JPH0240004B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は原料予熱装置と仮焼炉との間に配置し
たセメント原料粉末用仮焼炉に関し、仮焼炉内で
の燃料の燃焼性を改善し、同時にNOx（窒素酸化
物）の発生を抑制しつつ供給燃料を燃焼させてセ
メント原料を高度に仮焼させ、必要に応じて焼成
炉排ガス中に含まれるNOxを効果的に脱硝する
ことにより、原料予熱装置からのNOx排出量を
低減させると同時に、仮焼炉内での過熱部の発生
によるコーチングの形成を排除してより一層の安
定運転を可能なようにしたセメント原料粉末用仮
焼炉の改良に関するものであり、特に微粉炭燃料
に適した焼成炉への燃料及び予熱原料の供給配分
構造を提供するものである。

近代的セメント燃焼装置は、原料予熱装置と焼
成炉との間に、独立した熱源を有する仮焼炉を配
置して構成される。第１図は、セメント原料粉末
を予熱・仮焼・焼成・冷却する工程を示す線図的
系統図で、図中の実線矢印は熱風の流れ、破線矢
印は原料粉末の流れを示す。尚装置の概要は、サ
イクロン等の粉末分離器を多段状に配置して構成
した原料予熱装置１、仮焼炉２、ロータリキルン
等の焼成炉３及びクリンカ冷却機４からなり、原
料投入シユート５から供給されたセメント原料粉
末は、第１〜第４の各サイクロンC₁〜C₄を順次
降下し、他方焼成炉３及び仮焼炉２からの高温排
ガスは誘引通風機７ａにより吸引されて原料予熱
装置１内を上昇するから、ダクト８内及びサイク
ロンC₁〜C₄内にて原料粉末と高温ガスとの熱交
換が繰り返される。予熱された原料粉末は原料予
熱装置の下から２段目のサイクロンC₄からシユ
ート１４を通して仮焼炉２へ導入される。他方ク
リンカ冷却機４から導入される高温の焼成用２次
空気と、バーナ６ａから燃焼用１次空気と共に供
給される燃料によつて仮焼炉２内で燃焼が起り、
その燃焼熱と焼成炉排ガスのもつ熱を受けること
により原料粉末が仮焼される。仮焼された原料粉
末は燃焼ガスと共に仮焼炉２から最下段のサイク
ロンC₅に入つて分離されたのち、シユートを通
して焼成炉３に入り、焼成炉３の下端側に設置し
たバーナ６ｂから供給される燃料の燃焼熱により
焼成炉３内で必要な熱処理を受けてクリンカにな
つたのち、冷却機４で冷却される。尚、クリンカ
冷却用の空気は押込送風機１０によつて供給さ
れ、クリンカを熱交換を行つて昇温した空気の一
部は、上述の如く仮焼炉２及び焼成炉３に分配導
入されるが、余剰の空気は誘引通風機７ｂにより
集塵機９を通して排出される。そして、クリンカ
冷却機４及び集塵機９からのクリンカはコンベア
１１によつて次工程へ搬出される。

第２図は第１図における仮焼炉付近の構成をよ
り詳細に示す概念図で、これらの図により仮焼炉
の構造及び機能を、燃料として微粉炭を使用した
場合につき説明すると下記の通りである。

即ち、仮焼炉２は本構成例では円筒状竪形で、
絞り部２ｃを境にして互いに連通した下方の燃焼
室２ａと上方の混合室２ｂとで構成され、燃焼室
２ａの下端は下方に向けて漸次断面を縮小して逆
円錐体状部２ｆとし、開口２ｄにより入口端覆１
２を介して焼成炉３に接続している。又、燃焼室
２ａの下部側壁には半径方向または接続方向にク
リンカ冷却機４からの高温抽気を燃焼用２次空気
として案内する抽気ダクト１３が開口・接続さ
れ、当該抽気ダクト１３の天井壁が仮焼炉２の燃
焼室２ａ側壁と接合する付近には、燃焼室２ａに
流入する高温抽気に指向して、１次空気と共に微
粉炭を吹き込むバーナ６ａを設置し、更に当該バ
ーナ６ａの上方に位置し、バーナ６ａから供給さ
れる燃料により燃焼室２ａ内に形成される燃焼域
を指向して原料予熱装置１の下から２段目のサイ
クロンC₄からの予熱原料投入シユート１４が接
続され、一方混合室２ｂの燃焼ガス出口２ｅは原
料予熱装置１の最下段サイクロンC₅に接続され
ている。

これらの装置を用いるに当たつて、原料予熱装
置１の下から２段目のサイクロンC₄からの予熱
原料は投入シユート１４を通して仮焼炉２の燃焼
室２ａ内に供給され、入口端覆１２を介し開口２
ｄを通して下方より上昇流入する焼成炉３からの
排ガスにより燃焼室２ａ内にて混合・撹拌され噴
流層を形成している。該噴流層内には抽気ダクト
１３を通してクリンカ冷却機４からの高温抽気が
燃焼用２次空気として導入され、当該抽気ダクト
１３の燃焼室２ａへの導入口上方に設置されたバ
ーナ６ａを通して燃焼用１次空気と共に燃料とし
ての微粉炭が供給され、噴流層内にて燃焼が行わ
れる。予熱原料シユート１４を通して燃焼室２ａ
内に形成される燃焼域に指向して供給された原料
粉末はこれら燃料の燃焼熱および焼成炉排ガスの
顕熱を吸収して仮焼反応を進行させつつ燃焼ガス
と共に絞り部２ｃを通過して混合室２ｂに導入さ
れるが、絞り部２ｃを通過する際の加速および減
速による拡散効果と混合室２ｂ内に発生する乱流
により撹拌・混合が促進され、混合室２ｂ内にて
燃焼ガス中に含まれる可燃成分の完全燃焼が行わ
れ、原料粉末を十分に仮焼したのち、開口２ｅを
通して原料予熱装置１の最下段サイクロンC₅に
排出するようになつている。

この様な焼成炉内での燃料の燃焼に際して、バ
ーナ６ａを燃焼室２ａに流入する高温抽気に指向
して取り付けることにより、良好な燃焼状態が得
られるように図つているが、燃焼が噴流層内で行
われ且つ原料予熱装置１の下から２段目のサイク
ロンC₄からの予熱原料の全量が燃焼室２ａ内に
形成される燃焼域を指向して投入され、従つて当
該燃焼域の燃焼温度が比較的低く維持されている
ため、燃料の燃焼速度が遅く十分な燃焼性能を達
成するには至つていない。

また、仮焼炉２の下部開口２ｄより上昇・流入
する焼成炉３からの排ガス中にはバーナ６ｂから
供給した燃料の焼成炉３内での燃焼に際して発生
した多量のNOxが含まれており、これらのNOx
を仮焼炉２の逆錐体状部２ｆ側壁に設置したバー
ナ６ｃを通して供給する燃料により逆錐体状部２
ｆ内部に還元性ガス雰囲気を形成して脱硝を計る
場合があるが、この際噴流層を形成するセメント
原料粉末は脱硝触媒として有効に作用することが
知られている。これらの原料粉末は予熱原料シユ
ート１４から燃焼室２ａ内に供給した原料粉末の
一部が逆円錐体状部２ｆへ流下したものである
が、予熱原料は燃焼室２ａ内に形成される燃焼域
を指向して投入されるため、運転状態によつて抽
気ダクト１３を通して導入される燃焼用２次空気
速度が大きい場合域いは下部開口２ｄより導入さ
れる焼成炉排ガス速度が大きい場合には逆錐体状
部２ｆ内部に原料粉末の濃密な噴流層を形成でき
ず、充分な脱硝効果が得られないばかりでなく、
焼成炉３からの高温排ガス或いはバーナ６ｃから
供給した燃料の燃焼により仮焼炉下部に局部的な
過熱域を形成し、仮焼炉の炉壁に原料粉末のコー
チングを発生して操業上の支障なる場合がある。

本発明は従来技術のもつ上記問題点を解消し、
焼成室内に形成される燃焼域における焼成雰囲気
温度を適度に調節することにより燃料の焼成性を
改善すると共に、必要に応じて焼成炉排ガス中に
含まれるNOxを効果的に脱硝すると同時に、仮
焼炉下部での原料粉末のコーチングの発生を排除
してより一層の安定運転を可能なようにした仮焼
炉への燃料及び予熱原料の供給分配構造を提供し
ようとするものである。

しかしてこの様な本発明とは、仮焼炉内に流入
する冷却機からの高温抽気に指向して燃料を供給
することにより仮焼炉内に形成される焼成域に指
向して予熱原料を一部のみを調節して供給するこ
とのできる予熱原料シユートの配置構造を設けた
ことであり、更にまた前記燃焼域に供給する以外
の予熱原料を仮焼炉の下方から流入する焼成炉排
ガスに指向して供給すべく分岐した予熱原料シユ
ートを仮焼炉の横断面において前記焼成供給装置
の配置位置から遠ざけて接続する配置構造とした
ところにその要旨がある。

以下図面に基づいて本発明を詳細に説明する
が、図は具体的な実施の一例を示すもので、本発
明はこれらの図示例に限定されず、前・後記の趣
旨に沿つて他の構成としたり、或いは一部の設計
を変更しても同様に実施することができる。

第３図は本発明によるセメント原料粉末用仮焼
炉における一実施例での仮焼炉付近の構成を示す
概念図であり、仮焼炉２の基本的構造、仮焼炉２
への焼成炉３からの排ガス導入方法、抽気ダクト
１３からの高温燃焼用２次空気の導入方法、仮焼
炉２内の燃焼ガスの流れおよび仮焼炉２からの燃
焼ガスの排出方法などについては大旨前述の第２
図での従来装置の場合と同様である。

第３図に基づいて本発明の実施例の一例を詳細
に説明すると、燃料供給装置としての微粉炭供給
管６ｄは抽気ダクト１３の天井壁が仮焼炉２の側
壁と接合する付近で、燃焼室２ａに流入する高温
抽気に指向して設置されるが、原料予熱装置１の
下から２段目のサイクロンC₄からの予熱原料シ
ユート１４は取付角度を調整可能な分配弁１５を
備えた分岐部材１６により２本の予熱原料シユー
ト１４ａ，１４ｂに分岐され、一方の分岐シユー
ト１４ａは前記微粉炭供給管６ｄに接続され、燃
料と共に予熱原料の一部が仮焼炉内へ供給される
ようになつており、他方の分岐シユート１４ｂは
仮焼炉２の横断面において微粉炭供給管６ｄの配
設位置から円周方向に遠ざけて仮焼炉２の逆錐体
状部２ｆまたはその近辺で、下方から上昇・流入
する焼成炉３からの排ガスに指向して配置され
る。尚、微粉炭供給管６ｄより供給する微粉炭
は、本例においては空気輸送装置により配管１７
を通して搬送され、サイクロン等の１次捕集器１
８及び濾過集塵機等の２次捕集器１９で分離さ
れ、重力により直接的に或いは図示しない貯蔵ホ
ツパを介して仮焼炉２内に投入される。又前記逆
錐体状部２ｆには必要に応じて燃料の一部を供給
する燃料供給管６ｅが設置され、燃料供給管６ｄ
より供給する燃料と同種又は異種の固体燃料或い
は液体燃料などが供給されるようになつている。

この様な構成をとるため、燃焼室２ａに流入す
る高温抽気に指向して燃料供給管６ｄより供給さ
れる微粉炭は燃焼室２ａ内の燃料供給管６ｄ先端
部に燃焼域を形成し、当該燃焼域には予熱原料シ
ユート１４ａ及び微粉炭供給管６ｄを通して予熱
原料の一部が微粉炭と共に燃焼域に指向して供給
される。この際、燃料の燃焼域における雰囲気温
度が低下すれば燃料の燃焼性が低下し、逆にこの
燃焼域温度が上昇すればNOx発生量が増加する
傾向にあるため、燃焼域に供給する予熱原料の量
を分配弁１５により調節し、燃焼域における燃焼
雰囲気温度を最適に調節できる構造としている。
ここに、燃焼域において発生するNOxは1100℃
程度の雰囲気温度以下にてその発生量が著しく減
少するため、燃料の燃焼域における雰囲気温度を
この程度に抑えることが望ましいが、仮焼炉２出
口域いは最下段サイクロンC₅出口におけるガス
中のNOx及び未燃ガス代表成分としてのCO含有
量を測定しこれより分配弁１５を調節することに
より、燃焼性との兼ね合いにおいてNOx発生量
を容易に制御することができ、操業条件が変動し
てもNOx発生量を常に安定して低く抑制するこ
とが可能となる。尚、燃料と共に予熱原料の一部
を仮焼炉へ供給する図示例の構成によれば、燃焼
の初期段階より逐次原料粉末が燃焼熱を速やかに
吸収するため、燃焼域の全域に亘つて燃焼雰囲気
温度を均一にできるという利点があるが、本発明
は図示例に限定されず、燃焼域に指向して供給す
る予熱原料を第２図従来例の如く燃料とは別個に
供給する配置構成としても良い。即ち、本発明に
おいては予熱原料の一部を仮焼炉の燃焼域に指向
して供給することが重要であり、そのために予熱
原料の一部を仮焼炉に供給する予熱原料シユート
を仮焼炉側壁と抽気ダクト天井壁との接合部付近
に接続したものである。前記した第３図示の例よ
うに予熱原料を燃料供給管６ｄに接続した構成
は、その一例である。

次に、予熱原料の他の一部は分岐シユート１４
ｂより仮焼炉の横断面において燃料供給管６ｄの
配置位置から遠ざけて仮焼炉２の逆円錐体状部２
ｆまたはその近辺から供給され、下方より上昇・
流入する焼成炉３からの排ガスに指向して投入さ
れるため、焼成炉排ガス速度などの操業条件にか
かわらず、常に濃密な原料粉末の噴流層を逆円錐
体状部２ｆに形成することができるので、燃料供
給装置６ｅより供給する燃料により逆円錐体状部
２ｆ内部に還元性ガス雰囲気を形成して該部を通
過するNOxを含有した焼成炉排ガスの脱硝を計
る場合にも、脱硝触媒として原料粉末が常に充分
に且つ有効に作用して脱硝反応を促進するばかり
でなく、焼成炉３からの高温排ガス或いは燃料供
給装置６ｅから供給した燃料の燃焼熱により仮焼
炉下部に局部的な過熱域を発生して仮焼炉側壁に
原料粉末のコーチングを形成し操業上の支障とな
るような事態を回避することができる。

これらの仮焼炉構造において、仮焼炉断面の形
状、抽気ダクトの本数、燃料供給装置の組み数・
配置などは目的に応じて自由に選定できる。又、
仮焼炉内でのNOx発生の抑制又は脱硝に関する
他の方法と組み合わせて更に効果を高めることも
できる。

本発明は以上の如く構成されており、原料予熱
装置の下から２段目の粉末分離器からの予熱原料
を仮焼炉に供給するに当り、予熱原料を調節しつ
つ分割して夫々合目的に利用することにより、仮
焼炉内での燃料の燃焼性を改善し、同時にNOx
の発生を抑制乃至は制御すると共に、仮焼炉内で
の局部的な過熱を排除してより一層の安定運転を
可能にすることができた。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のセメントクリンカ製造工程を示
す線図的系統図、第２図は第１図における仮焼炉
付近の概念図、第３図は本発明の一実施例に係る
仮焼炉付近の構成を示す概念図である。 （符号の説明）、１……原料予熱装置、２……
仮焼炉、２ａ……燃焼室、２ｂ……混合室、２ｆ
……逆円錐体状部、３……焼成炉、４……クリン
カ冷却機、６……燃料供給装置、１３……抽気ダ
クト、１４……予熱原料シユート、１４ａ，１４
ｂ……分岐シユート、１５……分配弁、１６……
分岐部材。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 原料予熱装置と仮焼炉との間に配置し、下端
   を逆錐体状に絞つて入口端覆を介して焼成炉と接
   続し、上端またはその近くを原料予熱装置の最下
   段の粉末分離器と接続し、且つ側壁にクリンカ冷
   却機からの抽気ダクト、燃料供給装置、及び原料
   予熱装置の下から２段目の粉末分離器からの予熱
   原料シーユトを接続したセメント原料粉末用仮焼
   炉において、仮焼炉内に流入する冷却機からの高
   温抽気に指向して、仮焼炉側壁と抽気ダクト天井
   壁との接合部付近に燃料供給装置を配設すると共
   に、前記予熱原料シユートを分岐させ、一方の予
   熱原料シユートは燃料供給装置から仮焼炉内へ供
   給した燃料により形成される燃焼域に指向して予
   熱原料の一部を供給すべく前記仮焼炉側壁と抽気
   ダクト天井壁との接合部付近に接続すると共に、
   他方の予熱原料シユートは仮焼炉の横断面におい
   て前記燃料供給装置の配設位置から遠ざけて接続
   し、且つ前記予熱原料シユートの分岐部には燃焼
   域に指向して供給する予熱原料の量を調節するた
   めの分配弁を設置することを特徴とするセメント
   原料粉末用仮焼炉。 ２ 燃焼域に指向して供給する以外の予熱原料を
   仮焼炉の下方から上昇・流入する焼成炉排ガスに
   指向して供給すべく、分岐した他方の予熱原料シ
   ユートを仮焼炉下端の逆錐体状部またはその近く
   に接続することを特徴とする特許請求の範囲第１
   項に記載のセメント原料粉末用仮焼炉。