JPH0245500Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は蒸発燃料ガスを捕集するキヤニスタ
を備えた自動二輪車の蒸発ガス制御装置に係り、
特にキヤニスタの取付構造の改良に関する。

自動二輪車の停車中に燃料タンク内で蒸発した
蒸発ガスは大気中に拡散しないようにキヤニスタ
で捕集される。捕集された燃料ガスはエンジンの
始動によるエンジン吸気系の負圧によりキヤニス
タから吸い出されてエンジンシリンダ内に供給さ
れ、燃焼処理される。

その際、キヤニスタを高温に晒すことにより捕
集された蒸発ガスは脱離し易くなるので、エンジ
ン始動中は、キヤニスタが保温されることが望ま
しい。しかしながら、自動二輪車ではエンジンシ
リンダやミツシヨンケースは外部に露呈されてお
り、キヤニスタ保温のため、キヤニスタをミツシ
ヨンケースやエンジンシリンダの壁面近くに設置
することは、エンジンシリンダの冷却性能を阻害
するのみならず、デザイン上からも好ましいもの
ではなかつた。

一方、第１図Ａに示すインライン型エンジンに
おいては、クランクケース１とエキゾーストパイ
プ２との間にほとんど空間部が形成されないた
め、この空間部を積極的に利用することはできな
い。しかし、第１図Ｂに示すＶ型エンジンのよう
に少なくとも１気筒のエンジンシリンダ３を前方
に大きく傾斜させた場合には、クランクケース１
とエキゾーストパイプ２との間に相当量の空間Ａ
が形成される。この空間Ａは外観上見えにくい箇
所で、クランクケース１やエキゾーストパイプ２
の影響で高温部を構成しており、しかも、この空
間Ａは従来オイルフイルタ４以外何も取付けられ
ていない場所である。

この考案は上述した点を考慮し、エンジンシリ
ンダ、ミツシヨンケースおよびエキゾーストパイ
プで囲まれ、外部から見えにくい空間を有効的に
利用し、この空間部にキヤニスタを取付けること
により、蒸発ガスの脱離性能を向上させた自動二
輪車の蒸発ガス制御装置を提供することを目的と
する。

以下、この考案の好ましい実施例について添付
図面を参照して説明する。

第２図はこの考案に係る蒸発ガス制御装置を使
用した自動二輪車の全体図であつて、図中符号１
０は自動二輪車の車体フレーム１１の中央部に搭
載されたＶ型エンジンを示す。このエンジン１０
の直上には燃料タンク１２が設けられる。燃料タ
ンク１２内の燃料はキヤブレタ１３によりエアー
フイルタ１４からの清浄なエアーと混合されてエ
ンジン吸気系に送られ、インテークパイプ１６か
らエンジンシリンダ１０ａ内に吸引され、燃焼処
理されるようになつている。

一方、Ｖ型エンジン１０の少なくとも１気筒の
エンジンシリンダ１０ａは第３図に示すように垂
線に対し中心角θが35度以上をなすように前方に
傾斜しており、このエンジンシリンダ１０ａとエ
キゾーストパイプ１８とミツシヨンケース１９の
前方との間に相当量の空間部Ｂが形成される。こ
の空間部Ｂはエキゾーストパイプ１８やエンジン
シリンダ１０ａ、車体フレーム１１のダウンチユ
ーブ１１ａの存在により外部より見えにくい箇所
に位置される。上記空間部Ｂにキヤニスタ２０が
横設される。

キヤニスタ２０は、遮蔽板２１によりその前部
および下部が蔽われるようにして、ミツシヨンケ
ース１９の前方下部あるいはオイルパン２２の前
方に取付けられる。キヤニスタ２０は内部に活性
炭などのHC吸着剤が充填される一方、その一側
に蒸発ガス導入管（フリーザパイプ）２４および
蒸発ガスパージ管２５が接続される。蒸発ガス導
入管２４は燃料タンク１２内に入つてその液面上
に開口しており、燃料タンク１２内で蒸発した蒸
発ガスを蒸発ガス導入管２４からキヤニスタ２０
内に案内し、吸着剤で捕集するようになつてい
る。蒸発ガスパージ管２５はエンジン吸気系のイ
ンテークパイプ１６に接続され、その吸気負圧に
より捕集された蒸発ガスを大気開放口２６（第４
図参照）から吸入されるパージエアとともにイン
テークパイプ１６に吸引され、エンジンシリンダ
１０ａ内に案内され、このシリンダ１０ａ内で燃
焼処理される。大気開放口２６はキヤニスタ２０
の他側に形成されている。

次に、この考案の作用について説明する。

自動二輪車のエンジン停止時には、燃料タンク
１２内で蒸発した蒸発燃料ガスは蒸発ガス導入管
２４を通つてキヤニスタ２０内に案内され、キヤ
ニスタ２０内で吸着剤に吸着され、捕集される。

捕集された蒸発ガスは、エンジン１０が始動さ
れるとエンジン吸気系の吸気負圧によりパージエ
アとともに吸引され、蒸発ガスパージ管２５を通
つてインテークパイプ１６に吸入され、続いてエ
ンジンシリンダ１０ａに送られて燃焼処理され
る。その際、キヤニスタ２０は遮蔽板２１で覆わ
れているため、エンジン１０からの熱が保温さ
れ、温められる。したがつて、キヤニスタ２０に
捕集された蒸発ガスの脱離性能を促進させること
ができる。

以上に述べたようにこの考案に係る蒸発ガス制
御装置は、エンジンシリンダと少なくとも左右２
本のエキゾーストパイプとミツシヨンケース前方
とで囲まれた空間部を積極的に利用し、この空間
部にキヤニスタを取付けたので、キヤニスタはエ
ンジンや少なくとも左右２本のエキゾーストパイ
プの放熱を受ける比較的雰囲気温度の高い所に設
置され、特にエキゾーストパイプはエンジン始動
後直ちに高温となるので、キヤニスタ内に吸着さ
れ、捕集された蒸発ガスを効率よく脱離してパー
ジさせ、蒸発ガスの脱離性能を促進させ、向上さ
せることができる。特に、捕集された蒸発ガスの
パージによりエンジン始動直後に濃混合気が得ら
れ、エンジン始動特性が改善され、エンジンの始
動によつて都合がよい。また、キヤニスタは左右
のエキゾーストパイプ間に設置されるので、キヤ
ニスタの設置場所が外部から見えにくく、美観を
損なうことがない等の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図ＡおよびＢは、自動二輪車に据付けられ
るインライン型エンジンおよびＶ型エンジンを示
す図、第２図はこの考案に係る蒸発ガス制御装置
を使用した自動二輪車の全体図、第３図はこの考
案の自動二輪車の蒸発ガス制御装置の一実施例を
示す図、第４図は第３図の−線に沿う図であ
る。 １０……Ｖ型エンジン、１０ａ……エンジンシ
リンダ、１１……車体フレーム、１１ａ……ダウ
ンチユーブ、１２……燃料タンク、１３……キヤ
ブレタ、１４……エアフイルタ、１６……インテ
ークパイプ、１８……エキゾーストパイプ、１９
……ミツシヨンケース、２０……キヤニスタ、２
１……遮蔽板、２４……蒸発ガス導入管、２５…
…蒸発ガスパージ管。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 燃料タンク内で蒸発した蒸発ガスを捕集する
   キヤニスタを備えた自動二輪車の蒸発ガス制御
   装置において、少なくとも１気筒が前方に傾斜
   したエンジンシリンダと、このシリンダから延
   びる少なくとも左右２本のエキゾーストパイプ
   と、ミツシヨンケース前方との間に空間部を形
   成し、この空間部に前記キヤニスタを取付けた
   ことを特徴とする自動二輪車の蒸発ガス制御装
   置。 ２ キヤニスタはミツシヨンケースの前方下部に
   設けられ、キヤニスタの前方部および下部が遮
   蔽板で覆われた実用新案登録請求の範囲第１項
   に記載の自動二輪車の蒸発ガス制御装置。 ３ エンジンシリンダは少なくとも１気筒が垂線
   に対し中心角が35度以上前方に傾斜するように
   形成された実用新案登録請求の範囲第１項に記
   載の自動二輪車の蒸発ガス制御装置。