JPH0243943Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は断熱層の一面に波板本体が装着されて
なる断熱波板に関する。

この種の断熱波板は、屋内を所定温度に保つ必
要のある畜産舎屋の屋根材などに使用されてい
る。

このような断熱波板を母屋材などに取り付ける
場合、従来は、母屋材などの上に置かれた断熱波
板の波板本体および断熱層を貫通させて釘を打ち
付けたり木ねじを締め付けることが多かつたが、
このようにすると、波板本体や断熱層に亀裂を生
じたりこれらが割れるおそれがあるばかりでな
く、釘や木ねじの貫通部分に生じる隙間から雨水
が屋内へ漏れる心配があつた。また、このような
方法で施工する際は、作業員が傾斜した屋根の上
にあがつて作業をすることが多く、その場合には
作業員が滑り落ちる危険性もあつた。

本考案は以上の事情に鑑みてなされたもので、
その施工にあたつて釘や木ねじを貫通させる必要
がなく、しかも屋内からでも容易に施工でき、さ
らに剛性に優れる断熱波板を提供することを目的
とする。

すなわち本考案による断熱波板は、断熱層に形
成した凹入部からその一部が露出する芯材を上記
断熱層に埋設したものであつて、上記凹入部から
露出している芯材を利用して断熱波板を母屋材な
どに取り付けることができ、かつ該芯材によつて
断熱波板の剛性の向上を計り得るようになつてい
る。

以下、図示した実施例にしたがつて本考案によ
る断熱波板を説明する。

第１図に例示した断熱波板１の断熱層２はその
一面に波板本体３が接着剤を用いて貼り付けられ
ている。また、断熱層２にはその幅方向Ａ、つま
り波の繰り返し方向に延びる芯材４が所要間隔お
きに埋設されており、これらの芯材４の一部が断
熱層２の他面に形成されている谷形の凹入部５に
おいて露出されている。

上記断熱波板１の断熱層２は硬質の合成樹脂発
泡体、たとえばポリスチレンからなり、波板本体
３はポリ塩化ビニルなどの硬質の合成樹脂からな
る。また、芯材４としてはたとえば鉄棒が使用さ
れる。

第１図に示した断熱波板１は、たとえば第２，
３図に示した状態で母屋材６に取り付けられる。
すなわち芯材４が母屋材６に沿うように断熱波板
１を母屋材６の上に置き、屋内よりフツクボルト
７を母屋材６に挿通してその先端部を上記断熱層
２の凹入部５から露出している芯材４に引つ掛け
るとともに、フツクボルト７にナツト８を螺じ込
んで締め付ける。

このように凹入部５から露出している芯材４を
利用して断熱波板１を母屋材６に取り付けるよう
にすると、断熱波板１に釘を打ち付けやり木ねじ
を螺じ込む必要がなくなるので波板本体３や断熱
層２に亀裂や割れが生じることはなく、雨漏りの
起こるおそれもない。また、上記のように屋内か
ら施工できるので、作業員が屋根の上に上がる必
要がなく、それに伴なう危険が解消される。

他方、第１図で説明した断熱波板１にあつて
は、波の繰り返し方向である幅方向Ａに沿つて延
びる芯材４によつて、断熱波板１がその山部また
は谷部を境として折れ曲がる際の強度が補強され
るので該断熱波板１の剛性は芯材４が無いものに
比較して格段に向上されたものとなる。なお断熱
波板１がその長手方向Ｂの中間部を境として折れ
曲がる際の強度は、波板本体３が波形をしている
ことに加えて断熱層２が波形をしていることによ
つて十分高いものに維持される。

特に第１図の断熱波板１のように断熱層２の他
面の凹入部５を該断熱波板１の長手方向の全長に
わたつて形成した場合には、断熱層の他面が平坦
な従来の断熱波板に比べて合成樹脂発泡体の必要
量が大幅に低減されることになるので、材料費が
大幅に節減できる利点もある。

第４図は断熱層２の他面の複数個所に凹入部５
をくぼませて形成した断熱波板１の一例を示して
いる。凹入部５を形成する箇所としては、図示例
のように凹入部５が格子状に規則的に並ぶ箇所を
選定しても、あるいは千鳥状に並ぶ箇所を選定し
ても、さらには散在する箇所を選定してもよいこ
とは勿論であるが、いずれにあつても、それらの
凹入部５の一部または全部に断熱層２に埋設され
た芯材４の一部が露出されていることが必要であ
る。そして芯材４は、第１図で説明したように断
熱波板１の幅方向Ａに延びる方向として埋設され
ていても、あるいは第５図から明らかなように断
熱波板１の山部または谷部に沿つて延びる方向に
埋設されていてもよいが、断熱波板１の剛性を全
体的に高めるためには前者のものが優れている。

第４，５図に示した断熱波板１の施工は第２，
３図で説明したところに準じる。

次に、第６，７図は、断熱波板１の断熱層２に
複数の芯材４を所要間隔おきに平行に埋設し、こ
れらの芯材４と交叉する方向に延びる複数の谷形
の凹入部５を上記断熱層２の他面に形成するとと
もに、これらの凹入部５において芯材４の一部を
露出させたものを示している。

これによれば、芯材４の相互間隔と凹入部５の
相互間隔、並びに凹入部５の傾斜角を所定のもの
に設定しておけば、芯材４と直交する方向では少
くとも一箇所以上の箇所において芯材４が凹入部
５から露出するようになる。したがつて母屋材
６，６どうしの相互間隔がどのように定められて
いても、図示のように芯材４が母屋材６に対して
直交するように断熱波板１を配置するだけで、凹
入部５から露出している芯材４を母屋材６に取り
付けることができるようになる利点がある。なお
施工は第２，３図で説明したところに準じる。ま
た、図示例は第７図から明らかなように、芯材４
が断熱波板１の山部または谷部に沿つて延びるよ
うに埋設されているが、この点は上記山部または
谷部に直交する方向に延びるように埋設しその全
体の剛性を向上させることは可能である。

第８図は、断熱層２と波板本体３の山部との間
に空間部９を形成した断熱波板１を示している。
その他の点は第１図で説明した断熱波板１の場合
と同様である。これによれば、空間部９が形成さ
れているので、空間部９内の空気層によつて断熱
性が向上するほか、この空間部９の容積に見合う
分だけ合成樹脂発泡体の必要量が第１図のものよ
りも低減される利点がある。なお、空間部９を形
成することによつて断熱層２は凹入部５に対応す
る部分の肉厚がそれだけ薄くなり強度が低下する
が、芯材４が断熱波板１の幅方向に延びるように
埋設されているので該芯材４によつて必要な強度
は十分に確保される。

上述した断熱波板１はその波板本体３がすべて
滑らかな同一パターンの繰り返し波形を備えたも
のであるが、波板本体の形状は特にこれに限定さ
れるものではなく、たとえば第９図に示した形状
の波板本体３であつてもよい。また第９図に例示
したように、断熱層２に丸穴１０を形成しておく
ことは、第８図で説明した空間部９を形成してお
くことと同様に合成樹脂発泡体の必要量を少くし
て材料費を節減する上で有効である。

以上の説明から明らかなように本考案の断熱波
板によれば、断熱層に形成した凹入部に露出して
いる芯材を利用することによつて断熱波板に釘を
打ち付けたり木ねじを螺じ込むことなくその施工
ができるようになるので、施工中に波板本体や断
熱層に亀裂や割れが生じるおそれはなく、雨漏り
の起こる心配もなくなる。また屋内からの施工が
可能となつて作業中の危険が解消される。さら
に、断熱層の肉厚を薄くしても上記芯材によつて
断熱波板の剛性が向上されるので、従来よりも大
形の断熱波板を安く提供できるようになる利点も
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案実施例による断熱波板の部分斜
視図、第２図はその施工状態を示す断面図、第３
図は第２図のイ−イ線に沿う断面図、第４図は他
の実施例による断熱波板の部分底面図、第５図は
第４図のロ−ロ線に沿う断面図、第６図はさらに
他の実施例による断熱波板の部分底面図、第７図
は第６図のハ−ハ線に沿う断面図、第８図はさら
に他の実施例による断熱波板の部分断面図、第９
図はさらに他の実施例による断熱波板の断面図で
ある。 １……断熱波板、２……断熱層、３……波板本
体、４……芯材、５……凹入部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 一面に波板本体が装着された断熱層の他面に凹
   入部が設けられ、この凹入部においてその一部が
   露出する芯材が上記断熱層に埋設されていること
   を特徴とする断熱波板。