JPH0244899Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、トランスフアプレス機械のフイード
バーをワーククランプ、アンクランプのために接
近、離間させる装置に係り、特にラツクとピニオ
ン方式による装置に関する。

［背景技術とその問題点］ 第４図は従来のクランプ、アンクランプ装置を
示す。駆動ラツク部材５１はスライドの側面に取
付けられたカムやこのカムに当接するレバーによ
りスライドの上下動に伴い上下動する。駆動ラツ
ク部材５１が噛合する第１ピニオン５２の偏心ピ
ン５２Ａには連結ロツド５３を介して第１被動ラ
ツク部材５４が連結され、第１被動ラツク部材５
４は第２被動ラツク部材５６とともに第２ピニオ
ン５５に噛合する。第１、第２被動ラツク部材５
４，５６にはフイードバー保持部材５７，５８が
結合されている。

駆動ラツク部材５１の上下動による第１ピニオ
ン５２の回動で第１被動ラツク部材５４が往復動
し、この往復動による第２ピニオン５５の回動で
第２被動ラツク部材５６も往復動し、２本のフイ
ードバー５９，６０はワーククランプ、アンクラ
ンプのための接近、離間作動を行う。

以上の従来技術によると、駆動ラツク部材５１
から第２被動ラツク部材５６までの駆動力伝達経
路中には被動ラツク部材５１と第１ピニオン５２
との間のほかに、第１被動ラツク部材５４と第２
ピニオン５５との間、および第２ピニオン５５と
第２被動ラツク部材５６との間に遊び箇所があ
る。従つて駆動力伝達経路中における遊び箇所の
数が多く、このためフイードバー５９，６０の作
動が正確でなくなり、正確なワーククランプ、ア
ンクランプを達成できない問題があつた。

また、以上の従来技術によると、前記カムを交
換したり、前記駆動ラツク部材５１の途中にシリ
ンダを介在させて駆動ラツク部材５１の全体的長
さ寸法を変更可能としたりすることにより、２本
のフイードバー５９，６０の接近時における間隔
（フイードバーの内幅寸法）をワークの大きさに
応じて変更しようとしても、第１ピニオン５２の
回動量が大きくなると、フイードバー５９，６０
はそれまでの移動方向とは逆方向へ戻り移動を始
めるため、フイードバーの内幅寸法を必要とされ
る大きな範囲に亘つて調整することはできなかつ
た。

［考案の目的］ 本考案の目的は、駆動力伝達経路中における遊
び箇所の数を減らし、これによりフイードバーの
作動を従来よりも正確なものにでき、また、フイ
ードバーの内幅寸法を大きな範囲に亘つて調整で
きるようになるトランスフアプレス機械のクラン
プ、アンクランプ装置を提供するところにある。

［問題点を解決するための手段および作用］ このため本考案に係る装置は、スライドの上下
動に伴つてカム等の作用で上下動する駆動ラツク
部材をピニオンに噛合させ、このピニオンにフイ
ードバー保持部材に連結された２本の被動ラツク
部材を互いに対向させて噛合させたものであり、
駆動ラツク部材で回動せしめられるピニオンから
それぞれの被動ラツク部材に同時に駆動力を伝達
するようにしたところに特徴を有する。

［実施例］ 第１図は本実施例に係る装置が適用されたトラ
ンスフアプレス機械の側断面図である。スライド
１はクラウン２の内部のクランク軸３に図示しな
いコンロツドを介して連結され、クランク軸３の
回転によるスライド１の上下動でワークはスライ
ド１の下面に取付けられた上型４とボルスタ５の
上面に取付けられた下型６とでプレス加工され
る。

クランク軸３には円板状のカム７，８が軸方向
に並んで固設され、カム７，８には軸９Ａ，１０
Ａを中心に揺動自在なレバー９，１０の先端に設
けられたカムフオロワとしてのローラ（これらの
レバー９，１０のローラは第１図中紙面表裏方向
に並んでいるため図面ではレバー９のローラ１１
のみが示されている）が当接する。レバー９，１
０にはそれぞれのローラをカム９，８に常時弾性
的に当接させるためにエアーシリンダ１２，１３
のエアー圧力が付与されている。またレバー９，
１０の後端には上下方向に延びる連結ロツド１
４，１５を介して駆動ラツク部材１６，１７が連
結され、駆動ラツク部材１６，１７はプレス機械
の前後のコラム１８，１９に組付けられたクラン
プ、アンクランプ用駆動ユニツト２０、リフト、
ダウン用駆動ユニツト２１に上下摺動自在に挿通
される。

これらの駆動ユニツト２０，２１の内部構造は
第２図で示されている。駆動ユニツト２０の内部
にはピニオン２２が回転自在に組込まれ、ピニオ
ン２２に駆動ラツク部材１６が噛合する。またピ
ニオン２２には第１被動ラツク部材２３と第２被
動ラツク部材２４とが上下に対向して噛合し、こ
れらの被動ラツク部材２３，２４の先端は駆動ユ
ニツト２０，２１の間に配置されたケース２５の
内部に挿入される。駆動ユニツト２１の内部にも
駆動ラツク部材１７が噛合するピニオン２６が回
転自在に組込まれ、ピニオン２６の中心孔２６Ａ
にはスプライン軸２７の端部が挿入係合され、ス
プライン軸２７はケース２５の内部に延びてい
る。

ケース２５の内部には２個のスライダ２８，２
９が収納され、スライダ２８，２９はケース２５
の内面に固設されたレール３１に沿つてローラ３
０が転動することによりワーククランプ、アンク
ルランプ方向に移動自在になつている。スライダ
２８，２９にはフイードバー保持部材３２，３３
がラツク部材３４、案内部材３５で上下動自在に
組付けられ、ケース２５の上面から突出したフイ
ードバー保持部材３２，３３にフイードバー３
６，３７が保持される。

それぞれのスライダ２８，２９の内部には第３
図の通りスプライン軸２７が摺動自在に挿通係合
されたピニオン３８が回転自在に組込まれ、ピニ
オン３８にラツク部材３４が噛合する。第２図の
通りスライダ２８には前記第１被動ラツク部材２
３が連結ロツド３９を介して連結され、スライダ
２９には第２被動ラツク部材２４が連結される。

次に作用について述べる。

スライド１を上下動させるためにクランク軸３
を回転させると、カム７の回転、レバー９の揺動
で駆動ラツク部材１６はスライド１の上下動に伴
つて上下動する。このためクランプ、アンクラン
プ用駆動ユニツト２０のピニオン２２が往復回動
し、この往復回動で第１、第２被動ラツク部材２
３，２４は互いに逆方向へ水平移動し、スライダ
２８，２９を接近、離間作動させる。このときピ
ニオン３８はスプライン軸２７に対して摺動し、
スライダ２８，２９の移動を保障する。

スライダ２８，２９とともにフイードバー保持
部材３２，３３およびフイードバー３６，３７は
接近、離間作動し、フイードバー３６，３７の第
１図で示されたフインガ４０，４１によりワーク
のクランプ、アンクランプがなされる。

以上において、２本の被動ラツク部材２３，２
４はピニオン２２が駆動ラツク部材１６で回転せ
しめられることにより同時に移動を開始する。こ
のためピニオン２２から被動ラツク部材２３，２
４までの遊び箇所は１箇所で従来の半分になつて
おり、２本のフイードバー３６，３７の接近、離
間作動は正確に行われ、正確なワーククランプ、
アンクランプが実現される。

また、ピニオン２２に互いに対向して噛合して
いる第１、第２被動ラツク部材２３，２４は２本
のフイードバー３６，３７の接近、離間方向に直
線的に延びているため、前記カム７を変更した
り、前記駆動ラツク部材１６や前記連結ロツド１
４の途中にシリンダを介在させてこれらの全体的
長さ寸法を変更可能としたりすることにより、フ
イードバー３６，３７の内幅寸法を大きな範囲に
亘つて調整でき、大きさが異なる各種のワークに
対して対処できる。

クランク軸３の回転によるカム８の回転、レバ
ー１０の揺動で駆動ラツク部材１７が上下動し、
この上下動でピニオン２６およびスプライン軸２
７は往復回動する。この結果、ピニオン３８が回
動せしめられ、ラツク部材３４の昇降動でフイー
ドバー保持部材３２，３３およびフイードバー３
６，３７が上下動する。

フイードバー３６，３７の上昇は接近作動の後
に、また下降は離間作動の前にそれぞれ行われ
る。これらのタイミングはカム７，８のカム形状
で設定される。またフイードバー３６，３７は図
示しないアドバンス、リターン装置によりフイー
ドバー保持部材３２，３３に対して前進、後退
（第１図、第２図中紙面の表裏方向の移動）作動
せしめられ、前進することによりクランプしたワ
ークを次の加工ステージに搬送し、後退すること
によりもとの位置に復帰する。フイードバー３
６，３７の前進は上昇と下降との間、後退は離間
と接近との間でそれぞれ行われる。

以上の実施例では駆動ラツク部材１６はクラン
ク軸３に固設したカム７およびレバー９の作用に
より上下動するようになつていたが、これをスラ
イドの側面に取付けたカムやこれに当接するレバ
ーで行うようにしてもよく、またクランク軸に固
設した偏心部材の偏心回転作用を利用して行うよ
うにしてもよく、要すればスライドの上下動に伴
つて駆動ラツク部材が上下動すればよい。また、
以上の実施例ではフイードバーを三次元運動させ
てワークを次の加工ステージに自動搬送するよう
にしていたが、本考案に係る装置はこれ以外にフ
イードバーが二次元運動するタイプ、すなわち接
近、離間作動と前進、後退作動のみを行うタイプ
のフイードバー駆動装置にも適用できる。

［考案の効果］ 本考案によれば、駆動力伝達経路中における遊
び箇所の数が減少し、これによりフイードバーの
作動を正確なものにでき、また、フイードバーの
内幅寸法を大きな範囲に亘つて調整できるため、
大きさが異なる各種のワークに対する汎用性を備
えるようになる。

【図面の簡単な説明】

第１図はトランスフアプレス機械の側断面図、
第２図はクランプ、アンクランプ装置の構造を示
す側断面図、第３図は第２図の−線断面図、
第４図は従来装置の構造を示す線図である。 １……スライド、３……クランク軸、５……ボ
ルスタ、１６……駆動ラツク部材、２０……クラ
ンプ、アンクランプ用駆動ユニツト、２２……ピ
ニオン、２３……第１被動ラツク部材、２４……
第２被動ラツク部材、３２，３３……フイードバ
ー保持部材、３６，３７……フイードバー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. スライドの上下動に伴つて上下動する駆動ラツ
   ク部材をピニオンに噛合させ、このピニオンに２
   本のフイードバーの接近、離間方向に直線的に延
   びる２本の被動ラツク部材を互いに対向させて噛
   合させ、これらの被動ラツク部材に前記フイード
   バーを保持する２個のフイードバー保持部材を連
   結したことを特徴とするトランスフアプレス機械
   のクランプ、アンクランプ装置。