JPH023976Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、ラツクピニオン式ステアリングリン
ケージにおけるラツク軸とボールジヨイントの連
結部分に設けられるステアリングブーツシールに
関する。

（従来技術） 従来、ラツクピニオン式のステアリングリンケ
ージでは、ステアリング操作によるピニオンとの
噛み合いで軸方向に移動されるラツク軸の軸端
に、ボールジヨイント（インナージヨイント）を
ねじ込み、ナツトの締付けで抜け止めしており、
ボールジヨイントとラツク軸のハウジングとの間
に直線的な蛇腹構造をもつたブーツシールを装着
し、ボールジヨイントおよびラツク軸に対する水
やダストの侵入を防いでいる。

しかしながら、このような従来のステアリング
ブーツシールにあつては、ラツク軸側ハウジング
とボールジヨイントにブーツシールの両端を支持
固定しているため、ブーツシール中央の蛇腹部分
が自重で落ち込み、ラツク軸のハウジングとボー
ルジヨイントを抜け止めしているナツトとの間で
落ち込んだ蛇腹部を噛み込み、使用中に蛇腹部を
破損してしまうという問題があつた。

（考案の目的） 本考案は、このような従来の問題点に鑑みてな
されたもので、蛇腹部の落ち込みによる破損を確
実に防止する構造を備えた耐久性の高いステアリ
ングブーツシールを提供することを目的とする。

（考案の構成） この目的を達成するため本考案は、ボールシジ
ヨイント側蛇腹部とラツク軸側蛇腹部との軸心を
偏心して連設し、各蛇腹部の両端および蛇腹連設
部の夫々に締付け固定部を形成した構造とし、取
付け状態でボールジヨイント側に位置する蛇腹部
の上側の内部間隔を大きくできるようにしたもの
である。

（実施例） 第１図は本考案の一実施例を示した断面図であ
る。

まず構成を説明すると、１は本考案のブーツシ
ールであり、ブーツシール１の左側には軸芯線２
を中心としたラツク軸側蛇腹部３が形成され、こ
のラツク軸側蛇腹部３の右側に軸芯線２に対し下
側に偏心された軸芯線４を中心としたボールジヨ
イント側蛇腹部５が連設されている。

ラツク軸側蛇腹部３の左端にはラツク軸のハウ
ジングにブーツシール１を固定するための締付け
固定部６が一体に形成され、締付け固定部６の外
側にはクランプリングを嵌着するための環状溝７
が形成される。また、ボールジヨイント側蛇腹部
５の右端にはボールジヨイントのボールスタツド
に嵌め入れられる締付け固定部８が一体に形成さ
れ、締付け固定部８の外側にも同様にクランプリ
ングを嵌着するための環状溝９が形成される。更
に、ラツク軸側蛇腹部３とボールジヨイント側蛇
腹部５の蛇腹連設部にも円筒状の締付け固定部１
０が形成され、この締付け固定部１０はボールジ
ヨイントソケツトのソケツト外周部に嵌着され、
締付け固定部１０の外側に同様にクランプリング
を嵌着するための環状溝１１が形成されている。

このように、ラツク軸側蛇腹部３とボールジヨ
イント側蛇腹部５が偏心配置されたブーツシール
１において、締付け固定部６のＰ点と締付け固定
部８のＱ点を結んだ線がラツク軸軸芯線３０を与
え、ラツク軸側蛇腹部３はボールジヨイント側に
おいてラツク軸軸芯線３０に対する内部間隔が上
側で大きく下側で小さくなるようにしている。

第２図は第１図の−断面、即ち蛇腹連設部
を示した断面図であり、蛇腹連設部となる締付け
固定部１０の肉厚を円周方向で不均一となるよう
に形成している。

即ち、第２図の場合には締付け固定部１０の内
周１２に対し外周１３が上側に偏心され、下側の
肉厚Ｄ１に対し上側の肉厚Ｄ２を大きくしてい
る。この肉厚構造は第１図に示したようにラツク
軸軸芯線３０に対し締付け固定部１０の近傍とな
るラツク軸側蛇腹部３の上側の内部間隔が下側よ
り大きいため、締付け固定部１０における上側の
肉厚Ｄ２を大きくすることによりラツク軸軸芯線
３０に対し上側に大きく偏位したラツク軸側蛇腹
部３の自重による落ち込みを抑えるようにしてい
る。

第３図は第１，２図に示した本考案のブーツシ
ール１のステアリングリンケージに対する組付け
状態を示した断面説明図である。

即ち、ブーツシール１のラツク軸側蛇腹部３の
端部に形成した締付け固定部６をラツク軸１９の
ハウジング１６の端部に形成された嵌合溝１７に
嵌着し、クランプリング１８の嵌め込みにより締
付け固定する。一方、ボールジヨイント側蛇腹部
５は、ラツク軸１９の軸端にネジ込み固定されナ
ツト２６で抜け止めされたボールジヨイント２０
より取り出されたボールスタツド２１に締付け固
定部８を嵌め入れ、クランプリング２２の嵌着で
締付け固定し、更にボールジヨイント２０のソケ
ツト２３には嵌合溝２４が形成され、この嵌合溝
２４に蛇腹連設部に形成された締付け固定部１０
を嵌着し、同様にクランプリング２５の嵌め込み
により締付け固定している。

次に、作用を説明する。

第１図に示すようにラツク軸側蛇腹部３とボー
ルジヨイント側蛇腹部５を偏心して連設したブー
ツシール構造により、第３図に示す取付け状態に
おいて、ボールジヨイント２０側においてラツク
軸側蛇腹部３の内側の間隔が上側でＡ、下側でＢ
となり、下側の間隔Ｂに対し上側の間隔Ａを充分
に大きくし、ラツク軸側蛇腹部３の自重により落
ち込んでも内部間隔Ａが大きいことからボールジ
ヨイント２０を抜け止め固定したナツト２６の位
置までラツク軸側蛇腹部３が落ち込まず、ラツク
軸１９がハウジング１６に引き込まれてもハウジ
ング１６とナツト２６の間に蛇腹部を噛み込んで
破損してしまうことを確実に防止できる。

また、ボールジヨイント２０のソケツト２３に
締付け固定した締付け固定部１０の肉厚が、大き
な内部間隔Ａを与える上側で大きな肉厚が得られ
るようにしているため、間隔Ａを保つための支持
強度を充分に得ることができ、この肉厚の確保に
よりボールジヨイント側蛇腹部３の落ち込みを抑
えることができる。

一方、ボールジヨイント側蛇腹部については、
締付け固定部８と１０による固定でラツク軸側蛇
腹部３から分離独立され、ボールスタツド２１の
動きに対し自在に変形することができ、このボー
ルジヨイント側蛇腹部５の動きはラツク軸側蛇腹
部３に影響を及ぼさない。

また、ラツク軸側蛇腹部３から見てボールジヨ
イント側蛇腹部５は締付け固定部８及び締付け固
定部１０の２ヶ所で密封した二重シール構造が得
られるため、仮りにボールジヨイント側蛇腹部５
内に水やダストが浸入しても、締付け固定部１０
によりラツク軸１９側への水やダストの浸入を確
実に防ぐことができ、ラツク軸１９側のシール機
能を大幅に向上することができる。

尚、第２図では蛇腹連設部を形成する締付け固
定部１０の肉厚を内部間隔を大きくとる上側で厚
くするようにしているが、他の実施例として締付
け固定部１０に至るラツク軸側蛇腹部３の円錐部
１４，１５の上側の肉厚を下側の肉厚に比べて厚
くするようにしてもよい。

（考案の効果） 以上説明してきたように本考案によれば、ボー
ルジヨイント側蛇腹部とラツク軸側蛇腹部との軸
芯線を偏心して蛇腹部を連設し、各蛇腹部の両端
及び連設部の各々に締付け固定部を形成するよう
にしたため、ラツク軸側ハウジングとボールジヨ
イントとの間でブーツシールを固定支持したと
き、ブーツシール側となる蛇腹部の上側の内部間
隔を大きくとることができ、自重により蛇腹部が
落ち込んでもラツク軸の軸端にボールジヨイント
を抜け止め固定しているナツトとラツク軸側ハウ
ジングとの間に落ち込んだ蛇腹部を噛み込んで破
損してしまうことを確実に防止することができ、
ブーツシールの耐久性を大幅に向上することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示した断面図、第
２図は第１図の−断面図、第３図はブーツシ
ールの装着状態を示した説明図である。 １……ブーツシール、２，４……軸心線、３…
…ラツク軸側蛇腹部、５……ボールジヨイント側
蛇腹部、６，８，１０……締付け固定部、７，
９，１１……環状溝、１２……内周、１３………
外周、１４，１５……円錐部、１６……ハウジン
グ、１７，２４……嵌合溝、１８，２２，２５…
…クランプリング、１９……ラツク軸、２０……
ボールジヨイント、２１……ボールスタツド、２
３……ソケツト、３０……ラツク軸軸心線。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) ボールジヨイント側蛇腹部とラツク軸側蛇腹
   部との軸心線を偏心して連設し、前記各蛇腹部
   の両端および連設部の夫々に締付け固定部を形
   成したことを特徴とするステアリングブーツシ
   ール。 (2) 前記偏心された蛇腹連設部の肉厚を、円周方
   向で不均一としたことを特徴とする実用新案登
   録請求の範囲第１項記載のステアリングブーツ
   シール。