JPH0248391B2 - - Google Patents
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- JPH0248391B2 JPH0248391B2 JP60241347A JP24134785A JPH0248391B2 JP H0248391 B2 JPH0248391 B2 JP H0248391B2 JP 60241347 A JP60241347 A JP 60241347A JP 24134785 A JP24134785 A JP 24134785A JP H0248391 B2 JPH0248391 B2 JP H0248391B2
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Landscapes
- Finish Polishing, Edge Sharpening, And Grinding By Specific Grinding Devices (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】
産業上の利用分野
この発明は、磁気を利用し磁性砥粒により加工
物の表面を研摩する磁気研摩装置に関する。
物の表面を研摩する磁気研摩装置に関する。
従来の技術
従来の磁気研摩方法は、閉磁気回路中のコイル
に直流電流を流して一対の磁極のうちの一方の磁
極をN極に他方の磁極をS極に固定した静磁界を
利用したものである。
に直流電流を流して一対の磁極のうちの一方の磁
極をN極に他方の磁極をS極に固定した静磁界を
利用したものである。
また特公昭53−2518号公報には、円筒状容器の
周囲に回転磁場を発生するためのコイルを配置
し、容器内に洗浄等処理すべき物体と磁性粒子を
投入し、磁力によつて動かされる粒子で物体を処
理するための物体処理装置が開示されている。
周囲に回転磁場を発生するためのコイルを配置
し、容器内に洗浄等処理すべき物体と磁性粒子を
投入し、磁力によつて動かされる粒子で物体を処
理するための物体処理装置が開示されている。
発明が解決しようとする問題点
従来は磁場が時間的に変動しない静磁界を利用
した研摩であり、磁界が時間的に変動する移動磁
界の利用については究明されていない。磁界が時
間的に変動する場合、磁性砥粒は磁界の変動の強
さに従う変動磁力を受けるため、静磁界の場合と
はかなり異つた研摩挙動をするものと考案され
る。
した研摩であり、磁界が時間的に変動する移動磁
界の利用については究明されていない。磁界が時
間的に変動する場合、磁性砥粒は磁界の変動の強
さに従う変動磁力を受けるため、静磁界の場合と
はかなり異つた研摩挙動をするものと考案され
る。
また特公昭53−2518号公報に開示された物体処
理装置では、容器内に投入された磁性粒子を回転
磁場により動かし、あたかもバレル仕上の如く容
器の中で加工物体が磁性粒子と衝突する間にその
表面の汚物を取り除き、加工物体の洗浄あるいは
研摩を行うものであり、回転磁場では円筒形加工
物の外表面を研摩することはできないという問題
がある。
理装置では、容器内に投入された磁性粒子を回転
磁場により動かし、あたかもバレル仕上の如く容
器の中で加工物体が磁性粒子と衝突する間にその
表面の汚物を取り除き、加工物体の洗浄あるいは
研摩を行うものであり、回転磁場では円筒形加工
物の外表面を研摩することはできないという問題
がある。
従つてこの発明の目的は、前記問題を解決した
回転磁界を利用した新規な磁気研摩装置を提供す
ることである。
回転磁界を利用した新規な磁気研摩装置を提供す
ることである。
問題点を解決するための手段
この発明は、互いに向きを120度ずらした3個
のコイルをそれぞれ2分割して中心に対して対称
に配置した複数のコイルと、各コイルを巻付けた
複数の鉄心と、各鉄心の内方端部に一体に設けら
れかつ前記中心に向け伸長した複数の磁極と、各
鉄心の外方端部に接続した共通のリング状ヨーク
とを備え、円筒形加工物の外表面を加工対象とす
るため複数の伸長した磁極の先端面が円筒形加工
物を収容するに足る空間を形成しかつ磁極の先端
面と円筒形加工物の外表面との間にすきまを形成
し、磁極の先端面形状を鉄心断面積より小さく形
成し、複数の磁極の先端面が形成する前記空間内
に磁極先端面に前記すきまを置いて円筒形加工物
を回転可能に配置し、前記すきま内に回転磁界を
形成するため複数の鉄心及び磁極をリング状ヨー
クでもつて三相交流電源に変圧器を介して接続
し、回転磁界を形成した前記すきまに磁性砥粒を
保持してなる磁気研摩装置によつて、磁性砥粒が
変動する磁束に沿つて円筒形加工物の外表面上を
往復運動し、円筒形加工物の外表面を円滑に研摩
することができたものである。
のコイルをそれぞれ2分割して中心に対して対称
に配置した複数のコイルと、各コイルを巻付けた
複数の鉄心と、各鉄心の内方端部に一体に設けら
れかつ前記中心に向け伸長した複数の磁極と、各
鉄心の外方端部に接続した共通のリング状ヨーク
とを備え、円筒形加工物の外表面を加工対象とす
るため複数の伸長した磁極の先端面が円筒形加工
物を収容するに足る空間を形成しかつ磁極の先端
面と円筒形加工物の外表面との間にすきまを形成
し、磁極の先端面形状を鉄心断面積より小さく形
成し、複数の磁極の先端面が形成する前記空間内
に磁極先端面に前記すきまを置いて円筒形加工物
を回転可能に配置し、前記すきま内に回転磁界を
形成するため複数の鉄心及び磁極をリング状ヨー
クでもつて三相交流電源に変圧器を介して接続
し、回転磁界を形成した前記すきまに磁性砥粒を
保持してなる磁気研摩装置によつて、磁性砥粒が
変動する磁束に沿つて円筒形加工物の外表面上を
往復運動し、円筒形加工物の外表面を円滑に研摩
することができたものである。
以下この発明の詳細を図面に基いて説明する。
1 研摩装置の基本構成
回転磁界は、第1図に示すように、互いに向
きを120度ずらして配置した3個のコイル1,
2及び3に三相交流電流を流すことによつて得
られる。すなわち、下記の式に示す各コイルが
つくる磁界H1,H2,H3の合成磁界H(=
1.5Hm)が電源周波数と同じ周波数で、コイ
ル中心Oのまわりに回転する。4は変圧器であ
る。
きを120度ずらして配置した3個のコイル1,
2及び3に三相交流電流を流すことによつて得
られる。すなわち、下記の式に示す各コイルが
つくる磁界H1,H2,H3の合成磁界H(=
1.5Hm)が電源周波数と同じ周波数で、コイ
ル中心Oのまわりに回転する。4は変圧器であ
る。
H1=Hm Sin Wt
H2=Hm Sin(Wt−120°)
H3=Hm Sin(Wt−240°)
H=1.5Hm
=K/2−Wt
この回転磁界を研摩装置に応用するために
は、(i)研摩用の磁極を設けること、(ii)加工域の
磁界の強さを高めるため磁気回路の磁気抵抗を
小さくすること、すなわち、鉄心及びヨークを
設けることが必要となる。第2図に示すよう
に、第1図に示す各コイル1,2,3をそれぞ
れ2分割してコイル1′,1″、コイル2′,
2″、コイル3′,3″,″としこれら中心Oに対
して対称に配置し、各コイルを鉄心5の周りに
巻付け、鉄心5の内方端部に中心Oに向け伸長
したに磁極6を一体に設け、鉄心5の外方端部
に共通のリング状ヨーク7を設けて複数の鉄心
5及び磁極6を三相交流電源R,S,Tに変圧
器4を介して接続する。円筒形加工物の外表面
を加工対象とするため複数の伸長した磁極の先
端面6aが円筒形加工物8を収容するに足る空
間を形成しかつ磁極6の先端面6aと円筒形加
工物8の外表面との間にすきま9を形成し、複
数の磁極の先端面6aが形成する空間内に磁極
先端面にすきま9を置いて加工物8を回転可能
に配置する。第1図に示す回転磁界の原理図か
ら考えて第2図に示す基本構成のうちコイルを
3個としこれに従い磁極を3個とすることも考
えられる。
は、(i)研摩用の磁極を設けること、(ii)加工域の
磁界の強さを高めるため磁気回路の磁気抵抗を
小さくすること、すなわち、鉄心及びヨークを
設けることが必要となる。第2図に示すよう
に、第1図に示す各コイル1,2,3をそれぞ
れ2分割してコイル1′,1″、コイル2′,
2″、コイル3′,3″,″としこれら中心Oに対
して対称に配置し、各コイルを鉄心5の周りに
巻付け、鉄心5の内方端部に中心Oに向け伸長
したに磁極6を一体に設け、鉄心5の外方端部
に共通のリング状ヨーク7を設けて複数の鉄心
5及び磁極6を三相交流電源R,S,Tに変圧
器4を介して接続する。円筒形加工物の外表面
を加工対象とするため複数の伸長した磁極の先
端面6aが円筒形加工物8を収容するに足る空
間を形成しかつ磁極6の先端面6aと円筒形加
工物8の外表面との間にすきま9を形成し、複
数の磁極の先端面6aが形成する空間内に磁極
先端面にすきま9を置いて加工物8を回転可能
に配置する。第1図に示す回転磁界の原理図か
ら考えて第2図に示す基本構成のうちコイルを
3個としこれに従い磁極を3個とすることも考
えられる。
2 実施装置
第3図イ及びロに立てフライス盤(牧野フラ
イス製)テーブル上に設置できるように設計製
作した研摩装置の組立図を示す。フライス盤テ
ーブル11上に磁気絶縁材のアルミニウム台1
2を設置したのち、基板13の上に、さらに磁
気絶縁材のアルミニウム台14をおき、それに
SS41材のリング状ヨーク7と鉄心5及び6
個のコイル10と磁極6とから成る研摩装置を
設置した。鉄心5、磁極6、ヨーク7及びコイ
ル10の配置は第2図に示すものと同様であ
る。加工物8はフライス盤の主軸15にねじに
螺着したナツト16により固定される。コイル
には線径1mmのネオマール線を1000巻した。磁
極の先端面形状を、図示のように、鉄心断面積
より小さくして加工域の磁束密度が大きくなる
ように工夫した。なおコイルの巻数と鉄心及び
ヨークの断面寸法は、磁気回路のパーミアンス
計算を行い、加工域の設計磁束密度1.2T、鉄
心、ヨークの磁気飽和がない条件により決定し
た。
イス製)テーブル上に設置できるように設計製
作した研摩装置の組立図を示す。フライス盤テ
ーブル11上に磁気絶縁材のアルミニウム台1
2を設置したのち、基板13の上に、さらに磁
気絶縁材のアルミニウム台14をおき、それに
SS41材のリング状ヨーク7と鉄心5及び6
個のコイル10と磁極6とから成る研摩装置を
設置した。鉄心5、磁極6、ヨーク7及びコイ
ル10の配置は第2図に示すものと同様であ
る。加工物8はフライス盤の主軸15にねじに
螺着したナツト16により固定される。コイル
には線径1mmのネオマール線を1000巻した。磁
極の先端面形状を、図示のように、鉄心断面積
より小さくして加工域の磁束密度が大きくなる
ように工夫した。なおコイルの巻数と鉄心及び
ヨークの断面寸法は、磁気回路のパーミアンス
計算を行い、加工域の設計磁束密度1.2T、鉄
心、ヨークの磁気飽和がない条件により決定し
た。
3 励磁回路の選定
研摩装置に回転磁界を与えるには、第1図に
示す三相交流を電圧降下させてコイルに供給す
る方法が考えられる。第4図イにこの励磁回路
を示す。第4図ロに示す波形は一つの磁極に
ついて、テスラメータとシンクロスコープによ
つて観測した加工域の磁場波形である。第4図
ロにおいて1000Hzの搬送波に重畳する包絡線で
示される磁場強度波形は電源と同じ周波数で正
弦波形状に変動していることがわかる。第4図
イに示す励磁回路において、磁極、鉄心及び
ヨーク中に流れる磁束の方向は1サイクルごと
にN−Sが変化する。
示す三相交流を電圧降下させてコイルに供給す
る方法が考えられる。第4図イにこの励磁回路
を示す。第4図ロに示す波形は一つの磁極に
ついて、テスラメータとシンクロスコープによ
つて観測した加工域の磁場波形である。第4図
ロにおいて1000Hzの搬送波に重畳する包絡線で
示される磁場強度波形は電源と同じ周波数で正
弦波形状に変動していることがわかる。第4図
イに示す励磁回路において、磁極、鉄心及び
ヨーク中に流れる磁束の方向は1サイクルごと
にN−Sが変化する。
従つて後述するように、普通の軟鋼材料を用い
た場合には鉄損が生ずる。鉄損による電力消費と
温度上昇を低くするには、コイルに一方向の電流
を流す必要があり、第5図イに示すように、コイ
ルの前に直列にダイオード17を挿入する励磁回
路を考案した。この励磁回路における加工域
の磁場強度Bは、図示のように、直流成分A。に
交流成分B。 sin wtが重畳された波形のもの
が得られた。コイルに一方向の電流が流れる第5
図イに示す励磁回路についても磁場の変動成分
は大きいといえる(後述するように、この変動成
分が回転磁界を与えている)。
た場合には鉄損が生ずる。鉄損による電力消費と
温度上昇を低くするには、コイルに一方向の電流
を流す必要があり、第5図イに示すように、コイ
ルの前に直列にダイオード17を挿入する励磁回
路を考案した。この励磁回路における加工域
の磁場強度Bは、図示のように、直流成分A。に
交流成分B。 sin wtが重畳された波形のもの
が得られた。コイルに一方向の電流が流れる第5
図イに示す励磁回路についても磁場の変動成分
は大きいといえる(後述するように、この変動成
分が回転磁界を与えている)。
第5図イに示す励磁回路に、さらに、コイル
に並列にダイオード18を挿入し、コイルの逆起
電力を利用して、変動磁場成分を小さくしたのが
第6図イに示す励磁回路である。第6図ロに示
す磁場波形が示すように、変動成分の少ない回路
となつた。
に並列にダイオード18を挿入し、コイルの逆起
電力を利用して、変動磁場成分を小さくしたのが
第6図イに示す励磁回路である。第6図ロに示
す磁場波形が示すように、変動成分の少ない回路
となつた。
変動磁場成分を含まない全波整流を流す直流励
磁電源回路を第7図イに示す。この励磁回路
にAC電圧を全波整流して供給すると、コイルの
直流抵抗とインダクタンスとで平滑回路を形成
し、その結果、第7図ロに示すような完全な静磁
場が得られる。
磁電源回路を第7図イに示す。この励磁回路
にAC電圧を全波整流して供給すると、コイルの
直流抵抗とインダクタンスとで平滑回路を形成
し、その結果、第7図ロに示すような完全な静磁
場が得られる。
第4図ないし7図に示す励磁回路ないし
は、以下に示す実験では、第2図に示す基本構成
にすべて装着して各種の接点を設けておき、適時
接点を切つたり接続したりして構成した。場合に
よつては第2図に示す基本構成にそれぞれの回路
を設けてもよい。
は、以下に示す実験では、第2図に示す基本構成
にすべて装着して各種の接点を設けておき、適時
接点を切つたり接続したりして構成した。場合に
よつては第2図に示す基本構成にそれぞれの回路
を設けてもよい。
まず、各励磁回路の回転磁界成分の有無を実験
的に確認した。すなわち、コイルに流れる励磁電
流と回転トルクの関係を第8図に示す。この回転
トルクは、軸受支持して自由回転できるようにし
たアルミニウム丸棒20(φ50×20mm)を加工域
に挿入し、回転磁界によつて発生するアルミニウ
ム丸棒の回転力を測定することによつて得た。こ
れは、加工域に磁性砥粒を充填しないときの実験
である。励磁回路とについて回転トルクの発
生が見られる。これは、第4図ロ及び第5図ロに
示すように、加工域の磁場強度Bの波形がB=
A。+B。Sin Wtで表わされるとしたときの変動
成分B。Sin Wtがアルミニウム丸棒表面近傍に
うず電流を発生させ、アラゴの円板の原理により
回転トルクを発生したものと考える。励磁回路
とは磁場の変動成分が極めて小さく、回転トル
クも発生しない。静的成分A。は回転トルクには
関係しなく、変動成分が回転磁界成分になつてい
ることがわかる。
的に確認した。すなわち、コイルに流れる励磁電
流と回転トルクの関係を第8図に示す。この回転
トルクは、軸受支持して自由回転できるようにし
たアルミニウム丸棒20(φ50×20mm)を加工域
に挿入し、回転磁界によつて発生するアルミニウ
ム丸棒の回転力を測定することによつて得た。こ
れは、加工域に磁性砥粒を充填しないときの実験
である。励磁回路とについて回転トルクの発
生が見られる。これは、第4図ロ及び第5図ロに
示すように、加工域の磁場強度Bの波形がB=
A。+B。Sin Wtで表わされるとしたときの変動
成分B。Sin Wtがアルミニウム丸棒表面近傍に
うず電流を発生させ、アラゴの円板の原理により
回転トルクを発生したものと考える。励磁回路
とは磁場の変動成分が極めて小さく、回転トル
クも発生しない。静的成分A。は回転トルクには
関係しなく、変動成分が回転磁界成分になつてい
ることがわかる。
磁界の変動成分は、前述のように、磁極、鉄心
及びヨークに鉄損(ヒステレシス損とうず電流損
の和)を生じ、電力消費量が大きく、これが熱に
変換される。この事象を確認するために行つた実
験結果を第9図に示す。すなわち、第3図に示す
装置の磁極先端から5mmの位置に、直径1mm、深
さ7mmの穴を明け、線径0.1mmの銅・コンスタン
熱電対を埋込んで、磁極の温度上昇と励磁時間の
関係を求めた。加工をしていないときの値であ
る。励磁回路との温度上昇が特に大きく、こ
れに対応してワツトメータで測定した消費電力も
大きいことがわかる。回転磁界(変動磁界)成分
が大きい励磁回路は、電力消費と装置の温度上昇
に関する考慮が必要であり、極く短時間の加工に
利用されなければならないことを示している。励
磁回路とは温度上昇も小さく、電力の消費も
少ない。
及びヨークに鉄損(ヒステレシス損とうず電流損
の和)を生じ、電力消費量が大きく、これが熱に
変換される。この事象を確認するために行つた実
験結果を第9図に示す。すなわち、第3図に示す
装置の磁極先端から5mmの位置に、直径1mm、深
さ7mmの穴を明け、線径0.1mmの銅・コンスタン
熱電対を埋込んで、磁極の温度上昇と励磁時間の
関係を求めた。加工をしていないときの値であ
る。励磁回路との温度上昇が特に大きく、こ
れに対応してワツトメータで測定した消費電力も
大きいことがわかる。回転磁界(変動磁界)成分
が大きい励磁回路は、電力消費と装置の温度上昇
に関する考慮が必要であり、極く短時間の加工に
利用されなければならないことを示している。励
磁回路とは温度上昇も小さく、電力の消費も
少ない。
作 用
加工条件は次の通りである。
加工物材質:軟鋼(SS41)、焼入鋼(SK3、HR
C63) 加工物寸法:外径50mm内径36mmの円筒体で長さ20
mmのもの 加工物回転周速度:88m/min 加工物の上下方向送り量:0.5m/min(ストロー
ク10mm) 加工物回転方向:回転磁界の方向と同方向及び逆
方向 励磁回路:第4ないし第7図に示す励磁回路な
いし 加工域の磁束密度:0.2〜1.2T(励磁電流0.3〜2A) 加工間隙(すきま)(加工物表面と磁極先端面間
の間隙):1mm 研摩時間:0.5〜10分 加工液:不水溶性研削液(4%Wt.) 磁性砥粒:平均粒径5μmのAl2O3と鉄を混合し、
高温高圧下で真空焼結後、粉砕、整粒した平均
粒径150μmの粒子 磁性砥粒供給量:70g(その都度) 第3図において、加工物8をフライス盤の主軸
15にその加工面を磁極6の先端面6aに対応さ
せて取付け、回転磁界形成用の励磁回路に交流
を流して加工間隙9に回転磁界を形成し、回転磁
界を形成した加工間隙9に磁性砥粒を投入すれ
ば、第3図ロにおいて、回転磁界の作用の下に磁
極6のN極がS極に次いでN極に変化しまた磁極
6のS極がN極に次いでS極にと変化を繰り返え
し磁束が変動する。それに従つて磁性砥粒も変動
する磁束に沿つてN極及びS極間を加工物8の表
面上を往復運動し、このような磁性砥粒の動きが
加工物8の回転につれてラツプ仕上におけるラツ
プ剤のころがり切削と同様の切削効果をもたら
し、これにより回転磁界を利用して円筒形加工物
の外表面を研摩することができ、かつ大きな研摩
量が得られ、加工能率が向上する。
C63) 加工物寸法:外径50mm内径36mmの円筒体で長さ20
mmのもの 加工物回転周速度:88m/min 加工物の上下方向送り量:0.5m/min(ストロー
ク10mm) 加工物回転方向:回転磁界の方向と同方向及び逆
方向 励磁回路:第4ないし第7図に示す励磁回路な
いし 加工域の磁束密度:0.2〜1.2T(励磁電流0.3〜2A) 加工間隙(すきま)(加工物表面と磁極先端面間
の間隙):1mm 研摩時間:0.5〜10分 加工液:不水溶性研削液(4%Wt.) 磁性砥粒:平均粒径5μmのAl2O3と鉄を混合し、
高温高圧下で真空焼結後、粉砕、整粒した平均
粒径150μmの粒子 磁性砥粒供給量:70g(その都度) 第3図において、加工物8をフライス盤の主軸
15にその加工面を磁極6の先端面6aに対応さ
せて取付け、回転磁界形成用の励磁回路に交流
を流して加工間隙9に回転磁界を形成し、回転磁
界を形成した加工間隙9に磁性砥粒を投入すれ
ば、第3図ロにおいて、回転磁界の作用の下に磁
極6のN極がS極に次いでN極に変化しまた磁極
6のS極がN極に次いでS極にと変化を繰り返え
し磁束が変動する。それに従つて磁性砥粒も変動
する磁束に沿つてN極及びS極間を加工物8の表
面上を往復運動し、このような磁性砥粒の動きが
加工物8の回転につれてラツプ仕上におけるラツ
プ剤のころがり切削と同様の切削効果をもたら
し、これにより回転磁界を利用して円筒形加工物
の外表面を研摩することができ、かつ大きな研摩
量が得られ、加工能率が向上する。
1 研摩結果
各励磁回路における加工挙動は、研摩量およ
び加工物の表面粗さを調べることによつて明ら
かにできる。第10図に、研磨量と研摩時間の
関係を示す。加工物を磁界の回転方向と同方向
(図示の白印)と逆方向(図示の黒印)に回転
させたときの結果である。本加工の場合、加工
物回転方向の差異はほとんど見られない。研摩
量は研摩時間に対してほぼ直線的に増大する。
また、研摩量は励磁回路において最も大きく
>>の順となつている。
び加工物の表面粗さを調べることによつて明ら
かにできる。第10図に、研磨量と研摩時間の
関係を示す。加工物を磁界の回転方向と同方向
(図示の白印)と逆方向(図示の黒印)に回転
させたときの結果である。本加工の場合、加工
物回転方向の差異はほとんど見られない。研摩
量は研摩時間に対してほぼ直線的に増大する。
また、研摩量は励磁回路において最も大きく
>>の順となつている。
次に、励磁電流を変化させて、第10図と同
じような加工を行い、研摩時間2分後の研摩量
と加工域の磁束密度の関係を求めると第11図
を得た。磁束密度が同じ値でも、励磁回路が
示すように、回転磁界成分の大きい回路の研摩
量は、回転磁界成分を含まない回路に比べて著
しく大きい。回転磁界成分は研摩量を増大させ
る効果をもつといえる。
じような加工を行い、研摩時間2分後の研摩量
と加工域の磁束密度の関係を求めると第11図
を得た。磁束密度が同じ値でも、励磁回路が
示すように、回転磁界成分の大きい回路の研摩
量は、回転磁界成分を含まない回路に比べて著
しく大きい。回転磁界成分は研摩量を増大させ
る効果をもつといえる。
この加工機構を調べるために、第12図に示
すように、第8図のアルミニウム丸棒の代わり
に同寸法の強磁性体ローラ21(SS41材)を
用い、さらに、加工域に磁性砥粒22を充填し
て、コイルに励磁電流を流したときの強磁性体
ローラ22の摩擦トルクを測定した。その結
果、図示のように励磁回路>>>の順
に摩擦トルクが小さくなることがわかつた。
すように、第8図のアルミニウム丸棒の代わり
に同寸法の強磁性体ローラ21(SS41材)を
用い、さらに、加工域に磁性砥粒22を充填し
て、コイルに励磁電流を流したときの強磁性体
ローラ22の摩擦トルクを測定した。その結
果、図示のように励磁回路>>>の順
に摩擦トルクが小さくなることがわかつた。
第12図の励磁電流を磁束密度に換算して、
第11図と第12図により、それぞれの励磁回
路について研摩量と摩擦トルクの関係を求める
と第13図を得た。第13図において、例え
ば、励磁回路を用いれば、他の回路に比べて
小さな摩擦トルクでしかも大きな研摩量を得る
ことができることがわかる。
第11図と第12図により、それぞれの励磁回
路について研摩量と摩擦トルクの関係を求める
と第13図を得た。第13図において、例え
ば、励磁回路を用いれば、他の回路に比べて
小さな摩擦トルクでしかも大きな研摩量を得る
ことができることがわかる。
この加工機構は次のように考えられる。すな
わち、励磁回路の摩擦トルクが小さい事象
は、静磁界(回路の場合)により生ずる磁性
砥粒の大きな研摩圧力に基づく摩擦力に比べ
て、回転磁界による磁性砥粒の圧力は小さく、
その挙動は磁界の変動に従つて動的な様相を呈
し磁性砥粒の撹拌作用や振動運動が助長された
結果生じたものと考える。つまり励磁回路の
場合、研摩材は加工物のまわりに介在し、ころ
がりながら、かつ、磁場により押しつけられ
て、研摩していると考えられる。また励磁回路
の場合、乾式ラツピングのように、ラツプ内
に磁粒がうめこまれたような状態で、研摩材が
存在し、磁場により押しつけられて研摩してい
ると考えられる。この回転磁界がもたらす磁性
砥粒の動的挙動効果が、ラツピングにおける遊
離砥粒のころがり切削的効果を生じ、従つて、
摩擦力が小さく、しかも大きな研摩量が得られ
たものと考える。この場合の表面粗さは、静磁
界の場合に比べて粗目となり、梨地面を呈す
る。
わち、励磁回路の摩擦トルクが小さい事象
は、静磁界(回路の場合)により生ずる磁性
砥粒の大きな研摩圧力に基づく摩擦力に比べ
て、回転磁界による磁性砥粒の圧力は小さく、
その挙動は磁界の変動に従つて動的な様相を呈
し磁性砥粒の撹拌作用や振動運動が助長された
結果生じたものと考える。つまり励磁回路の
場合、研摩材は加工物のまわりに介在し、ころ
がりながら、かつ、磁場により押しつけられ
て、研摩していると考えられる。また励磁回路
の場合、乾式ラツピングのように、ラツプ内
に磁粒がうめこまれたような状態で、研摩材が
存在し、磁場により押しつけられて研摩してい
ると考えられる。この回転磁界がもたらす磁性
砥粒の動的挙動効果が、ラツピングにおける遊
離砥粒のころがり切削的効果を生じ、従つて、
摩擦力が小さく、しかも大きな研摩量が得られ
たものと考える。この場合の表面粗さは、静磁
界の場合に比べて粗目となり、梨地面を呈す
る。
第14図に表面粗さの測定結果を示す。加工
前の粗さ2μm Rmax、加工後の粗さ0.5μm
Rmax、最後の粗さ0.15μm Rmaxの状況を図
示してある。○印と●印(白印は加工物回転方
向が回転磁界の方向と同方向、黒印は逆方向)
が示す励磁回路の表面粗さについては、加工
前の2μm Rmaxの研削面が30秒の加工時間で
0.5μm Rmaxに向上し、以後、加工を続けて
も向上しない。一方、例えば、静磁界を与える
励磁回路では、到達でききる最終の表面粗さ
は0.15μm Rmaxにまで向上できるが、反面、
加工時間は約3分間を要する。
前の粗さ2μm Rmax、加工後の粗さ0.5μm
Rmax、最後の粗さ0.15μm Rmaxの状況を図
示してある。○印と●印(白印は加工物回転方
向が回転磁界の方向と同方向、黒印は逆方向)
が示す励磁回路の表面粗さについては、加工
前の2μm Rmaxの研削面が30秒の加工時間で
0.5μm Rmaxに向上し、以後、加工を続けて
も向上しない。一方、例えば、静磁界を与える
励磁回路では、到達でききる最終の表面粗さ
は0.15μm Rmaxにまで向上できるが、反面、
加工時間は約3分間を要する。
以上のように、回転磁界成分の大きい励磁回
路例えば回路による加工は、到達し得る表面
粗さに限界はあるが、研摩量が大きく加工能率
を向上させることがわかつた 2 高能率磁気研摩法の開発 前節で述べたように、回転磁界成分の大きい
励磁回路は加工能率を向上させる。そこで、加
工当初の粗い前加工面除去過程では励磁回路
を用いることにより、短時間で所定の表面粗さ
が得られる。その後、励磁回路をに切換えて
加工間隙に静磁界を形成し、この静磁界を形成
した間隙に磁性砥粒を投入し加工物を回転し
て、さらに表面粗さを向上させ得る能率的研摩
加工法が創案される。この方法によれば、励磁
回路の大きな電力消費と温度上昇の欠点は研
摩時間の短縮によつて補償できる。
路例えば回路による加工は、到達し得る表面
粗さに限界はあるが、研摩量が大きく加工能率
を向上させることがわかつた 2 高能率磁気研摩法の開発 前節で述べたように、回転磁界成分の大きい
励磁回路は加工能率を向上させる。そこで、加
工当初の粗い前加工面除去過程では励磁回路
を用いることにより、短時間で所定の表面粗さ
が得られる。その後、励磁回路をに切換えて
加工間隙に静磁界を形成し、この静磁界を形成
した間隙に磁性砥粒を投入し加工物を回転し
て、さらに表面粗さを向上させ得る能率的研摩
加工法が創案される。この方法によれば、励磁
回路の大きな電力消費と温度上昇の欠点は研
摩時間の短縮によつて補償できる。
第15図に焼入れ鋼加工物(SK4、HRC63)
を用いて、この能率的加工法を実験確認した結
果を示す。○印が示すように、静磁界を与える
励磁回路を用いると0.2μm Rmaxの表面粗
さを得ることはできるが10分の長い加工時間を
要する。一方、●印が示すように、回転磁界を
与える励磁回路では、約3分の短い加工時間
で0,5μm RRmax程度の表面粗さに向上で
きる。しかし、それ以上の粗さに向上すること
はできない。そこで点線で示すように、加工当
初の1分間は励磁回路を用いて2μm Rmax
の前加工面粗さを0.8μm Rmaxとした後(○
を用いて、この能率的加工法を実験確認した結
果を示す。○印が示すように、静磁界を与える
励磁回路を用いると0.2μm Rmaxの表面粗
さを得ることはできるが10分の長い加工時間を
要する。一方、●印が示すように、回転磁界を
与える励磁回路では、約3分の短い加工時間
で0,5μm RRmax程度の表面粗さに向上で
きる。しかし、それ以上の粗さに向上すること
はできない。そこで点線で示すように、加工当
初の1分間は励磁回路を用いて2μm Rmax
の前加工面粗さを0.8μm Rmaxとした後(○
Claims (1)
- 1 互いに向きを120度ずらした3個のコイルを
それぞれ2分割して中心に対して対称に配置した
複数のコイルと、各コイルを巻付けた複数の鉄心
と、各鉄心の内方端部に一体に設けられかつ前記
中心に向け伸長した複数の磁極と、各鉄心の外方
端部に接続した共通のリング状ヨークとを備え、
円筒形加工物の外表面を加工対象とするため複数
の伸長した磁極の先端面が円筒形加工物を収容す
るに足る空間を形成しかつ磁極の先端面と円筒形
加工物の外表面との間にすきまを形成し、磁極の
先端面形状を鉄心断面積より小さく形成し、複数
の磁極の先端面が形成する前記空間内に磁極先端
面に前記すきまを置いて円筒形加工物を回転可能
に配置し、前記すきま内に回転磁界を形成するた
め複数の鉄心及び磁極をリング状ヨークでもつて
三相交流電源に変圧器を介して接続し、回転磁界
を形成した前記すきまに磁性砥粒を保持してなる
磁気研摩装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP60241347A JPS62102969A (ja) | 1985-10-30 | 1985-10-30 | 磁気研摩装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP60241347A JPS62102969A (ja) | 1985-10-30 | 1985-10-30 | 磁気研摩装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS62102969A JPS62102969A (ja) | 1987-05-13 |
JPH0248391B2 true JPH0248391B2 (ja) | 1990-10-24 |
Family
ID=17072944
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP60241347A Granted JPS62102969A (ja) | 1985-10-30 | 1985-10-30 | 磁気研摩装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS62102969A (ja) |
Families Citing this family (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2619740B2 (ja) * | 1990-12-07 | 1997-06-11 | 共栄電工 株式会社 | 磁気研磨装置 |
JPH04210368A (ja) * | 1990-12-08 | 1992-07-31 | Kyoei Denko Kk | 磁気研磨装置 |
JPH07115295B2 (ja) * | 1990-12-08 | 1995-12-13 | 共栄電工株式会社 | 磁気研磨装置用磁性工具 |
JP2010012572A (ja) * | 2008-07-04 | 2010-01-21 | Chubu Plant Service Co Ltd | 非磁性管内面研磨装置 |
CN108127485A (zh) * | 2017-11-29 | 2018-06-08 | 辽宁科技大学 | 一种用于内孔膛线槽光整去毛刺的设备及工艺 |
CN108145538B (zh) * | 2017-11-29 | 2020-10-16 | 辽宁科技大学 | 用于波纹筒筛孔毛刺去除的工艺 |
CN108687573B (zh) * | 2018-05-23 | 2020-04-24 | 山东理工大学 | 一种自动化磁场辅助光整加工装置及方法 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS532518A (en) * | 1976-06-29 | 1978-01-11 | Kamaya Kagaku Kogyo Co Ltd | Method of applying matte coating on glass |
JPS6034264A (ja) * | 1983-08-06 | 1985-02-21 | Toubu M X Kk | 磁気研摩仕上装置 |
-
1985
- 1985-10-30 JP JP60241347A patent/JPS62102969A/ja active Granted
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS532518A (en) * | 1976-06-29 | 1978-01-11 | Kamaya Kagaku Kogyo Co Ltd | Method of applying matte coating on glass |
JPS6034264A (ja) * | 1983-08-06 | 1985-02-21 | Toubu M X Kk | 磁気研摩仕上装置 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS62102969A (ja) | 1987-05-13 |
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