JPH0248203B2

JPH0248203B2 -

Info

Publication number: JPH0248203B2
Application number: JP59157146A
Authority: JP
Inventors: Michitaka Shimizu
Original assignee: KONPETSUKUSU JUGEN
Current assignee: KONPETSUKUSU JUGEN
Priority date: 1984-07-30
Filing date: 1984-07-30
Publication date: 1990-10-24
Also published as: JPS6135721A

Description

【発明の詳細な説明】本発明は、マイタケ、シイタケ、ヒラタケなど
の茸菌の培養および栽培に関するものである。

従来よりシイタケ等の栽培には、直径７〜20cm
のナラ、シイ、ブナ、カシなどの原木を長さ100
cm前後に切断して榾木としたものが用いられてい
る。しかし、これらに用いられる原木の入手は、
需要の拡大に従つて年々入手が困難となつてきて
いる。このため、人工榾木や太さの細い原木を用
いる方法について研究されて来ている。

人工榾木については、比較的高価であるばかり
か、風雨に弱く屋外で茸栽培を行なうことが難か
しいため実用に供するには困難であつた。また、
燃料位にしかならない直径が６cm以下の原木を榾
木として用いると、水分の蒸散が多く、種駒を原
木に打込み接種しても活着率が低くてとうてい実
用には使えないのが現状である。

本発明者は、今迄榾木として用いることの出来
なかつた細い原木を榾木として、茸菌の培養〜栽
培が行なえる方法について研究を行なつたもの
で、特願昭59〜61037号により、小径榾木を雑菌
遮断性多孔性シート部を設けたプラスチツク袋の
中に入れて、茸菌を培養する方法を提案した。本
発明は、さらに改良を行なつたもので、より多数
の小径榾木を用いて、一度に効率よく茸菌の培養
を行なうことが出来るものである。

すなわち、本発明は、小径榾木を雑菌遮断性多
孔性シート部を設けたプラスチツク袋の中に入れ
て茸菌を培養することは特願昭49−61037号と同
様であるが、多数の小径榾木を榾木仕切体によ
り、数本づつのブロツクに分けて茸菌の培養を行
なわせしめることを特徴としている。

多数の小径榾木を一つにたばねて茸菌を培養
し、菌糸の蔓延後に茸栽培に供するため数本以下
に分割させると、菌糸に衝撃を与え、菌糸の根切
れなどを起して茸の栽培に悪影響を与えることを
見い出した。本発明はこれらの欠点を解決したも
ので、本発明方法によると、菌糸発生後に分割な
どによつて榾木及び菌糸に衝撃を与え菌糸を傷付
けることがない。また、榾木の分割などの手数が
かからないばかりでなく茸の収穫量が10〜30％向
上するなどの利点がある。

本発明方法によると、今迄榾木として用いるこ
との出来なかつた細い原木が、榾木として充分に
使用できるものである。本発明方法においては、
細い原木を適性榾木となる直径の太さにたばね榾
木仕切体にそれぞれ収納し、雑菌遮断性多孔性シ
ート部を設けた茸菌培養袋の中に押入し、減菌
し、茸菌を接種後に茸菌培養袋の開口部を密封し
培養する。菌糸が榾木の端部切口に蔓延発生する
と茸菌培養袋より榾木を取り出し、それぞれ茸栽
培を行なうが、小径木結束榾木はそれぞれ榾木仕
切体によつて分離されて培養れているため、榾木
の取出が容易であるばかりでなく、菌糸を傷める
こともない。また、茸菌培養袋の雑菌遮断性多孔
性シートにより、茸菌の培養に必要かつ充分な空
気の換気が出来るばかりでなく、必要以上の通気
がないために、榾木の水分乾燥がほとんどなく、
榾木における茸菌の活養が良好であり、また榾木
中に菌糸の蔓延速度が速く効率的な茸菌培養を行
なわせしめることができる。また、榾木中に菌糸
が蔓延すると、茸菌培養袋を切開して、通常の榾
木と同様に茸の栽培を行なうことができる。

また、殺菌を終えた小径榾木に茸菌を接種する
方法は、通常行なわれているように榾木の樹皮部
に小孔を穿けて種駒を打ち込むことも出来るが、
この方法は手数がかり高価となるばかりでなく外
菌によつて汚染される恐れがあるので、榾木の切
口に茸菌培養促進シートを接触させて、茸菌培養
促進シートに茸菌を接種させて、間接的に榾木に
接種させることがより効果的である。また、茸菌
培養促進シートに代えて菌種と栄養基との混合物
を榾木の切口に塗布することによつても茸菌の接
種が可能である。

本発明に用いられる茸菌培養袋は、加熱殺菌に
耐え、挿入される榾木で破損しない程度の強度を
有するプラスチツクフイルム袋に、雑菌遮断性多
孔性シートを設けたものである。プラスチツクフ
イルム袋の材質、形状は特に限定しないが、好ま
しくは、水蒸気透過率が低くて酸素の透過が良好
であるオレフイン系のフイルムをカセツトタイプ
製袋材などによつて製袋（折巾30〜100cm、長さ
50〜200cm、厚さ40〜100μ程度のもの）したもの
がよい。

また、茸菌培養袋に用いられる雑菌遮断性多孔
性シートは、マイクロポーラスフイルム、不織
布、樹脂加工紙、圧縮ウレタンフオームシート、
織雑布など雑菌を通さずに茸菌が成育するために
必要な空気の吸廃気が出来るものであれば特に限
定しないが、好ましくは平均穴径が0.1〜1μのマ
イクロポーラスフイルムが湿気の影響を受けず完
全に雑菌を遮断するとともに榾木の水分乾燥がほ
とんどなく、充分な換気が出来るのが好ましい。
茸菌培養袋に設けられる雑菌遮断性多孔性シート
の大きさは、榾木の容量によつて異なるが、入れ
られる榾木容量１に対して0.5〜100cm²、より好
ましくは0.5〜10cm²の大きさが必要である。この
多孔性シートが小さすぎると通気が不充分となり
茸菌の成育が悪くなり、大きすぎると不経済であ
るばかりか榾木の水分乾燥をまねき茸菌の成育が
悪くなる。

また、本発明で用いられる榾木仕切体は、隣接
する榾木がお互に接触し、菌糸によつて結合する
ことを防ぐためのものである。榾木仕切体は、隣
接する榾木がお互いに、物理的に接触しないよう
に出来るものであればよく、特に材質、形状は限
定されないが減菌時の加熱に耐え、榾木を仕切る
ための強度があり、しかも菌糸との剥離性が良好
であることが必要であり、好ましくは、プラスチ
ツク製の仕切組立体や押出又はブロロー成型体あ
るいは小径結束榾木をプラスチツクフイルム等に
より巻き付けたもの（特に榾木端部の切口附近に
設ける。）が用いられる。

また、本発明で使用される小型榾木は直径が１
〜６cm長さ10〜100cm程度のナラ、ブナ、シイ、
カシなどの小枝であり、これらは茸培養袋に設け
られた榾木仕切体に適性榾木となる直径の太さ
に、ひも、フイルムなどによりバンド掛固定して
それぞれ分離挿入される。

さらに、本発明で使用される茸菌培養促進シー
トは、従来より榾木の接種に用いられている種駒
に代るもので、厚さ0.5〜５mm程度のダンボール、
厚紙、パルプモルデイング、不織布、和紙などの
セルローズ系繊維シートに、ブドウ糖、米ぬか、
コンスターチ、麦芽エキスなどの栄養基が添加さ
れ、さらに好ましくは雑菌防除剤が添加されたも
のが用いられる。

また、茸菌培養促進シートを用いない場合は、
ブドウ糖、コンスターチ、米粉、小麦粉、麦芽エ
キス、ゼラチン、寒天などの栄養基に菌種を入れ
た混合物を殺菌された榾木の切口に塗布すること
もできる。

なお、茸菌培養促進シートによる接種は榾木と
共に殺菌された後、該シートの表面に茸菌を接種
するかあるいは、榾木の殺菌とは別に葺菌培養促
進シートを殺菌し、さらに茸菌の接種を行つたも
のを殺菌後の榾木切口部に接触させて培養する方
法が用いられる。

次に本発明を実施例に基づいて説明する。

実施例１厚さ80μ、折巾65cm、長さ160cmのポリプロピ
レンチユーブフイルムに約25cm²の有効面積を有す
る雑菌遮断性多孔性シート（平均穴径0.2μ空孔率
45％）のポリプロピレン系マイクロポーラスフイ
ルム（商品名、ジエラガード＃4510、米国セラニ
ーズ社製造）部を設けて、さらに一端を熱接着し
茸菌培養袋を得た。

（なお茸菌培養袋のポリプロピレンフイルムとマ
イクロポーラスフイルムの重ね合せ部は、ポリプ
ロピレンフイルムに直径４cmの穿孔穴を設けて、
穿孔穴の周囲を、熱接着にてマイクロポーラスフ
イルムを接着したものである。なお、マイクロポ
ーラスフイルムの有効面積は約13cm²であつた。）得られた茸菌培養袋の中に、厚さ500μのポリ
スチレンシートにより10cm×10cmで高さ60cmの仕
切りを９ケ設けた榾木仕切体を入れていた。さら
に、直径約４cmで長さが60cmのブナ材の小径榾木
を４本づつひもで固定したものを９組作成し、そ
れぞれ榾木仕切体の仕切に入れ、さらに上部に厚
さ５mmで30cm×30cmの大きさで、約５重量％のコ
ンスターチと約１重量％のブドウ糖が添加された
厚紙よりなる茸菌培養促進シートを榾木の切口面
に重ね乗せて、茸菌培養袋を仮封し120℃で１時
間蒸気殺菌を行つた。冷却後、茸菌培養促進シー
トにシイタケ菌を接種し約20℃で２ケ月間培養を
行つたところ、小径榾木の全面に白い菌糸の発生
が認められた。培養工程の終つた小径榾木を、茸
菌培養袋から取り出したところ榾木仕切体により
区分されているため小径榾木の取出しが容易で、
しかも、菌糸が榾木より剥離されることもなく良
好であつた。これを屋外の木陰に並べて10〜20℃
で、1.5ケ月間栽培したところ、１袋当り約3.5Kg
のシイタケが収穫できる。得られたシイタケは、
直径10cm以上の通常の榾木のものに比べて優ると
も劣らない良質のものであり、又、榾木仕切体を
用いないで、茸菌培養袋によつて培養〜栽培した
場合に比べても収穫量が10％程度向上するなど極
めて好評であつた。

実施例２実施例１で用いたと同様の茸菌培養袋に、直径
約４cm、長さ60cmのブナ材小径榾木を４本づつ、
榾木両端部を厚さ30μ、巾15cmのポリプロピレン
フイルムにより固定したものを９組入れて、120
℃で１時間蒸気殺菌を行つた。冷却後、寒天１
％、コンスターチ３％、ブドウ糖１％、シイタケ
菌微量の混合水溶液を注射器により、榾木切口部
にふりかけて接種し、培養袋を密封して約20で２
ケ月間培養を行つたところ、小径榾木の全面に白
い菌糸の発生が認められた。茸培養袋を開封し、
小径榾木を取り出したところ、小径榾木の中央部
は菌糸の剥離が多少認められたが、榾木の両端部
は、ラツピングされたポリプロピレンフイルムに
よつて仕切り区分されているため菌糸の剥離もな
く、それぞれ４本づつ固定された榾木を容易に取
出すことができた。

これを屋外の木陰に並べて茸栽培を行つたとこ
ろ、実施例１と同様に極めて良好であつた。

本発明方法によると従来まつたく使用すること
の出来なかつた直径６cm以下の小径木材が榾木と
して使用できるものであり、資源の有効活用上極
めて有意義なものである。

また、小径榾木を榾木仕切体によつて分離固定
させて茸菌の培養が行なわれるために取扱いが容
易であり、菌糸が榾木から剥離することもない。
また、榾木と榾木の間に空気流通部が多く取るこ
とができるため培養時に菌糸の活着、蔓延が良好
であるため、確実な茸栽培が家庭においても行な
えることも可能ならしめたものである。

Claims

【特許請求の範囲】１プラスチツクフイルム袋の一部分に、雑菌遮
断性多孔性シート部を設けた茸菌培養袋に、榾木
仕切体及び榾木を入れて殺菌し、榾木の両端切口
の少なくとも一方より茸菌を接種し、さらに茸菌
培養袋の開口部を密封して茸菌を培養することを
特徴とする茸菌培養・栽培方法。２茸菌の接種が、榾木の端部切口に茸菌培養促
進シートを接触させて行なわせることを特徴とす
る特許請求の範囲第１項記載の茸菌培養・栽培方
法。３茸菌の接種が、榾木の端部切口に、菌種およ
び栄養基の混合物を塗布することにより行なわせ
ることを特徴とする特許請求の範囲第１項記載の
茸菌培養・栽培方法。