JPH0240723B2 - Funjokosekikaranoyojukinzokuseizohoho - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、金属酸化物を含有する粉状鉱石から
溶融金属を製造する方法に関する。

〔従来の技術〕

上下２段に羽口を設置し、炭素系固体還元剤を
充填した竪型炉において、上段羽口より予備還元
鉱石とフラツクスを吹込み、これを上段羽口レー
スウエイ中で溶融滴下させ、さらに下段羽口より
フラツクスを吹込み、下段羽口で発生する熱量に
より金属酸化物を還元すると共に、スラグ成分の
排滓性を良好にする技術が報告されている（特開
昭59−162213）。

上下２段の羽口を設置したコークス充填層型溶
融還元炉において、粉鉱石を上段羽口から吹込み
溶融還元する場合には、還元反応は、上段羽口前
で溶融されて下段羽口前まで滴下する間に行われ
る。したがつて、上下羽口間での溶融物の滞留時
間が溶融金属生成に重要な要素となる。

一般には炉からの排滓性を良好とするため、溶
融還元で生成する滓（スラグ）は、低融点、低粘
度になるように、フラツツクス成分、添加量を決
定されている。このため上段羽口先で生成した滓
（スラグ）が上段羽口先まで滴下する時間は、排
滓性を重視したスラグ成分で決定され、特に難還
元性鉱石を還元する場合、上下羽口間での滞留時
間をスラグ融点、粘度を調整することによつて、
コントロールすることは困難である。

このため、従来技術では、上段羽口からは上下
段羽口間の滴下滞留時間が鉱石の還元特性に対
し、適切となるスラグ組成になるようなフラツク
スを鉱石と共に吹込み、下段羽口からは、排滓性
が良好となる低融点、低粘度のスラグ組成を得る
ため、上段羽口からの滴下スラグに対し、さらに
フラツクスを吹込み添加している。

上下羽口間の炭材充填層は下段羽口先での炭材
燃焼による炭材消費により、送風量に見合つた速
度で降下している。このため上段羽口からの溶融
物の滴下速度は、溶融物の自身の滴下速度と炭材
充填層の降下速度の和で表わされる。難還元性の
金属酸化物を溶融還元する場合は大量な熱量と滴
下滞留時間の延長が必要となる。従来、下段羽口
で大量の炭材が燃焼するため、上下羽口間の炭材
降下速度は早くなり、上段羽口前での生成溶融物
の滴下速度を溶融物の組成の調整で行つても、滴
下速度のコントロールは困難である。

〔発明が解決しようとする問題点〕

上段羽口に吹込まれた鉱石、フラツクスが溶融
し、下段羽口まで滴下する間の滴下滞留時間は、
下段羽口でのコークス燃焼によるコークス充填層
の降下にも支配されるので、溶融物の融点、粘度
等の物性のみでコントロールすることはできな
い。

特にクロム鉱石等の難還元性鉱石の溶融還元に
おいては、大量の熱量を必要とするため、上下段
羽口共に、送風量、送風温度、富化酸素量を増加
することにより、羽口先炭材燃焼量が大量にな
る。このため炭材充填層の降下速度は大となり、
溶融物の滴下滞留時間の延長は生成スラグ組成の
みの調整では困難となる。

本発明はこのような溶融物の滴下滞留時間を適
正に延長し、難還元性の金属酸化物の溶融還元を
低エネルギーレベルで効率よく行うことを目的と
する。

〔問題点を解決するための手段〕

上下２段羽口を設置した炭材充填層型溶融還元
炉において、上段羽口から鉱石、フラツクスを吹
込み溶融還元を行う場合に、上段羽口で吹込む鉱
石、フラツクスを、製造する溶融金属の還元特性
に合つた上下段羽口間の滴下滞留時間になるよう
に、配合するフラツクス量を調整する。さらに下
段羽口より粉コークス等の粉状炭素系還元剤とフ
ラツクスとを混合して吹込み、粉状炭材の燃焼に
より、上下段羽口間の炭材充填層の燃焼を抑制し
てその降下速度を調整する。また下段羽口からフ
ラツクスを吹込むことにより上段羽口から滴下す
るスラグの組成を調整し、排滓性の良い低融点、
低粘度のスラグ組成とする。

〔作用〕

本発明は上下２段の羽口を設置した炭材充填層
型溶融還元炉を用いて、粉粒鉱石から溶融金属を
製造する場合、上段羽口に粉粒状鉱石およびフラ
ツクスを混合した状態で吹込む装置を設置すると
共に、下段羽口に粉状フラツクスと粉コークスを
吹込む装置を設置し、上記上下段羽口に設置した
粉粒状鉱石およびフラツクスの吹込み装置を用
い、上段羽口からは、上下段羽口間の炉内発生熱
量、上下段羽口間隔および鉱石の還元特性を考慮
し、適正量の粉粒状鉱石およびフラツクスを混合
し吹込むこととしたので、上段羽口先レースウエ
イで生成した溶融物の滴下速度が最適となる。

また、下段羽口からは、上下段羽口間の炭材充
填層の降下速度を溶融物の上下段羽口間の滴下、
滞留時間が還元反応に最適となるように粉状炭材
を吹込み調整する。この下段羽口から粉状炭材を
吹込み、炭素系固体充填材の降下速度を制御し、
鉱石の還元性、溶融性に応じて上段羽口から吹き
込まれた粉状鉱石の滴下時間、上下羽口間の滞留
時間を調整することが、本発明の最も重要なポイ
ントである。炭材吹込量を増加させるとその燃焼
により吹込酸素を消費するので炭素系固体還元剤
（コークス）の降下速度が遅くなり溶融物の滴下
時間が長くなる。

さらに下段羽口からは、炉床熱特性、溶融物生
成量を考慮し、炉床に滴下滞留するスラグ組成が
炉からの排滓性に対し良好となる融点、粘度にな
るようにフラツクス量を決定し、上段羽口から滴
下する溶融物中へフラツクスを吹込むので溶融物
の還元を最適条件で行うことができる。

〔実施例〕

第１図に示すように溶融還元炉を用いて、30重
量％クロムを含有した銑鉄の製造試験を本発明に
より実施した。

炭材充填層型溶融還元炉１は上段羽口２と下段
羽口３を備え、炉上方の炭材供給装置５から炭素
系固体還元剤を供給され炉内に充填層を形成して
いる。高温送風装置４から高温のガスが上下羽口
２，３に供給される。

供給装置８は粉状炭材およびフラツクスを下段
羽口へ、供給装置９は鉱石およびフラツクスを上
段羽口２へ、それぞれ粉粒体を羽口に吹込む粉粒
体吹込装置１０，１１を経て羽口に粉粒体を送入
する。

溶融したメタルは出銑口１２から排出され、ス
ラグは出滓口１３から排出される。

炉１から排出したガスは排ガス処理装置１５で
処理される。

溶融還元炉の仕様は次の通りである。

炉内径：1100mmφ 炉高：5000mm 羽口：上下２段、円周上各３箇所 以下に結果を示す。

(a) 上段羽口吹込鉱石、フラツク配合比および吹
込速度 鉱石およびフラツクスの配合比： 鉄鉱石：36.7重量％ クロム鉱石：44.6重量％ 石灰石：16.3重量％ 珪石：2.4重量％ 吹込速度：69Kg／Hr (b) 下段羽口吹込フラツクス配合比とフラツク
ス、粉コークス吹込量 配合比： 石灰石：73重量％ 珪石：27重量％ フラツツクス吹込量：48Kg／Hr 粉コークス吹込量：17Kg／Hr (c) 上下段羽口間スラグ融点および粘度 融点：1550℃ 粘度：5.5ポアズ (d) 炉床滞留スラグ融点および粘度 融点：1350℃ 粘度：4.0ポアズ また、前記条件による炉床滞留スラグ中のクロ
ムは、1.2重量％であつた。

比較例として前記条件で下段羽口からの粉コー
クス吹込みを行わない操業を行つた。この場合の
炉床滞留スラグ中のクロムは2.1重量％であつた。

以上のようにフラツクスの吹込量を上下段羽口
間で分割するとともに、下段羽口から粉コークス
を吹込むことによつて、上下段羽口間では、高融
点、高粘度スラグを生成し、滴下滞留時間をコン
トロールすることによつて、還元率の向上、歩留
の上昇、さらに炉床での低融点、低粘度のスラグ
成分調整ができた。

〔発明の効果〕

本発明により、溶融還元炉内での還元反応を重
視した溶融物の物性および滞留時間の調整および
炉床からの排滓性が良好なスラグの生成が可能と
なつた。これにより適正な反応速度を保つことが
でき、エネルギー消費量を節減でき、歩留が向上
し、また粉粒状還元剤はコークスより安価であ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の構成を示すブロツク図であ
る。 １……炭素系固体還元剤充填層型溶融還元炉、
２……上段羽口、３……下段羽口、４……高温送
風装置、５……コークス供給装置、６……鉱石ホ
ツパ、７……フラツクスホツパ、８……フラツク
ス粉状炭材供給装置、９……鉱石フラツクス供給
装置、１０……鉱石フラツクス吹込装置、１１…
…フラツクス粉状炭材吹込装置、１２……出銑
口、１３……出滓口、１４……粉状炭材ホツパ、
１５……配ガス処理装置。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 炭素系固体還元剤のみの充填層が形成され、
   下部に高温空気を吹込む上下２段に設けられたそ
   れぞれ複数の羽口を有する竪型炉を用いて、金属
   酸化物を含有する粉粒状鉱石から溶融金属を製造
   する方法において、前記上段の羽口から、高温空
   気と共に粉粒状鉱石とフラツクスを前記竪型炉内
   に吹込むと共に、前記下段羽口から、粉状鉱石の
   還元特性に応じて高温空気と共にフラツクスと粉
   粒状炭素系還元剤を前記竪型炉内に吹込むことを
   特徴とする粉状鉱石からの溶融金属製造方法。