JPH0247538B2 - - Google Patents

Description

請求の範囲 １ 硫黄含有石油物質による高温侵食に対する耐
性を有する低合金クロム鋼部材であつて、表面か
ら少なくとも３ミルの深さまで脱炭された脱炭部
分と、前記脱炭部分の大半を通して形成されたク
ロマジング部分と、前記脱炭部分を超える深さに
わたつて形成されたアルミナイジング部分とを有
することを特徴とする低合金クロム鋼部材。

２ 部材がチユーブであり、クロム鋼が不安定状
態にある炭素を含有し、そして脱炭部分が少なく
とも４ミルの深さを有し且つクロマイジング部分
が少なくとも３ミルの深さを有する特許請求の範
囲第１項記載の鋼部材。

３ チユーブが溶接を妨げない程度の低い表面ア
ルミニウム濃度を有する特許請求の範囲第１項記
載の鋼部材。

４ クロム鋼が不安定状態にある炭素を含有し、
そして脱炭部分が少なくとも６ミルの深さを有
し、クロマイジング部分が少なくとも６ミルの深
さを有し且つアルミナイジング部分が該クロマイ
ジング部分の深さを超える深さを有する特許請求
の範囲第１項記載の鋼部材。

５ 硫黄含有石油物質による高温侵食に対する耐
性を有する低合金クロム鋼部材を製造する方法で
あつて、表面から少なくとも３ミルの深さまで該
鋼部材を脱炭する段階と、前記脱炭鋼部材を前記
脱炭部分の大半を通して拡散クロマジング処理す
る段階と、その後、前記脱炭されそしてクロマイ
ジング処理された鋼部材を前記脱炭部分を超える
深さにわたつて拡散アルミナイジングする段階と
を包含する低合金クロム鋼部材製造方法。

明細書 本発明は、金属の腐食及び他の化学的侵食に対
する耐性を増大する為の金属のコーテイングに関
係する。

本発明の主たる目的は、新規なコーテイング技
術及びそれと一緒に使用する為の組成物並びに新
規な被覆ずみ生成物の提供であり、いずれも工業
的使用に好適である。

本発明の追加的目的は、加工物の所望の部位に
保護拡散コーテイングを制限する為の技術を含
む。

本発明の上記目的並びに追加的目的は、その例
示の幾つかについての以下の記載から一層完全に
理解されよう。

硫黄含有高温物質による侵食に対する鋼の耐
性、低合金鋼でさえその耐性を増大する為に、ク
ロマイジングが、それが約３ミルを越えて浸透し
そして続いて一層深くアルミナイジングが施され
る時、非常に有効である。スーバアロイについて
のもつと浸透深さの少くてすむ処理が米国特許第
3764371、3694255及び4041196号に開示されそし
て同様の処理が米国特許第3656919号に開示され
るが、本発明は所謂クロム鋼と呼ばれるもののよ
うな低合金鋼にこのような手順を適用する。本発
明のこれらクロム鋼は約0.6から約1.5％クロムを
含有しそしてこれらの炭素含量は約0.15％から約
1.10％までの範囲をとりうる。この含有炭素は安
定化形態になく従つてクロマイジングにより得ら
れる表面層深さを著しく制限し、それに相応して
高温硫化に対して得られる最大耐性を制限するに
充分である。例えば石油精製作業において使用さ
れる未保護低合金鋼は一般に高温硫化を非常に受
けやすいので、高度の保護が要望される。

本発明に従えば、上記クロム鋼のような低合金
鋼がそれらの表面を先ず、少くとも約３ミルの深
さまで脱炭され、その後少くとも約２ミル厚の表
皮層を与えるようクロマイジングされそして後少
くとも約６ミルの深さまでアルミナイジングされ
る。一つの好ましい脱炭は、約３〜４ミルの表面
層厚さを与えるようなクロマイジングと約10〜14
ミルの最終拡散表面層へのアルミナイジングを爾
後に伴つて、４〜６ミルの深さを与えることであ
る。

それぞれの処理が間を置いての作業において
個々に適用されうるし、またそれらは単一の連続
加熱過程の順次する段階として組合せられうる。
各段階は次のような従来方式のものでありうる。

例 １ 硫黄含有石油残査の酸化性クラツキングにお
ける熱交換器用に使用される多数のクロム鋼製
チユーブが、浄化されそして後レトルト内に置
かれた。レトルトを通して40〜60〓の露点を有
する水素が流され、同時にレトルトは1800〜
1850〓に３時間加熱された。処理前、チユーブ
は0.7〜0.8％クロム及び0.18％炭素を有し、そ
れらの側壁は約1/4インチ厚であり、それらの
内径は約２インチでありそして各チユーブの一
端は拡開されそしてきのこ状に折返されてい
る。３時間の処理後、加熱は切られそしてチユ
ーブは室温まで冷却せしめられた。これらは約
６ミル深さの表面脱炭を示した。

２ 脱炭されたチユーブはその後垂直レトルト内
に装入された。レトルトの床には４インチ厚の
粉状クロマイジング用パツク即ち配合材層が置
かれ、その中に拡開端が埋入された。チユーブ
の内部には同じクロマイジング用配合材が充満
された。クロマイジング配合材は、米国特許第
4208453号に記載されるクロム粉末及び流動性
の平板状Al₂O₃の予備焼成に４（重量部）混合
物に該１：４混合物の重量に基いて1/2％
NH₄Clを添加したものであつた。その後、レ
トルトは蓋されそして米国特許第3801357号に
おけるようにその内部を1950〜1975〓に10時間
持ちきたすよう焼成された。続いての冷却に際
して、チユーブは３〜４ミル厚のクロマイジン
グされた表面層を示し、その外側1/4はクロム
−炭化物に富む相を有しそして残部は柱状フエ
ライト組織を有した。

３ クロマイジング処理ずみのチユーブは垂直レ
トルトに戻された。レトルトは今度はアルミナ
イジング用粉末配合材の層を収納しておりそし
てチユーブ内部にも同じアルミナイジング用配
合材が充満された。アルミナイジング用配合材
は、45重量％クロム粉末、10重量％アルミニウ
ム粉末及び45重量％粉状アルミナを1/2％
NH₄Clで賦活した予備焼成混合物である。ア
ルミナイジング加熱は1950〜1975〓において10
時間行われそして12〜14ミル厚の重畳した拡散
表皮層が残つた。この表皮層の外面は約21％ア
ルミニウムと約21％クロムを含有し、他方その
中間部は約12.5％アルミニウム及び約13.7％ク
ロムを含有した。これらチユーブは高温硫化に
対して非常に高い耐性を示し、そして一つの例
においてチユーブは鋼基部が完全に侵食される
程に苛酷に侵食されたが、ほとんど無傷の拡散
層が残つた。

上記型式の代表的チユーブが第１図に１０にお
いて例示されている。第１図では、チユーブは、
レトルト１２内にその折返し拡開端１４を拡散コ
ーテイング配合材の一つに埋入して保持された状
態で示されている。チユーブが例えば取付シート
等への密着状態での嵌合のため拡散コーテイング
を受けるべきでない外面部分を有する場合、その
表面部分はマスクされうる。斯くして、スラリー
型粉状アルミナマスク用コーテイングが１８及び
２０において例示されるように被覆されうる。別
様には、粉末型マスク用混合物が拡開部１４のカ
ツプ状部分内に注入されそして所望ならそのよう
な粉末は粉末周囲に嵌められそして拡開部の折返
し唇上に載る鋼製リングの助けでもつて然るべく
保持されうる。

脱炭は、少くとも０〓もの高い露点を有する水
素を使用することが好ましいけれども、任意の都
合の良い態様で実施されうる。脱炭温度は先行技
術に示される態様で変更することができ、そして
効果的な脱炭は処理表面の約0.3〜約0.6mg/cm²の
重量損失を生じる。これは、レトルト内に処理さ
れている金属の予備試片を含めそしてそれを取出
してその重量を調べることにより確認されうる。

拡散クロマイジング及びアルミナイジングもま
た先行技術に開示されるように様々な態様で実施
することができる。良好なクロム取込量は表面単
位cm²当り少くとも15mgそして更に良好には25mg以
上であり、そして良好なアルミニウム取込量は少
くとも25mg/cm²、好ましくは40mg/cm²以上である。
また別の良好な組合せは、30mg/cm²以上のクロム
の取込みと約20〜40mg/cm²のアルミニウム取込み
である。

mg/cm²単位で測定する時アルミニウム取込量は
多く思われるけれども、アルミニウムの浸透は非
常に深くそして進入性に富むので表面におけるア
ルミニウム濃度は５重量％程度となる。アルミナ
イジングはまたクロム拡散を一層深くせしめる
が、表面のクロムの最終濃度は一般に少くとも約
15％である。

別個の処理が、処理段階の間でレトルトからチ
ユーブを取出すことなく単一のレトルト内で部分
的に或いは完全に一緒に実施されうる。脱炭とク
ロマイジングとの幾つかの組合せ例が米国特許第
3449159号に挙げられているが、本発明の脱炭は
脱炭領域が深いのみならず0.05％よりかなり下の
炭素含量を示す非常に実質的なものである。

クロマイジングと脱炭及びアルミナイジング両
方とを一緒に続いて実施する時には米国特許第
3449159号及び3222122号におけるようなガスクロ
マイジングが特に所望される。ガスアルミナイジ
ングは充分には効果的でないので、このような連
続処理においてチユーブと接触される配合材はア
ルミナイジング用配合材のみである。

第２図は、連続処理用のレトルト構成を例示す
る。２つのチユーブ５０及び６０はここでは箇状
レトルトシエルの上縁に載置される有孔の取外し
自在の棚板２２を通して吊下されるものとして示
されている。レトルトシエルには、その上方縁部
に沿つて比較的短いレトルト延長体２８が溶接さ
れる。レトルトの上面は、通気管３１及び各棚板
２２におけるチユーブ収容穴上方に下向きに差向
けられた一組のノズル３２を装備した板３０でゆ
るく蓋される。脱炭のためには、チユーブが５０
におけるようにして取付けられそして湿り水素が
チユーブの内部を下向きに通るようノズル３２を
通して導入されそしてチユーブ内面を脱炭する。
導入水素の一部は拡散チユーブ端を越えて溢流し
そしてそこをも脱炭する。

脱炭が完了すると、湿り水素流れが停止され、
そしてガスクロマイジング用流れがノズル３２を
通して導入される。クロマイジング用温度への切
換えを除いては他の変更は全然必要とされないの
で、レトルトはずつと作動温度に維持されうる。

次の切換はアルミナイジングに向けてでありそ
してこのためには蓋３０或いはノズル３２が取外
されて、粉状アルミナイジング用配合材がチユー
ブ内に注入される。チユーブの下端をレトルト床
から１インチ程度以内に維持することによつて、
低流動性填材は床上に多量に散積することなく然
るべく注入されうる。他方、もつと流動性の高い
填材も、床上並びに拡開チユーブ端を越えての散
在量は増えるが、使用できる。

アルミナイジング配合材を導入する前にレトル
ト及びその内容物を幾分冷却することが一般に所
望されよう。この目的の為には、レトルト周囲の
バーナが切られそしてアルゴンの急速流れが通気
管３１を通して導入される。レトルト内にはマス
ク層を除いて断熱体は存在しないから、チユーブ
はこのようにしてかなり急速に冷却される。充分
量のアルゴン流れが流出されそしてレトルト内を
満した後では、殊にチユーブの周囲に保護遮蔽体
として急速なアルゴン流れが維持されそしてレト
ルト上面における開口が非常に小さく維持される
なら、チユーブがまだ約900〓にあつても、レト
ルト蓋或いはノズル３２は一般に取外されうる。
その後、アルミナイジング用配合材がこの開口を
通して迅速にチユーブ内に注がれて、チユーブと
配合材との接触及び配合材中に含まれる賦活剤の
揮化両方の作用によりチユーブを更に冷やす。こ
のようにして添加されるに際しての賦活剤の早期
の消尽を回避する為、配合材の賦活剤含量は、通
常の1/4〜1/2重量％の代りに１ 1/2重量％のよう
に幾分多めとされうる。

配合材の添加が完了すると即ぐ、レトルト加熱
用バーナが再点火されて、レトルト内容物を所望
のアルミナイジング温度にもちきたす。アルミナ
イジング配合材がクロムを含まないものである場
合には、アルミナイジングは1400〓或いはもつと
低い温度において被覆速度を多大に減少すること
なく非常に効果的に実施されうる。約1200〓以下
の温度でのアルミナイジングがAlCl₃のようなハ
ロゲン化アルミニウム賦活剤を使用して最適にも
たらされる。

アルミナイジング前に適用される冷却は、所望
なら非常に低い温度にまで為しうる。このように
して、約630〓までの冷却はNH₄Cl賦活化配合材
の導入を揮化によるNH₄Clの実質上の損失なく
可能ならしめ、また約350〓への冷却は同じく
AlCl₃賦活化配合材からのAlCl₃の損失を最小限
とする。150〓への冷却は、例えばチユーブがク
ロマイジング表皮層についての確認の為或いはマ
スクを取替えるべきかを綿密に検査されるべき場
合においては、レトルトからクロマイジングされ
たチユーブの取出しを可能としよう。チユーブの
切出し短試片はチユーブ自体を取出すことなく処
理状況をチエツクしない時に取出しうる試験部材
として使用しうるよう棚板２２上に置かれうる。

アルミナイジングと先行処理の連続実施は、脱
炭とクロマイジングとの単なる組合せよりはるか
に手間を要する。もつと簡単な組合せはまた、ア
ルミナイジング段階に対してクロマイジング配合
材をアルミナイジング配合材と置換えればすむよ
う、気相クロマイジングよりむしろクロマイジン
グ配合材の使用でもつてもたらしうる。

脱炭、クロマイジング及びアルミナイジングの
３段階処理に曝されるチユーブ外面はまた、マス
ク域においてはこれら作用は最小限にされるけれ
ども、これら処理の影響を受ける。外面の脱炭は
チユーブ強度が減ずるが、この影響はチユーブ肉
厚が1/8インチ以上の時には重大でない。また、
このような脱炭外面が或る程度までクロマイジン
グされそしてこれはこれら表面を強化する。

上記チユーブの代りに他のクロム鋼及び他の低
合金鋼も同様に保護された生成物を与える為処理
されうる。約0.1％以下の炭素を有する普通鋼は
一般に高温環境での使用に対して充分の強度を持
たずまた充分に耐性がないが、これらもまた高温
硫化環境で腐食をほとんど示さない生成物をもた
らす為同様にクロマイジング及びアルミナイジン
グ処理されえそして予備脱炭を必要としない。米
国特許第3449159号に記されるように含有炭素を
安定化された鋼も同じく脱炭を必要としない。

不安定化炭素を含有する鋼に対しては、高度の
脱炭がこれが多量の拡散クロマイジングを可能と
する限り所望される。また別の例を次に示す。

例 例の手順が次の点を変更して繰返された： Ａ 脱炭は少くとも20〓もの高い露点を有する湿
り水素を使用して1825〜1875〓において６時間
実施されて、８〜10ミル深さの脱炭表面をもた
らした。

Ｂ クロマイジングは、例におけるようにして
賦活された20％クロム及び80％非流動性アルミ
ナの非予備焼成配合材を使用して実施された。
クロマイジングは2050〜2100〓において10時間
行われ、実質上すべて柱状フエライトの11〜12
ミル深さのクロマイジング表層を残した。織別
可能なクロム−炭化物に富む相はほとんど乃至
全然生じなかつた。クロマイジングは脱炭深さ
の僅かの増大をもたらしそして生成脱炭域と同
じ深さであることが認められた。表面クロム含
量は約50mg/cm²である。クロマイジングはまた
基地本体からの炭素の認められる程の損失をも
たらした。

Ｃ アルミナイジングが重量で表わして 5.4％ アルミニウム 46.4％ クロム 残部 アルミナ から成り、例におけるようにして賦活された
非予備焼成配合材を使用して実施された。アル
ミナイジング温度は2050〜2100〓で、10時間行
われた。生成表皮層は約20ミル深さでありそし
て表面におけるアルミニウム濃度は約12％であ
つた。

アルミナイジング配合材のアルミニウム含量を
2.5％まで減じそしてそのクロム含量を43.5％に
減じることにより例を変更した結果、約18ミル
の表皮層深さ及び約６％の表面アルミニウム含量
がもたらされた。

例の生成物は1500〓における空気による酸化
侵食に対して例の生成物より幾分良好な耐性を
示した。

本発明の方法において使用されるマスク用組成
物は金属アルミニウム或いは金属質アルミナイド
を含まないことが好ましい。アルミナ単独が、例
の技術に対して、マスクが拡散コーテイング配合
材により接触される部位にないので有効なマスク
剤である。

普通の鉄及び鋼並びに低合金鋼について、アル
ミナのような不活性希釈剤で適正に希釈された粉
状鉄の局所的層がその層の下側の拡散コーテイン
グを減少或いは防止する為に適用されうる。この
層は外覆い形成層により被覆されうるが、このよ
うな覆いは加工物が処理中粗く取扱われない場合
には必要とされない。

クロムを含有する粉状鉄もまた、特にアルミナ
イジングに対してクロム鋼をマスクする為に、適
当に希釈されて、使用されうる。ニツケルもまた
そのようなマスク用粉末において存在しうるが、
但しマスクされた表面中に拡散する傾向がある。
アルミニウムがマスクされるべき表面中に拡散し
ないようにすることが、アルミナイジングが非常
に進入性に富みそして溶接困難な表面を残すの
で、重要である。マスク粉末は、それが加工物に
焼結しない点まで少くとも約20％の希釈非金属マ
スク組成物粉末を要する。

少量のアルミニウムの存在が許容される場合に
は、米国特許第4208453号のマスク組成物が使用
できる。

上記教示に鑑みて、明らかに、本発明の多くの
改良及び変更が可能である。従つて、添付請求の
範囲内で本発明が特定的に記述した以外の態様で
実施されうることを理解すべきである。