JPH0238217Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はガス機器における、２本の熱電対を使
用した不完全燃焼検知装置、特に２次熱電対の設
置構造に関する。

〔従来技術〕

内胴の上側に連続してフインチユーブ型の熱交
換器を設置すると共にこの内胴の下方内側にバー
ナを設けたガス湯沸器等のガス機器においては、
バーナの炎により直接加熱される１次熱電対と前
記内胴の内側のバーナから上方に離れた部分の燃
焼ガスにより加熱される２次熱電対を極性を互に
逆にして接続してなる不完全燃焼検知装置を設け
たものがあり、これは１次及び２次熱電対をバー
ナのガス供給路に設けた電磁弁に接続して使用す
るものである。正常な燃焼状態においては、１次
熱電対は高温の外炎により加熱され、一方２次熱
電対は炎により直接加熱されないので両熱電対の
熱起電力差は大となつて前記電磁弁を開状態に保
持し、また、室内空気の酸素分不足や熱交換器の
詰りなどにより空気量不足が生じて不完全燃焼状
態となればバーナの炎が伸びるので、１次熱電対
は低温の内炎の中に入り、一方２次熱電対には外
炎の先端が近づくので両熱電対の熱起電力差が減
少して前記電磁弁を閉じてガスを遮断するもので
ある。そして従来のこの種の不完全燃焼検知装置
においては、第３図に示す如く、２次熱電対５１
Ａは内胴１０の側面に設けた開口１より内胴１０
の内側に挿入してブラケツト２により固定してい
た。

〔考案が解決しようとする問題点〕

このような従来技術は、正常な使用状態におい
ては、第３図の矢印Ｘに示す如く空気が開口１よ
り流入して２次熱電対５１Ａは多少冷却されてい
るものであるが、ガス機器に風が当たるなどの外
乱を受けたりすると、内胴１０内の圧力が上昇し
て矢印Ｙに示す如く内部の燃焼ガスが開口１より
流出するようになることがあり、これにより２次
熱電対５１Ａの温度が上昇して誤作動の原因とな
るという問題があつた。また、ガス機器は地域等
により異なるガス種に対応してメインノズル等を
変更して使用するものであるが、このガス種の違
いにより内胴１０内の温度分布や圧力分布が変化
するので、不完全燃焼を適切に検知する為にはガ
ス種に応じて開口１の位置や２次熱電対５１Ａ先
端の温接点の位置を変更して適性な熱起電力を得
るようにする必要があり、このためにガス種に応
じて２次熱電対を多種類用意するかその取付位置
を調節しなければならないという面倒があつた。
本考案は、２次熱電対の設置構造を改良して、こ
のような問題を解決しようとするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

このために本考案によるガス機器の不完全燃焼
検知装置は、第１図及び第２図の実施例に示す如
く、内胴１０の上側に連続してフインチユーブ型
の熱交換器２０を設置すると共にこの内胴１０の
下方内側にバーナ１５を設け、このバーナ１５の
炎１６により直接加熱される１次熱電対５０と内
胴１０の内側のバーナ１５から上方に離れた部分
の燃焼ガスにより加熱される２次熱電対５１を極
性を互に逆にして接続してなるガス機器の不完全
燃焼検知装置において、熱交換器２０の上側に排
気フード１３を接続し、この排気フード１３の内
側と内胴１０の内側のバーナ１５から上方に離れ
た部分を接続する連通路３０を設けこの連通路３
０内に２次熱電対５１を設けると共に同連通路３
０にはその内部を流れる燃焼ガスの流量を調節す
る半固定式の流量調節装置４０を設けたことを特
徴とするものである。

〔考案の作用〕

内胴１０の内側と排気フード１３の内側を接続
する連通路３０を流れる燃焼ガスは正常な燃焼状
態においてはそれ程高温とはならないが、不完全
燃焼状態になれば炎が伸びてその先端が連通路３
０の入口に近ずくので高温となる。従つて、連通
路を流れる燃焼ガスにより加熱される２次熱電対
５１は、前述の従来技術と同様に、１次熱電対５
０と協働して不完全燃焼を検知する。本考案にお
いては、連通路３０の両端は内胴１０の内側と排
気フード１３の内側に接続されているので、ガス
機器に風が当たるなどの外乱による圧力変動は連
通路３０の両端に同様に作用し、その内部を通る
燃焼ガスの流れに影響を与えないので２次熱電対
５１の熱起電力に変動することはない。また、ガ
ス種の変更に対応する熱起電力の調節は流量調節
装置４０により連通路３０を通る燃焼ガスの流量
を調節して行なう。

〔考案の効果〕

上述の如く、本考案によれば、ガス機器に風が
当たるなどの外乱が加つても２次熱電対の熱起電
力が変動することがないので不完全燃焼を確実に
検知できると共に誤動作のおそれも少なく、また
ガス種の変更に対しては、部品交換又は取付位置
の調節などの必要がなくなり単に流量調節装置を
調整するのみにて対応することができるので面倒
がない。

〔実施例〕

第１図はガス湯沸器における本考案の一実施例
を示す、ガス湯沸器のカバー（図示せず）内に位
置する中空の内胴１０の上側には熱交換器２０
が、更にその上側には排気フード１３が連続して
設けられ、内胴１０の下方の内側にはバーナ１５
が設けられている。熱交換器２０は複数回180度
折曲してなる水管２１とこれと直交する方向に互
に平行に延びる多数の薄板状のフイン２２をろう
付け等により一体に結合してなるフインチユーブ
型のものであり、水管２１の一端には内胴１０の
外面に接して巻回された給水管１１が接続されて
予熱された給水が供給され、水管２１の他端には
加熱された給水を送り出す給湯管１２が接続され
ている。なお、排気フード１３の先には必要に応
じて排気フアン（図示せず）を設けてもよい。

第１図に示す如く、内胴１０と排気フード１３
には、熱交換器２０を迂回して両者１０，１３の
内側を接続する連通路３０を設ける。連通路３０
は連結管３１とジヨイント管３２よりなる。連通
路３０への燃焼ガス入口であるジヨイント管３２
は、一体のフランジ３２ｃを介して、バーナ１５
から上方に離れた内胴１０の中央部附近にねじ止
め固定されている。また、連結管３１の上端は一
体のフランジ３１ａを介して排気フード１３にね
じ止め固定され、その下端はジヨイント管３２の
内孔３２ａ内に嵌合されている。

第１図の実施例においては、ジヨイント管３２
内に半固定式の流量調節装置４０を設ける。流量
調節装置４０は、ジヨイント管３２の内孔３２ａ
の段部３２ｂに当接して止め環４２により着脱可
能に取り付けられる小円板４１よりなる。この小
円板４１は異なる径のオリフイス４１ａを有する
複数種類のものを用意し、この小円板４１を取り
替えることにより流通抵抗を変えて、連通路３０
内を流れる燃焼ガスの流量を調節するものであ
る。

第１図に示す如く、ジヨイント管３２には小円
板４１と連結管３１の間に２次熱電対５１を半径
方向より挿入し、その先端の温接点をジヨイント
管３２の中心附近に位置せしめて固定する。ま
た、１次熱電対５０は、バーナ１５の正常な燃焼
状態において、その先端の温接点の炎１６が外炎
内に位置するように取り付け固定する。１次及び
２次熱電対５０，５１はその極性を互に逆にして
直列接続され、バーナ１５のガス供給路１７に設
けられた電磁弁５２の励磁コイル５２ａに接続さ
れている。

次に上記第１実施例の作動につき説明する。バ
ーナ１５よりのガスに点火すれば燃焼ガスの大部
分は内胴１０の内部から熱交換器２０を通つて排
気フード１３に抜け、給水管１１よりの給水を加
熱する。これと同時に燃焼ガスの一部分は内胴１
０の内側より熱交換器２０と並列に設けられた連
通路３０内を流れて排気フード１３の内側に抜
け、この一部分の燃焼ガスが２次熱電対５１の温
接点を加熱する。また、バーナ１５の炎１６は１
次熱電対５０の温接点を直接加熱する。正常な燃
焼状態においては、１次熱電対５０の温接点は炎
１６の外炎により高温に加熱されて高い熱起電力
を発生し、一方連通路３０内を流れる燃焼ガスは
炎１６より離れているので２次熱電対５１の温接
点はそれ程高温とはならず発生する熱起電力も小
さい。従つて両熱電対５０，５１の熱起電力の差
は大となるので、ガス供給路１７に設けられた電
磁弁５２の励磁コイル５２ａには充分大なる励磁
電流が与えられ、電磁弁５２は開状態に保持され
る。しかしながら、ガス機器周囲の空気の酸素分
不足や熱交換器２０の詰りなどにより空気量不足
が生じて不完全燃焼状態となればバーナ１５の炎
１６が延びるので１次熱電対５０の温接点は低温
の内炎の中に入つて温度が低下し、一方炎１６の
先端が連通路３０の入口であるジヨイント管３２
に近ずくので連通路３０内を流れる燃焼ガスの温
度が上昇し、２次熱電対５１の温接点の温度が上
昇する。従つて両熱電対５０，５１の熱起電力の
差は小となるので励磁コイル５２ａに与えられる
励磁電流は減少し、電磁弁５２が閉じられてバー
ナ１５へのガスは遮断され、不完全燃焼が防止さ
れる。

使用するガス種が変れば内胴１０内の温度分布
や圧力分布も変化し、従つて２次熱電対５１の加
熱状態も変化するが、小円板４１をオリフイス４
１ａ径が異なるものと取り替えることにより連通
路３０内を流れる燃焼ガスの流量を調節して２次
熱電対５１の加熱状態を調節し、適正な熱起電力
が得られるようにする。

また、ガス機器に風が当るなどの外乱を受けて
も、連通路３０の両端はそれぞれ内胴１０と排気
フード１３の内側に接続されているので外乱によ
る圧力変動は連通路３０の両端に同様に作用し、
従つて連通路３０内を流れる燃焼ガスの流通状態
に影響を与えることはないので２次熱電対５１の
加熱状態が変ることはなく、熱起電力が変動する
こともない。

第２図に示す第２実施例は、連通路３０と流量
調節装置４０の構造と第２熱電対５１の取付位置
が第１実施例と相違するのみである。連通路３０
は連結管３５ａ，３５ｂと筒部材３６とジヨイン
ト管３７とユニオンねじ３８よりなる。有底の筒
部材３６の円筒壁の対向位置には１対の開口３６
ａが設けられ、各開口３６ａを囲んで連結管３５
ａ，３５ｂの一端がそれぞれ溶接されている。バ
ーナ１５から上方に離れた内胴１０の中央部附近
には燃焼ガスの流入口となるジヨイント管３７が
かしめ等により固定され、また排気フード１３に
はユニオンねじ３８がねじ止め固定されている。
一方の連結管３５ａの他端をジヨイント管３７の
内周に嵌合すると同時に他方の連結管３５ｂの他
端はガスケツト３８ｂを介してリングナツト３８
ａによりユニオンねじ３８に締付固定され、かく
して熱交換器２０と並列に内胴１０と排気フード
１３の内側を接続する連通路３０が形成される。

第２実施例においては、半固定式の流量調節装
置４０は、筒部材３６の内周面に嵌合され開口３
６ａと対応する１対の開口４５ａを有する有底筒
状の調節部材４５よりなる。調節部材４５はつま
み４６により筒部材３６に対し回動して開口３６
ａと４５ａの重合工合を変えて連通路３０内を流
れる燃焼ガスの流量を調節した後、押ねじ（図示
せず）等により筒部材３０に対し固定されるもの
である。筒部材３６内には２次熱電対５１を同軸
に挿入してその先端の温接点を連通路３０の中心
附近に位置せしめて固定する。２次熱電対５１は
連通路３０内を流れる燃焼ガスにより加熱されて
作動するものであり、その作動については前述の
第１実施例と同じである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による不完全燃焼検知装置の一
実施例を備えたガス湯沸器の一部を破断した正面
図、第２図は他の実施例の要部の断面図、第３図
は従来技術の第２図相当図である。 符号の説明、１０……内胴、１３……排気フー
ド、１５……バーナ、１６……炎、２０……熱交
換器、３０……連通路、４０……流量調節装置、
５０……１次熱電対、５１……２次熱電対。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 内胴の上側に連続してフインチユーブ型の熱交
   換器を設置すると共にこの内胴の下方内側にバー
   ナを設け、このバーナの炎より直接加熱される１
   次熱電対と前記内胴内側のバーナから上方に離れ
   た部分の燃焼ガスにより加熱される２次熱電対を
   極性を互に逆にして接続してなるガス機器の不完
   全燃焼検知装置において、前記熱交換器の上側に
   排気フードを接続し、この排気フードの内側と前
   記内胴の内側の前記バーナから上方に離れた部分
   を接続する連通路を設けこの連通路内に前記２次
   熱電対を設けると共に同連通路にはその内部を流
   れる燃焼ガスの流量を調節する半固定式の流量調
   節装置を設けたことを特徴とするガス機器の不完
   全燃焼検知装置。