JPH0235637Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ この考案は、自動車のフエーエルキヤツプのよ
うに、燃料タンクフイラーネツク等の容器開口部
に装着され、燃料タンク等の容器内の圧力低下時
空気等の流体を容器外から容器内へ流入させ、容
器内の圧力低下を防止する負圧用の弁体を備えた
弁付キヤツプに関する。

＜従来の技術＞ 従来、この種のキヤツプ、例えば自動車のフユ
ーエルキヤツプは、クロージヤとクロージヤ上部
を覆うシエルとからなり、クロージヤは、燃料タ
ンクのフイラーネツクに装着される略円筒状の壁
体と、壁体上部の外周に形成されてシエルを保持
するためのフランジ部と、を備えていた。

そして、壁体の内周には、空気流入用の流路孔
を備える天板部が一体的に形成され、天板部下方
に、燃料タンク内の圧力が低下した際、空気を燃
料タンク外から流路孔を経て燃料タンク内へ流入
可能とし、通常時、上方へ付勢するばねを介して
流路孔周縁に付勢されて流路孔を閉塞可能とする
負圧用の弁体が配設されていた。

なお、弁体を付勢するばねは、天板部下方にお
ける壁体の内周面に係止されるばね保持プレート
により保持されていた。

また、フランジ部には、その下面側全周にフイ
ラーネツクと壁体とのシール性を確保するための
シールリングが配設されていた（実開昭57−
105821号公報第２〜６図、実開昭58−192243号公
報第２図等参照）。

一方、キヤツプには、キヤツプに衝撃力が作用
した際、フイラーネツクに対するクロージヤ壁体
のシール性を低下させないだけの十分な強度が要
求されていた（特公昭58−7538号公報、実開昭59
−22756号公報等参照） しかし、従来のフユーエルキヤツプでは、クロ
ージヤの壁体の内周には、天板部が形成されてい
るものの、強度的に十分ではなかつた。

そこで、壁体の内周面に、天板部下面に一体的
に連結されて放射状に配置される複数の補強用リ
ブを形成することが考えられる。

ちなみに、これらの放射状の補強用リブを設け
る場合には、キヤツプの構成として、弁体付勢用
のばねを保持するばね保持プレートを、これらの
補強用リブに係止する構成が望ましい。なぜな
ら、そのように構成すると、補強用リブの軸方向
の長さを十分に得られること、弁体付勢用ばねの
ばね長を不必要に長くすることを回避できるこ
と、及びばね保持プレートのクロージヤへの組付
作業性を良好にできること、といつた利点が得ら
れるからである（実願昭59−45522号（実開昭60
−157655号公報）参照）。

＜考案が解決しようとする課題＞ しかし、壁体の内周面に、壁体の強度向上とば
ね保持プレートの組付作業性向上を図るための、
上述のような放射状の複数の補強用リブを形成す
る場合には、ばね保持プレートの外径が、壁体か
ら突出する補強用リブの略突出長さ分、壁体の内
径より小さくなり、組付状態で、ばね保持プレー
トと壁体との間に間隙が生じてしまう。

そして、ばね保持プレートと壁体との間に間隙
が生ずると次のような問題が生じてしまう。

すなわち、フユーエルキヤツプが燃料タンクフ
イラーネツクに装着された後、燃料タンクのみな
らずフイラーネツク内まで燃料が一杯に満たさ
れ、自動車が急発進・急停止等をするような場
合、燃料液面が揺れ、燃料がフイラーネツク内周
面・クロージヤの壁体内周面を経て、ばね保持プ
レートと壁体との間の間隙を通過し、天板部を経
て弁体を濡らすことが考えられる。そして、この
ような場合、燃料中にゴミや塵等が混入されてい
ると、そのゴミ等が弁体に付着する虞れが生じて
しまう。

この考案は、上述の課題を解決するものであ
り、クロージヤの壁体の強度向上とばね保持プレ
ートのクロージヤへの組付作業性向上とを図るこ
とができるとともに、容器内の内容物が揺れ、ク
ロージヤ壁体内周面を伝わつて内容物が進入して
きても、その内容物が弁体に触れることを防止す
ることができる弁付キヤツプを提供することを目
的とする。

＜課題を解決するための手段＞ この考案に係る弁付キヤツプは、クロージヤ
と、該クロージヤ上部を覆うシエルと、を具備
し、前記クロージヤが、容器開口部に装着される
筒状の壁体と、該壁体上部の外周に形成されて前
記シエルを保持するためのフランジ部と、を備
え、 前記壁体の上部内周には、流路孔を備える天板
部が一体的に形成され、 前記壁体内の天板部下方には、容器内の圧力が
低下した際、流体を前記容器外から前記流路孔を
経て容器内へ流入可能とし、通常時ばね保持プレ
ートに保持されたばねにより前記流路孔周縁に付
勢されて前記流路孔を閉塞可能とする負圧用の弁
体が配設されている弁付キヤツプにおいて、 前記壁体内周面には、前記天板部下面に一体的
に連結されるように放射状に複数突出して、それ
ぞれの内側端面部位で前記ばね保持プレート外周
縁を係止する補強用リブが形成され、 前記天板部下面には、前記壁体内周面と前記弁
体との間に配置されて前記弁体より下方へ突出す
る環状の遮蔽用リブが形成されていることを特徴
とする。

また、弁付キヤツプにおけるクロージヤの強度
を一層向上させる場合には、前記補強用リブと前
記遮蔽用リブとを連結させることが望ましい。

＜考案の作用・効果＞ この考案に係る弁付キヤツプでは、クロージヤ
の壁体内周面に、天板部下面に一体的に連結され
るように放射状に複数突出して、それぞれの内側
端面部位でばね保持プレートを係止する補強用リ
ブが形成されている。そのため、補強用リブによ
り、クロージヤの壁体及び天板部の強度が向上す
るとともに、ばね保持プレートの外周縁を部分的
に補強用リブの内側端面に係止させることができ
るため、そのばね保持プレートのクロージヤへの
組付作業性が良好となる。

そして、クロージヤの壁体にばね保持プレート
を保持する補強用リブが形成されて、ばね保持プ
レートと壁体との間に間隙が生じても、この考案
に係る弁付キヤツプでは、天板部下面に、壁体内
周面と弁体との間に配置されて弁体より下方へ突
出する環状の遮蔽用リブが形成されている。その
ため、容器内の内容物が揺れ、クロージヤ壁体内
周面を伝わつて内容物が進入してきたとしても、
遮蔽用リブによつて、内容物が進入してきた方向
へ戻されることとなり、遮蔽用リブ先端が弁体よ
り下方に位置することもあいまつて、クロージヤ
壁体内周面を伝わつて進入してきた内容物が弁体
に触れることを防止することができる。

したがつて、この考案に係る弁付キヤツプで
は、クロージヤの壁体の強度向上とばね保持プレ
ートのクロージヤへの組付作業性向上とを図るこ
とができるとともに、容器内の内容物が揺れ、ク
ロージヤ壁体内周面を伝わつて内容物が進入して
きても、その内容物が弁体に触れることを防止す
ることができる。

そしてまた、補強用リブと遮蔽用リブとを連結
させた弁付キヤツプでは、遮蔽用リブにより各補
強用リブの強度が増し、一層クロージヤの強度向
上を図ることができる。

＜実施例＞ 以下、この考案の一実施例を図面に基づいて説
明する。

実施例のキヤツプは、燃料タンクの燃料補給用
として開口しているフイラーネツク１に螺着され
るフユーエルキヤツプ２である。

このフユーエルキヤツプ２は、ポリアセタール
等の合成樹脂材料から形成されたクロージヤ３
と、ナイロン等の合成樹脂材料から形成されてク
ロージヤ３上部を覆う円盤状のシエル１０と、か
ら構成されている。クロージヤ３は、フイラーネ
ツク１に螺着される略円筒状の壁体３ａと、壁体
３ａ上部の外周に形成されてシエル１０を保持す
るためのフランジ部５と、を備えている。

クロージヤ３の壁体３ａ外周には、フイラーネ
ツク１に対応するねじ４が設けられ、ねじ４の上
端のフランジ部５下面には、シールリング９が外
装されている。

フランジ部５は、フランジ部５に衝撃力が作用
した際に壁体３ａと分離可能な分離手段としての
Ｖ字溝５ｃを介在させて、突出部５１，５２を備
えている。そして、突出部５１には、先端に上方
へ突出する爪部５ｂを備えてクロージヤ３軸方向
へ変形可能な弾性フインガー５ａが所定数設けら
れている。

シエル１０は、フランジ部５の突出部５１，５
２の外周縁にスナツプ止めされるとともに、上部
に把持部１０ａを備え、上部裏面に、弾性フイン
ガー５ａの爪部５ｂと係合可能なラチエツト凸部
１０ｂが複数形成されている。なお、ラチエツト
凸部１０ｂと爪部５ｂとは、シエル１０が一方向
（フユーエルキヤツプ２がフイラーネツク１に螺
着される回転方向）に所定以上のトルクを加えら
れる場合にはクロージヤ３に対して空回りし、逆
方向（フユエールキヤツプ２がフイラーネツク１
から外れる回転方向）にはクロージヤ３に対して
空回りしないようにして、フユーエルキヤツプ２
の締め過ぎを防止するために設けられている。

また、クロージヤ３の壁体３ａ上部内周には、
壁体３ａ上部を塞ぐように天板部３ｂが配設さ
れ、天板部３ｂ中央には流路孔６が穿設されてい
る。

そして、クロージヤ３における壁体３ａ下部内
周面には、天板部３ｂ下面に一体的に連結される
ように放射状に複数突出された補強用リブ７が形
成され、各補強用リブ７には、凹部７ａが形成さ
れている。これらの凹部７ａは、コイルばね１３
の下端を保持するための環状のばね保持プレート
１４の外周縁を係止するものである。

コイルばね１３の上端には、環状の弁体保持プ
レート１２が配設され、この弁体保持プレート１
２には、中央の嵌合孔１２ａに嵌合されてゴム製
の弁体１１が配設されている。

弁体１１は、ばね１３の付勢力により天板部３
ｂ下面における流路孔６周縁に当接し、流路孔６
を閉塞するように構成されている。そして、フユ
ーエルキヤツプ２をフイラーネツク１に装着させ
た後、燃料タンク内の圧力が低下して大気圧より
所定圧力分下がると、コイルばね１３の付勢力に
抗して弁体１１及び弁体保持プレート１２が下が
り、シエル１０外縁下面から弾性フインガー５ａ
とフランジ部５との間を通つた空気が流路孔６を
経てフイラーネツク１内に入り、燃料タンク内の
負圧状態を解消することができるように構成され
ている。

なお、１２ｂは、弁体１１を配設させた弁体保
持プレート１２と、ばね１３と、ばね保持プレー
ト１４とを予め組付けて、クロージヤ３に配設で
きるよう設けられた、ばね保持プレート１４中央
の係止孔１４ａに係止可能な弁体保持プレート１
２から突設される係止脚である。また、１４ｂ
は、弁体保持プレート１２、ばね１３及びばね保
持プレート１４を予め組付けてからクロージヤ３
の所定位置へその組付体を配置させる際、組付体
を把持するばね保持プレート１４から突設される
把持片である。

そして、実施例のフユーエルキヤツプ２には、
クロージヤの天板部３ｂ下面に、壁体３ａ内周面
と弁体１１との間に配置されて弁体１１より下方
へ突出する環状の遮蔽用リブ３ｃが形成されてい
る。

この実施例の遮蔽用リブ３ｃは、各補強用リブ
７を連結するように配設されて、その内径を弁体
保持プレート１２の外径より0.5〜１mm程度大き
く、その先端位置を弁体保持プレート１２におけ
る外周縁の下端部位より１mm程度下方位置にある
ように形成され、さらに、その外径を、クロージ
ヤ壁体３ａ内周面からある程度（少なくとも３mm
以上）の距離があくように形成されている。

したがつて、実施例のフユーエルキヤツプ２で
は、クロージヤ３の壁体３ａ内周面に、天板部３
ｂ下面に一体的に連結されるように放射状に複数
突出して、それぞれの内側端面部位の凹部７ａで
ばね保持プレート１４外周縁を係止する補強用リ
ブ７が形成されている。そのため、これらの補強
用リブ７により、クロージヤ３の壁体３ａ及び天
板部３ｂの強度が向上するとともに、ばね保持プ
レート１４の外周縁を部分的に補強用リブ７の内
側端面の凹部７ａに係止させることができるた
め、そのばね保持プレート１４のクロージヤ３へ
の組付作業性が良好となる。

特に、実施例の場合、各補強用リブ７に環状の
遮蔽用リブ３ｃが連結されているため、遮蔽用リ
ブ３ｃによつて各補強用リブ７の強度が増し、一
層、クロージヤ３の強度向上を図ることができ
る。

また、実施例のフユーエルキヤツプ２では、フ
イラーネツク１装着後、自動車が急発進・急停止
等を行なて、燃料タンクやフイラーネツク１内の
燃料液面が揺れ、フイラーネツク１内周面からク
ロージヤ壁体３ａ内周面を伝わつて燃料が弁体１
１の高さまで上昇したとしても、遮蔽用リブ３ｃ
によつて、遮蔽用リブ３ｃ外周面に沿つて燃料が
降下することとになり、弁体保持プレート１４と
壁体３ａとの間に間隙が生じていても、弁体１１
が燃料によつて濡れることを防げ、燃料中にゴミ
や塵等が混入されていたとしても、弁体１１にゴ
ミ等が付着する虞れがない。

なお、実施例のように、クロージヤ壁体３ａ内
周上部と天板部３ｂとの連結部位を弧面３ｄで形
成すれば、クロージヤ壁体３ａ内周面を伝わつて
きた燃料を円滑に遮蔽用リブ３ｃ外周面に沿つて
降下させることができ、一層効果的となる。

また、実施例では、遮蔽用リブ３ｃを各補強用
リブ７に連結させたものを示したが、各補強用リ
ブ７の内側端面と弁体１１や弁体保存プレート１
２との隙間が大きい場合には、遮蔽用リブ３ｃ
を、各補強用リブ７に連結させることなく、各補
強用リブ７の内側に配置させてもよい。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を示すフユーエル
キヤツプの断面図、第２図は同実施例におけるク
ロージヤの平面図である。 １……（容器開口部）フイラーネツク、２……
フユーエルキヤツプ、３……クロージヤ、３ａ…
…壁体、３ｂ……天板部、３ｃ……遮蔽用リブ、
５……フランジ部、６……流路孔、７……補強用
リブ、１０……シエル、１１……弁体、１３……
コイルばね、１４……ばね保持プレート。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ クロージヤと、該クロージヤ上部を覆うシエ
   ル、とを具備し、 前記クロージヤが、容器開口部に装着される
   筒状の壁体と、該壁体上部の外周に形成されて
   前記シエルを保持するためのフランジ部と、を
   備え、 前記壁体の上部内周には、流路孔を備える天
   板部が一体的に形成され、 前記壁体内の天板部下方には、容器内の圧力
   が低下した際、流体を前記容器外から前記流路
   孔を経て容器内へ流入可能とし、通常時ばね保
   持プレートに保持されたばねにより前記流路孔
   周縁に付勢されて前記流路孔を閉塞可能とする
   負圧用の弁体が配設されている弁付キヤツプに
   おいて、 前記壁体内周面には、前記天板部下面に一体
   的に連結されるように放射状に複数突出して、
   それぞれの内側端面部位で前記ばね保持プレー
   ト外周縁を係止する補強用リブが形成され、 前記天板部下面には、前記壁体内周面と前記
   弁体との間に配置されて前記弁体より下方へ突
   出する環状の遮蔽用リブが形成されていること
   を特徴とする弁付キヤツプ。 ２ 前記補強用リブと前記遮蔽用リブとが連結さ
   れていることを特徴とする実用新案登録請求の
   範囲第１項記載の弁付キヤツプ。