JPH0235433B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は気密の放電容器内に互いに電気的に絶
縁した放電電極を間隔をおいて対向配置されて放
電間隙を形成し、放電電極に電極活性化物質を被
着したガス入ギヤツプ式の避雷器に関する。

〔従来の技術〕

電線路に接続された電気設備例えば通信設備等
を不所望の高電圧サージから保護するために、例
えばガス入ギヤツプ式アレスタの如き避雷器が電
線路に設置されている。この種の避雷器として
は、一般に通常一対の電極を気密放電容器内に互
いに電気的に絶縁して間隔をおいて対向配置し、
一対の電極間に高電圧が印加されたときにその電
極間を放電により短絡させて高電圧サージ等を吸
収するようになされている。

ガス入ギヤツプ式の避雷器は放電時、電極が発
熱し、電極が発熱のために溶けるのを防止するた
めに電極に高性能の電極活性化物質を被着してい
る。

一般にガス入ギヤツプ式の避雷器の放電電極は
放電熱により溶けない耐量を有する形状の電極が
必要である。

しかし避雷器の形状を小さくする必要がありそ
のため高性能の電極活性化物質を電極に被着して
いることが従来から用いられている。

例えば従来は電極の放電面の表面に格子状にす
じを入れ、このすじの浅いくぼみ部に電極活性化
物質を被着することが行なわれていた。

更には又電極の中央に深いくぼみを設け、この
深いくぼみ部に電極活性化物質を装着する（従来
例特開昭58−163193号）。これは電極面に被着さ
れた電極活性化物質が電気伝導度および熱伝導度
を高め放電動作中の過熱を防ぐとともに、又スパ
ツタ物質をできるかぎり防ぎ、それに伴なう絶縁
低下を防止して避雷器の寿命を長くする等の効果
を有するようにしている。

そしてこのような電極活性化物質は、水ガラス
等を含めた懸濁液にして、浅いくぼみや深いくぼ
みに被着して作業性をよくしたり、電極活性化物
質がくぼみに固着しやすいようにしている。

前記各従来列に記載された避雷器によれば、避
雷器の放電電極間で放電しても電極面に被着した
電極活性化物質によつて放電耐量をを高めるとと
もにスパツタを低めるようになされている。

〔発明が解決しようとする問題点〕

前記各従来例に記載された避雷器においては、
電極を絶縁して対向配置してギヤツプを形成しこ
の電極の放電面に格子状のすじ又は電極の放電面
に深いくぼみを設け、このすじ又は深いくぼみに
懸濁液にした電極活性化物質（低仕事函数物質と
もいう）を被着するように構成されているので、
格子状のすじが浅く細長いものでは懸濁液による
被着でも強固に被着することができず、放電動作
や振動等で脱落することがある。又格子状のすじ
部に配設するので、かならずしもすじ部だけに被
着されず、それ以外の電極面にも被着され、脱落
を多くしたりさらには放電電極間のギヤツプのバ
ラツキを生じさせる等の欠点があつた。

又電極に深いくぼみを設けるものについては、
上記格子状のすじを設けるものの場合より脱落は
改善されるが、必ずしも満足いくものではなく、
例えば封着時の収縮等により脱落し易いので強固
には被着されない欠点がある。

このような電極活性化物質が脱落してギヤツプ
間に入つた場合は、電極間短絡を起したり、放電
動作電圧を下げたり、さらには正常な放電動作電
圧で動作したものが次の動作において、低い電圧
の中での放電動作となつたりして動作電圧のバラ
ツキが生じ信頼性が低下する。さらには電極活性
化物質の量の被着のバラツキが生じ放電耐量のバ
ラツキも生じ、さらには放電電極の放電面に被着
しているのでスパツタし絶縁特性を低下させ、避
雷器の寿命を短かくする等の問題点があつた。

本発明は上記従来の問題点を解消するために提
案されたもので、各放電電極に電極活性化物質を
強固に被着することができ、これにより前記電極
ギヤツプ間の短絡、放電動作のバラツキを防止で
きるとともに、長期間の信頼性を向上させ、さら
に電極活性化物質を略一定に被着できるので放電
耐量のバラツキを少なくすることができる避雷器
を提供することを目的とするものである。

〔問題点を解決するための主段〕

本発明の避雷器は、絶縁部材で形成された中空
筒体と、前記中空筒体の両端開口端部に気密に封
着されて装着され、互いに対向して放電ギヤツプ
を形成する一対の電極とを有する避雷器におい
て、電極の各対向面に穴部を分散させて複数設
け、これら穴部の内周壁面に凹凸部を形成し、さ
らに各穴部内に半田を介して電極活性化物質を装
着したことを特徴としているものである。

〔作用〕

本発明によれば、ギヤツプ式避雷器における電
極の放電面部に穴部を複数個分散させて設け、こ
の穴の内側周壁に凹凸を形成し、この凹凸を形成
した穴部の内部に電極活性化物質を装着するもの
であるから、電極活性化物質の穴部への係合が凹
凸により装着性がよくなり更には電極活性化物
質、例えばチタンとニツケルとの粒粉に精製水を
加えて粘土状（ペースト状）にしこれを穴部内に
充填して上部よりハンドプレス等を用いて押圧圧
入により穴部の凹凸部との係合がよくなり、容易
に電極活性化物質の装着ができる。

更に穴部に半田材（本発明の一実施例において
は、電極活性化物質の関係から銀ローが用いられ
る）を入れ、この半田材の上部に電極活性化物質
を粘土状（ペースト状）にし上部より押圧して固
め、電極と中空筒体とを気密封着する工程で電極
活性化物質を焼結すると一緒に半田（銀ロー）に
より焼結された電極活性化物質を穴部に付けるよ
うに構成するものであるから電極活性化物質を確
実に穴部の内部に装着することができる。さらに
は又押圧圧入するので確実に電極の放電面より低
い面に電極活性化物質を装着できるので放電ギヤ
ツプの電極活性化物質の装着によるギヤツプバラ
ツキを生じさせることはない等の簡単で製造コス
トを安価にできるとともに、さらには又、穴部を
複数個分散させて設けるようにしているので放電
耐量に対して電極活性化物質を有効に作用させる
ことができ、放電耐量を増大できる。さらには、
放電による電極活性化物質のスパツタが低減でき
絶縁低下を防止できる。

〔実施例〕

本発明の一実施例を図面に基いて詳細に説明す
る。第１図は本発明の一実施例の構成を示す断面
図、第２図Ａは第１図における電極の断面図、第
２図Ｂは同電極の平面図である。

第１図および第２図Ａ，Ｂにおいて、１はセラ
ミツクやガラス管の絶縁性の中空筒体、２，２′
は中空筒体１の両端開口を封止するように中空筒
体１に装着された主電極を示している。主電極
２，２′は、それぞれ中空筒体１内において互い
の放電面を対向させて配置された放電電極２″，
２と、これら放電電極２″，２の背面側、つ
まり放電面とは反対側に位置する面に半田材４
（ここでは銀ロー付）で固着された封着電極３，
３′とで構成されている。封着電極３，３′は、放
電電極２″，２より薄肉で、かつ幅広な鍔状に
形成されている。そして、封着電極３，３′の周
縁部が中空筒体１の両端面に対して半田材４で固
着されている。

５は主電極２，２′の放電電極２″，２間で構
成された放電ギヤツプで、この放電ギヤツプ５の
放電面６，６′の放電電極２″，２に穴部７，
７′が配設され、この穴部７，７′の内側周壁に凹
凸部８，８′を設けている。穴部７，７′の周壁に
凹凸部８，８′を設けることは例えば雌ねじを配
設することで簡単に設けることができる。

９，９′は穴部７，７′の内部に装着された電極
活性化物質でチタンやニツケル等の混合粉粒を精
製水等を加えてペースト状にして穴部７，７′内
に充填し、穴部７，７′の上部より押圧して穴部
７，７′内への装着性をよくしている。これは穴
部７，７′に設けた凹凸部８，８′の凹部に電極活
性化物質９，９′が係合し避雷器の封着時に封着
時の温度で焼結し、焼結と共に穴部７，７′に配
設された半田材（銀ロー）１０で穴部７，７′内
に固着するようにしている。１１，１１′はそれ
ぞれ接続端子である。

次に第１図に示された本発明の一実施例の避雷
器の組立について説明する。

主電極２を構成する放電電極２″に１個もしく
は複数個の穴部７をプレス加工等で設けこの穴部
７に雌ねじ等で凹凸部８を形成する。

前記穴部７内に半田材（銀ロー）１０を配設し
この半田材１０の上部に電極活性化物質９を充填
し、この充填した電極活性化物質９を押圧入す
る。電極活性化物質９を押圧入することで穴部７
の凹凸部８に係合することとなる。次にこのよう
にして形成された放電電極２″と放電電極２″より
幅広な板状の封着電極３との接触面個所に半田材
４を配設する。

このようにして形成された主電極２の２個を中
空筒体１の端部に主電極２，２′の封着電極３，
３′を当接し放電ギヤツプ５を形成して、半田材
４′で気密封着して構成する。この気密封着時に
電極活性化物質９，９′と穴部７，７′とを半田材
１０で、また放電電極２″，２と封着電極３，
３′とを半田材４で同時に一度に半田付されて構
成される。

尚、電極活性化物質９，９′を穴部７，７′に装
着する場合、本発明においては主電極２，２′と
中空筒体１との気密封着時に一体に固着するよう
にしたが、電極活性化物質９，９′と穴部７，
７′及び放電電極２″，２と封着電極３，３′と
を半田材１０又は４であらかじめ半田付けを行い
そのあとで主電極２，２′と中空筒体１とを気密
封着して避雷器を構成するようにしてもよい。
又、穴部７，７′に電極活性化物質９，９′を装着
する場合、放電電極２″，２の放電面６，６′よ
り低くなるように配設される。

次に上記本発明の一実施例による避雷器の作用
について説明する。

主電極２，２′間に不所望な高電圧サージが印
加したとき、ギヤツプ５が放電動作する。このと
き主電極２，２′の穴部７，７′内に設けられた電
極活性化物質９，９′により放電電流を処理する。
又、電極活性化物質９，９′を主電極２，２′の放
電面６，６′の大きさに合せて設け、放電面に対
して平均的に電極活性化物質９，９′が作用する
ようにしているので電極面耐量が均一になると共
に電極活性化物質９，９′も小さくなり重量的に
も分散することで軽量となりより脱落を防止でき
る。なお、実施例のように、放電電極と、この放
電電極に半田付けされた鍔状の封着電極とで主電
極を構成する構造であると、困難な機械加工を必
要とすることはなく封着電極の肉厚を十分薄くす
ることができる。したがつて、放電時の熱で封着
電極と中空筒体との接続部に大きな内部応力が発
生するのを防止でき、上記接続部における封止の
信頼性を向上させることができる。

〔発明の効果〕

以上により本発明によれば以下の如き優れた効
果が奏せられるものである。

複数個に分散することによる電極面に対する
電極活性化物質が均一に作用でき電極の放電面
の耐量が均一になり偏よることがなくなる。

分散による重量減に伴ない脱落が少くなる。

穴部の内周壁面に設けられた凹凸による係止
作用および半田による固着作用で電極活性化物
質を強固に放電電極に固定でき、電極活性化物
質の脱落を防止できるので、信頼性を向上させ
ることができる。また、上記半田による固着
を、主電極と中空筒体との気密封着時に同時に
行うこともできるので、製作工程が大幅に増加
することもない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例の構成を示す断面
図、第２図Ａ，Ｂはそれぞれ第１図における主電
極の部分断面図および平面図である。 １……中空筒体、２，２′……主電極、６，
６′……放電面、７，７′……穴部、８，８′……
凹凸部、９，９′……電極活性化物質。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 絶縁部材で形成された中空筒体と、この中空
   筒体の両端開口部に気密に装着されるとともに互
   いに対向して放電ギヤツプを形成する一対の電極
   とを有する避雷器において、前記電極の各対向面
   に分散状態に複数個穿設され、それぞれの内周壁
   面に凹凸部を有した穴部と、これら穴部内に半田
   を介して装着された電極活性化物質とを具備して
   なること特徴とする避雷器。 ２ 前記各電極は、前記放電ギヤツプを形成する
   放電電極と、この放電電極に半田を介して取り付
   けられるとともに前記中空筒体の開口端を気密に
   封止する上記放電電極より薄肉で、かつ幅広な封
   着電極とで構成されていることを特徴とする特許
   請求の範囲第１項記載の避雷器。