JPH0248679B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、石膏ボードに利用される石膏ボード
用原紙の製造方法に関するものであり、裏面にお
ける吸水性及び石膏泥に対する付着性の低下を惹
起することなく、極めて高温度下における耐熱性
を具備する表層を形成し、かつ機械的強度、耐候
性等に優れた性質を示す石膏ボード用原紙を、廉
価に、しかも従来の方法に比較して抄紙用機械類
の腐食程度を低減させる等の効果を奏する製造方
法を提供するものである。 石膏ボードは、焼石膏とその他の混和材とを水
練りして得た石膏泥を芯とし、その両面を石膏ボ
ード用原紙で被覆成板した建築用材料であつて、
通常、表原紙と裏原紙との２枚の石膏ボード用原
紙の間に前記石膏泥を流し込んで製造されるもの
で、石膏が石膏ボード用原紙によつてサンドイツ
チされた構成のものであるから、石膏と接する石
膏ボード用原紙面、即ち裏面は、ある程度の吸水
性を有していることが必要であると同時に、石膏
泥に対する接着性が良好であることが必要であ
り、他方、石膏ボードの外側面となる原紙面、即
ち表面は美粧効果や石膏ボードに耐水強度を具備
せしめる等の理由から、石膏ボード製作時に、水
の浸透が表面にまで到達することのないような強
力なる耐水性を具備していることが必要である。 然して、石膏ボード用原紙における表層に要求
される耐水性は、一般紙に要求される耐水性とは
異なり、石膏ボード用原紙を使用した石膏ボード
の製造工程中で、石膏硬化時の発熱や乾燥時の加
熱により、石膏ボード用原紙が高温湿潤状態に置
かれるため、特に、高温度下での耐水性（以下、
耐熱水性と略記する）が要求される。 上記の点に鑑み、従来のロジンとロジン重量に
対して５〜15重量％のα，β−不飽和多塩基酸、
例えばマレイン酸やフマール酸等との付加反応物
（強化ロジン）のアルカリ石鹸の水溶液からなる、
所謂アルカリ鹸化物の強化ロジン系サイズ剤を使
用する石膏ボード用原紙の製造方法に代えて、特
に耐熱水性に優れた石膏ボード用原紙を得る目的
で、高度にフマール酸を付加した強化ロジンサイ
ズ剤と両性のポリアクリルアミドとをパルプスラ
リーに併用、添加する石膏ボード用原紙の製造方
法（特公昭56−9600号公報）が提案された。 しかしながら、この強化ロジンサイズ剤と両性
のポリアクリルアミドとをパルプスラリーに併
用、添加する方法においては、同時に多量の硫酸
バンドを併用しないと、得られる石膏ボード用原
紙の耐熱水性が十分ではないばかりでなく、サイ
ジング工程での泡立ちが激しく、作業性が損われ
るという欠点を生ずるし、他方、硫酸バンドの添
加量を多量にし、無機塩を多量に含有する石膏ボ
ード用原紙を得る場合には、該原紙における石膏
泥の付着性が著しく悪くなるという致命的な欠点
を生ずる。 また、たとえ石膏泥の付着性が特別問題となら
ない表層形成用の原料たるパルプスラリー中にの
み、前記強化ロジンサイズ剤と両性のポリアクリ
ルアミドとを併用し、かつ多量の硫酸バンドを使
用し、別製の裏層形成用のパルプスラリーと多層
抄き合わせ法により石膏ボードを得るようにして
も、通常、製紙工場の白水循環系では各層の抄紙
白水が混合することが普通であり、また抄き合わ
せ時の湿潤ウエブ中の搾水による硫酸バンドの拡
散が生ずる等のために、依然として得られる石膏
ボード用原紙における裏層には多量の無機塩が含
有されてしまい、いずれにしても石膏泥に対する
付着性の良好なる石膏ボード用原紙が得られない
という欠点を有している。 本発明は、特許請求の範囲に記載した構成とす
ることにより、極めて高度の耐熱水性を有する表
面と、吸水性及び石膏泥に対する付着性良好な裏
面とを具備し、より詳しくは裏面における石膏泥
に対する付着性の低下を抑えながら、かつ極めて
高度の耐熱水性が表面に導入され、かつ機械的強
度及び耐候性等にも優れた性質を有する石膏ボー
ド用原紙を、廉価に確実に得ることができ、しか
も従来の方法に比較して抄紙用機械類の腐食程度
を低減する等の効果を有する製造方法を提供する
ものである。 即ち、本発明の石膏ボード用原紙の製造方法
は、特に耐水性が要求されないような通常紙を得
る際に利用されている多層抄き合わせ法における
表層形成用の抄紙原料として、特定のサイズ剤と
前記サイズ剤を水性媒体中に分散させる分散液と
が添加、混合されているパルプスラリーであつ
て、しかも新聞古紙パルプを主原料とするパルプ
スラリーを使用するものである。 前記本発明方法においては、前記表層形成用の
抄紙原料として使用される前記パルプスラリー中
のサイズ剤には、α−オレフイン類、内部オレフ
イン類或はプロピレン又はブテンからのオリゴマ
ーと、無水マレイン酸との付加反応によつて得ら
れる炭素数12以上のアルキル基或はアルケニル基
を有する置換コハク酸無水物又は該置換コハク酸
無水物を主成分とするアルキル基或はアルケニル
基を有する置換コハク酸無水物の混合物が使用さ
れ、また前記置換コハク酸無水物又は置換コハク
酸無水物の混合物を水性媒体中に分散させる分散
剤には、両性アクリルアミド系重合体又はカチオ
ン澱粉が使用されているパルプスラリーを利用す
るものである。 尚、本発明の石膏ボード用原紙の製造方法にお
いては、前述の表層形成用の抄紙原料と、別製の
裏層形成用の抄紙原料との少なくとも２種類の抄
紙原料を使用して多層抄き合わせを行うものであ
り、前記裏層形成用の抄紙原料には、特別耐水性
を要求されないような通常紙の製造において広く
利用されているところの普通のパルプスラリーが
使用される。 本発明方法において、表層形成用の抄紙原料と
して使用するパルプスラリー中に添加されるサイ
ズ剤は、従来印刷用紙等の一般紙の製造に使用さ
れている硫酸バンドの添加を必要としない所謂中
性サイジング方法として利用されるサイズ剤の一
種である。この中性サイジング用に使用されるサ
イズ剤（以下「中性サイズ剤」という）として
は、例えばアルキルケテンダイマー、アルケニル
コハク酸無水物、ロジン無水物、ステアリン酸無
水物、ロジンイソシアネート、アルキルエチレン
尿素化合物、アスパラギンイミド誘導体、陽イオ
ン変性石油樹脂、スチレン系ポリマー等各種のも
のがあるが、これらの中性サイズ剤は高価である
ことに加えて、これらのサイズ剤はセルロースの
水酸基と反応する所謂反応性サイズ剤であるか又
はカチオン性高分子物質であつて、原料パルプ繊
維表面の活性基や荷電の状態によつて、効果に大
きな影響を受けるため、リグニンその他夾雑物の
多い新聞古紙パルプを主たる原料とするパルプス
ラリーを使用する紙の製造に利用されることは無
かつた。 然るに、本発明方法においては、前述の中性サ
イズ剤中の特別の構成のものを選択して、新聞古
紙パルプを主たる原料とするパルプスラリーに使
用し、同時に硫酸バンドの添加量を極力抑えてお
き、これを表層形成用の抄紙原料とすることによ
り、裏層における吸水性及び石膏泥に対する付着
性の低下を抑え、極めて優れた耐熱水性が表面に
導入されている石膏ボード用原紙を得るものであ
る。 本発明方法において表層形成用に使用される原
料パイプは、新聞古紙パルプ単独であつても良い
が、新聞古紙パルプと各種のパルプ、例えばクラ
フトパルプ、セミケミカルパルプ、サルフアイト
パルプ、グランドパルプ、セミグランドパルプそ
の他の天然或は合成繊維パルプ、アスベストやロ
ツクウール等の無機繊維等との混合パルプであつ
ても良く、また、裏層形成用に使用される原料パ
ルプは、前記表層形成用原料パルプに使用される
パルプのほか、常法による一般のパルプであつて
も良い。 前記本発明方法において、表層形成用の抄紙原
料中に使用される炭素数12以上のアルケニル基を
有する置換コハク酸無水物は、α−オレフイン
類、内部オレフイン類或はプロピレン又はブテン
からのオリゴマーと、無水マレイン酸との付加反
応によつて得られるものであり、また炭素数12以
上のアルキル基を有する置換コハク酸無水物は、
前記炭素数12以上のアルケニル基を有する置換コ
ハク酸無水物の水素添加を行うことによつて容易
に得られるものである。 前記置換コハク酸無水物の具体例は、例えばド
デセニルコハク酸無水物、ドデシルコハク酸無水
物、ペンタデセニルコハク酸無水物、ペンタデシ
ルコハク酸無水物、ヘキサデセニルコハク酸無水
物、オクタデセニルコハク酸無水物等をはじめ、
４量体以上のプロピレンオリゴマーと無水マレイ
ン酸との付加反応物、３量体以上のブテンオリゴ
マーと無水マレイン酸との付加反応物、３量体以
上のペンテンオリゴマーと無水マレイン酸との付
加反応物、３量体以上のブタジエンオリゴマー又
はその部分水素添加物と無水マレイン酸との付加
反応物等であるが、洗剤原料としてのプロピレン
３量体を製造する際に副生物として得られるプロ
ピレンの５量体、６量体、７量体等のプロピレン
オリゴマーと無水マレイン酸との付加反応生成物
と使用するのが経済的である。 尚、本発明方法でサイズ剤として使用する前記
置換コハク酸無水物は、炭素数が12以上のアルキ
ル基又はアルケニル基を有するものであるが、他
方炭素数12以上のアラルキル基やアラルケニル基
を具備する置換コハク酸無水物を使用した場合に
も、耐熱水性において優れた性質を有する石膏ボ
ード用原紙が得られるであろうと推定される。 しかしながら、前記炭素数12以上のアラルキル
基やアラルケニル基を具備する置換コハク酸無水
物は、これらを工業的規模で経済的に入手するこ
とが困難であるという欠点を有している。 本発明方法においては、前記表層形成用の抄紙
原料中に使用される分散剤、即ち前述の置換コハ
ク酸無水物を水性媒体中に分散させる分散剤に、
両性アクリルアミド系重合体又はカチオン澱粉が
利用されるが、特に両性アクリルアミド系重合体
を分散剤とする場合には、抄紙工程での特別な定
着剤が不要であり、また得られる石膏ボード用原
紙における耐熱水性と機械的強度とが更に一段と
優れたものになるというメリツトが存する。 前述の置換コハク酸無水物と分散剤とは、所定
量の分散剤を含有する水溶液中に、攪拌下で置換
コハク酸無水物を添加、混合し、ホモミキサー、
ホモジナイザー、超音波乳化機等で攪拌処理する
ことによつて容易に得られる水性分散液の状態で
使用される。 尚、前記置換コハク酸無水物と分散剤との混合
物を、前記水性分散液の状態で使用する場合に
は、得られる水性分散液の粒子径が5μ、好まし
くは1μ以下となるように調整するのが良い。 また、前記置換コハク酸無水物と分散剤との水
性分散液の濃度は、得られる水性分散液の粘度に
よつて適宜変更されるものであり、通常置換コハ
ク酸無水物の濃度で１〜30重量％程度の分散液に
調整される。 また、前記置換コハク酸無水物と分散剤との水
性分散液における置換コハク酸無水物と分散剤と
の割合については、特に限定されるものではな
く、任意の割合で利用されるものであるが、置換
コハク酸無水物と分散剤との混合割合についての
予備試験を行つて、予じめ適当な混合割合を決定
しておくことが好ましい。 尚、前記分散剤として両性のアクリルアミド系
重合体を使用する場合を例にとれば、置換コハク
酸無水物１重量部に対して、前記アクリルアミド
系重合体を0.1〜1.0重量部の範囲内で使用するこ
とが好ましい。 尚また、前記置換コハク酸無水物と分散剤との
水性分散剤は、石膏ボード用原紙の製造工程中に
おいて得られる石膏ボード用原紙における表層と
なる紙層が形成される前の任意の段階、例えばミ
キシングチエスト、マシンチエスト、種箱、フア
ンポンプの入口又は出口、スクリーンの手前等に
おいて原料パルプスラリー中に添加、混合される
ものである。 パルプスラリー中に添加、混合される前述の置
換コハク酸無水物と分散剤との水性分散液の量
は、得られる石膏ボード用原紙に対して要求され
る特性に応じて任意に変更し得るものであるが、
一般的には原料パルプの乾燥重量に対する置換コ
ハク酸無水物の重量が0.1〜５重量％の範囲内で
使用されるのが普通であり、特に１重量％以下の
場合であつても、十分な耐熱水性を具備する石膏
ボード用原紙が得られる。 本発明方法で使用される前記表層形成用のパル
プスラリー中に新たに硫酸バンドを添加すること
は必ずしも必要なことではない。 即ち、本発明方法で使用する前記表層形成用の
パルプスラリーは、新聞古紙パルプをパルプ主原
料とするパルプスラリーであり、新聞用紙が多量
の硫酸バンドを含有する所謂酸性抄紙によつて製
造されているものであることから、古新聞を離解
して得られる新聞古紙パルプ中には、なお少量の
アルミニウム塩が残存、含有されている状態にあ
り、前記新聞古紙パルプを主原料とするパルプス
ラリーによる表層形成用の抄紙原料には、既に少
量の硫酸バンドが添加、混合されているのと同等
の作用が奏されるものである。 更に、前記表層形成用の抄紙原料たるパルプス
ラリー中には、抄紙用原料において通常添加され
ているその他の添加剤、例えば公知のサイズ剤、
紙力増強剤、濾水促進剤等が適宜添加含有され得
るものであることは勿論である。 本発明の石膏ボード用原紙は、前述した表層形
成用の抄紙原料たるパルプスラリーと、場合によ
つて更に別製の中芯層形成用の抄紙原料たるパル
プスラリーとを使用するところの常法による抄き
合わせ法によつて石膏ボードが製造されるもので
ある。 尚、裏層形成用の抄紙原料たるパルプスラリー
及び場合によつて使用される中芯形成用の抄紙原
料たるパルプスラリーの各組成成分は、通常の紙
層形成用のパルプスラリーを使用するものであ
り、特に裏層形成用のパルプスラリーは、該パル
プスラリーによつて形成される紙層が、得られる
石膏ボードにおける裏紙を構成するものであるか
ら、従来の石膏ボードの裏紙の形成に使用されて
いたパルプスラリーと同様にある程度の吸水性を
有し、かつ石膏泥に対して良好なる接着性を有す
る裏面を形成するようなパルプスラリーを使用す
ることが必要である。 従つて、裏層形成用の抄紙原料たるパルプスラ
リー中には、特に撥水性を与えるための各種成分
及び石膏泥に対する接着性を低下させる要因とな
る無機質系サイズ剤、特に硫酸バンド等の添加は
必要最小限に抑えておくことが必要であり、硫酸
バンドの添加は原料パルプの乾燥重量に対して約
2.0重量％以下にしておくことが望ましい。 本発明の石膏ボード用原紙の製造方法は叙上の
通りの構成からなるものであり、表層形成用の抄
紙原料たるパルプスラリー中に添加、含有される
サイズ剤の特定によつて、同時に添加される硫酸
バンドの使用量を極力抑えて、尚かつ極めて優れ
た耐熱水性を示す表面を形成するものであるの
で、極めて優れた耐熱水性を有する表面と、吸水
性及び石膏泥に対する付着性が良好な裏面とを具
備し、機械的強度及び耐候性等に優れた石膏ボー
ド用原紙を廉価に、確実に製造することができる
という作用、効果を奏する。 また、本発明方法は、各層形成用の抄紙原料た
るパルプスラリー中に添加される硫酸バンドの添
加量を必要最小限に抑えておくものであるから、
弱酸性乃至中性領域下で抄紙することができ、従
来の方法に比較して抄紙用機械類の腐食を低減す
るという効果も有する。 以下、本発明の石膏ボード用原紙の製造方法に
ついて、その具体的な構成を実施例をもつて説明
し、得られた石膏ボード用原紙の特性について比
較例との対比によつて表示する。 実施例 (1) 置換コハク酸無水物と分散剤との水性分散液
の調製 (a) プロピレン５量体、６量体及び７量体を主
成分とするプロピレンオリゴマーと無水マレ
イン酸との付加反応物である置換コハク酸無
水物20ｇを、両性ポリアクリルアミドの10％
水溶液〔ポリアクリルアミドのホフマン分解
反応生成物：商品名スターガムAD−Ｓ、星
光化学工業(株)製〕100ｇ中に添加、混合し、
ホモミキサーで均質化して置換コハク酸無水
物の水性分散液〔〕120ｇを得た。この水
性分散液〔〕の分散粒子径は約１〜2μで
あり、安定性は良好であつた。 (b) (a)項で使用したものと同じ置換コハク酸無
水物7.5ｇをカチオン澱粉〔商品名CATO−
Ｆ、王子ナシヨナル(株)製〕の7.5％水溶液100
ｇ中に添加、混合し、以下(a)項における攪拌
操作と同様に処理して、水性分散液〔〕
107.5ｇを得た。この水性分散液〔〕の分
散粒子径は約3μであり、安定性は良好であ
つた。 (2) 石膏ボード用原紙の製造 ２重量％の新聞古紙パルプスラリー（C.S.
F.190c.c.．）に、前記(1)の(a)項及び(b)項で得られ
た置換コハク酸無水物の水性分散液〔〕及び
〔〕の１％希釈液の各々をそれぞれ別々に乾
燥パルプ重量に対する置換コハク酸無水物の重
量で1.0重量％添加し、十分に混合することに
よつて、２種類の調製パルプスラリーを得た。
得られた２種類の調製パルプスラリーを使用し
て、タツピスタンダードシートマシンにより常
法に基づく手抄きによつて置換コハク酸無水物
に対する分散剤の種類が相違する２種類の表層
形成用湿潤シート（乾燥坪量100ｇ／m²に相当）
(イ)及び(ロ)を得た。 他方、同じく２重量％の新聞古紙パルプスラ
リー（C.S.F.190c.c.．）に、何等特別の薬品を添
加することなく、これを利用して前記と同法に
よる手抄きを行い、石膏ボード用原紙の裏層形
成用湿潤シート（乾燥坪量100ｇ／m²に相当）
(ハ)を作製した。 次いで、前記操作によつて得られた湿潤シー
ト(イ)と湿潤シート(ハ)とを、また湿潤シート(ロ)と
湿潤シート(ハ)とを重ね合わせて、夫々圧力3.5
Kg／cm²でプレス搾水し、スチームドライヤー
（蒸気圧1.5Kg／cm²）上で乾燥することによつ
て、本発明方法における目的製品である坪量
200ｇ／m²の２種類の２層抄き合わせ手抄き石
膏ボード用原紙を得た。 得られた石膏ボード用原紙の耐熱水性、引張
強度及び石膏泥付着性の測定結果を後記第１表
に示す。 比較例 １ (1) 置換コハク酸無水物と分散物との水性分散液
の調製 炭素数６〜10の混合α−オレフイン〔商品名
ダイヤレン610、三菱化成工業(株)製〕と無水マ
レイン酸との付加反応物である置換コハク酸無
水物7.5ｇを、カチオン澱粉（CATO−Ｆ）の
7.5％水溶液100ｇ中に添加、混合し、以下実施
例における(1)(a)項における攪拌操作と同様に処
理して水性分散液〔〕107.5ｇを得た。この
水性分散液〔〕の分散粒子径は約3μであり、
安定性は良好であつた。 (2) 原紙の製造 前記実施例の(2)項の「石膏ボード用原紙の製
造」の項に示した製造方法における湿潤シート
(イ)の作成において、置換コハク酸無水物の水性
分散液〔〕又は〔〕の代りに、前記水性分
散液〔〕を使用する以外の操作工程は、実施
例における「石膏ボード用原紙の製造」で利用
した操作工程と全く同様に、比較のための２層
抄き合わせ手抄き原紙を得た。 比較例 ２ 比較例１に示した(2)「原紙の製造」の項に示し
た製造方法おいて、置換コハク酸無水物の水性分
散液〔〕の使用に代えて市販の強化ロジン系サ
イズ剤〔商品名コロパールＳ−50X、星光化学工
業(株)製〕を乾燥パルプ重量に対して１％添加する
以外の操作は、比較例１における(2)「原紙の製
造」の項で利用した操作工程と全く同様にし、比
較のための２層抄き合わせ手抄き原紙を得た。 比較例 ３ 比較例１に示した(2)「原紙の製造」の項に示し
た製造方法において、置換コハク酸無水物の水性
分散液〔〕の使用に代えて市販の強化ロジン系
サイズ剤〔商品名コロパール７−50X、星光化業
工業(株)製〕を乾燥パルプ重量に対して１％添加
し、更に硫酸バンドを表層及び裏層形成用パルプ
スラリー中に乾燥パルプ重量に対して各２重量％
添加する以外の操作は、比較例１における(2)「原
紙の製造」の項で利用した操作工程と全く同様に
し、比較のための２層抄き合わせ手抄き原紙を得
た。 以上の各実施例で得られた原紙の耐熱水性、引
張強度及び石膏泥付着性の測定結果を、後記第１
表に示す。 尚、実施例及び比較例で得られた各原紙の耐熱
水性、引張強度及び石膏泥付着性の測定方法は以
下の通りである。 耐熱水性の測定 ３cm×３cmの紙片を80℃の純水上に裏面を下に
して浮かべ、熱水の浸透による班点が３点以上原
紙表面に現れるまでの時間を測定する。 引張強度の測定 JIS Ｐ−8113による。 石膏泥付着性 焼石膏、木粉（焼石膏／木粉＝10／１重量比）
及び水を混練りして得られた石膏泥を、２枚の原
紙の間に、各原紙の裏面に石膏泥が接するように
して流し込み、80℃で２時間乾燥して厚さ約10mm
の石膏ボードを得た後、これを常温まで放冷す
る。しかる後に得られた石膏ボードから表、裏両
層の原紙を剥離し、原紙と石膏泥層との間の接着
性を判定した。 両者の間の接着剤は、〇…良好、△…稍々不足
の記号で表示してある。 【表】

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 新聞古紙パルプをパルプ主原料とするパルプ
   スラリーからなる表層形成用の抄紙原料と、常法
   によるパルプスラリーからなる別製の裏層形成用
   の抄紙原料とを用いる多層抄き合わせ法によつて
   石膏ボード用原紙を製造する方法において、前記
   新聞古紙パルプをパルプ主原料とするパルプスラ
   リーからなる表層形成用の抄紙原料として、α−
   オレフイン類、内部オレフイン類、或はプロピレ
   ンまたはブテンからのオリゴマーと無水マレイン
   酸との付加反応によつて得られる炭素数12以上の
   アルキル基或はアルケニル基を有する置換コハク
   酸無水物又は該置換コハク酸無水物を主成分とす
   るアルキル基或はアルケニル基を有する置換コハ
   ク酸無水物の混合物と、前記置換コハク酸無水物
   又は置換コハク酸無水物の混合物を水性媒体中に
   分散させる分散剤たる両性アクリルアミド系重合
   体又はカチオン澱粉とを含有するパルプスラリー
   を使用することを特徴とする石膏ボード用原紙の
   製造方法。 ２ 炭素数12以上のアルキル基或はアルケニル基
   を有する置換コハク酸無水物が、プロピレンの５
   量体、６量体、７量体又はこれらの混合物からな
   るプロピレンオリゴマーと無水マレイン酸との付
   加反応物である特許請求の範囲第１項記載の石膏
   ボード用原紙の製造方法。