JPH0236854B2 - Kaatsushikishokyakusetsubi - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は焼却炉内を大気圧よりも高圧に保つて
塵埃の焼却が出来る焼却設備に関するものであ
る。

（従来の技術） 従来の塵埃焼却設備は、焼却炉に集塵機及び排
風機を連繋して構成され、炉内を負圧に保つて焼
却を行なつている。炉内を負圧に保つ理由は、燃
焼時に炉内で発生する煤塵を含む燃焼ガスが、投
入口及び灰出口の〓間から大気に洩れ出ることを
防止するためであつて、通常は炉内を約−20mm
Aqの負圧に維持して稼働している。

焼却炉から燃焼ガスの洩出を防ぐため、投入部
と灰出口には夫々シールが施されているが、投入
部は塵埃投入の都度、扉を解放するから燃焼ガス
の多少の洩出は不可避である。

又、灰出口には耐熱パツキンを配備して扉と密
着させて灰出口をシールし、耐熱パツキンは一応
1000℃までの耐熱性を有すとされているが、実際
には300℃くらいに熱せられると、扉の開閉毎に
パツキンの繊維が扉内面に付着して減少してゆき
シールは早期に壊れて、外気は炉内へ自由流入し
た。

（解決しようとする問題点） 周知の如く、集塵機の集塵力を強力にすればす
る程、燃焼ガスが集塵機を通過する際の抵抗が大
きく、排風機には強力なものが要求される。

又、燃焼ガスは高温となつて著しく体積膨張し
ており、更にベンチユリースクラバーの様に水を
用いて集塵を行なう場合、発生した水蒸気体積が
燃焼ガス体積に加わつて、通過気流の体積は増え
る。

上記の理由から排風機は炉の大きさに対して設
計限度に近い大容量のものが設置されているが、
集塵機能力をフルに発揮させるために必要とされ
る800mmAq以上の負圧を発生させるには、未だ容
量不足である。

更に、燃焼ガスは高温でしかも腐食成分を含ん
でおり、排風機はこの過酷な条件のもとで使用で
きる様、耐腐蝕性の高価な金属材料を用いて製造
されているが、それでも耐用年数は２〜３年と短
寿命であり、ランニングコストを高める一因であ
つた。

（問題点を解決する為の手段） 本発明は炉の投入部及び灰出口に燃焼ガスの洩
れを完全に防止するシールを施し、大形押込みフ
アンによつて炉内に空気供給し、炉を大気圧以上
の高圧に維持して燃焼させることにより、燃焼効
率を高め、しかも排風機を省略或は小型化するこ
とが出来、前記問題を解決出来る焼却設備を明ら
かにするものである。

本発明の焼却設備は、焼却炉１に大形押込みフ
アン５及び該炉の下流側に集塵機７を連繋し、炉
の投入部２に内蓋２１と外蓋２２の２重蓋を設
け、両蓋２１，２２の間の投入空間２３に圧縮空
気供給管２４を開口し、炉の灰出口３の周囲又は
該灰出口の扉の内面外周の何れか一方に灰出口３
を一周して周溝３０を形成し、他方に該周溝３０
を塞ぎ周溝との間に環状空間３４を形成する耐熱
パツキン４１を装着すると共に該環状空間３４に
圧縮空気送気管３３を開口して、炉内を高圧に維
持すると共に環状空間３４は炉内圧より更に高圧
に維持して燃焼を行なうものである。

（作用及び効果） 塵埃を炉内に投入する際は、外蓋２２と内蓋２
１を交互に開閉し、焼却時は両蓋を閉じる。この
状態で圧縮空気供給管２４から、投入空間２３に
圧縮空気を充満させ炉内よりも高圧を維持するこ
とにより、投入部２からの燃焼ガスの洩れを防止
出来る。

灰出口３の扉４を閉じた状態にて、炉１と扉４
との間に形成される環状空間３４に圧縮空気を充
満させて該空間３４を炉内よりも高圧に維持する
ことにより、灰出口３からの燃焼ガスの洩れを防
止出来る。

上記の様に炉内の燃焼ガスの洩れは防止出来る
ため、押込みフアン５によつて炉内へ空気供給
し、炉内を大気圧よりも高圧状態に維持して燃焼
を行なうことが出来る。炉内の燃焼ガスは高圧気
流となつて集塵機７側に流れ、従来の様に負圧の
炉内の燃焼ガスを大容量の排風機８によつて集塵
機７側に吸引する必要はなく、排風機８を省略出
来る。押込みフアン５は大気圧の外気を流通させ
ているから、空気の比重量は大きく、腐蝕成分は
含んでおらず、同一空気重量に対してフアンは小
型化し、更にフアンの寿命は著しく延長される。
又フアンは通常の安価な金属で製造出来、従来の
ような高級耐腐蝕合金を使う必要はない。

灰出口３に装着した耐熱パツキン４１は圧縮空
気送気管３３からの圧縮空気によつて冷却される
ため、パツキンに対する炉内の高温熱影響が緩和
され、パツキン寿命を延長出来る。

しかも、燃焼は加圧状態に行なわれるから、従
来の負圧燃焼の場合と較べて燃焼効率は向上す
る。

（実施例） 第１図は焼却設備を示しており、焼却炉１に大
容量の押込みフアン５を連繋し、炉の下流側に２
次燃焼室６及び３次燃焼室６１を設け、更に３次
燃焼室６１の下流側に煙道６２、ベンチユリース
クラバー６３を介してサイクロン集塵機７を連繋
し、該集塵機７には煙突９を接続している。

押込みフアン５は1000〜2000mmAqの圧力で炉
内に新鮮空気を供給する能力を有しており、送気
管５１は炉体の底中央を通過し、両側へ枝管５２
を出して、ロストル１２の下方から空気を流出さ
せている。

焼却炉１は内面にセラミツクボード、シリカボ
ード等の断熱材１０と耐火材１１が２層に内張り
されている。

焼却炉１には上面に筒状の塵埃投入部２が突設
され、炉の側面下部に複数の灰出口３が設けられ
る。

第２図の如く、投入部２には上面開口に外蓋２
２、下面開口に２枚が１組みとなつた内蓋２１が
取り付けられ、外蓋２２は一端が枢軸２５に止め
られ、各内蓋２１，２１は夫々外端が枢軸３５，
３５によつて回転可能に支持され、外蓋２２は上
方に開き、内蓋２１，２１は下方に開く。

外蓋２２及び内蓋２１には夫々別個に開閉する
開閉装置（図示せず）が連繋されている。

外蓋２２の下面外周にはスポンジ製のシール部
材２６が装着され、該蓋を閉じたとき、シール部
材２６が投入部２の上端縁に密接する。

投入部２の下端面には内蓋２１に密接可能な耐
熱パツキン材２７が装着されている。

投入部２には外蓋２２と下蓋２１との間の投入
空間２３に連通する圧縮空気供給管２４が開口し
ている。

塵埃を炉内に投入する際は、外蓋２２と内蓋２
１を交互に開閉し、焼却時は両蓋を閉じ、この状
態で圧縮空気供給管２４から投入空間２３に圧縮
空気を充満させて、炉内よりも高圧を維持するこ
とにより燃焼ガスの洩れを防止する。

第３図の如く、灰出口３は外周部に灰出口３を
囲んで２重の周壁３１，３２が外向きに突設さ
れ、壁３１，３２の間に周溝３０が形成されてい
る。

炉壁を貫通して配設された圧縮空気送気管３３
が上記周溝３０の底に開口している。

灰出口３の扉４は一端が回転自由に支持され、
内面に断熱材１０と耐火材１１が２層に内張りさ
れている。

扉の内面外周部には前記炉の２重壁３１，３２
との対向位置に２列に環状の溝条４２，４２を形
成し、該溝条４２，４２に耐熱繊維製のパツキン
４１，４１を装着している。

扉を閉じた状態で内外の周壁３１，３２にパツ
キン４１が密接して環状空間３４が形成される。

前記圧縮空気送気管３３から環状空間３４に圧
縮空気を充満させて炉内よりも高圧に維持するこ
とにより、燃焼ガスの洩れを防止出来る。

上記の如く焼却炉１の投入口２及び灰出口３を
燃焼ガスの洩れが生じない様に完全にシールする
ことが出来るため、焼却設備を稼働する際、大形
の押込みフアン５によつて大量の新鮮空気を炉内
に供給して炉内を外気よりも高圧状態、実施例で
は＋250mmAqに維持して燃焼を行なうことが出来
る。

炉内で発生する燃焼ガスは炉内が大気圧よりも
高圧であるため、集塵機７側に自然に流れ、従来
の様に負圧の炉内の燃焼ガスを大容量の排風機に
よつて集塵機７側に吸い込む必要はなく、排風機
を省略出来る。

従つて焼却設備全体を小形化出来る。

又、灰出口３の扉４に装着した耐熱繊維パツキ
ン４１は圧縮空気送気管３３からの圧縮空気によ
つて冷却され炉内の高温熱影響が緩和され、寿命
を延長出来る。

仮に、パツキン４１が扉の高熱を受けて変質し
壊れるとしても、それは２列のパツキンの中、よ
り高い温度分布の影響を受けている炉室に近い方
のパツキンである。従つて仮令内側のパツキンが
壊れても環状空間３４を充満していた空気が炉内
へ流入するだけで、燃焼ガスが外部へ流出するこ
とは起こらない。

尚、集塵機７の集塵効果を更に高めるため、容
量及び静圧の小さい補助排風機を集塵機に付設し
ても可い。

燃焼中に塵埃を投入する際に投入部２の外蓋２
２と内蓋２１を交互に開閉して、一時的に投入部
のシール効果が半減するため、炉の燃焼ガスが投
入口から洩れやすいが、上記の様に補助排風機を
付設すると、炉内の燃焼ガスは集塵機側に強制的
に導かれるため、投入口からの洩れを無くするこ
とが出来る。

本発明に於ては、炉内に取り入れる空気量は、
押込みフアン５の運転を制御するだけで調節でき
るから、燃焼速度は押込フアンの運転調節によつ
て完全に制御できる。従つて制御燃焼の一例とし
て、炉内に塵埃を充満させ、空気量は絞つて供給
することにより、炉内に充満していた塵埃を４〜
８時間かけ、徐々に燃焼することが可能となつ
た。従来は負圧燃焼であるから、投入部、灰出口
から外気が自由に炉内に流入し、塵埃をたちまち
燃焼させるため、燃焼速度の調節は出来ず、塵埃
投入は約45分毎に少量ずつ分けて行なつているか
ら設備の頻繁な運転と作業者の手間が掛かつた
が、本発明は従来の問題を解決し、負圧燃焼では
期待できない特殊な燃焼方式が可能である。

本発明は上記実施例の構成に限定されることは
なく、特許請求の範囲に記載の範囲で種々の変形
が可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は焼却設備の全体図、第２図は第１図
−線に沿う断面図、第３図は投入部の断面図で
ある。 １……焼却炉、２……投入部、２１……内蓋、
２２……外蓋、２４……圧縮空気供給口、３……
灰出口、３１……外蓋、３２……内蓋、３４……
環状空間、４……扉、５……押込みフアン、７…
…排風機。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 焼却炉１に大形押込みフアン５及び該炉の下
   流側に集塵機７を連繋し、炉の投入部２に内蓋２
   １と外蓋２２の２重蓋を設け、両蓋２１，２２の
   間の投入空間２３に圧縮空気供給管２４を開口
   し、炉の灰出口３の周囲又は該灰出口の扉の内面
   外周の何れか一方に灰出口３を一周して周溝３０
   を形成し、他方に該周溝３０を塞ぎ周溝との間に
   環状空間３４を形成する耐熱パツキン４１を装着
   すると共に該環状空間３４に圧縮空気送気管３３
   を開口し、押込みフアン５による炉内への外気供
   給によつて炉内を大気圧よりも加圧状態で燃焼を
   行なうことを特徴とする加圧式焼却設備。 ２ 集塵機７の下流側に容量及び静圧の小さい排
   風機８を連繋している特許請求の範囲第１項に記
   載の加圧式焼却設備。 ３ 焼却炉１と集塵機７の間に２次燃室６を設け
   ている特許請求の範囲第１項又は第２項に記載の
   加圧式焼却設備。