JPS6238221Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、包囲体もつアーク炉設備に関する。

近年のエネルギー事情、及び作業環境の整備、
公害発生に対する規制は一段と厳しくなり、製鋼
用アーク炉はいずれをとつても厳しい環境にあ
る。

一般の製鋼工場においては、アーク炉等の設備
全体を建屋で覆うようにしており、公害発生防止
のために、建屋内全体を吸引することにより、製
鋼工場等においては多数設けられている開口部か
ら塵埃や煙が外部に漏出するのを防止するように
している。しかしながら、建屋内容積は大きく、
しかも多数の開口部からの煙以外の大量の空気を
吸込むために、大量の風量をもつ大型のブロワを
設置する必要がある。また、前記建屋内において
一般の操業が行われるために、アーク炉から発生
する騒音によつて難聴者の職業病を生むと共に、
前記塵埃、煙等による作業環境の著しい悪化を来
している。

また、スクラツプの溶解中にはアーク炉から非
常に高温のガスが発生し、この高温ガスを排気す
るためには爆発の危険性を防止するため燃焼塔に
て燃焼させた後、バグフイルターの保護のために
冷却を必要としているが、近年のエネルギー事情
から、この排ガスをスクラツプの予熱に利用する
ことが考えられており、溶解の電力原単位を下げ
生産コストを低下できる点で注目されている。

しかし、予熱するスクラツプには油等が含まれ
ているために、予熱中に発生するガスは不完全燃
焼状態或いは気化されて著しい悪臭を伴つた白煙
状態で発生し（スクラツプが比較的高温となつた
時期に発生する）、これが外部に排出されると大
気或いは作業環境を汚染することになるため、重
要な問題としてクローズアツプされている。また
不完全燃焼ガスを外部に放出するのはエネルギー
の損失と共に爆発の危険性を伴う。

このため、最近ではアーク炉からバイパスライ
ンを設けて予熱後に発生する不完全燃焼ガスを加
熱して燃焼させる方法が採られているが、これに
しても完全には白煙や悪臭を消すには至つておら
ず、またバイパスラインを設けたことにより予熱
装置の熱効率が低下するために非常に不経済とな
る問題がある。

また更に、上記したような問題を解決するため
に、予熱後のガスを再び炉内に導いて燃焼させる
方法が考えられているが、この際導入された予熱
後ガスによつて炉内が加圧されると、前記原料投
入時における大量の塵埃、煙の発生以外に、通常
の操業時にもアーク炉からオーバーフローにより
漏煙して第二次公害を生じ易く、またこの第二次
公害を防止するためには炉内圧を負圧にして操業
しなければならないが、そうした場合には、 (イ) アーク炉周囲の冷空気が炉内に導かれるため
に電極の消耗が早い。

(ロ) アーク炉内に冷空気が導かれるためにスクラ
ツプの予熱効率が低下する。

(ハ) 溶解時間が長くなるために炉の稼動率が低下
する。

(ニ) 電力原単位が増大する。

等の問題が生じる。

本考案は、こうした点に鑑み、アーク炉からの
排ガスを予熱槽に導いて予熱を行つた後のガス
を、アーク炉の除滓ドア及び出鋼樋の近傍位置に
放出させることにより、該放出ドアをアーク炉の
ドラフト効果によつてアーク炉内に吸引させて燃
焼を行わせ、電力原単位の低下、公害問題の発生
防止を図ることを目的とする。

以下図面に基づき本考案の実施例を説明する。

第１図〜第４図は本考案の一例を示すもので、
アーク炉１の側部近傍位置において、予熱槽２の
上側に接続し得るようにした予熱槽蓋３、及び予
熱槽２の下部に一体に設けた予熱槽シールカバー
４に接続し得るようにした下部シールカバー５を
設け、例えばレール６上等に支持された予熱槽２
を、上記予熱槽蓋３と下部シールカバー５間位
置、及び炉蓋７を外した状態のアーク炉１上部位
置に移動できるようにしている。

また、前記アーク炉１の除滓ドア８付近の両側
及び出鋼樋９付近に排ガス放出フード１０，１１
を設け、該排ガス放出フード１０，１１の夫々を
流量調整ダンパー１２，１３を有した分岐管１
４，１５を介して排気ダクト１６に接続し、該排
気ダクト１６を排気フアン１７及び集塵機１８を
介して下部シールカバー５に接続する。また前記
炉蓋７と予熱槽蓋３との間を直引エルボ１９を有
した吸引ダクト２０にて接続する。図中２１は排
気ダクト１６の排気フアン１７下流に分岐し流量
調整ダンパー２２を有した放煙管を示す。

更に、前記したアーク炉１、ダクト１６，２
０、予熱槽蓋３及び下部シールカバー５とその間
に位置し且つアーク炉１の上部まで移動できる予
熱槽２のすべてを最小限の容積で気密に包囲する
包囲体２３を設ける。該包囲体２３の上部には、
集塵口２４を介して図示しない集塵機に連通する
集塵フード２５を設け、また側部には、前記予熱
槽２がレール６に沿つて包囲体２３の内外に移動
できるように、ドア２６によつて常時は閉塞され
ている通過口２７を設ける。

次に作用を説明する。

包囲体２３の外部においてスクラツプを装入さ
れた予熱槽２は、レール６に沿い通過口２７から
包囲体２３内に移動された後、上側を予熱槽蓋３
に接続され、下側の予熱槽シールカバー４が下部
シールカバー５に接続される。

この状態で排気フアン１７を駆動すると、アー
ク炉１内の高温排ガスは吸引ダクト２０により吸
引され、予熱槽２内に導かれてスクラツプを予熱
する。また予熱を行つたガスは、排気ダクト１６
を介して集塵器１８に導かれダストの除去が行わ
れた後、排気フアン１７により排ガス放出フード
１０，１１に導かれる。排ガス放出フード１０，
１１から放出される予熱後ガスは、除滓ドア８付
近及び出鋼樋９付近にガスのカーテンを形成し、
従つて除滓及び出鋼のためにアーク炉１が開口し
ても周囲の冷空気を阻止し熱風のみをドラフト効
果により炉内に吸引して燃焼させることになるの
で、予熱後ガスの悪臭を熱分解させ、エネルギー
としても使用できることから電力の原単位を下げ
ることができる。また出鋼樋９の上面に高温のガ
スを放出することは樋９のレンガを温めることに
なるので、出鋼時の湯の温度を低下させにくくす
る利点がある。

一方、包囲体２３内に予熱槽２を収納し得るよ
うにしているので、予熱槽２からの排ガスを常に
排ガス放出フード１０，１１から放出させる必要
はない。なぜなら、常にアーク炉１に排ガスを導
くようにすると炉内がオーバーフローすると共に
多量のO₂が必要となる。従つて悪臭を伴つた白
煙が発生するピークがあるので、必要に応じて
（予熱槽２内のスクラツプが比較的高温となつた
とき白煙が生じるのでこのとき）流量調整ダンパ
ー２２，１２，１３を連動調整し、アーク炉１に
導入するようにする。このように包囲体２３の内
部に予熱槽２を設けてアーク炉１の排ガスを導く
ことから、スクラツプの予熱による熱の回収と共
に排ガス温度を下げて設備の寿命を延長させるこ
とができる。

また、前記したように、アーク炉１及び予熱槽
２を包囲体２３で包んでいるので、少量の白煙及
び悪臭は包囲体２３内に放出されることになる
が、周囲の空気によつて希釈され、更に集塵フー
ド２５から吸引されて図示しない集塵機を経た
後、大気に希釈されるので、害を生じるようなこ
とはない。

尚、本考案は上記実施例にのみ限定されるもの
ではなく、予熱槽本体を包囲体内に対して入出さ
せるための方式は図示以外の種々の方式を採用し
得ること、予熱位置に位置された予熱槽本体内に
包囲体外部から直接スクラツプを装入する方式を
採用しても良いこと、排ガス放出フードの形状は
種々変更し得ること、その他本考案の要旨を逸脱
しない範囲内において種々変更を加え得ること、
等は勿論である。

上述した本考案の包囲体をもつアーク炉設備に
よれば、次のような優れた効果を奏し得る。

(i) 予熱後ガスをアーク炉の除滓ドア及び出鋼樋
等の開口近傍に放出させるようにしていること
により、アーク炉内にはドラフト効果によつて
予熱後ガスが吸引され冷空気の侵入が阻止され
るので、スクラツプ溶解時間の短縮による稼動
率の向上、電極の消耗の低減、排ガスの温度上
昇によるスクラツプ予熱効率の向上、電力原単
位の低下が図れる。

(ii) 予熱後ガスの未燃成分を燃焼させて熱エネル
ギーとして回収できる。

(iii) 予熱後の悪臭を伴つた白煙をアーク炉に導い
て燃焼させることにより外部への漏出を防止し
て公害問題の発生を防止し得る。

(iv) 出鋼樋を予熱後ガスの放出によつて温めるこ
とにより、出鋼時の湯の温度低下を防止でき
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す全体概略説明
図、第２図は第１図におけるアーク炉部分の側面
図、第３図は第２図の方向矢視図、第４図は第
２図の平面図である。 １はアーク炉、２は予熱槽、８は除滓ドア、９
は出鋼樋、１０，１１は排ガス放出フード、１
２，１３，２２は流量調整ダンパー、１６は排気
ダクト、１７は排気フアン、２０は吸引ダクト、
２１は放煙管、２３は包囲体を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上部に開閉可能な炉蓋を有し且つ下側に除滓ド
   ア及び出鋼樋等の開口を有したアーク炉と、上部
   に開閉可能な予熱槽蓋を有し且つ下部外周に開閉
   可能なシールカバーを有した予熱槽を包囲体内に
   収容し得るようにしたアーク炉設備において、前
   記炉蓋と予熱槽蓋との間を直引エルボおよび吸引
   ダクトにより接続すると共に、前記アーク炉にお
   ける除滓ドア及び出鋼樋等の開口近傍位置に排ガ
   ス放出フードを設け、該排ガス放出フードを、前
   記予熱槽下部のシールカバーに、排気フアンを有
   した排気ダクトを介して接続したことを特徴とす
   る包囲体をもつアーク炉設備。