JPH023650B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、特に熱交換器の製造において、管板
の穴へ遊隙をおいて管を挿入し、圧力媒体により
液圧で少なくとも一端を拡管して管板へ押付け、
端縁範囲で管板に取付け特に溶接し、管板の間に
取付けられる管に、後の運転状態を考慮する応力
状態を生ずる手段を施す、２つの管板の間に直線
管を圧力漏れなく取付ける方法に関する。更に本
発明はこの方法を実施する装置に関する。

〔従来の技術〕

ドイツ連邦共和国特許第2456811号明細書から、
前述した種類の２つの管板の間に直線管を圧力漏
れなく取付ける方法が公知である。この公知の方
法では、管板の範囲における管端部の液圧拡管に
続いて、両管板の間にある管の所定の応力状態を
生ずるため、少なくとも１つの管板の拡管される
範囲で、管の付加的なロール掛けが行なわれ、そ
れにより後の運転状態で管の過大負荷が生じない
ようにする。

この公知の方法では、個々の管の応力状態が極
めて精確に規定されるが、付加的なロール掛けは
かなりの労働費と時間を要する。

〔発明が解決しようとする問題点〕

本発明の基礎となつている課題は、公知の方法
を簡単化し、２つの管板の間に取付けられる管の
所定の応力状態を、管板へのその取付けにより１
つの方法段階で生ずることである。

〔問題点を解決するための手段〕

この課題を解決するため本発明によれば、まず
各管の一方の端部を一方の管板の穴に取付け、続
いて管に生ずべき初応力に応じて各管を加熱し、
加熱の結果生ずる部分長だけ、取付けられない端
部を他方の管板から押出し、管の常温状態と加熱
状態との間の所定の長さ差に達した際、他方の管
板内にある部分の範囲で管の他方の端部を液圧で
拡管し、続いて管板から突出する端部範囲で管板
に溶接する。

〔発明の効果〕

この本発明による方法によつて、付加的な作業
過程なしに、管の液圧拡管及び他方の管板への取
付け前に各管の適切な加熱により、所定の応力状
態が生ずる。すべての管が管板の間に挿入されて
冷却されると、この応力状態が自動的に生ずる。
個々の管の順次行なわれる挿入中に、個々の管に
異なる応力状態が生ずることがあるが、製造過程
の終了後所定の値に変化する。なぜならば、この
値は管板の間に設けられる管の全体数とこれによ
り生ずる管板の変形とに関係しているからであ
る。

本発明による方法の別の利点は、管端部が前も
つて液圧拡管により管板に対して固定されている
ので、一方の管板への一方の管端部の最初の取付
けだけでなく、他方の管板への他方の管端部の溶
接も、取付け範囲における応力の存在なしに行な
われることである。その結果全溶接継目を問題な
く形成することができる。更に溶接継目は困難な
しに検査可能である。

液圧拡管により生ずる管板への管のはまり合い
を改善するために、本発明の別の特徴によれば、
管板の穴の範囲に凹所を形成して、保持力を高め
るため管をこの凹所内へ拡管することができる。

管の急速かつ精確な加熱は、本発明によれば、
既に一方の管板に取付けられている管端部へ熱カ
ートリツジを導入することにより行なわれる。

本発明の展開では、管の加熱の結果生ずる伸び
を液圧拡管過程の制御信号として利用することが
提案される。これにより本発明による方法の実施
が簡単化され、作業員の間違いがなくなる。

本発明の好ましい実施態様では、管板からの管
の突出部を包囲する付加的な管スリーブを介し
て、少なくとも管板の所で管を管板に溶接するこ
とができる。管の挿入前に一端を管板に溶接され
るこの付加的な管スリーブにより、管端部と管板
との間に溶接継目を設けるのが簡単になり、この
溶接継目は管板に対して管を固定するのに役立つ
だけでなく、管と管板との確実な密封を保証す
る。

本発明による方法を実施する装置は、それぞれ
拡管すべき管へ導入可能な拡管探査子を使用し、
この拡管探査子が、間隔をおいて円柱状探査子本
体に設けられる少なくとも２つの密封環により、
拡管すべき管部分と共に環状空間を形成し、弁の
開放後拡管のため環状空間が圧力媒体源から供給
される圧力媒体の作用を受ける。

このような装置において、管の加熱により管端
部がそれぞれ所定の長さ差だけ管板の端面から押
出される時、それぞれの管端部を直ちに拡管する
ため、本発明によれば、加熱のため伸びる管の端
縁により操作可能な弁用開閉器が、環状空間への
圧力媒体供給のため、拡管探査子に設けられてい
る。

拡管探査子の本発明による構成により、それぞ
れ拡管すべき管へ円柱状探査子本体を導入し、か
つこの管を適当に加熱した後、液圧拡管過程が自
動的に行なわれる。即ち加熱のため伸びる管は、
拡管探査子に設けられる開閉器を介して、間隔を
おいて円柱状探査子本体に設けられている少なく
とも２つの密封環により軸線方向に区画される環
状空間へ圧力媒体源から圧力媒体を導く弁を開
く。従つて作業員は温度や長さ差の測定を行なう
必要がなく、拡管探査子が拡管すべき管を持つ管
板に規則正しく止められるように考慮しさえすれ
ばよい。

好ましい実施態様では、開閉器が円柱状探査子
本体を同心的に包囲するストツパ環を含んでい
る。拡管探査子の軸線方向にとつたストツパ環と
管板又は拡管すべき常温管の端縁との間隔は、所
定の長さ差に応じて調節可能である。この調節
は、異なるストツパ環の交換によるか、又は円柱
状探査子本体を包囲するハウジングのストツパ面
に対するストツパ環の移動により、行なうことが
できる。

本発明による装置の好ましい実施態様では、管
板に当る拡管探査子のストツパ面が、円柱状探査
子本体の軸線方向に移動可能なハウジング環によ
り形成され、このハウジング環の内部空間に開閉
器のストツパ環が設けられている。こうしてそれ
ぞれの管板内の密封環の規則正しい位置が、場合
によつては拡管すべき管又は介在される管スリー
ブの所定の突出を考慮して調節されるのみなら
ず、管の後の応力状態のため加熱により得られて
液圧拡管過程の開始用制御信号として利用される
所定の長さ差も調節される。

〔実施例〕

図面には、本発明による装置の概略全体図のほ
かに、この装置の実施例が示され、また複数の方
法段階に基いて、本発明による方法の経過が示さ
れている。

第１図の概略図には、ハウジング２内に溶接さ
れる２つの管板３及び４を含む熱交換器１が示さ
れ、これら管板の間には多数の直線管５が延びて
いる。１つの例外を除いて、これらの管５は鎖線
でのみ示されている。

これらの管５は管板３及び４の準備された穴へ
遊隙をおいて挿入され、拡管探査子６を使用して
圧力媒体により液圧で拡管される。この拡管によ
り管は管板３及び４の範囲で管板に押付けられ
る。続いて管５は端縁範囲をそれぞれの管板３又
は４になるべく溶接により取付けられる。

第２図ないし第８図からわかるように、まず管
板３にある管５の端部の液圧拡管が行なわれる。
管板３のそれぞれの穴とその範囲に形成された凹
所へ押付けられた管５は、続いて管板３の外側で
これに溶接される。位置固定と密封に役立つ溶接
継目７は第２図からわかる。液圧拡管の代りに、
ロール掛けによるか又は溶接のみによつて管５の
取付けを行なうことができる。

管板３への管５のこの取付け過程後、管５の他
方の端部は、第３図に示すように、管板３から少
し突出する。この第３図から、管板４のそれぞれ
の穴の範囲に凹所８が形成され、液圧拡管の際保
持力を高めるため、管５がこの凹所へ圧入される
こともわかる。

すべての管５がその一方の端部を管板３の穴へ
液圧で拡管され、溶接継目７により管板３に固定
された後、第３図のように管板４から突出するそ
の端部が、第４図に示すように目標寸法に切断さ
れる。管板４の端面からの管５の所定の突出が意
図され、管板３への管５の取付け後もこの突出が
公差以内に維持される限り、この切断を省略する
ことも可能である。

第５図及び第６図に示すように、既に管板３に
取付けられた管５の端部へ熱カートリツジ９が導
入され、これにより管５が加熱される。第６図に
示すように、この加熱のため管５は伸び、管板４
の端面に一致する目標寸法に前もつて切断されて
いるにもかかわらず、管板４の端面から少し突出
している。

さて第６図によれば、管５の自由端へ拡管探査
子６の円柱状探査子本体６ａが押込まれて、間隔
をおいてこの探査子本体６ａ上にある密封環１０
がちようど管板４の肉厚内にあるようにする。管
板４に対する探査子本体６ａの密封環１０のこの
対応関係を確保するため、拡管探査子６のハウジ
ング上へハウジング環１１がねじはめられ、その
端面１１ａが管板４の外面に当つている。探査子
本体６ａに対するハウジング環１１の適当な調節
により、拡管探査子６が管板４に正しく当てられ
る時、密封環１０が常に管板４の断面内の正しい
位置にあるようにする。

第６図及び第７図による実施例では、ハウジン
グ環１２の内部にストツパ環１２が設けられ、そ
の前端面から１つ又は複数の接触ピン１２ａが突
出し、その前面が管板４から所定の間隔をとつて
いる。実施例では、この間隔ａは管５の加熱によ
り生ずべき長さ差に等しく、管５の取付けとその
後の冷却後この長さ差のため、管板３と４との間
に溶接される管５に初応力が生ずることになる。

熱カートリツジ９による加熱によつて管５が所
望の値だけ伸びると、管板４から出る管５の端面
は、第７図のように接触ピン１２ａに当るように
なる。この接触ピン１２ａは、圧力媒体源１６か
ら拡管探査子６へ延びる圧力媒体導管１５に設け
られている弁１４を操作する開閉器１３の一部で
ある。拡管探査子６において圧力媒体導管１５
は、軸線方向区間を密封環１０により形成されて
いる環状空間１７に通じている。弁１４が開かれ
ると、この環状空間１７の範囲で管５が拡管され
て、管板４の穴又は凹所８へ押付けられる。

第７図は、液圧拡管中に適当な管部分が管板４
の穴又は凹所８へ押付けられた後の管５の端部を
示している。環状空間１７内に前もつて設定され
た圧力値が現われ、これが特定時間にわたつて維
持されると、圧力が低下され、拡管探査子６が管
５から引出される。その後管板４から突出してい
る管５の端部が、溶接継目１８により管板４に溶
接される。

常温の管５と熱カートリツジ９により加熱され
た管５との間の間隔ａにより前もつて調節可能な
長さ差と、この長さ差に達する際液圧拡管過程の
自動開始とによつて、管５が管板４と拡管及び溶
接により結合される前に、この管５は管板４から
所定の値だけ押出される。続いて管５を冷却する
と、引張り応力がこの管５に生ずる結果、ハウジ
ング２に溶接されている管板３及び４の変形を考
慮して、管５に所望の応力状態が得られる。この
場合異なる管５に異なる応力の存在することが望
まれることもある。従つて管５を管板４に取付け
る前に、異なる管５を加熱により管板４から異な
る寸法だけ突出させることが可能である。このた
めストツパ環１２をハウジング環１１内で移動可
能にするか、管板４の端面に対して異なる間隔ａ
をとる別のストツパ環１２に交換可能にすること
ができる。

第９図及び第１０図には、弁１４を制御する開
閉器１３の２つの別な構成の可能性を示してあ
る。第６図及び第７図による実施例では、非導電
性ストツパ環１２内の接触ピン１２ａは開閉器１
３の電気回路に組込まれて、伸びる管５の端縁に
接触する際開閉器１３を操作するが、第９図によ
る実施例は、接触ピン１２ａを持つストツパ環１
２の代りに、ハウジング環１１に揺動可能に支持
されて開閉器１３の接点１９と共同作用する開閉
レバー２０を使用している。ばね２０ａの荷重を
受ける開閉レバー２０は、通常は接点１９から離
されている。これに反し第９図に示すように管５
が寸法ａだけ伸びて、開閉レバー２０が第９図の
ように管５の伸びる端縁により時計方向に揺動さ
れると、接点１９に当る。この瞬間に開閉器１３
は、第１図の実施例に関して前述したように、弁
１４を開く。

第１０図による第３実施例では、ハウジング環
１１に設けられる導電コイル２１により開閉過程
が開始される。この実施例では、増幅器２２を介
して開閉器１３に接続されている誘導コイル２１
内に磁石環２３があつて、管５の端縁が値ａだけ
管板４の端面から突出すると、この磁石環２３が
伸びた管５の端縁により押されて、増幅器２２に
より増幅される制御信号を弁１４へ与える。磁石
環２３の代りに、管板４から突出する管５の部分
を誘導コイル２１から与えられる信号の発生に利
用すると、この実施例を無接触開閉にも利用する
ことができる。

従つて３つの実施例は、伸びる管が開閉器１３
の電流回路へ直接含まれる実施態様（第６図及び
第７図）を示している。第９図による第２の実施
例では、機械的に開閉器の接触が行なわれる。第
１０図による実施例は、管５の伸びる端縁に反応
する光電素子とすることができる無接触開閉器を
示している。

【図面の簡単な説明】

第１図は２つの管板の間に直線管を取付ける装
置全体の概略縦断面図、第２図は最初に管板に取
付けられる管端部の縦断面図、第３図は他方の管
板の適当に準備された穴から突出するこの管の他
方の端部の縦断面図、第４図は目標寸法に切断さ
れた管端部の第３図に対応する縦断面図、第５図
は熱カートリツジの導入後における第２図に対応
する縦断面図、第６図は拡管探査子の導入後の加
熱過程中における第４図に対応する縦断面図、第
７図は加熱過程の終了後液圧拡管の実施後におけ
る第６図に対応する縦断面図、第８図は液圧拡管
及び管板への溶接後における第６図及び第７図に
よる管端部の縦断面図、第９図は装置の別の実施
例の第８図に対応する縦断面図、第１０図は更に
別の実施例の縦断面図である。 ３，４……管板、５……直線管、６……拡管探
査子、９……熱カートリツジ、１３……開閉器、
１４……弁、１６……圧力媒体源、１７……環状
空間、１８……溶接継目。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 管板の穴へ遊隙をおいて管を挿入し、圧力媒
   体により液圧で少なくとも一端を拡管して管板へ
   押付け、端縁範囲で管板に取付け、管板の間に取
   付けられる管に、後の運転状態を考慮する応力状
   態を生ずる手段を施す方法において、まず各管の
   一方の端部を一方の管板の穴に取付け、続いて管
   に生ずべき初応力に応じて各管を加熱し、加熱の
   結果生ずる部分長だけ、取付けられない端部を他
   方の管板から押出し、管の常温状態と加熱状態と
   の間の所定の長さ差に達した際、他方の管板内に
   ある部分の範囲で管の他方の端部を液圧で拡管
   し、続いて管板から突出する端部範囲で管板に溶
   接することを特徴とする、２つの管板の間に直線
   管を圧力漏れなく取付ける方法。 ２ 管板の穴の範囲に凹所を形成することを特徴
   とする、特許請求の範囲第１項に記載の方法。 ３ 既に一方の管板に取付けられた端部へ熱カー
   トリツジを導入することにより管を加熱すること
   を特徴とする、特許請求の範囲第１項に記載の方
   法。 ４ 管の加熱の結果生ずる伸びを液圧拡管過程用
   制御信号として利用することを特徴とする、特許
   請求の範囲第１項又は第３項に記載の方法。 ５ 管板からの管の突出部を包囲する付加的な管
   スリーブを介して、少なくとも管板の所で管を管
   板に溶接することを特徴とする、特許請求の範囲
   第１項に記載の方法。 ６ まず各管の一方の端部を一方の管板の穴に取
   付け、続いて管に生ずべき初応力に応じて各管を
   加熱し、加熱の結果生ずる部分長だけ、取付けら
   れない端部を他方の管板から押出し、管の常温状
   態と加熱状態との間の所定の長さ差に達した際、
   他方の管板内にある部分の範囲で管の他方の端部
   を液圧で拡管し、続いて管板から突出する端部範
   囲で管板に溶接するため、それぞれ拡管すべき管
   へ導入可能な拡管探査子が、間隔をおいて円柱状
   探査子本体に設けられる少なくとも２つの密封環
   により、拡管すべき管部分と共に環状空間を形成
   し、弁の開放後拡管のため環状空間が圧力媒体源
   から供給される圧力媒体の作用を受けるものにお
   いて、加熱のため伸びる管５の端縁により操作可
   能な弁１４用開閉器１３が、環状空間１７への圧
   力媒体供給のため、拡管探査子６に設けられてい
   ることを特徴とする、２つの管板の間に直線管を
   圧力漏れなく取付ける装置。 ７ 開閉器１３が円柱状探査子本体６ａを同心的
   に包囲するストツパ環を含んでいることを特徴と
   する、特許請求の範囲第６項に記載の装置。 ８ 拡管探査子６の軸線方向とつたストツパ１２
   と管板４又は拡管すべき常温管５の端縁との間隔
   が調節可能であることを特徴とする、特許請求の
   範囲第６項に記載の装置。 ９ 間隔ａが異なるストツパ環１２の交換により
   調節可能であることを特徴とする、特許請求の範
   囲第８項に記載の装置。 １０ 円柱状探査子本体６ａを包囲するハウジン
   グのストツパ面に対してストツパ環１２を移動す
   ることにより間隔ａが調節可能であることを特徴
   とする、特許請求の範囲第８項に記載の装置。 １１ 管板４に当る拡管探査子６のストツパ面１
   １ａが、円柱状探査子本体６ａの軸線方向に移動
   可能なハウジング環１１により形成され、このハ
   ウジング環の内部空間に開閉器１３のストツパ環
   １２が設けられていることを特徴とする、特許請
   求の範囲第６項に記載の装置。