JPH0236244Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は避雷器に係り、とくにスピニングシー
ルタイプ避雷器の碍管端部の補強構造に関する。

従来技術 避雷器には、碍管の上下端を密封する構造によ
つて数種に分けられるが、その中のスピニングシ
ールタイプの避雷器は、碍管上下端の段付部にス
テンレス製の蓋でスピニングシール加工（回転絞
り加工）を施し、碍管の上下端を密閉するもので
ある。これを第１図、第２図によつて説明する
と、１はスピニングシールタイプの避雷器、２は
その碍管、３は碍管２内に収納した非直線抵抗体
素子（以下素子という）、４はデイスタンス、５
は支持金具、６は放圧板、７はパツキン、８はガ
イド、９はステンレス製の蓋である。蓋９の周縁
部９ａは最初は円筒状をなしているが、スピニン
グシール加工を施すことにより、周縁部９ａの端
縁を、碍管２の端部の段付部２ａに絞り付けるも
ので、これにより放圧板６と支持金具５の端縁を
パツキン７とともに碍管２の端面に押付けて、そ
の端部を密封するものである。

考案が解決しようとする問題点 上記の避雷器１にあつては、スピニングシール
加工によつて変形したステンレス製蓋９の周縁部
９ａにより碍管上下の段付部２ａが圧縮されるこ
とにより、該段付部２ａには圧縮ひずみが生じ
る。しかるに、避雷器の製作工程においては、こ
のように圧縮ひずみが段付部２ａに生じたままの
状態で避雷器１をベース１１に取付けるなどの組
立が行なわれるため、段付部２ａには圧縮ひずみ
が残つたままになる。

しかして、避雷器の短絡時における放圧性能を
考えると、上記のように段付部２ａに残留圧縮ひ
ずみが残つている場合は著るしくその性能を落す
可能性がある。すなわち、避雷器１が不慮の事故
により短絡に至つた場合、碍管２内部は短絡電流
によるアーク熱により高温になり、上記圧縮ひず
みのある段付部２ａは強度的に劣化していて、こ
こに熱が加わつていて熱破壊が生じる欠点があ
る。また、放圧板６が破壊して放圧装置が作動し
た後でも残留内圧（数Kgｆ／cm²）があるため、上
記残留ひずみが残つた部位が弱点部となつてここ
から破壊が起る可能性が高くなる。

このようなところから、従来、避雷器碍管内部
に長さ方向の全長に亘つてプラスチツク円筒、ア
ルミナ薄板、マイカ板等を挿入し、碍管内壁と素
子との間を隔絶する方法は、放圧能力を高めるた
めとして行なわれている。しかし、碍管長と等し
い長さの円筒を挿入するためコスト高となる欠点
があつた。

問題点を解決するための手段及び作用 本考案は上記の問題点を解決したもので、すな
わち、本考案に係る避雷器は、碍管端部をステン
レス製の蓋をスピニングシール加工することによ
り密封するスピニングシールタイプの避雷器にお
いて、碍管の端部内側に、スピニングシール加工
により圧縮応力を受ける範囲をカバーする長さを
有し、かつ所定肉厚を有するプラスチツク筒を挿
入して固着し、蓋のスピニング加工時、このプラ
スチツク筒によつて圧縮応力を低減するととも
に、避雷器短絡時にあつては、内部発生アーク熱
が碍管端部のスピニングシール部に及ばないよう
にしたものである。

実施例 以下本考案の実施例を第３図、第４図によつて
説明する。なお、従来と同一部分には同一号を用
いて説明する。しかして、１０は本考案に係るプ
ラスチツク筒であつて、より具体的には強化プラ
スチツク筒を用いる。このプラスチツク筒１０は
碍管２の端部からその内側に挿入するもので、第
３図は挿入時の状態を、第４図は挿入後、接着剤
１２を介してプラスチツク筒１０と碍管２の内面
とを一体に固着した状態を示す。接着剤１２は絶
縁性を有するシリコン系のものがよい。プラスチ
ツク筒１０は碍管端部のスピニングシールにより
圧縮ひずみを受ける場所、具体的には段付部２ａ
の内側に配設する。そして、このプラスチツク筒
１０の長さは、少くとも圧縮ひずみを受ける範囲
をカバーできる長さとするが、本実施例において
は、碍管長に対して１割程度の長さとしてある。
また、その肉厚は、碍管２の厚みの約２割〜３割
程度でよい。

しかして、碍管２の内側に上記プラスチツク筒
１０を装着することにより、段付部２ａの外側に
おいて蓋９の周縁部９ａにスピニングシールを施
す際、該段付部２ａに加わる圧縮応力をプラスチ
ツク筒１０によつて低減することができ、スピニ
ングシール部に圧縮ひずみが極力残らないように
することができる。さらに、防爆時には、プラス
チツク筒１０の存在により碍管２内部で発生した
アーク熱がスピニングシール部に伝わりにくいの
で該シール部の熱破壊が抑えられるため、総合的
にみて放圧性能が向上する。

考案の効果 以上の通りであり、本考案に係る避雷器による
と、碍管端部内にスピニングシールにより圧縮応
力を受ける範囲に亘る長さのプラスチツク筒を挿
入固着したので、該碍管端部のスピニングシール
時の圧縮応力を低減出来、これにより該スピニン
グシール部の圧縮ひずみによる強度低下を防止で
きる。さらに、避雷器短絡時には、内部発生アー
ク熱より、碍管のスピニングシール部をプラスチ
ツク筒により保護して熱を伝わりにくくし碍管の
熱破壊を抑えることが可能となつた。さらに、プ
ラスチツク筒は、長くても碍管長の１割程度でよ
いので、低コストであり、また、製作上組立やす
い。このように、本考案によると低コストで放圧
特性を数段向上させることができるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はスピニングシール形避雷器の側面図、
第２図は従来のスピニングシール部の構造を示す
断面図、第３図、第４図は本考案に係るスピニン
グシール部の構造を示す断面図で、第３図はプラ
スチツク筒の挿入時の状態を、第４図はプラスチ
ツク筒の挿入後接着剤で碍管内面に固着した状態
を示すものである。 １……避雷器、２……碍管、２ａ……段付部、
９……ステンレス製の蓋、９ａ……周縁部、１０
……プラスチツク筒。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ステンレス製の蓋をスピニング加工することに
   より碍管端部を密封するスピニングシールタイプ
   の避雷器において、碍管の端部内側に、スピニン
   グシール加工により圧縮応力を受ける範囲をカバ
   ーする長さを有し、かつ所定肉厚を有するプラス
   チツク筒を挿入固定したことを特徴とする避雷
   器。