JPH0248130Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、アルミニウムやその合金の如き軽
金属を始めとする金属の溶湯を流通させる配管の
接続装置に関する。

（従来技術及びその問題点） 従来、アルミニウムやその合金等で鋳造を行う
場合、溶解炉で溶かした溶湯を前炉等からとりべ
に受けて運搬し、鋳造機へ給湯するのが一般的で
あつた。このため、従来にあつては、溶湯が運搬
中に急速に酸化されて材料ロスや製品の品質低下
を招くと共に、水素ガスの巻き込みによるピンホ
ールを生じ易く、また溶湯が高熱であるために取
扱い上の危険性が大きいという問題があつた。

（問題点を解決するための手段） この考案は、上記従来の問題点を解決するため
に金属溶湯を配管によつて一般的な流体と同様に
移送することを目的とするものであつて、該配管
を窒化ケイ素（Si₃N₄）やアルミナ（Al₂O₃）等
の所謂フアインセラミツクと称される高耐熱性の
セラミツク材料にて形成すると共に、該配管の熱
膨脹・収縮による寸法変化、ならびに架台歪み、
地盤変化、振動等による歪みを吸収し得る配管の
接続装置を提供するものである。

すなわち、この考案に係る金属溶湯用配管の接
続装置は、一端側に球頭部１１を有すると共に他
端側外周面を摺り合わせ部１ａとした第１パイプ
１と、一端側内周面を上記球頭部１１の前部面１
１ａに適嵌する凹球面部２１とし、かつ該一端に
フランジ部２ａを有する第２パイプと、一端側外
周面を摺り合わせ部３ａとした第３パイプと、第
１および第３パイプ１，３の摺り合わせ部１ａ，
３ａに摺接する内周面５ａを有するスライドパイ
プ５と、内周面が上記球頭部１１の背部面に適嵌
する凹球面部４ａをなす環状の押えフランジ４と
を備え、これらパイプおよび押えフランジがいず
れもセラミツク材料にて形成され、第１パイプ１
の上記一端に第２パイプ２の上記一端を嵌合し、
かつ第１パイプ１に嵌通した押えフランジ４と第
２パイプ２のフランジ部２ａとを接合し、このフ
ランジ接合部をクランプ具７にて挟着固定する一
方、第１パイプ１の上記他端と第３パイプ３の上
記一端とを両者に外嵌するスライドパイプ５を介
して接続してなるものである。

（実施例） 以下、この考案を図示実施例に基づいて説明す
る。

第１図はこの考案を適用したアルミニウムのダ
イカスト成形用配管の一例を示すものであつて、
溶解炉Ａにて溶解された溶湯が前炉Ｂに貯溜さ
れ、この前炉Ｂより所要で分岐した配管Ｃを通し
て複数のダイカストマシンＤに給湯されるように
なつている。この配管Ｃは、直管C₁、Ｔ字管C₂、
ベルト管C₃、コントロールバルブＥ等のいずれ
も窒化ケイ素の焼結体からなるモジユール化され
た単位部材の組合せにて構成されているが、その
所要部所に歪み吸収部Ｆが設けられている。

上記歪み吸収部Ｆは、第２図および第３図で示
すように、いずれも窒化ケイ素の焼結体からなる
第１パイプ１と第２パイプ２および第３パイプ３
とを直線的に連結して構成されている。この第１
パイプ１は、一端側に膨出状の球頭部１１を有す
ると共に、他端素外周面を摺り合わせ部１ａとし
たものであり、該球頭部１１の球面と摺り合わせ
部１ａの表面が精密に鏡面仕上げされている。ま
た第２パイプ２は、一端側が拡径されてかつフラ
ンジ部２ａを有すると共に、該一端側の内周面が
第１パイプ１の球頭部１１の前部面１１ａに適嵌
する鏡面仕上げされた凹球面部２１となつてい
る。更に第３パイプ３は、一端側外周面が第１パ
イプ１の摺り合わせ部１ａと同径の鏡面仕上げさ
れた摺り合わせ部３ａを構成している。

４は窒化ケイ素の焼結体からなる押えフランジ
であり、外径が第２パイプ２のフランジ部２ａの
外径と同一の円環状に形成され、円周面が第１フ
ランジ１の球頭部１１の背部面１１ｂに適嵌する
ように鏡面仕上げされた凹球面部４ａをなし、か
つ背面側内周縁４ｂ隆起状に形成されている。ま
た５は窒素ケイ素の焼結体からなるスライドパイ
プであり、その内周面５ａが第１および第３パイ
プ１，３の摺り合わせ部１ａ，３ａと摺接するよ
うに内径を設定してある。

そして、第１パイプ１と第２パイプ２とは、球
頭部１１と凹球面部２１とを突き合わせ嵌合する
と共に、第１パイプ１に嵌通させた押えフランジ
４と第２パイプ２のフランジ部２ａとをセラミツ
クパツキン６を介して接合し、このフランジ接合
部を複数のクランプ具７にて挟着することによ
り、離脱不能かつ相対角度変化自在に連結されて
いる。また、第１パイプ１と第３パイプ３とは、
スライドパイプ５を一定距離ｔを置いて対向する
相互の摺り合わせ部１ａ，３ａにわたつて外嵌さ
せることにより、相対距離変化可能に接続されて
いる。

ここで、第１パイプ１の球頭部１１と第２パイ
プ２および押えフランジ４の凹球面部２１，４ａ
とのクリアランス、ならびに第１および第３パイ
プ１，３の摺り合わせ部１ａ，３ａとスライドパ
イプ５の内面５とのクリアランスは、いずれもア
ルミ溶湯の漏れを防止するために５〜10μm程度
の微小に設定されている。

尚、クランプ具７は、第４図でも示すように、
窒素ケイ素からなるコ字状の基枠７ａの一側片部
に角筒状のスペーサ金具７ｂが遊嵌され、該側片
部の内側でかつスペーサ金具７ｂ内に配置したナ
ツト７ｃにボルト７ｄが上記側片部およびスペー
サ金具７ｂの前壁部を貫通して螺合されたもので
あり、ボルト７ｄの締め付けによつて基枠７ａの
他方の側片部とスペーサ金具７ｂの後壁部との間
で上記フランジ接合部を挟着するようになされて
いる。そして、この挟着力は、基枠７ａ以外の各
部材７ｂ〜７ｄがいずれも窒化ケイ素に比較して
格段に熱膨脹係数の大きなSUS310S等の金属製
であることから、これら部材７ｂ〜７ｄの熱伸長
によつて強化される。

一方、第２パイプ２ならびに第３パイプ３の各
端部と他の配管構成部材C₁，C₂，C₃，Ｅ等との
連結は、通常のフランジ接合部において上記同様
のクランプ具７にて挟着固定すればよい。

また、配管Ｃは、第５図で示すように、その全
長にわたつて外周にアルミ溶湯の固化を防止して
良好な流動状態を維持するための電熱ヒータ８が
配設され、更にその周囲に保温用のセラミツクウ
ールからなる断熱材９が巻装され、その全体がケ
ーシング１０内に収められている。そして、電熱
ヒータ８の加熱温度は、熱電対８ａにて検知して
680〜720℃程度の溶湯温度が保持されるよに制御
される。

上記構成の配管にあつては、その各構成部材
C₁〜C₃，Ｅ，１〜３がアルミ溶湯の高熱に耐え
る高耐熱性を有する反面で非常に硬く靭性がない
ために翦断に対して弱い材料である窒化ケイ素等
セラミツク材料の焼結体にて形成されているが、
第１パイプと第２パイプ２との連結部分が玉継手
構造となつていることから、地震その他で外部か
ら振動が加わつたり、架台の歪み変形や地盤変形
を生じても、これらによる歪みが上記連結部分の
相対角度変化によつて吸収され、また第１パイプ
１と第３パイプ３との連結部分がスライド構造に
なつてることから、ここで配管全体の熱膨脹・収
縮による寸法変化が吸収され、剪断による破壊が
未然に防止される。

尚、上記実施例では、配管Ｃの構成材料として
窒化ケイ素（Si₃N₄）を用いているが、この考案
ではアルミナ（Al₂O₃）等の他のセラミツク材料
を使用することもできる。また移送対象の金属溶
湯としては、アルミニウムその合金の如き軽金属
の溶湯に限らず、亜鉛等の他の金属の溶湯も包含
される。

そして、歪み吸収部Ｆの設定位置や設定数は、
配管Ｃの長さ、使用するセラミツク材料および金
属溶湯の種類等に応じて適宜設定すればよい。ま
た配管Ｃには、歪み吸収部Ｆの他に、第３パイプ
３，３同士の摺り合わせ部３ａ，３ａ相互をスラ
イドパイプ５にて連結したり、あるいは第２パイ
プ２の他端部に摺り合わせ部を形成してこれと第
３パイプ３の摺り合わせ部３ａとをスライドパイ
プ５にて連結した歪み吸収部を組込んでも差し支
えない。更にクランプ具７の構造は、例示以外に
種々設計変更可能である。

（考案特有の効果） この考案に係る金属溶湯用配管の接続装置は、
セラミツク材料からなる該配管の熱膨脹・収縮に
よる寸法変化、ならびに架台歪み、地盤変化、振
動等による歪みを吸収し、該配管の剪断破壊を防
止することができる。従つて、この考案によれ
ば、従来ではとりべ等を用いて運搬されていた金
属溶湯を上記配管によつて空気に接触させること
なく自動的に鋳造機等へ移送する実用的な自動給
湯システムが初めて実現され、該システムにて従
来におけるような溶湯の運搬中の酸化や水素ガス
の巻き込みを完全に回避でき、これによつて材料
の歩留まりならびに製品品質が著しく向上すると
共に、大幅な省力化が達成され、しかも給湯作業
の危険性が完全に解消される。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案の一実施例を示すものであつ
て、第１図は金属溶湯の配管例を示す概略正面
図、第２図は該配管における接続装置の要部の正
面図、第３図は第２図の−線の断面矢視図、
第４図はクランプ具の斜視図、第５は第１図の
−線の断面図である。 Ｃ……配管、１……第１パイプ、１ａ……摺り
合わせ部、２……第２パイプ、２ａ……フランジ
部、３……第３パイプ、３ａ……摺り合わせ部、
４……押えフランジ、４ａ……凹球面部、５……
スライドパイプ、５ａ……内周面、７……クラン
プ具、１１……球頭部、１１ａ……前部面、１１
ｂ……背部面、２１……凹球面部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 一端側に球頭部を有すると共に他端側外周面を
   摺り合わせ部とした第１パイプと、一端側内周面
   を上記球頭部の前部面に適嵌する凹球面部とし、
   かつ一端にフランジ部を有する第２パイプと、一
   端側外周面を摺り合わせ部とした第３パイプと、
   第１および第３パイプの摺り合わせ部に摺接する
   内周面を有するスライドパイプと、内周面が上記
   球頭部の背部面に適嵌する凹球面部をなす環状の
   押えフランジとを備え、これらパイプおよび押え
   フランジがいずれもセラミツク材料にて形成さ
   れ、第１パイプの上記一端に第２パイプの上記一
   端を嵌合し、かつ第１パイプに嵌通した押えフラ
   ンジと第２パイプのフランジ部とを接合し、この
   フランジ接合部をクランプ具にて挟着固定する一
   方、第１パイプの上記他端と第３パイプの上記一
   端とを両者に外嵌するスライドパイプを介して接
   続してなる金属溶湯用配管の接続装置。