JPH0235623Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本考案は薬品や化粧品、食品又は歯磨剤等のク
リーム状物を収納する押し出しチユーブに関す
る。特に本考案はアルミニユームシートの表、裏
面に合成樹脂被膜を積層した積層シートを筒状に
巻回して胴部を作り、この胴部の上端に、口部と
肩部とが一体成型され且つ前記口部が薄いシート
材によつて閉鎖されている合成樹脂ヘツドを結合
した盲蓋付き押し出しチユーブの改良に関するも
のである。

＜従来の技術＞ 一般に、アルミニユームシートの表裏面に合成
樹脂被膜を積層した積層シートを筒状に巻回して
胴部を形成し、この胴部の上端に、口部と肩部と
が一体成型された合成樹脂ヘツドを結合すると共
に、口部を薄いシート状の盲蓋で閉鎖した盲蓋付
き押し出しチユーブは知られている。しかしなが
らこのようなチユーブでは前記ヘツドが単質の合
成樹脂材料で成型されているものであるから、ガ
スバリア性を防湿性をハイレベルで同時に満足さ
せることが出来ない。何故ならば元来合成樹脂材
料はガスバリア性が高ければ防湿性に欠け、反対
に防湿性が高ければガスバリア性に欠けるという
物性を有するからである。

従つて、前記のガスバリア性と防湿性の両者を
満足させる為に従来では第２図に示すような手段
が提供されている。これはアルミニユームシート
の表裏面にポリオレフイン系合成樹脂被膜を積層
させた積層アルミニユームシート６をヘツド７の
内面、即ちヘツドの肩部７ａ及び口部７ｂの内面
に沿つて押し型８により絞り成型し、これにより
前記ヘツド内面全域をカバーすると同時に盲蓋９
を形成している。

＜考案が解決しようとする問題点＞ ところで、このような公知手段では、積層アル
ミニユームシート６をヘツド内面に絞り加工する
際に異常な伸展や折り曲げによつて合成樹脂被膜
層が損傷することがあり、その結果金属層が腐食
してガスバリア性が損なわれると共に、盲蓋部分
も絞り加工によつて伸展されるのでピンホール現
象（ピン先で突き破つたような穴あき現象）の恐
れが多分にあつた。

更に加えてこの公知手段では次のような重大な
問題点がある。即ち前記積層アルミニユームシー
ト６は絞り加工によつて伸展されるものであるか
ら、これに積層される合成樹脂被膜は伸展性の良
いポリオレフイン系合成樹脂で形成することが必
要となり、その為通常ポリエチレン等が使用され
ている。しかしこのポリエチレンはアルミニユー
ムに対して接着性がわるく、接着剤を介在させて
も前記伸展時に一時剥離することがあり、更にチ
ユーブ内に充填された比較的浸透性の強い内容物
は樹脂被膜層を透過してアルミ面との界面に化学
的に作用し、その結果接着力を著しく低下させた
りあるいは剥離させることがある。この剥離現象
が前記盲蓋９の下面部分に生じたり、又は剥離し
やすい状態になると、第３図に示すように、突起
物１０で盲蓋９を突き破る時に下面被膜層９ａが
突起物によつて下方に押し下げられて盲蓋９を開
口することが出来ない。

又本考案者は前記のような従来欠点を解消する
ために先に実願昭59−169975号（実開昭61−
86248号公報）で示すような考案を開示した。こ
の考案によれば前記したような従来欠点はある程
度解決することが、ただ比較的高いガスが発生す
る内容物を収納した場合に若干の問題がある。即
ちこの考案ではチユーブ内のガス圧が高くなると
胴部１が膨張作用を受けてこれと堅く結合された
ヘツドの外層体２ａを外方向に拡張する作用が働
く。その為外層体２ａと内層体２ｂとの間に通気
可能な隙間が生じ、この隙間からガスが上方に逃
げそして外層体の肉部を透過して外部に漏出しガ
スバリア性が損なわれることになる。

そこで本考案は前記したようなそれぞれの問題
点を全て解決した盲蓋付き押し出しチユーブを提
供することを主たる目的とするものである。

＜問題を解決する為の手段＞ 上記の目的を達成する為に本考案は、アルミニ
ユーム等の薄い金属シートの表裏面に合成樹脂被
膜を積層した積層シートによつて筒状の胴部を形
成し、この胴部の上端に口部と肩部とが一体成型
された合成樹脂製ヘツドを結合して成る押し出し
チユーブに於いて、 前記ヘツドは外層体と内層体との二つの部材の
結合体によつて形成され、 前記外層体は防湿性を有する合成樹脂材料で形
成され、前記内層体ははガスバリア性を有する合
成樹脂材料で形成されており、更に前記胴部の内
面被膜が前記外層体と同質の合成樹脂材料で形成
されていて、この胴部内面が前記外層体の肩部に
隣接してその接触面が融着されており、 更に前記ヘツドの口部上端部分に該口部を閉じ
る盲蓋を有し、該盲蓋は薄いアルミニユームシー
トを基材としてこのアルミニユームシートの上面
に前記ヘツドの外層体に対して融着可能な合成樹
脂被膜が、下面に接着性樹脂塗料による被膜が積
層された薄い複合積層シートで形成されており、 更に前記盲蓋はその周縁部分が前記外層体の受
座面と内層体の上端面との間に挟まれ且つ盲蓋の
上面被膜が外層体に融着されており、 更に、前記ヘツドの内層体の下端にフランジ部
を有し、このフランジ部の上面にリング状の嵌合
凸部又は凹部を備え、前記外層体の下端面に前記
嵌合部又は凹部に緊密に嵌合する嵌合凹部又は凸
ぶを有し、これら凹凸部が緊密に嵌合されている
構造としたものである。

＜作用＞ 上記のごとく構成された押し出しチユーブで
は、合成樹脂によつて成型されたヘツド２が防湿
性の有する外層体２ａとガスバリア性の有する内
層体２ｂとの結合体によつて形成されているの
で、防湿性とガスバリア性をハイレベルで同時に
満足させることができ、且つ盲蓋５の上面被膜５
ｂは外層体２ａと一体的に融着されているので外
部に通じる外層体と内層体との隙間はこの融着さ
れた部分で確実にシールされる。又、下面被膜５
ｃはアルミニユームに対して強い接着性をもつウ
レタン系又はエポキシ含有合成樹脂で形成されて
いるので、突起物で盲蓋を突き破る時に下面被膜
５ｃが剥離されることなく、又ポリエチレンのよ
うに伸展性がないので極めて容易に盲蓋を突き破
ることができる。

又、チユーブ内の収納物から比較的高圧のガス
が発生してこのガス圧により胴部１及びこれと強
く結合された外層体２ａが膨張作用をうけても、
外層体２ａと内層体２ｂとは前記凹凸部の嵌合に
よつて耐放射方向の力に対して強く結合されてい
るので外層体と内層体との間に通気可能な隙間が
生じるようなことがなく、これによりガスバリア
性を確実に保持することができる。

＜実施例＞ 以下図面について本考案の実施例を説明する。

第１図に於いて、符号１はチユーブの胴部であ
つて、アルミニユームシート１ａの表裏面にポリ
エチレン又はポリプロピレン若しくはポリエステ
ル等の合成樹脂被膜１ｂ，１ｃを積層した積層シ
ートを筒状に巻回してその重なり合つた端縁同士
を融着することによつて形成されている。尚前記
合成樹脂被膜層は複数層重合して形成される場合
もある。又、前記胴部の内面被膜層１ｂは後記す
るヘツドの外層体２ａに対して容易に融着出来る
ようにこれと同質の合成樹脂材料で形成されてい
る。

符号２は下広がり状の肩部３と細く絞られた口
部４とが一体成型された合成樹脂製ヘツドであつ
て、前記胴部１の少し絞られた上端部分が前記ヘ
ツドの肩部３に重ね合わされて隣接する樹脂同士
が融着されている。

而して、前記ヘツド２は外層体２ａと内層体２
ｂとの二つの部材の結合体によつて形成されてお
り、両者はそれぞれ別個に成型されて緊密に嵌め
合わされている。

前記外層体２ａはポリエチレン、ポリエチレン
等の防湿性を有する合成樹脂材料で成型されてお
り、前記内層体２ｂはポリエチレンテレフタレー
ト、ポリプチレンテレフタレート等の熱可塑性合
成樹脂又はメラミン、ユリア、フエノール等の熱
硬化性合成樹脂等のガスバリア性のある合成樹脂
材料で成型されている。

更に前記ヘツドの口部上端部分に該口部を閉じ
る盲蓋５が形成されている。該盲蓋５は薄いアル
ミニユームシート５ａを基材としてこのアルミニ
ユームシートの上面に前記ヘツドの外層体２ａに
対して融着可能な合成樹脂材料、例えば前記外層
体２ａと同質の低密度ポリエチレン又はポリプロ
ピレンから成る合成樹脂被膜５ｂが、下面にはウ
レタン系合成樹脂又はエポキシ含有合成樹脂等の
耐薬品性のある接着性樹脂材料または塗料による
被膜が積層されている。尚前記盲蓋５の厚みは、
その基材となるアルミニユームシート５ａの厚み
が20〜100μ、上面被膜５ｂの厚みが10〜50μ、下
面被膜５ｃの厚みが３〜15μの間にあれば良い
が、最も好ましい例としては前記アルミニユーム
シート５ａが40μ、上面被膜5bが20μ、下面被膜
5cが7μが適切である。

更に前記盲蓋５は、その周縁部分が前記外層体
２ａの内面に形成された受座面２a₁と内層体２ｂ
の上端面２b₁との間に挟着されており且つ盲蓋の
上面被膜５ｂが前記外層体２ｂに融着されてい
る。この場合、前記外層体２ａがポリエチレン又
はポリプロピレンであり、前記盲蓋の上面被膜５
ｂがこれと同質の低密度ポリエチレン又はポリプ
ロピレンであるので両者は完全に融合接着させる
ことができ、これによりこの部分の完全なシール
を達成することが出来る。又前記ヘツド２を組成
する際に、盲蓋５を外層体２ａの受座面２a₁上に
乗せて内層体２ｂを外層体２ａに嵌め込むことに
より容易に盲蓋５を受座面２a₁と内層体の上端面
２b₁との間に挟着保持させることが出来る。又、
盲蓋の上面被膜５ａと外層体２ａとの融着は前記
内層体の嵌め込み時にヒーターの加熱によつて、
又は嵌め込み完了後に高周波によつて融着するよ
うにすればよい。

尚、前記した構成に於いて、ヘツド２の外層体
２ａと胴部１の被膜１ａとは隣接面積が多くしか
も同じ材質で形成されているため両者の接着性は
極めて高いが、内層体２ｂと前記胴部の被膜１ａ
とは接触面積が非常に少なくしかも異なる樹脂材
料で形成されている為この部分の接着性が弱く、
従つてもし圧力の高いガスが発生するような内容
物を収納した場合にはチユーブ内に発生した高圧
ガスによつて胴部１並びにこれと強く接合された
外層体２ａが放射方向に膨張作用を受け、これに
より外層体２ａと内層体２ｂとの間に通気可能な
隙間を生じさせる力が働く。もしこのような隙間
が生じると、この隙間からガスが上方に逃げそし
て外層体の肉部を透過して外部に漏出してガスバ
リア性が損なわれることになる。従つて本考案で
はこのような点を考慮して下記のような工夫がな
されている。即ち図に示すように、ヘツド２の内
層体２ｂの下端にフランジ部２b₂を設け、このフ
ランジ部の上面にリング状の嵌合凸部２b₃を設
け、前記外層体２ａの下端面に前記嵌合凸部に緊
密に嵌合する嵌合凹部２a₂を設けると共に、これ
ら凹凸部を緊密に嵌合して形成した。このような
構成によつて、もし収納物から発生したガス圧に
よつて胴部１及びこれと強く結合された外層体２
ａが膨張作用をうけても外層体２ａと内層体２ｂ
とは前記凹凸部の嵌合によつて耐放射方向の力に
対して強く結合されているので外層体と内層体と
の間が広がるようなことがなく、これによりガス
バリア性を確実に保持することができよう。

以上本考案の代表的な実施例について説明した
が、本考案は必ずしも上記の実施例構造のみに限
定されるものでなく、本考案の構成要件を備え、
且つ効果を有する範囲内で適宜変更して実施出来
ることは勿論である。

＜考案の効果＞ 本考案は上記の構成から下記のごとき優れた効
果を奏功するものである。

合成樹脂によつて成型されたヘツド２が防湿
性の有する外層体２ａとガスバリア性の有する
内層体２ｂとの結合体によつて形成され、薄い
金属シートの表裏面に合成樹脂被膜を積層した
積層シートによつて形成されたチユーブ胴部の
内面被膜が前記外層体と同質の合成樹脂材料で
形成されていて、この胴部内面が前記外層体の
肩部に隣接してその接触面が融着されているの
で、ヘツドと胴部との結合が確実にできると共
に、防湿性とガスバリア性をハイレベルで同時
に満足させることがでる。

盲蓋５はアルミニユームシートの上面にヘツ
ドの外層体に対して融着可能な合成樹脂被膜
が、下面に接着性樹脂塗料による被膜が積層さ
れた薄い複合積層シートで形成され、この上面
被膜５ｂが外層体２ａと一体的に融着されてい
るので外部に通じる外層体と内層体との隙間は
この融着された部分で確実にシールされると共
に、下面被膜５ｃがアルミニユームに対して強
い接着性をもつウレタン系又はエポキシ含有合
成樹脂で形成されているので、突起物で盲蓋を
突き破る時に下面被膜５ｃが剥離されることな
く、又ポリエチレンのように伸展性がないので
極めて容易に盲蓋を突き破ることができる。

盲蓋の上面被膜が外層体に融着可能な合成樹
脂材料で形成されていて外層体に対して完全に
融着されており、且つ盲蓋の周縁部分が前記外
層体の受座面と内層体の上端面との間に挟持さ
れているから盲蓋を安定よく強固に保持するこ
とができる。

ヘツドの内層体の下端にフランジ部を有し、
このフランジ部の上面にリング状の嵌合凸部又
は凹部を備え、前記外層体の下端面に前記嵌合
部又は凹部に緊密に嵌合する嵌合凹部又は凸部
を有し、これら凹凸部が緊密に嵌合されている
から、もし収納物から比較的高圧のガスが発生
してこのガス圧により胴部１及びこれと強く結
合された外層体２ａが膨張作用をうけても外層
体２ａと内層体２ｂとは前記凹凸部の嵌合によ
つて耐放射方向の力に対して強く結合されてい
るので外層体と内層体との間に通気可能な隙間
が生じるようなことがなく、これによりガスバ
リア性を確実に保持することができる。

更に本考案では、従来のようにヘツド内面に
積層アルミニユームシートを絞り加工によつて
伸展成型するものでないから、所頭に述べたよ
うに異常な伸展や折曲によつて樹脂被膜層が損
傷して金属層が腐食するような恐れはなく、こ
れにより内容物の保護を確実に達成でき、更に
は盲蓋は絞り加工によつて伸展されていないか
ら前記したピンホール現象のおそれは全くな
い。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す断面図、第２図
は従来例を示す断面図、第３図はこの従来例の盲
蓋の開口作業時の状態を示す断面図である。 １はチユーブの胴部、１ａはアルミニユームシ
ート、１ｂ，１ｃは合成樹脂被膜、２はヘツド、
２ａは外層体、２ｂは内層体、２a₁は受け座面、
２a₂は嵌合凹部、２b₁は内層体の上端面、２b₂は
フランジ部、２b₃は嵌合凸部、３は肩部、４は口
部、５は盲蓋、５ａは盲蓋のアルミニユームシー
ト、５ｂは盲蓋の上面被膜、５ｃは盲蓋の下面被
膜である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 アルミニユーム等の薄い金属シートの表裏面
   に合成樹脂被膜を積層した積層シートによつて
   筒状の胴部を形成し、この胴部の上端に口部と
   肩部とが一体成型された合成樹脂製ヘツドを結
   合して成る押し出しチユーブに於いて、 前記ヘツドは外層体と内層体との二つの部材
   の結合体によつて形成され、 前記外層体は防湿性を有する合成樹脂材料で
   形成され、前記内層体ははガスバリア性を有す
   る合成樹脂材料で形成されており、更に前記胴
   部の内面被膜が前記外層体と同質の合成樹脂材
   料で形成されていて、この胴部内面が前記外層
   体の肩部に隣接してその接触面が融着されてお
   り、 更に前記ヘツドの口部上端部分に該口部を閉
   じる盲蓋を有し、該盲蓋は薄いアルミニユーム
   シートを基材としてこのアルミニユームシート
   の上面に前記ヘツドの外層体に対して融着可能
   な合成樹脂被膜が、下面にアルミニユームに対
   して強い接着性を持つウレタン系又はエポキシ
   含有系樹脂による被膜が積層された薄い複合積
   層シートで形成されており、 前記盲蓋はその周縁部分が前記外層体内面に
   形成された受座面と内層体の上端面との間に挟
   まれ且つ盲蓋の上面被膜が外層体に融着されて
   おり、 更に、前記ヘツドの内層体の下端にフランジ
   部を有し、このフランジ部の上面にリング状の
   嵌合凸部又は凹部を備え、前記外層体の下端面
   に前記嵌合部又は凹部に緊密に嵌合する嵌合凹
   部又は凸部を有し、これら凹凸部が緊密に嵌合
   されている、盲蓋付き押し出しチユーブ。 前記第項に記載のチユーブに於いて、前記
   前記防湿性を有する合成樹脂材料は、ポリエチ
   レン又はポリプロピレンから選択され、前記ガ
   スバリア性を有する合成樹脂材料はポリエチレ
   ンテレフタレート、ポリプチレンテレフタレー
   ト等の熱可塑性合成樹脂材料又はメラミン、ユ
   リア、フエノール等の熱硬化性合成樹脂材料か
   ら選択される盲蓋付き押し出しチユーブ。