１と
出力コイル１２との間に分路鉄心１４，１４ａ，
１４ｂが設けられている。入力コイル１１と、共
振コイルを共有する出力コイル１２との間に設け
た分路鉄心１４に、分路鉄心１４中を通る磁束と
有効に鎖交するよう巻かれた分路鉄心コイル１
５，１５ａ，１５ｂを設け、二つの分路鉄心コイ
ル１５，１５ａ，１５ｂが和動なるよう接続し、
その両コイル端に抵抗器１６を接続する。図示の
如く分路鉄心コイル１５ａ→分路鉄心コイル１５
ｂ→抵抗器１６→分路鉄心コイル１５ａの経路で
閉回路を構成している。このような鉄共振定電圧
変圧器１を第５図のように接続する。第５図にお
いて第１図、第４図と同一符号のものは同一のも
のを示しており、S₁は電源スイツチ、Ｃは共振コ
ンデンサ、Ｌは波形整形リアクトルである。Es
は電源８の電源電圧、E₁は鉄共振定電圧変圧器
１の入力電圧、E₂は同じく出力電圧をそれぞれ
示す。

いま第５図状態で電源スイツチS₁を閉路すれ
ば、第４図からわかるように分路鉄心１４中を通
る磁束は、分路鉄心コイル１５が抵抗器１６を介
して接続されているので分路鉄心１４中を通る磁
束は、分路鉄心コイル１５が分路鉄心１４に巻装
されない場合に比べて減少するため、入力コイル
１１と出力コイル１２は変圧器により近い関係に
なり、その出力側に発生する高電圧は抑制され
る。この高電圧の大きさは、抵抗器１６の抵抗値
および分路鉄心コイル１５の抵抗値によつて調整
することができ、抵抗値が零に近づけば変圧器と
ほぼ同等となり、出力コイル１２には高電圧は発
生しない。これを図で示せば第６図のようにな
る。第６図において第６図ａは電源電圧波形、第
６図ｂ，ｃは鉄共振定電圧変圧器の入力電圧、出
力電圧波形をそれぞれ示している。

電源電圧急昇の場合も第６図と同様出力電圧の
高電圧は抑制され第７図のようになる。第７図に
おいて第７図ａ，ｂは鉄共振定電圧変圧器の入力
電圧、出力電圧波形を示している。

このように、分路鉄心上に設けた分路鉄心コイ
ルを抵抗器を介して接続することにより、架線デ
ツトセクシヨン通過時の入力電圧急変、自車操作
による架線電圧急変による鉄共振定電圧変圧器の
出力電圧を、定常時電圧に比べ高電圧となること
を抑制することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は交流電気鉄道に使用される鉄共振定電
圧変圧器の電源系統説明図、第２図は鉄共振定電
圧変圧器に電源を供給した時の出力電圧波形図、
第３図は電源電圧が急昇した場合の出力電圧波形
図、第４図は本考案による鉄共振定電圧変圧器の
一実施例の構成図、第５図は本考案による鉄共振
定電圧変圧器の機能説明図、第６，７図は本考案
の鉄共振定電圧変圧器の出力電圧波形図である。 １……鉄共振定電圧変圧器、１１……入力コイ
ル、１２……共振コイルを共有する出力コイル、
１３……鉄心、１４，１４ａ，１４ｂ……分路鉄
心、１５，１５ａ，１５ｂ……分路鉄心コイル、
１６……抵抗器、２……負荷、３……車両、４…
…パンタグラフ、５……架線、６……デツトセク
シヨン、８，９……交流電源、S₁……電源スイツ
チ、Ｃ……共振コンデンサ、Ｌ……波形整形リア
クトル。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 入力コイルと、共振コイルを共用する出力コイ
   ルとをそれぞれ閉磁路鉄心に巻装し、前記入力コ
   イルと前記出力コイル間に分路鉄心を設け、該分
   路鉄心は前記両コイル間の継鉄により他の継鉄部
   に前記両コイルの磁束を分路するよう構成し、前
   記共振コイルにコンデンサを接続してなる鉄共振
   定電圧変圧器において、前記分路鉄心に設けたコ
   イルに抵抗器を接続したことを特徴とする鉄共振
   定電圧変圧器。