JPH0245995B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は感熱転写材及びその製法に関する。

従来、感熱転写材は、ベースフイルムに顔料、
樹脂、樹脂成分に対し不混和性の熱溶融物、溶媒
などからなる塗剤を塗工してつくられたもの、或
いは予めベースフイルムに多孔質体をつくり、後
から熱溶融インクを含浸させてなるもの等があつ
た。

しかし、これらの感熱転写材は、作製時の作業
性の点で、ベースフイルムの厚さを薄くするのに
限界があり、熱感度において限界があり、転写に
よるコピー操作はかなり高温で行うか、又は低速
で行う必要があつた。

本発明はこのような従来技術の欠点を解決し、
熱感度が良好な感熱転写材を提供することを目的
とする。

本発明は、感熱転写インク層と耐熱層とからな
る多数回感熱転写材であつて、該感熱転写インク
層が、樹脂成分、該樹脂成分を溶解しえる揮発性
溶剤成分、該樹脂成分に対して不混和性の熱溶融
性固体成分および該固体成分中に混入され得る着
色剤成分のほぼ均一に分散された混合物からなる
塗剤を塗工した後、該揮発性溶剤成分を揮発除去
して形成され、少なくとも該樹脂成分が多孔質構
造を構成し、少なくとも該固体成分および着色剤
成分が該多孔質構造内に含浸された熱溶融性イン
クを構成してなる自己支持体型の層であり、該耐
熱層が、該感熱転写インク層に直接積層されてい
る厚さ２ミクロン以下の層であることを特徴とす
る多数回感熱転写材、並びにベースフイルム上に
厚さ２ミクロン以下の耐熱層を形成し、その上に
直接、樹脂成分、該樹脂成分を溶解し得る揮発性
溶剤成分、該樹脂成分に対して不混和性の熱溶融
性固体成分および該固体成分中に混入され得る着
色剤成分のほぼ均一に分散された混合物からなる
塗剤を塗工した後、該揮発性溶剤成分を揮発除去
して感熱転写インク層を形成し、次いで該ベース
フイルムを除去することを特徴とする多数回感熱
転写材の製法を提供するものである。

耐熱層としてはシリコーン樹脂、エポキシ樹
脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、フツ素樹
脂、ポリイミド樹脂、ニトロセルロース、カルボ
キシメチルセルロース、ハイドロキシエチルセル
ロース、アセチルセルロース、ポリウレタン樹脂
などを用いることができる。又、必要に応じ、ブ
ロツキング防止剤として顔料などを添加してもよ
い。

耐熱層の厚さは２ミクロンン以下であり、好適
には１〜２ミクロンである。

感熱転写インク層の厚さは３〜20ミクロンが好
ましく、好適には６〜13ミクロンである。

本発明の感熱転写材は、ベースフイルム上に耐
熱層を形成し、その上に感熱マルチタイプ（多数
回タイプ）転写インキ層を設け、次いで、このベ
ースフイルムを除去することにより有効に製造す
ることができる。

このベースフイルムとしてはセロハン、ポリエ
チレン、ポリエステル、ナイロン等を使用するこ
とができる。

上記樹脂成分としては、イソシアネートとポリ
オール等の熱硬化性樹脂、またはポリ塩化ビニー
ル、ポリ酢酸ビニール、ポリ弗化ビニール、ポリ
ビニールブチラール、ポリ塩化ビニリデン、ポリ
ビニールアルコール、塩化ビニール・酢酸ビニー
ル共重合体、塩化ビニール・塩化ビニリデン共重
合体等のビニール系樹脂、ポリアクリル酸エステ
ル、ポリメタアクリル酸エステル等のアクリル系
樹脂、エチルセルロース、酪酢酸セルロース等の
繊維素系樹脂、その他ポリスチレン、ポリエチレ
ン、ポリエチレン・酢酸ビニール共重合体、ポリ
アミド、ABS樹脂、又更にゼラチン、アラビヤ
ゴム等がある。これら樹脂は混合して用いてもよ
い。

また本発明において用いる前記樹脂成分と不混
和性の熱溶融性固体状成分としては、パラフイン
ワツクス、マイクロクリスタリンワツクス、セレ
シンワツクス、カルナバワツクス、モンタンワツ
クス、ポリエチレンワツクス、酸化ポリエチレン
ワツクス、カスターワツクス、牛脂硬化油、カル
ボワツクス、木蝋、ラノリン、ステアリン酸、ス
テアリン酸モノグリセライド、ソルビタンモノス
テアレート、ソルビトールヘキサステアレート、
ペンタエリスリトールステアレート、ポリオキシ
エチレンモノステアレート、ステアリルアルコー
ル、その他合成酸化ワツクス類、合成及び天然エ
ステルワツクス類、水添ワツクス類等がある。又
固体状インキの融点調節効果、及び固体上インキ
連続相を微細多孔性樹脂層中に安定に形成する分
散効果を単独或は併め有したペースト状或は液状
の鉱油、ペトロラタム、オレイン酸、ヒマシ油、
綿実油、牛脚油、オクチルアルコール、グリセリ
ン、トリエチレングリコール、ポリアルキレング
リコール及びその誘導体、ポリオキシアルキレン
グリコール及びその誘導体、ソルビタン脂肪酸エ
ステル、ソルビトール脂肪酸エステル、グリセリ
ン脂肪酸エステル、エリスリトール脂肪酸エステ
ル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ポリ
オキシエチレンアルキルアミン等も固体状成分の
一部として用いられる。これら成分は単独或は混
合して用いられる。又これら成分は上述の選択さ
れる樹脂との組み合わせによつて選定され、特に
これら成分の選定で重要な点は選択された樹脂と
不混和性に保たれることである。又感熱転写媒体
が適用される感熱記録プリンターヘツドの特性及
び記録速度によつて固体状成分の融点が決定さ
れ、組成が決る。

また本発明に用いられる着色剤成分としては通
常用いられる染料、顔料、その他の発色及び記録
能力ある物質、例えば塩基性ベース染料、ネオザ
ポン染料、ザポン染料、カーボンブラツク、レー
キレツド、アルカリブルー紺青、クリスタルバイ
オレツトラクトン、磁性酸化鉄等がある。

また揮発性溶剤成分としてはトルエン、酢酸エ
チル、MEK、メタノール等の有機溶剤及び水等
がある。これら溶剤は選択される樹脂の溶媒、固
体状成分の溶媒或は分散媒となる組み合せで選択
され、単独或は混合して用いられる。

感熱転写インク層用の塗液のつくり方として
は、例えば、ボールミル、アトライター等を用い
て原材料を混合して調製し、その塗布は、例え
ば、ロールコーター、ドクターバーコーターなど
を用いることができる。

なお、耐熱層の形成に先立ち、ベースフイルム
上に金属薄層を設ければ、サーマルヘツド接触側
の面に金属薄層が設けられた感熱転写材を得るこ
とができる。

実施例 １ ベースフイルムに耐熱層を１〜2μの厚さに塗
布する。即ち、下記の組成物を塗布し乾燥させ
る。

ニトロセルロース 20重量部 酢酸エチル 80重量部 次に、下記の組成の塗布液を用いてこの耐熱層
上にマルチタイプ感熱転写層を10μの厚さに塗工
する。

重量部 塩化ビニール・酢酸 ビニール共重合体 10 ソルビタンセスキオレート ７ カスターワツクス 11 カーボンブラツク ４ 酢酸エチル 51 トルエエン 17 100 カーボンブラツク、カルナバワツクス、ソルビ
タンセスキオレエートを100℃で混ぜ合せ、３本
ロールミルで十分練り合せ、インキ成分を作成す
る。

一方、塩化ビニール・酢酸ビニール共重合体、
酢酸エチル、トルエンをボールミルに投入し、50
℃で１時間撹拌し、塩化ビニール・酢酸ビニール
共重合体を完全に溶解する。次に先に作成したイ
ンキ成分を、この樹脂溶液に加えて２時間撹拌
し、滑らかな均一な濃度になるように分散し、感
熱転写組成物の塗剤を作成する。この塗剤を上記
耐熱層上に乾燥装置を具備した塗布機で塗布し、
酢酸エチル、トルエンを蒸発せしめ感熱転写層を
形成せしめる。

かくして得られた、耐熱層とマルチタイプ感熱
転写層とから成るマルチタイプ感熱転写材をベー
スフイルムから引剥がす。

このマルチタイプ感熱転写材を、感熱記録プリ
ンターを用いて転写試験を行つたところ10回以上
の転写においても、なお十分な濃度の転写像が得
られた。これに対し、同じ条件下で、従来タイプ
として７ミクロンのポリエステルフイルムにマル
チタイプの感熱転写層を設けたものは６回までし
か使用できなかつた。

実施例 ２ ベースフイルム上に下記の組成物を塗布乾燥
し、１〜2μ厚の耐熱層を形成する。

シリコーン樹脂 20重量部 トルエン 80重量部 次に、下記の組成の塗布液を用いて、この耐熱
層上に塗布乾燥させて10μ厚のマルチタイプ感熱
転写層を形成する。

重量部 塩化ビニール・酢酸 ビニール共重合体 10 合成エステルワツクス （日本精蝋(株)NPS−6010） ８ ソルビタンセスキオレエート 10 カーボンブラツク ４ 酢酸エチル 51 トルエン 17 100 かくして得られた耐熱層とマルチタイプ感熱転
写層とから成るマルチタイプ感熱転写材をベース
フイルムからひきはがす。このマルチタイプ感熱
転写材を感熱記録プリンターを用いて転写テスト
した所、10回以上、十分な濃度の転写が得られ
た。

実施例 ３ ベースフイルムにアルム蒸着層を設け、下記の
組成の塗布液を塗布し、乾燥して１〜2μ厚の耐
熱層を形成した。

重量部 メラミン樹脂 15 ハイドロキシプロピルセルロース ５ メタノール 40 アセトン 40 次に、下記の組成の塗布液をこの耐熱層上に塗
工しマルチタイプ感熱転写層を10μ厚に形成す
る。

重量部 ポリビニールアルコール ７ セレシンワツクス ８ ラノリン ７ 鉱 油 ３ レシチン 0.1 カーボンブラツク ４ エタノール 40.9 水 30 かくして得られたマルチタイプ感熱転写材をベ
ースフイルムから引剥がす。

このマルチタイプ感熱転写材を、感熱記録プリ
ンターを用いて転写テストを行つたところ、10回
以上、十分な濃度の転写が得られた。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 感熱転写インク層と耐熱層とからなる多数回
   感熱転写材であつて、 該感熱転写インク層が、樹脂成分、該樹脂成分
   を溶解しえる揮発性溶剤成分、該樹脂成分に対し
   て不混和性の熱溶融性固体成分および該固体成分
   中に混入され得る着色剤成分のほぼ均一に分散さ
   れた混合物からなる塗剤を塗工した後、該揮発性
   溶剤成分を揮発除去して形成され、少なくとも該
   樹脂成分が多孔質構造を構成し、少なくとも該固
   体成分および着色剤成分が該多孔質構造内に含浸
   された熱溶融性インクを構成してなる自己支持体
   型の層であり、 該耐熱層が、該感熱転写インク層に直接積層さ
   れている厚さ２ミクロン以下の層であることを特
   徴とする多数回感熱転写材。 ２ 該耐熱層の該感熱転写インク層に積層されて
   いない側に金属薄層が設けられている特許請求の
   範囲第１項記載の多数回感熱転写材。 ３ ベースフイルム上に厚さ２ミクロン以下の耐
   熱層を形成し、その上に直接、樹脂成分、該樹脂
   成分を溶解し得る揮発性溶剤成分、該樹脂成分に
   対して不混和性の熱溶融性固体成分および該固体
   成分中に混入され得る着色剤成分のほぼ均一に分
   散された混合物からなる塗剤を塗工した後、該揮
   発性溶剤成分を揮発除去して感熱転写インク層を
   形成し、次いで該ベースフイルムを除去すること
   を特徴とする多数回感熱転写材の製法。 ４ 該塗剤が、該揮発性溶剤成分中に該樹脂成分
   を溶解した組成物と該固体成分中に該着色剤を混
   入した組成物とを撹拌混合することにより調製さ
   れる特許請求の範囲第３項記載の製法。 ５ 該耐熱層の形成に先立ち、ベースフイルム上
   に金属薄層を設けることを特徴とする特許請求の
   範囲第３項または第４項記載の製法。