JPH0243046B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、自動二輪車におけるクラツチの冷
却構造に関する。

従来、自動二輪車においては、湿式多板クラツ
チが広く使用されており、この湿式多板クラツチ
を冷却するにあたつては、エンジンのクランクケ
ース内に注入した潤滑油内に前記クラツチの一部
を浸漬させ、これを冷却するようにしていた。

なお、クラツチを過剰の潤滑油内に浸漬させる
とクラツチのひきずりトルクが増大し、クラツチ
接続時に動力伝達効率が低下する。

従つて、従来のクラツチの冷却構造ではクラツ
チの一部を潤滑油内に浸漬させて冷却を行う構造
であるためクラツチの冷却効率が十分でない欠点
があつた。

なお、従来は実開昭57−96822号公報、及び実
開昭57−112139号公報に記載されているようにク
ラツチハウジング内に強制的に吸熱媒体である冷
却風を導入し、この冷却風によりクラツチを冷却
させるようにしたものもあるが、吸熱媒体として
エアーを使用し、しかもこの吸熱媒体として使用
するエアーは走行あるいは作業環境下における空
気であるため冷却効果には限界があり必ずしも十
分ではなかつた。

この発明は上述した事情に鑑み、クラツチの冷
却効率を可及的に向上させたクラツチの冷却構造
を提供することを目的とする。

上述した目的を達成するため、この発明では冷
却水が循環する冷却水路系と、該冷却水路系に介
在され前記冷却水が吸引した熱を放出する放熱器
と、前記冷却水路系に介在され前記冷却水を圧送
するウオータポンプとを有する水冷エンジンを搭
載した自動二輪車において、前記水冷エンジンの
クラツチを構成する駆動軸、インナードライバ、
クラツチスプリング、クラツチプレツシヤープレ
ート、クラツチドライブプレート、クラツチドリ
ブンプレート、アウタードライバを、前記エンジ
ンのクランクケース所定位置に形成されたクラツ
チ室内に収容するとともに、前記ウオータポンプ
と前記放熱器との間を連通させる前記冷却水路系
の冷却水路を二分し、該二分された一方の冷却水
路に前記水却エンジンのウオータジヤケツトを介
在させるとともに、他方の冷却水路に前記記クラ
ツチ室を介在させ、前記放熱器により冷却された
冷却水を前記クラツチ室内に流入させて前記水冷
エンジンのクラツチを構成する駆動軸、インナー
ドライバ、クラツチスプリング、クラツチプレツ
シヤープレート、クラツチドライブプレート、ク
ラツチドリブンプレート、アウタードライバを前
記流入した冷却水中に浸漬させ、循環する冷却水
により直接クラツチを冷却させるようにしてい
る。

以下、この発明に係わるクラツチ冷却構造の一
実施例を詳述する。

第１図はこの発明に係わるクラツチの冷却構造
を適用したクランクケースの要部部分断面図であ
る。

このクランクケース１の所定位置には、クラツ
チ室１ａが形成されており、このクラツチ室１ａ
内にはクラツチ２が収容されている。なお、この
クラツチ２を収容するに際し、該クラツチ２のア
ウタードライバー３とクラツチ室１ａの収容孔１
a′との間、及び駆動軸４に嵌着したブツシユ５と
クラツチドリブンギヤ６のボス部６ａとの間はそ
れぞれパッキン７，８により密閉されており、さ
らにスプラインによつて結合されたクラツチドリ
ブンギヤ６とアウタードライバ３との間はＯリン
グ９により密閉されている。

したがつて、前記クラツチ室１ａ内はクランク
ケース１に形成された他の室体（例えば、ミツシ
ヨン室、クランク室）から密閉されることとな
る。また前記クラツチ室１ａ内には後述する水冷
エンジンの冷却水路系から前記クラツチ室１ａの
所定位置に形成された図示せぬインレツドポート
を介して流入した冷却水１０が充填されており、
さらにこの冷却水１０は前記クラツチ室１ａの所
定位置に形成された図示せぬアウトレツトポート
を介して前記クラツチ室１ａから前記冷却水路系
に介在された放熱器側へ排出される。

なお、第１図で符号１１はクラツチ２のインナ
ードライバ、１２はクラツチプレツシヤープレー
ト、１３はクラツチドライブプレート、１４はク
ラツチドリブンプレート、１５はクラツチプルピ
ースである。

なお、クラツチプレツシヤープレート１２とイ
ンナドライバ１１とはクラツチスプリングにより
常時互いに密着する方向に付勢されていることは
言うまでもない。

次に、上述したクラツチ室１ａに流入する冷却
水１０の冷却水路系について説明する。

第２図は冷却水路系２０を示す経路図で、ウオ
ータポンプＰにより圧送された冷却水（矢印Ａ）
はそれぞれエンジンのシリンダー部等を冷却す
る。ウオータジヤケツト２１とクラツチ室１ａと
に二分されて送給される。また、これらウオータ
ジヤケツト２１とクラツチ室１ａ内に送給された
冷却水は該ウオータジヤケツト２１及びクラツチ
室１ａ内に発生した熱を吸収し、放熱器（ラジエ
ータ）２２にそれぞれ送給される。なお、放熱器
２２へ冷却水を送給するに際し、クラツチ室１ａ
から送給された冷却水（矢印Ｂ）はフイルタＦを
介し前記放熱器２２に送給される。

また放熱器２２に送給された冷却水は走行風等
によつて該放熱器２２内で冷却され再びウオータ
ポンプＰに送給され前述した経路を循環する。

従つて、上述したクラツチの冷却構造による
と、第１図に示すように前記クラツチ室１ａ内に
収容されたクラツチ２の各要素は、水冷エンジの
放熱器２２で冷却された冷却水１０中に浸漬さ
れ、その冷却水１０により常時直接冷却されるこ
ととなる。

以上説明したように、この発明では、クラツチ
を冷却する吸熱媒体として、水冷エンジンの放熱
器により冷却された冷却水の一部を利用し、この
放熱器により冷却された冷却水をクラツチ室内に
流入させて、クラツチを冷却水中に浸漬させ、当
該冷却水によりクラツチの直接冷却を図るととも
に、クラツチ室内に流入した冷却水を放熱器によ
り冷却して再びクラツチ室内に導くようにしたた
めクラツチの冷却効率が可及的に向上し、このた
め、クラツチの一部を潤滑油内に浸漬させるも
の、あるいは強制的にエアーにより冷却させるも
のに比べクラツチの耐久性及びクラツチ機能の安
定化を一層促進させることが出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明に係わるクラツチの冷却構造
を示すクランクケースの要部部分断面図、第２図
は冷却水路系を示す経路図である。 １……クランクケース、１ａ……クラツチ室、
２……クラツチ、３……アウタードライバ、４…
…駆動軸、１０……冷却水、１１……インナード
ライバ、１２……クラツチプレツシヤープレー
ト、１３……クラツチドライブプレート、１４…
…クラツチドリブンプレート、２０……冷却水路
系、２１……ウオータジヤケツト、２２……放熱
器、Ｐ……ウオータポンプ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 冷却水が循環する冷却水路系と、該冷却水路
   系に介在され前記冷却水が吸引した熱を放出する
   放熱器と、前記冷却水路系に介在され前記冷却水
   を圧送するウオータポンプとを有する水冷エンジ
   ンを搭載した自動二輪車において、 前記水冷エンジンのクラツチを構成する駆動
   軸、インナードライバ、クラツチスプリング、ク
   ラツチプレツシヤープレート、クラツチドライブ
   プレート、クラツチドリブンプレート、アウター
   ドライバを、前記エンジンのクランクケース所定
   位置に形成されたクラツチ室内に収容するととも
   に、 前記ウオータポンプと前記放熱器との間を連通
   させる前記冷却水路系の冷却水路を二分し、該二
   分された一方の冷却水路に前記水冷エンジンのウ
   オータジヤケツトを介在させるとともに、他方の
   冷却水路に前記クラツチ室を介在させ、前記放熱
   器により冷却された冷却水を前記クラツチ室内に
   流入させて前記水冷エンジンのクラツチを構成す
   る駆動軸、インナードライバ、クラツチスプリン
   グ、クラツチプレツシヤープレート、クラツチド
   ライブプレート、クラツチドリブンプレート、ア
   ウタードライバを前記流入した冷却水中に浸漬さ
   せるようにしたことを特徴とする自動二輪車にお
   けるクラツチの冷却構造。