JPH0245526B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の属する技術分野〕 本発明は、引張指リングを結合した容器蓋の製
造方法に関するものである。

〔従来技術とその問題点〕

最近、容器蓋のスカートから突出する裂取りタ
ブに引続いて延びる引裂弱化線を設け、裂取りタ
ブを引上げることにより簡便に開栓できる容器蓋
が普及している。この種の容器蓋の開栓に際し、
裂取りタブの引上げには相当の力を加える必要が
あり、従つて充分な掴持部を必要とし、このため
裂取りタブを長く構成したり、タブと一体構造の
掴持片を付することが行なわれる。しかしなが
ら、容器蓋を金属薄板から割付ける際多くの無駄
を生じ、従つて容器蓋のコスト高を来す欠点があ
る。掴持片を別に構成してタブに接続する方法も
多くの手段が提案されており、接着、鋲付、挾持
などがあるが、構成に手間と時間を要したり、接
続が弱く開栓前に切断する故障が起き、かつコス
ト高となる欠点をまぬかれない。

〔発明の目的〕

それ故、この発明の一般的目的は、先に述べた
欠点を除去し、割付け時の無駄を最少にしかつ引
張指リングを裂取りタブに強固に結合でき、更に
多量生産に適してコスト引下げのできる引張指リ
ングを結合した容器蓋を製造する方法を提供する
にある。

〔発明の要点〕

先の目的を達成するため、この発明にかかる引
張指リングを結合した容器蓋を製造する方法は、
金属薄板の端部より短冊片を切断すると同時に湾
曲せしめて両端部の重畳した筒環を形成する工程
と、容器蓋の裂取りタブの自由端部と前記筒環の
一部とが相互に重合せしめられた関係になるよう
に、前記容器蓋と前記筒環とを位置付ける工程
と、前記筒環の周端縁を半径方向にカーリングし
てリングに形成せしめると共に前記裂取りタブを
前記リング内に巻込んで両者を結合する工程とか
らなることを特徴とする。

筒環の形成を更に詳細に説明すると、金属薄板
の長手方向一端縁より所定幅で切取線を設定し、
この切取線に沿つて薄板面に垂直な剪断力を切取
線の一端部より他端部に向け連続的に加え、短冊
片を切取ると同時にこの短冊片を連続的に湾曲せ
しめて両端部の重畳した筒環を形成させる。

更に、金属薄板をその長手方向に沿つて切断機
に垂直に装入し、切断機は摺接する固定刃と可動
刃とを備え、可動刃はその軸線に対し所定角傾斜
し、固定刃は可動刃の軸線に対し垂直である。金
属薄板には剪断力を与えて短冊片に切断し、この
短冊片に曲げ力を加えて両端部が重畳した筒環を
形成させる。

また、可動刃面と固定刃面との交角は鋭角α度
であり、可動刃面は可動刃頂面に垂直な面に対し
て−β度傾斜し、前記α度とβ度は筒環が螺旋状
にならない角度に選定される。

容器蓋は、他の金属薄板より短梯形タブを備え
る円板を打抜き、この円板にタブに引続いて延び
る引裂弱化線を刻印し、次いで円板をプレス加工
して容器蓋の頂部に平行に外方に延びるように湾
曲された部分を有する裂取りタブを備える形態に
せしめることによつて形成される。

先のようにして得られた筒環を裂取りタブに結
合して引張指リングを形成するに際し、カーリン
グ装置のカーリングダイから突出した突起棒を筒
環内に挿入して筒環をカーリング台上に固定す
る。カーリング装置は突起棒と係合する円筒ポン
チを含み、その下端面にはカーリングのための湾
曲案内面が形成されている。容器蓋をカーリング
ダイの基面下方に位置させて裂取りタブの自由端
部の下面を筒環に圧接する。ポンチを下降させて
突起棒に係合せしめることにより筒環にカーリン
グ圧を加えて筒環の周端縁部と裂取りタブの接触
部とを共に巻込むことにより引張指リングを容器
蓋の裂取りタブにしつかりと固定する。

結合操作に際しては、裂取りタブの自由端部の
下面を筒環の重畳部以外の部分に圧接固定するの
が好ましく、裂取りタブの自由端部を筒環および
突起棒と同じ曲率面を有する圧力棒により筒環に
押圧して裂取りタブの自由端部を筒環と同心円弧
状に変形させる。

容器蓋の裂取りタブとリングとを巻込みにより
結合した後、結合部と結合部の上方に位置するタ
ブの一部とを加圧変形することにより結合部を強
固に固定強化することが好ましい。同様の加工に
より引張指リングの側部を内方に加圧屈曲せしめ
て引張指リングを容器口頚部の湾曲形状と合致さ
せることができる。

〔発明の実施例〕

次に、本発明にかかる引張指リングを結合した
容器蓋の製造方法の好適な実施例につき添付図面
を参照しながら詳細に説明する。

第１図において、切断機は固定刃１０と可動刃
１２とからなり、可動刃１２は軸線方向１４に沿
つて摺動する。第２図、第３Ａ図および第３Ｂ図
において固定刃面１８は軸線方向１４に対し90度
であり、一方可動刃面２０と固定刃面１８との交
角は鋭角α度であり、可動刃面２０は可動刃頂面
に垂直な面２２と−β度傾斜し、α度とβ度は筒
環が螺旋状にならない角度に選定される。例え
ば、α度が20〜35度の場合、β度は−0.5〜−2.5
度の範囲にある。なお、α度およびβ度は、金属
薄板の厚さおよび硬度、リング原形の幅、成形リ
ングの径、刃間距離を考慮して設定され、先に述
べた通りα角は20乃至35度、好ましくは25乃至30
度の範囲に設定され、β角は−0.5乃至−2.5度、
好ましくは−1.3乃至−1.6度の範囲に設定され
る。固定刃１０と可動刃１２との間に金属薄板１
６を直角に所定長さ挿入し、可動刃１２を固定刃
１０の方向に摺動させて剪断力と薄板１６に加え
ると、切断片２４は角αとβとの適切な選定によ
り、軸方向および垂直方向の力を受けて第４図に
示すように両端の重畳した筒環２６が得られる。

第５図は従来の引張指リングが一体に構成され
た容器蓋前成形片２８を金属薄板３０より打抜く
ため割付した一例を示すもので、容器蓋前成形片
にはリング状引張リングタブ３２が備えられ、こ
のような形状であるため、割付は多くの無駄が生
成せざるを得ない。

第６図において金属薄板上に夫々短梯形タブ３
６を備えた複数の円板３４が打抜かれて容器蓋を
構成する。第６図から明らかな通り、円板３４の
形状から割付は最少の無駄にて実施できる。

容器蓋前成形片３４は引裂弱化線４０を刻印し
た後、プレス加工される。引裂タブ３６の自由端
部は容器蓋の軸線に実質上直角に、すなわち容器
蓋の頂部に実質上平行に折曲される（第７図参
照）。

第８図において、カーリングダイは円筒カーリ
ングポンチ４２と円錐頂部を有する直立突起棒４
４を備えたカーリングダイ５０とからなり、カー
リングポンチ４２は突起棒４４と嵌合する穴４６
を有し、カーリングポンチ４２の下端面にはカー
リングのため湾曲案内面４８が設けられている。
筒環２６を突起棒４４に被嵌し、カーリングダイ
基面５０に固着させる。裂取りタブ３６の内側面
を筒環２６に当接させ、容器蓋主部はカーリング
ダイ基面５０に下方に位置させる。裂取りタブ３
６は、筒環２６と同じ曲率、すなわち突起棒４４
とも同じ曲率面を有する圧力棒（図示されない）
により筒環２６に対して押圧され筒環２６と同心
円弧状に変形される。カーリングポンチ４２を下
降させて突起棒４４に係合させることにより筒環
２６にカーリング圧力を加える。

第９Ａ図乃至第９Ｃ図は、筒環を容器蓋の裂取
りタブに接続するためのカーリング操作を段階を
追つて解説する断面図であつて、第９Ａ図におい
てカーリングポンチ４２のカーリングのための湾
曲案内面４８により筒環の上端縁を半径方向に押
圧する。第９Ｂ図において筒環２６を更にタブ３
６と共にカールし、最終的に第９Ｃ図で筒環２６
はタブと完全に合体してリング５４を形成し、第
１０図に示されるように容器蓋に引張指リングを
結合する工程が完了する。

第１１図は、タブと引張リング間の結合を更に
強化するため、凸型金型５４と凹型金型５６を備
えた一対の型押機の使用により、タブ中心軸に沿
つて結合部の中央部とタブの一部に型押目５８を
形成する状態が示される。

型押機操作と同時に、凸型金型６０と凹型金型
６２を備えた１対の加圧成形機を使用して引張指
リング６４の側部を屈曲して、リングを水平投影
で見た時、円弧状にしこの円弧の直径は通常は容
器蓋の直径より若干大きくとる。このリング６４
の屈曲により容器蓋を容器口頚部に蓋閉する時お
よび容器蓋付容器の箱詰時の操作の障害防止の利
点を生ずる。

〔発明の効果〕

本発明にかかる方法によると、容器蓋前成形片
を金属薄板より最大限に有効に割付でき、従つて
金属薄板の無駄を最少にできかつリング前成形片
は容器蓋本体用金属薄板と同種または異種の金属
薄板を100％利用して得られ、引張指リングは強
固に容器蓋の引張指リングに結合され、この結合
方法は、多量生産目的に合致し、実用的な容器蓋
が安価経済的に提供できる。

以上、本発明の方法を好適な実施例につき説明
したが、本発明の精神を逸脱しない範囲内におい
て種々の変化をなし得ることは勿論である。

【図面の簡単な説明】

第１図は切断刃を使用して金属薄板から筒環を
製造する工程を示す説明斜視図、第２図は固定刃
と可動刃の交角関係を示す平面図、第３Ａ図は可
動刃面の角度関係を示す第１図−線断面図、
第３Ｂ図は同様に可動刃と固定刃との摺擦位置関
係を示す斜視図、第４図は第１図の方法で製造さ
れた筒環の斜視図、第５図は従来の引張指リング
が一体構成の容器蓋前成形片の金属薄板に割付す
る状態を示す平面図、第６図は本発明にかかるタ
ブ付容器蓋前成形片の金属薄板への割付がタブ無
し円板の割付と略同じであることを示す平面図、
第７図は裂取りタブの自由端部が容器蓋の頂面と
平行に折曲された容器蓋の斜視図、第８図は円筒
カーリングポンチと直立突起棒を備えたカーリン
グダイとからなるカーリング装置の説明図であつ
て筒環と容器蓋の裂取りタブを取付けた状態を示
し、第９Ａ図乃至第９Ｃ図はカーリング装置によ
り筒環を裂取りタブに結合する状態を示す説明
図、第１０図は本発明にかかる引張指リングを結
合した容器蓋の斜視図、第１１図は結合部を型押
機で型押する状態を示す説明図、第１２図は引張
指リングを加圧成形機により屈曲して円弧状とす
る説明図である。 １０……固定刃、１２……可動刃、１４……可
動刃軸線方向、１６……金属薄板、１８……固定
刃面、２０……可動刃面、２２……垂直面、２４
……切断面、２６……筒環、２８……従来容器蓋
前成形片、３０……金属薄板、３２……引張タ
ブ、３４……本発明容器蓋前成形片、３６……裂
取りタブ、３８……円板、４０……引裂弱化線、
４２……カーリングポンチ、４４……突起棒、４
６……穴、４８……カーリング湾曲案内面、５０
……カーリングダイ基面、５２……溝、５４，６
０……凸形金型、５６，６２……凹形金型、５８
……型押目、６４……引張指リング。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 金属薄板の端部より短冊片を切断すると同時
   に湾曲せしめて両端部の重畳した筒環を形成する
   工程と、容器蓋の裂取りタブの自由端部と前記筒
   環の一部とが相互に重合せしめられた関係になる
   ように、前記容器蓋と前記筒環とを位置付ける工
   程と、前記筒環の周端縁を半径方向にカーリング
   してリングに形成せしめると共に前記裂取りタブ
   を前記リング内に巻込んで両者を結合する工程と
   からなる引張指リングを結合した容器蓋の製造方
   法。 ２ 前記容器蓋の裂取りタブの自由端部は、容器
   蓋軸線に実質上直角に半径方向外方へ延びてお
   り、前記裂取りタブの自由端部の下面と前記筒環
   の下部外周面とを密に重合せしめ、前記筒環の上
   側周端縁に圧力を加えて前記筒環の周端縁を半径
   方向外方にカーリングする特許請求の範囲第１項
   記載の方法。 ３ 金属薄板の長手方向一端縁より所定幅で切取
   線を設定し、この切取線に沿つて薄板面に垂直な
   剪断力を切取線の一端より他端に向け連続的に加
   え、短冊片を切取ると同時にこの短冊片を連続的
   に湾曲せしめて両端部の重畳した筒環を形成させ
   る特許請求の範囲第１項または第２項記載の方
   法。 ４ 金属薄板をその長手方向に沿つて切断機に装
   入し、この切断機に摺接する固定刃と可動刃とを
   設け、可動刃はその軸線に対し所定角傾斜し、金
   属薄板に剪断力を加えて金属薄板を短冊片に切断
   しこの短冊片に曲げ力を加えて両端部の重畳した
   筒環を形成する特許請求の範囲第１項乃至第３項
   のいずれかに記載の方法。 ５ 固定刃面と可動刃面との交角は鋭角α度であ
   り、可動刃面は可動刃頂面に垂直な面に対して−
   β度傾斜し、前記α度とβ度は筒環が螺旋状にな
   らない角度に選定される特許請求の範囲第３項記
   載の方法。 ６ 金属薄板より短梯形タブを備える円板を打抜
   き、この円板にタブに引続いて延びる引裂弱化線
   を刻印し、そしてプレス加工して容器蓋軸線に実
   質上直角に半径方向外方へ曲げられた自由端部を
   有する裂取りタブを備える前記容器蓋を形成する
   特許請求の範囲第１項記載の方法。 ７ カーリング装置のカーリングダイから突出し
   た突起棒であつて、下端にカーリングのため湾曲
   案内面を有する円筒ポンチと係合し得るところの
   突起棒の回りに前記筒環を被嵌し、前記容器蓋を
   前記カーリングダイの基面下方に位置させて前記
   裂取りタブの自由端部の下面を前記筒環に圧接
   し、次いで前記ポンチを下降して前記突起棒に係
   合せしめることによりカーリング圧を前記筒環に
   加えて、前記筒環の周端縁部とこれに圧接されて
   いる前記裂取りタブとを共に巻込んで指リングを
   形成する特許請求の範囲第１項乃至第６項のいず
   れかに記載の方法。 ８ 前記裂取りタブの自由端部の下面を前記筒環
   の重畳部以外の外面に圧接する特許請求の範囲第
   ７項記載の方法。 ９ 前記筒環および前記突起棒と同じ曲率面を有
   する圧力棒により前記裂取りタブの自由端部の下
   面を前記突起棒に押圧し、前記裂取りタブの自由
   端部を前記筒環と同心円弧状に変形させる特許請
   求の範囲第７項または第８項に記載の方法。 １０ カーリングの後に前記裂取りタブの自由端
   部と前記筒環との結合が加圧変形によつて強化さ
   れる特許請求の範囲第１項乃至第９項のいずれか
   に記載の方法。 １１ 引張指リングの側部を加圧変形により内方
   に屈曲させる特許請求の範囲第１項乃至第１０項
   のいずれかに記載の方法。